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地震の巣 −M6.0、東京都足立区震度5強の地震−

 

 1.始めに

 昨日、国の中央防災会議・専門調査会が首都圏をマグニチュード M7クラスの地震が襲った場合の対策をまとめ、政府へ提出したことについて、ブログしました。

 実はその直後にマグニチュード(M)6.0で震度5強の大きな地震が東京都心を襲いました。

 ブログを書いた私がびっくりした位ですから、それを読んだ方は地震が起きた後で書いたにしては早すぎるととても驚かれたようで、一部の方からコメントを頂いたりしました。

 今日は、この地震についてまとめておきます。

 2.強い地震の概要

1)発生時刻:7月23日午後4時35分

2)発生場所:千葉県北西部

3)震源の深さ:約73キロ

4)地震の規模:マグニチュード(M)6.0

5)震度

(1)震度5強:東京都足立区

(2)震度5弱:千葉県浦安市、埼玉県草加市、埼玉県横浜市神奈川区など

(3)震度4 :関東一円

6)けが人:27人

7)交通機関:首都圏の鉄道は広範囲で一時運転見合わせ、ダイヤが深夜まで混乱

 3.地震の原因

 今回の地震は、相模湾から房総半島にかけて沈み込むフィリピン海プレート(岩板)と千葉県沖から沈み込む太平洋プレートとの境界付近で起こったものです。

 同じ場所では、1980年9月25日にM6.0の地震が起きて、最大震度4の揺れが生じています。

 海洋プレートは年に数センチずつ動くといわれていますが、太平洋プレートもフィリピン海プレートも共に海洋プレートで、年に数センチずつ動いているはずですが、進む方向が交差することと掛かる力の関係で、相対的に太平洋プレートがフィリピン海プレートを下に引きずり、潜り込んでいるようになっているものと思われます。

 今回の地震は、このように海洋プレート同士が擦れ合う場所で、太平洋プレートの沈み込みに耐えかねたフィリピン海プレートが跳ね上がること(逆断層タイプ:上盤側が跳ね上がる)で生じたもののようです。

 4.地震の巣とは

 千葉県北西部は、大小さまざまな地震が起こる「地震の巣」といわれています。

 気象庁によれば、M6以上の地震は10〜20年に1回起きていて、今回の地震もその一つとみています。

 地震の巣があるのは、相模湾から房総半島にかけて沈みこむフィリピン海プレートと、千葉県東方沖から沈みこむ太平洋プレートの境界付近で、今回の地震の震源箇所なのです。

 フィリピン海プレートの下に太平洋プレートが沈み込むのに伴ってひずみが溜まり、限界に達すると地震が起きます。

 5.関東地方、首都圏の地下

 ちょっと広範囲に、関東地方を捉えてみましょう。そうすると、関東地方の地下が如何に複雑であるかが良く理解できるものと思われます。

 日本の太平洋側は、一般に太平洋プレートまたはフィリピン海プレートのいずれかが、北米大陸プレートまたはアムールプレートという陸のプレートの下に潜り込んでいます。それぞれ、耐えられなくなると、陸のプレートが跳ね上がり地震が起こります。

 ところが、関東地方の地下には、陸のプレートの下に南東方から寄せてくるフィリピン海プレート、さらにその下に東方から寄せてくる太平洋プレートがあるのです。実に複雑な構造をしています。

 したがって、地震の起こり方も次のような3種類のものがあるといわれます。

(1)陸のプレート内(活断層など)で発生し、その深さは0〜20キロ

(2)陸のプレートとフィリピン海プレートの境で発生し、その深さは20〜50キロ

(3)フィリピン海プレートと太平洋プレートとの境界付近で発生し、その深さは50〜100キロ

 (1)はいわゆる直下型地震を起こします。(2)(3)はいわゆる巨大地震を引き起こすとみれば良いのだろうと思われます。なお、(2)に関しては最近、深度が浅いという見方が浮上してきていますので、起きると揺れが今まで考えていたよりも大きくなる可能性があります。今回は、(3)の箇所で強い地震が起きたわけです。

 6.今後の地震

 今回のようにマグニチュード6.0震度5強というような、少し大きな地震が起きたら、その箇所で増幅していたひずみが解消されたからしばらくは安心とみるのが一般的だろうと思います。

 今回起きた地震は5章で示すように、ひずみが溜まりやすい「地震の巣」が幾つもあるうちの1つで地震が起きたと考えなければいけないのだろうと思われます。

 一番深いというか、一番外側の巣(3)で耐えられなくなって、地震が起きたのです。つっかい棒の1つが外れたと例えた方が良いかもしれません。

 残りの巣でも当然、ひずみが溜まっている、外側のつっかえ棒が外れた分だけ、内側の(2)陸のプレートとフィリピン海プレートとの境界付近の巣が危なくなるように思えるのです。

 また、それに伴って、陸のプレート内での巣でも地震の可能性が出てきます。

 いつ起こるとはいえませんが、今後、これらの箇所での地震に注意しなければならないものと思われます。

 7.最後に

 7月15日のブログで次のように(2)陸のプレートとフィリピン海プレートの境が浅くなったことを記述しました。このことは、換言すると、最も注意のいる「地震の巣」がより浅くなったということでもあります。

「関東南部では地下4〜26キロにプレート境界があった。

 従来の予測より5〜17キロも浅かった。神奈川県小田原市付近では深さ4キロ、房総半島南端や同県茅ケ崎市では同約10キロ、東京湾の最北部では同約25キロなど北へ行くほど深かった。」

 浅くで揺れると、同じマグニチュードでも、地上の揺れ方は非常に異なってきます。揺れが大きくなる可能性が高いのです。

 そうしたことにも注意して、防災計画地震対策を講じて頂きたい。是非、こうした地球科学の知見・データを首都圏にいる自治体、企業、個人の防災に反映して頂きたいと願います。

 <参考資料> 地震情報

1)(asahi.com H17.07.23)東京・足立区で震度5強 1都3県で27人けが 
 http://www.asahi.com/national/update/0723/TKY200507230270.html

2)(asahi.com H17.07.23)震源地付近は「地震の巣」 首都圏で震度5 
 http://www.asahi.com/science/news/TKY200507230307.html

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