鈴木三重吉『古事記物語』
天照大神(あまてらすおおかみ)と須佐之男命(すさのおのみこと)

牛嶋神社
それから水の底へもぐって、おからだをお清めになるときに、また二人の神さまがお生まれになり、そのつぎに、水の中にこごんでお洗いになるときにもお二人、それから水の上へ出ておすすぎになるときにもお二人の神さまがお生まれになりました。そしてしまいに、左の目をお洗いになると、それといっしょに、それはそれは美しい、貴い女神がお生まれになりました。
伊弉諾神(いざなぎのかみ)は、この女神さまに天照大神(あまてらすおおかみ)というお名前をおつけになりました。そのつぎに右のお目をお洗いになりますと、月読命(つきよみのみこと)という神さまがお生まれになり、いちばんしまいにお鼻をお洗いになるときに、建速須佐之男命(たけはやすさのおのみこと)という神さまがお生まれになりました。
伊弉諾神(いざなぎのかみ)はこのお三方(さんかた)をご覧になって、
「わしもこれまでいくたりも子供を生んだが、とうとうしまいに、一等よい子供を生んだ」と、それはそれは大喜びををなさいまして、さっそく玉の首飾りをおはずしになって、それをさらさらとゆり鳴らしながら、天照大神(あまてらすおおかみ)におあげになりました。そして、
「おまえは天へのぼって高天原(たかまのはら)を治めよ」とおっしゃいました。それから月読命(つきよみのみこと)には、
「おまえは夜の国を治めよ」とお言いつけになり、三ばんめの須佐之男命(すさのおのみこと)には、
「おまえは大海(おおうみ)の上を治めよ」とお言いわたしになりました。
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