G-NET 最新厳選災害防災特集: 

           

 宮城県沖地震タイプ −今回の地震:宮城県沖地震の発生を加速?−

 

 1.始めに
 東北大学の長谷川昭教授が、2005年8月22日に開かれた地震予知連絡会(会長:大竹政和東北大名誉教授)の中で、近い将来発生が確実視されている「宮城県沖地震」には、複数のタイプがあり得え、16日に起きた「宮城県沖の地震」は1978年の「宮城県沖地震」のタイプと違って、1936年と1937年に跨って2回起きたタイプに似ているとの見解を明らかにしました。
 

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 2.宮城県沖地震のタイプ
 宮城県沖では、前回の地震が1978年(M7.4)、前々回(M7.4)が1936年と考えられ、広い範囲のプレート(岩板)境界が一度にずれ動くタイプの大地震が起きたと考えられていました。
 ところが、長谷川昭教授がよくよく調べると、宮城県沖では、1933年6月(M7・1)、1936年11月、1937年7月(M7・1)と約4年の間にM7級地震が連続3回起きたことが分かりました。
 また、余震の発生領域から推測する「震源域」をみると、東西に並ぶ1936年、1937年の震源域を合わせれば1978年の震源域とほぼ範囲が一致することも分かりました。
 これらのことから、長谷川昭教授は「宮城県沖地震が1936、1937年の地震の2回に分かれて起きた可能性がある」との見方を地震予知連絡会で報告したのです。

 3.見解の違い
1)政府の地震調査委員会
 政府の地震調査委員会は、同じ地震(M7.5前後の1つのタイプの地震)が繰り返し起こってきたことを前提に、宮城県沖地震を想定し、16日の宮城県沖の地震は、想定とは別物としていました。
2)東北大グループ
 今回東北大グループが地震予知連絡会へ報告したのは、間で2回連続して起きるタイプがあるということで、上記の1回きりの地震が約37年おきに繰り返すという前提を覆すものです。

 4.その影響
 余震分布を見直すと、「宮城県沖地震」が、1936年タイプと1937年タイプ、それらが連動する1978年タイプに分けられる可能性が出てきたわけです。
 そして、16日の「宮城県沖の地震」は1936年タイプに近いと長谷川昭教授はみているのです。
 政府の地震調査委員会が地震発生確率を出した前提が揺らぐ可能性があるため、今後予想される地震規模や発生確率にも影響することになり、その見解をどう受け入れるかが極めて難しい課題となっているのです。当然、予想される地震規模や発生確率は様々な構造物や街づくりの計画・設計に大きな影響を及ぼすのです。

 5.最後に
 今回の地震では1978年の震源域の大半が動いていないことから、長谷川昭教授は「今後、残りの震源域で地震が起き、1936、1937年のように推移する可能性もある」としていますが、「まだ一つの考え方で、(断定し、地震調査委員会の見解を覆すには至っていないので、)さらなる解析が必要」としています。断定するほどの確証もないように思えますが、説得力のある話に思えます。
 対策は進めなければいけないので、やはり地震調査委員会の方針は揺るがないと思えますが、長谷川昭教授の解析は何がしかの方法で進めえるように予算化されるものと思われます。また、地震予知連絡会の大竹会長の記者会見によれば、「個人的な見解」としながらも、「8・16宮城地震は宮城県沖地震の発生を加速させるだろう」ともおっしゃっておられます。数年以内ということなのでしょうが、それがいつとも分かりませんので、警戒しなければいけません。地震対策を早急にとる必要がありそうです。大竹会長は、「防災力!」という本で「宮城県沖地震に備える」内容を示しておられますので、参考にされるとよいかも知れません。

 <参考資料>
1)(asahi.com H17.08.23)宮城県沖地震、東北大「36年型と類似」 別の見方浮上
 http://www.asahi.com/science/news/TKY200508220228.html
2)(Yomiuri.On-line H17.08.23)宮城県沖地震、従来と別の見解…M7級「数回発生も」
 http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20050822it15.htm
3)(Yomiuri.On-line H17.08.23)宮城県沖地震 数年内に発生の可能性
 http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/miyagi/news002.htm
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宮城県沖地震なら到達10分/今村教授に聞く(asahi.com)よりH23.03.03紹介 
 1年前のチリ地震津波が三陸に残した教訓は何か。今後30年で発生が確実視される「宮城県沖地震」による津波は、どう異なるのか。被害の軽減を目指す「津波工学」の分野で活躍し、世界各地での現地調査にも携わる東北大学の今村文彦教授に聞いた。

 ――三陸海岸に押し寄せたチリ地震津波の特徴は?

 「『遠地津波』だった。津波が発生した場所が遠く、警報が出てから津波が来るまで時間があったが、余裕があったからこそ起きる問題や課題もあった。代表的なのは、車で避難したり、途中で食料などを買うためにスーパーに寄ったりした人がいたことだ」

 ――宮城県沖地震だったら?

 「早い所では地震発生から10分程度で津波がやって来るので、相当な混乱が予想される。ちょっと想像してもらえば分かるが、高台には歩いて行けばすぐに着く。でも、車だと遠回りになる。途中、交差点での渋滞も起きる。車の使用は、高齢者や歩けない人たちを除いて原則禁止だ」

 「道路は比較的低い所にあり、オープンなので、水が入りやすい。2004年のスマトラ沖大地震によるインド洋津波の時は、道路上で車から離脱できずに多くの人が亡くなる一方、歩いていた人は助かるケースが多かった。1993年の北海道南西沖地震で津波に襲われた奥尻島でも、車で移動していて流された人がいた。津波の時の道路は危険なのだ」

 ――遠地津波と宮城県沖地震による津波では、押し寄せる波にどんな違いがありますか。

 「繰り返してやって来る津波の間隔が違う。チリ地震津波の間隔は1時間ぐらいあった。ゆったりした感じの波で、一見、恐ろしくないように見えた。それに対し、宮城県沖地震による津波の間隔は10〜20分。津波が陸を駆け上がり、被害が拡大すると予想される。遠地津波と宮城県沖地震津波では全く違うということを忘れてはならない」

 ――津波被害は、なぜ三陸地方に多いのですか。

 「三陸沖で大規模な地震が繰り返し起きているからだ。もう一つは、リアス式海岸で局所的に被害が大きくなるから。津波のエネルギーや体積は変わらないため、海が狭くなる湾奥で波が高くなる」

 ――宮城県気仙沼市や東北大、防災科学技術研究所が昨年4〜5月に行った気仙沼市民に対するアンケート結果から、どんなことを感じましたか。

 「市が作っている防災マップをよく見て理解した人の避難率は高かった。マップのことを知らない人ほど、避難に対しての意識が低かった。『津波なんて来ない』と思い込み、避難指示が出ても『大丈夫』と考える人たちだ」

 「防災マップを見て、安全な場所と危険な場所を確認しておくことが大切だ。宮城県沖地震の場合は、津波は最速10分程度で来る。警報が出た時点で2〜3分経過しているかもしれないから、5〜6分で避難できるか、安全な場所まで歩いて何分かかるかを確認しておかないといけない」

 「地震の揺れ対策も取る必要がある。家具の転倒を防いでおくほか、部屋の中でここなら安全という『セーフティーゾーン』を作っておくことだ。けがをすると、避難も難しくなるからだ」

石巻など「6強」に上げ 宮城県沖地震被害想定 中間案公表(河北新聞)よりH23.02.02紹介 


 
近い将来、発生が確実視される宮城県沖地震の被害想定の見直し作業を進める宮城県は1日、第4次地震被害想定調査の中間案を公表した。登米、石巻、東松島各市の一部で、震度予測を3次調査(2004年度策定)で想定した「6弱」から「6強」に引き上げた。一方、県内の広い地域で地盤が固いことが確認されたとして、震度予測を下方修正した。
 県庁であった県防災会議地震対策等専門部会で、県が概要を説明した。
 想定する地震の形態は、これまでと同じ(1)マグニチュード(M)7.6の宮城県沖地震単独型(2)宮城県沖地震と日本海溝寄りを震源とする地震との連動型(M8.0)(3)長町―利府断層帯による直下型(M7.1)―の3種。3次想定策定後の地質調査や、堤防の整備状況、沿岸部の標高などを加味した。
 迫川や鳴瀬川などの流域で川沿いの地層に軟弱地盤が見つかり、揺れが増幅されることが判明。単独型のほか、連動型でも宮城県塩釜市、松島町の一部で「6弱」から「6強」へと震度予測が強まった。逆に仙台市内を含む県内のほぼ全域で、震度がやや小さくなった。
 津波は「単独型」「連動型」「明治の三陸地震津波」を基に想定。連動型での予想波高は、気仙沼市本吉町の10.6メートルが最も高く、同市唐桑町の8.4メートルが続いた。
 河川への逆流は、連動型の場合、北上川(石巻市)が河口から約1.2キロまでさかのぼると推定。鹿折川(気仙沼市)は「河口付近で堤防を超える可能性がある」と指摘した。
 4次想定は11年度中に策定。今後は震度や津波の予測に基づき、建物、ライフラインへの被害のほか、農林水産業など経済被害も予測する。