G-NET 最新厳選☆災害防災特集:

 

 

   

△▼△▼東海地震シミュレーション−単発でなく、東南海地震の誘発型−

 

 1.始めに

 東海地震は、単発では起き難く、隣に震源域がある東南海地震に誘発されるようにして起きるのではないかと「スーパーコンピュータ:地球シミュレータ」によって解析されました。

 できるだけ分かり易く解説したいと思います。

 2.地球シミュレータ

 「地球シミュレータ」とは、日本が世界に誇る日本製のスーパーコンピューター(海洋研究開発機構)です。世界的な注目を集め、2003年3月に完成しました。

 非常に高速で、銀河系に散らばる星の数よりも多い計算を1秒で処理できるといわれます。サイズも巨大で、飛行機の格納庫ほどの建物に収納されているそうです。

 1秒間に35兆6000億回もの計算を実行する「地球シミュレータ」は、世界最速のスーパーコンピューターと言われています。処理速度は世界第2位のコンピューターの約5倍速く、これは米国のスーパーコンピューターの1位から5位までを合わせた速度に相当します。何と誇らしい技術の集積でしょうか。

 地球シミュレータの開発は、日本国内ではそれほど報じられませんでした。知る人ぞ知る存在だったわけです。

 ところが、アメリカでは主要なメディアが、こぞって報道しました。1960年代に人工衛星一番乗りでソ連(当時)に敗れた「スプートニク」以来の衝撃と大きく取り上げられました。コンピュータ技術を誇ってきたアメリカにとっては、極めて大きなショックだったことになります。

 3.東海地震のシミュレーション

 このスーパーコンピュータを使って、名古屋大学の平原和朗教授(地震学)らが巨大地震のシミュレーションを行う中で、東海地震の発生メカニズムが分かってきました。

1)データ

 プレートが沈み込む周辺で起こる巨大地震の代表が、東海地震、東南海地震、南海地震であることはすでに皆さんもご存知のことと思います。

 これらの地震の巣ともいえる、西日本の南にある海底の細長いくぼみ、いわゆる南海トラフに地震の原因となるひずみが今も蓄積しているのです。

 そのひずみが蓄積する断層の規模は、長さ1000キロ、幅300キロとしたそうです。

 約1キロ四方ごとのブロックにわけて解析したということですから、いわゆる有限要素法を用いての解析ではないかと思われます。

 入力モデルは、地震波の観測で得た地下の構造を用いたようです。

2)解析方法

 過去の地震の発生パターンは、次の3つで、それぞれ再現したうえで、メカニズム的に東海地震の発生メカニズムが解析されたようです。

南海地震東南海地震が単独で起きる

◆東海と東南海地震、東南海と南海地震がそれぞれ同時に起きる

◆南海、東南海、東海地震の3つが一緒に起きる

3)解析結果

(1)巨大地震は東南海と南海地震の想定震源域の境界付近の紀伊半島沖で始まり、東西に広がっていた。

解説⇒だから、報道記事などで、地震学者らの発言の中に紀伊半島沖という文字が多くでてくるのでしょう。

(2)東海地震は、過去の発生パターンから推察されていたように、単独ではなく東南海地震が起きるときに2回に1回程度の割合で連動して起きた。

解説⇒シミュレーションが実際の地震の起き方と良くあっていること、今回解析したメカニズムで地震が起こる確率が高いことを伝えたいのでしょう

(3)解析で東海地震が単独で起きなかったのは、四国沖で年6センチ、紀伊半島沖で4〜5センチとされるフィリピン海プレート(岩板)の沈み込み速度が御前崎(静岡県)付近では2センチ程度と遅くひずみがたまりにくいこと、東海地震の震源域ではプレートと一緒に沈み込んだ海底山脈がブレーキの役割を果たすことが反映されたと考えられる。

解説⇒プレートの沈み込みが南海トラフの中で違っているが、北東側ほど沈み込みが遅く(小さく)、その北東端に当たる御前崎付近では非常に遅いため、南海地震や東南海地震に比べて、東海地震は起き難い。結果的には単独で起き難くなっていると解釈できるようです。

解説⇒海プレートのフィリピン海プレートの表面には富士ツボのように海底火山が張り付いて南海トラフへ移動してくるが、陸プレートの下へ潜り込もうとするときに、この富士ツボのような海底火山がつっかえるように働き、ブレーキがかかると解釈されたようです。つまり、南海地震や東南海地震に比べて、地震が起こり難くしているというわけです。

(4)巨大地震は、いずれも紀伊半島沖から発生しており、東海地震は隣に震源域がある東南海地震が起きてから拡大する形で発生する。

解説⇒地震が紀伊半島沖から始まるのは、フィリピン海プレートと陸側のプレートのプレートの接触部分が小さく、狭い領域にひずみがたまりやすい構造になっているためだそうです。

 4.最後に

 南海トラフの巨大地震について、スパコンを使った本格的な解析は今回が初めてだということで、各方面からも期待されているようです。これから、細かな検討が加えられ、地震予測にも役立つことでしょう。

 ところで、南海トラフで予測されている巨大地震に関して、政府の地震調査委員会では、30年以内に発生する確率を次のように予測しています。

◆東南海(マグニチュード=M8.1前後):60%程度

◆南海(M8.4前後):50%程度

◆東海(M8程度):86%

 マグニチュードは同じようなものですが、南海地震や東南海地震に比べて、東海地震の場合には陸が近いので、被害の程度ははるかに大きいことが容易に想像できます。

 明言はでしょうが、南海地震や東南海地震に誘発されるようにして起きるのでしょう。

 ある意味では、心の準備ができることにもなります。しかし、それを知ることがむしろ恐い気がします。

 私は25年ほど前に10年間ほど名古屋で暮らしていました。

 今ほど地震に関して、解明されていませんでしたが、東海地震の可能性についてたびたび報道があり、それなりに心配をしたものです。

 今後、地震の可能性が深まった時、どのように行動すれば良いのか。私自身も悩ましいところです。

 <参考資料>

1)(asahi.com H17.05.25) 東海地震、東南海と連動 名古屋大教授らスパコンで予測 http://www.asahi.com/national/update/0524/NGY200505240007.html


 

御前崎に2.8メートル隆起の跡 産総研など東海地震で地質調査(NIKKEI NET)よりH23.06.06紹介
 発生が懸念される東海地震の震源域で、かつて静岡県御前崎付近の地盤が最大で2.8メートル一気に盛り上がっていたことが、産業技術総合研究所と北海道大学の平川一臣特任教授らの地質調査でわかった。想定されるプレート(岩板)のずれだけではこれほど大きく隆起しない。過去の東海地震でも隆起は1メートルほどにとどまっている。産総研の藤原治主任研究員は「従来知られる発生メカニズムとは違う可能性が高い」と話す。