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首都直下地震対策大綱;首都の中枢機能維持を重視した決定

 1.始めに
 国の中央防災会議
は27日、首都直下地震への対策をまとめたマスタープラン(大綱)を決定しました。被害を最小限にとどめるために必要な国、自治体、民間企業などの取り組みを明示しました。国や自治体には建築物の耐震化や火災対策の促進に向けた環境整備、企業には、事業継続計画(BCP)の策定などを求めています。

 2.首都直下地震

1)首都直下地震 とは
 首都直下地震とは、200年以内に東京周辺で数回発生するとされるマグニチュード7クラスの大規模地震を指しています。
2)規模・被害想定
 東京湾北部でマグニチュードM7.3の地震が発生すると、最悪の場合、死者が約1万3000人、倒壊・焼失建物が約85万棟、復旧費用と経済損失の合計額が国の予算の1・4倍に相当する112兆円にまで達すると予想されています。

 3.大綱の要点

 大綱は、最大の被害が予想される東京湾北部を震源とする地震(M7.3)を想定してまとめたものです。その目的は首都の中枢機能を維持するためです。次のようなことを国や自治体、企業に求め、具体策も示しています。
1)建物の耐震化
 建物倒壊は15万棟が想定され、火災が起きる要因となるため、住宅の耐震化に向けて、改修工事への補助制度、優遇税制の導入と共に、安全な建物に対しては認定マークの交付といった環境整備も示しています。 徐々に耐震化へのムード作りを図っていこうという戦術のようです。周りの目を気にさせる雰囲気を醸し出すわけです。如何にも官僚らしいやり方です。
2)非常電源 食料確保
 街の機能を回復させるには、緊急なものでも3日は要するという専門家の判断に基づき、最低3日間分の非常用電源や食料を(各機関、事業所ごとに)確保することを求めています。
 これは、意外と大変です。3日間の電源を確保するとなると、製造工場などは本当に大変でしょう。
3)事業継続計画(BCP)の策定
 想定される大規模な地震が事業所を襲ったときに、どう対処して、事業を継続しつづけるか。その時になって慌てふためくのではなく、事前に具体的な計画を立てて、いつでも来いの状態にしておけば、想定内の地震にあっても会社を潰すような事態にならずに済むというわけです。
 大変だと思われるかもしれませんが、起こったあとで、事業再開を図ることを考えれば、楽なものではないでしょうか。従業員も含め、皆で準備して行動できるようになるわけですから。
 なお、これの家庭版も必要でしょう。大げさなものである必要はないのですが、家庭をパニックに落とし入れないためにも、検討してみては如何でしょうか。
4)定期的な訓練
 BCPを作っただけでは、その場の実行が伴いませんので、黙って行動できるように繰り返し訓練する必要があります。ムダと思うか、有益と思うかは所属長の判断ですが、私は会社や社会を守り、そして自分自身や家族を守るために是非行ってほしいと思います。これもまた、家庭でもやる必要があるでしょう。恥ずかしがっている場合でないことは、地震の可能性に関して情報を持っている国の機関が慌てていることで感じ取るべきです。
5)金融決済機能の復旧
 東京には金融機関が集中していますので、その機能が止まると日本経済に壊滅的な影響を及ぼしますので、データや情報のバックアップ を事前に進め、金融決済機能をその日のうちに回復させることを目指すとしています。ハード・ソフト・人材の面でカバーする必要があり、日頃から手当てができるようなIT業界との協働が必要になるように思えます。これで、別な面での1極集中が生まれるように思われます。
6)その他
(1)避難所生活者
 避難所生活者は400万〜460万人に上るとみられ、阪神大震災(30万人)の10倍以上になるそうです。そこで、避難所の確保だけでなく、都内で約67万戸あるという空き家や空き部屋の活用、ホテルの利用などを挙げました。
 さらに、避難所に入る人を大幅に減らすため、住民の疎開や帰省、児童・生徒の学校単位での疎開なども盛り込みました。
 合理的なやり方に慣れている米国でも、ハリケーン「カトリーナ」や「リタ」では大変な混乱を今も続けています。ありとあらゆる具体的な手段を用いて、避難先を確保しておくことは本当に賢いやり方だと思います。
(2)帰宅困難者
 帰宅困難者は、最悪で650万人とも想定されています。これだけ多くの人が食料 そして休むべき場所を求めて彷徨うのです。当然、トイレ も必要になることでしょう。
 駅周辺や路上にあふれると、救急活動の妨げになるので「むやみに移動を開始しない 」という基本原則を周知・徹底するように大綱は求めています。企業や学校には、従業員や職員・児童生徒らが一定期間、施設内で過ごせるよう、食料の備蓄や家族への安否確認態勢を図るとしています。

 4.首都中枢機能に関する目標・課題

 首都直下地震対策大綱では、下記に示すように《首都中枢機能》に関する各対象ごとの目標・課題がまとめられています。これからその課題を解決すると共に、さらに下の組織に展開して、首都圏住民及び組織(会社、自治体の機関、国の機関)全体へと徹底されていくものと思われます。
《首都中枢機能》
【国会】地震発生直後から連絡手段を確保し、政治的措置がとれる環境を整備
【都庁】発生1時間で災害対策要員が参集
【中央省庁】2時間以内に緊急災害対策本部の開設
【金融機関等】情報やデータのバックアップを進め、重要な金融決済機能を当日中に復旧。金融決済にかかわる重要なアナウンスを国内外に発信、信用不安を軽減
【首都中枢機関】建築物の耐震強化、災害時に寸断しない通信連絡網の整備、ライフライン系統の多重化、オフィスのバックアップ機能の充実、事業継続計画の策定・訓練、3日間の非常用電源・機器冷却水の確保、緊急災害活動に必要な備蓄(食料、飲料水、医薬品)
【道路・港湾】1日以内に緊急車両の通行機能を確保、岸壁は1日以内で利用可能に
【電力】停電しても首都中枢機関の重要設備に1日以内で供給

 5.今後の予定

 今年2005度内に、減災に向けた数値目標を含む「地震防災戦略」と、地震発生後の取り組みをまとめた「応急対策活動要領」をつくり、2006年度に「地震時経済対策要領」をまとめ、さらに具体化を進めることにしています。

 6.最後に

 いつ、どんな場面で起きるか分からないのが、地震災害です。したがって、みんなの日頃の気構えが大切なように思えます。
 大綱はそういった意味では、それ自体を国民へ啓蒙する必要がありますから、もっとわかりやすい内容にまとめ直す必要があります。日頃から新聞を頻繁に読んでいる私でも、役所ことばが多く、また配列も複雑で分かり難い。
 早く、『マンガで分かる首都直下地震対策大綱』を出版すると、大いに売れるのではないでしょうか。もう既に準備中かな?

 <参考資料>
1)(asahi.com H17.09.28)中枢機能の維持を重視 首都直下地震対策の大綱決定
 http://www.asahi.com/life/update/0928/001.html
2)(日刊建設工業新聞 H17.09.28)都直下地震対策大綱決定−耐震技術でコンクール、企業にBCP策定要請/中央防災会議
 http://www.decn.co.jp/残念ですが毎日内容が書き換わります。


 

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