△▼△▼パキスタン地震;凄まじい災害の実態
1.始めに
8日に起きたパキスタン地震は、現地の状況や世界各国の地震観測から凄まじい災害であったことが伺えます。「スマトラ沖地震」や「新潟県中越地震
」そしてハリケーン「カトリーナ」の時と同じような状況です。ここで一度「パキスタン地震」について、まとめておきます。
2.パキスタン地震の概要
8日午前8時50分(日本時間午後0時50分)ごろ、パキスタン北部を震源とするマグニチュード(M)7.6の地震が発生しました。パキスタン北中部を中心に強い揺れを観測し、多数の死傷者が出ました。まだ、がれきの中に取り残されている人、山奥に孤立している人がいます。その被害は増えるように思えます。
3.パキスタン地震の被害状況
国連人道問題調整事務所(OCHA)は11日、パキスタンを中心に約400万人が被災し、このうち100万人が緊急に支援を必要としていると明らかにしました。
最大の被害を受けた北部ムザファラバード付近では、建物の8〜9割が倒壊したようです。
また、パキスタンンのアジズ首相は同日、今回の地震で約250万人が家を失ったと述べました。
犠牲者は同日、パキスタン側で2万2000人、インド側で1300人に達しましたが、AP通信は、パキスタン軍高官の話として、「死者が3万5000〜4万人に達する」との見通しを報じました。
4.パキスタン地震のメカニズム
地震に見舞われたパキスタン北東部は、北のユーラシアプレート
(陸のプレート)に南からインド・オーストラリアプレート(海のプレート)が激しくぶつかり続けている箇所です。しかも、インド・オーストラリアプレート(海のプレート)の最先端部に当たっています。概観すると後ろから押されて、ひずみが集中するところのようにみえます。
向かい側のユーラシアプレートの上には世界で最も高いヒマラヤ山脈
がそびえています。
この山脈は、一瞬にして出来たのではなく、長い地質時代
的年数を掛けて、南からのインド・オーストラリアプレートの突き上げによって出来上がった繰り返しの結果なのです。その中の度々起きる顕著な地殻の活動が今回起きたような大規模地震なのです。
5.パキスタン地震の特徴
1)平面的位置
ヒマラヤ山脈の南側には約2千キロにわたって、世界で最も大規模な「ヒマラヤ前縁断層」がある。今回はその西の端で起きたと考えられています。今回の大地震でずれ動いた断層は、長さ2千キロのうちの約80キロ、幅約20キロの巨大なものだったようです。
ところで、この「ヒマラヤ前縁断層」では、これまでどのような大規模地震が起きているのでしょうか。
(1)1905年;インド北西部のカングラ M8規模
(2)1935年;M7・5 約3万人死亡
(3)1945年;パキスタンからイランにかけM8・0 数千人死亡
(4)2001年;インドのパキスタン国境近く、M7・9の「インド西部大地震」
地下のプレートが正面からぶつかり合う世界的な地震発生地帯なのです。
2)鉛直的位置
今回の地震は、パキスタン北部を震源とし、その深さは約10キロメートル
(国立地震情報センター(コロラド州)を運営する地震学者、ハーリー・ベンツ)とか、地表から深さ4キロ付近(八木勇治・筑波大学助教授(地球惑星進化科学))とかいわれます。この数値が示すように極めて浅いのです。今回の被害はこの浅さに最大の原因があるように思えます。また、八木助教授は、世界32地点の地震波形を分析して、断層の破壊が震源から北西、南東の2方向に向かって28秒間も継続し、上下方向に最大約12メートルずれ動いたことも明らかにしています。
3)被害の増大
地面の揺れは、震源から離れると急速に減衰するから、震源がどれほど近いかによって被害の程度は変わります。今回は非常に浅かったためにレンガ造りやそれほど耐震を考慮していないコンクリートビルが多数崩壊したのです。
因みに、「昨年12月のインドネシア・スマトラ島沖地震」は、マグニチュード9.0、地表から約30キロメートルの深さで発生し、津波によって11ヵ国で17万6000人以上が死亡しました。
一方、先月ペルーで起きたマグニチュード7.5の地震は、約120キロメートル以上の深部に震源があり、大きい地震の割には倒壊した家屋も数百棟にとどまり、死者の数もわずかでした。
このように、同じ規模の地震が起きても、震源深さが違うと、被害の程度には大きな差が生じるのです。
6.プレート境界
この地震を起こしたパキスタン付近のプレート境界は、陸地にあって、その延長は非常に長いものです。その長いプレート境界で地震活動が活発化しているとインドの主要な地震学者(ジャナルダン・ネギ氏)が今後も強い地震に対して警戒が必要だと警告しています。
昨年12月に津波を引き起こしたスマトラ沖地震
が発生した約3カ月後にも同じスマトラ沖で大きな地震があり、さらに今回のパキスタン地震と、両プレートの境界付近で強い地震が相次いで起きていることを重視し、「強い地震がこれほど高い頻度で起きるのは珍しい」としています。私からみても、そういう見解を示すしかないといえます。
地球科学研究センターのC・P・ラジェンドラン氏もプレート境界での地震活動
が活発化しているのは確かで、(プレートの)ひずみが引き金となってこの傾向は増加するだろうと述べ、付近の断層の動きを慎重に調べる必要があると指摘しています。
7.最後に
きっと地震学者は全地球的なプレートの動き
、地球を取り巻く多数のプレート境界
の状態を把握していることでしょう。日本国内で小出しに発せられる「西日本の地殻が活動期にある」という状態は、地震がいつ起きておかしくない日本のプレート境界特に東海地震、東南海地震、南海地震を起こす日本海溝に沿うプレート境界の緊張及びその内陸部での活断層
の活動性を示唆しているように思えてなりません。ただ、それらは定性的なところが大きく、確実性をもって公表できるような性質のものでないため、個々の活断層の「何十年のうちに確率何%で」というわけの分からない表現で不安な国民に示されている。公表されても困るよなという部分が大いにあります。
でも、パキスタンやインドは日本とは違ってさらに厳しい現実があるのです。このプレート境界の上に家があり、人々が暮らしている。周りの地形と異なり緩やかであったり、割れ目にそって集まる水があったりで、近くに住む人々は比較的多いのではないかと想像されます。これらの人たちは、恐らく何も知らされず、これからも周囲で暮らしていくことでしょう。また、大きな地震が起こるかもしれないのに。。。。
日本の活断層について知りたい方は、「日本の活断層
」が役立つでしょう!
<参考資料>
1)(Yomiuri.On-line H17.10.12)死者4万人にも、250万人が家失う…パキスタン地震
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20051011it15.htm
2)(Yomiuri.On-line H17.10.12) パキスタン地震、長さ80キロの巨大断層動く
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20051012i101.htm
3)(産経Web H17.10.12) 地震活動が活発化 プレート境界、専門家警告
http://www.sankei.co.jp/news/051012/kok024.htm
4)(WIRED H17.10.12) パキスタン地震と「ヒマラヤ山脈を形成したプレート衝突」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051011-00000002-wir-sci