関東平野の特殊性 −宮城県沖の地震の揺れが長かった理由−
1.始めに
16日に起きた宮城県沖の地震の揺れが全国に伝わる様子を6コマの図で分かりやすく、古村孝志・東京大学地震研究所助教授が提供してくれました。そこで、関東平野の特殊性について解説しておきたいと思います。
なお、ここで気付きましたが、16日の地震は「想定とは別」という地震調査委員会の見解を受ける形で、「宮城県沖の地震」という表現に改められているようです。使い分ける必要があるようです。
2.地震動伝播の様子
古村助教授は、防災科学技術研究所の地震観測網の記録を利用して、コンピュータで地震発生から地震動が全国に伝わる様子を衛星からまるで眺めてでもいるかのような鳥瞰図に表したようです。
地震発生後、地面の揺れの強さが変化する様子を、日本列島に広がるオレンジ色の濃さで示しています。
16日に起きた「宮城県沖の地震」の揺れは、地震発生から20秒で仙台市に伝わり、50秒後に水戸市に伝わっています。
東京都心部が大きく揺れだしたのは、70秒後で、揺れは6分以上続いたことまで細かく再現しています。
180秒後には京都、大阪に到達しました。

16日に起きた宮城県沖の地震の揺れが全国に伝わる様子(左上から)。
オレンジ色が濃いほど強い揺れを示す
=古村孝志・東京大学地震研究所助教授提供
3.6コマの意図
このように揺れが全国に伝わる様子が一目でわかる画像をなぜ作製したのだろうか。
単に新聞紙上などに説明するがためのものではない。それも理由の1つではあろうが、メインは日本全体の動き、地震動に対する日本の挙動を生の震動データから明らかにしたいという意図に違いない。
だから、日本全国の震動データを防災科学技術研究所が地震観測網として記録し続けているのであるように思えます。
4.日本の地盤は均質じゃない
最近、地震の多発から一般の皆さんも日本の地質についてかなり智慧がつかれたと思います。
日本の地質というか地殻は均質なものではない、列島のくびれや島及び活断層という線構造を見れば一目瞭然のように少しずつまとまった塊として、丸でジグソーパズルのようになっている。
地質学者やその専門家は、なぜ、ジグソーパズルのようになっているかを歴史を遡るように地質構造や地質分布の研究しているのです。
そうすると、もう一方で、なぜ、ジグソーパズルのように日本列島が千切れたのか、その原因や機構解明をする地球物理学的研究も行われるわけです。
地震はそうした原因を作る大きな地球の活動の1つといえます。
地震だけが、地球の活動でなく、もっとダイナミックな動きを地球自身はし続けているのです。
それを理論付けるのが、プレートテクトニクスというものです。
5.プレートテクトニクス
地球表面は、十数枚の板状のプレートといわれるものに覆われ、互いに移動して、ぶつかり合ったり、すれ違ったりしているというのです。
その顕著な例が、日本列島の太平洋側に連なる深い溝として現れています。
ここでは、西進あるいは北西進する太平洋プレートやフィリピン海プレートが陸のプレートの下へ潜り込もうとして、絶えず陸のプレートを引きずりこんでいます。そこで深い溝が連なっているのです。
ただし、人が感じる動きと違って、年に数センチという極めて遅い動きですから、陸のプレートに乗っかっている我々はその動きを感じ取ることはできません。
唯一、動きを感じるのは、海のプレートの引きずりこみに耐えられなくって、起きる陸のプレートの跳ね返り地震や、陸のプレートの内部に蓄積されたひずみで一部が切れる地震によって感じ取ることができます。中には有感地震と違って、人が感じ取れない無感地震も無数に起きています。
このように、日本列島は非常に地球の活動が顕著な場所なのです。
太平洋の海底がせまってくる 税込:1,260円
6.関東平野の特殊性
今回、古村助教授は関東平野で観測された地震波を解析し、2004年10月の新潟県中越地震と比べるということをされています。
これにより、今回の「宮城県沖の地震」では、60階建て以上の超高層ビルが揺れる長い周期の地震波が弱かったことが分かりました。
一方で、木造家屋や10階建て以下のビルが揺れる周期1秒以下の地震波は強かったようです。
今回の地震で関東で揺れが長く続いたと感じた人が多かったのは、人が感じる周期1秒以下の地震波が強く、長く続いたためと説明されているようです。
しかし、その原因が何にあるのかについては何も説明されていません。表層部の未固結地層が他の地域より厚いということがあるでしょう。であれば、その原因を作ったものがあるはずですし、その原因そのものが関東地方を地質の上からも地球物理の上からも特徴付けているように思えます。
私は、以前、関東平野を含むこの地域の特殊性を3枚のプレートの重なり、一般的な場所より1枚多いことにあるとまとめています。時間があれば、「首都圏巨大地震」を参照ください。
*日本の地震地図
*図説関東大震災
7.最後に
今回現された図は6コマでしたが、恐らく、どのような経過時間でも瞬時に全国での揺れが示せるもののように思われます。
いわゆるシミュレーションなのでしょう。今後は、大きな地震が起きるたびに新聞紙上やテレビ画面及びウェブ上に出てくるものと思われます。
地震の震動をまとめたものが入力データですので、学者の総合的チェック機能を旨く働かせると、短時間で公表することも可能かと思われますが、どの程度早く公表されるか日本の大学のあり方を占う良い見本になりそうな気が致します。一部の学者間や一部の経済人や一部の官僚への発表が研究の目的ではないと思います。多くの国民へ生活へ寄与することが包括的な目的であるように思えます。その意味からもご活躍を期待したいと祈念します。
上記の関東平野の地質の特殊性に関しても、分かり易く啓蒙していくことが、学者や専門家に求められているように思えてなりません。そういう意味で私自身は、少しでもお役に立てばブログを続けています。いわば、専門用語の解説者とでもいう立場です。目線を下げた伝え方が必要だと思っています。自身の解説はまだまだだと反省しますが、ブログがこれだけ貯まってくると、少しは役立つような気もします。今後ともご愛読よろしくお願い致します。
<参考資料>
1)(asahi.com H17.08.19)6分以上揺れた東京 宮城沖地震、東大地震研が画像化
http://www2.asahi.com/special/050816/TKY200508180691.html