芭蕉関連俳書

『其便』(泥足編)


元禄7年(1694年)、刊。其角序。嵐雪跋。

木母寺に哥の会ありけふの月
   晋子

   嵯峨に籠りて

清滝や浪に塵なき夏の月
   芭蕉

   深河大橋半かゝりける比

初雪やかけかゝりたる橋の上
   芭蕉

   上野にて

小坊主や松に隠れて山桜
   晋子



此集を鏤(ちりばめ)んとする比、芭蕉の翁は難波に抖数(藪)し玉へると聞て、直にかのあたりを訪ふに、晴々亭の半哥仙を貪り、畔止亭の七種の恋を吟じて、予が集の始終を調るものならし。

此道や行人なしに秋の暮
   ばせを

 岨の畠の木にかゝる蔦
   泥足

月しらむ蕎麦のこぼれてに鳥の寐て
   支考

 小き家を出て水汲む
   游刀

天気相羽織を入て荷拵らへ
   之道

 酒で痛のとまる腹癖
   車庸



菜畑に花見顔なる雀かな
   芭蕉

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