加舎白雄ゆかりの俳人

〜宮本虎杖〜

虎杖の句

声々に烏は消て霞かな


あら小田をひた鳴はしる鶉かな


   春の鳥

くるはしや雨にきゞすのはしり啼

薬ふる日やあけぼのをこゝろみん

かならずよ宵のあらしに二番鮭


酒に闌て唇赤しもゝのやど

境木や鵙の啼たつ朝ぐもり


薄ぐれやさくらわかるゝ人の声


終は雲しぐれてものゝなき野哉

艸春のいろわけもなき二葉かな

みなづきやおもふに人はつよきもの


人の日やひとに生れてうたはるゝ


君か代や月に箸とるめし白き


   横吹にて

夏山やくたり終(わ)れは船わたし


松の葉に香を篭にけり千々の春


夏霞伊奈の山の辺はてもなし


梅に来て月出る間を老にけり


永き日や寝ても居られず草筵


小夜碪寝て聞とりの外ハなし


行はるや今日迄のふばたらき


元日やためしも長き人のたね


山の春行水よりも春遅し


   このあたり夢つくる枕をうる。

音にその俤みゆるきぬた哉


身ひとつの暑をさますかげもなし


   今夜此山のあるじぶりして

更科や月見とゞけて草枕

恋捨し宿なし猫のあれにけり


梅咲てかくれきられぬ庵かな


爺婆ゝも柳ひと木の世に出し


人すきは見てもよき也うめの花


日や永しひとりも人は来ぬ事よ


万歳やおかしからざるそりくゞミ


うめが香や昼は心のさはがしき


鶯の声費して日暮たり


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