一茶の撰集

〜俳友〜


『木槿集』

 文化9年(1812年)10月、長沼の門人魚淵が芭蕉の木槿の句碑を建立したおりの記念集。

木槿の句碑


宮本虎杖の序がある。魚淵の巻頭文は一茶の代作。

翌文化10年(1813年)に板行。

杖捨んあとの梅見る栞にも
   みち彦

ふんだんに白梅咲よ綱処
   春蟻

うそ鳴や花の霞の山中に
   巣兆

いたどりを踏折音も花の山
   双烏

鴛やはつ稲づまの懸るまで
   完来

  飯田
白芥子や草の戸までは夜の雨
   蕉雨

  武州
夜が明て灯燈(ともしび)ふるき柳かな
   碩布

  ヲハリ
あらけなき音聞雨の蓮哉
   士朗

己が世をいかに昼の蚊夜の蠅
   二柳

  ミチノク
我丈に余りて淋し女郎花
   乙二

  上毛
花薄月は昼から出てござる
   鷺白

  上田
見へ(え)ぬほど都はなれて露曇
   如毛

   寄松年賀

年ごとのためしゆ千代の若緑
   雲帯

  ヨノ
水仙や兎の耳も旭影
   荘丹

  サガミ
秋あらばいつ迄ももて萩の花
   葛三

  江戸
物着よと子を呼ぶ門や秋の暮
   午心

青竹の埒にうつらふ螢哉
   白芹

   今夜此山のあるじぶりして

更科や月見とゞけて草枕
   虎杖

時雨るゝやかけし箒の夜のかげ
   武曰

早稲の香や流に赤き梅一葉
   反古

木工膳の新しき也はるの月
   雨紅

  ユ田中
郭公(ほととぎす)山又山のくらき夜に
   希杖

釜かけて人まつ霜の一人哉
   八郎

恋捨し宿なし猫のあれにけり
   虎杖

枯尾花雀つる子の顔をうつ
   大綾

磯近き村や明行桐の花
   知洞

杉の実を烏の落枯野哉
   春耕

  アサノ
霞まで命お(を)しさよ雪の海
   竜卜

親猫の痩て来にけり芥子の花
   呂芳

   よろづのもの、四季の恵みにやしなはる。是
   を生涯にひせば、予齢ひ冬季に至なん。され
   ど春待梅のきほひなきにしもあらねば、草不
   庵のいざなふに任せて、一句をそゆる。

なま中にしぐるゝ空や飛白髪
   松宇

つかつかと雉子行藪や一時雨
   春甫

山菅の実ならぬ儘に時雨けり
   魚淵

牡丹餅の来べき空也初時雨
   一茶

「旅のあれこれ」のトップページへ