『いつを昔』(其角編)


元禄3年(1690年)4月。其角編。去来序。湖春跋。

湖春は北村季吟の子の北村季重。

十題百句

凩に二日の月の吹ちるか
   荷兮

   旅行

あかあかと日は難面も秋の風
   翁

あの雲は稲妻を待たより哉
   翁

   美濃に入て

山陰や身を養はん瓜畠
   翁

   加рノて

わせの香や分入右はありそうみ
   翁

艸の葉を落るより飛螢哉
   翁

   二見の図を拝み侍りて

うたがふな潮の花も浦の春
   翁

   寄幻吁長老

老僧の笋をかむなみだかな
   其角

交題百句

   寺前の興もとりあへず

 少年
小僧ども庭に出けり罌粟坊主
   角上

   松嶋行脚の餞別

月花を両の袂の色香哉
   露沾

 蛙のからに身を入る声
   翁

   辞世

 去来
もえやすく又消やすき螢哉
   千子

   旅 越人を供して木曾の月見し比

俤や姨ひとり泣く月の友
   翁

   かつしかの真間にて

早乙女に足あらはするうれしさよ
   其角

続みなしぐりの撰びにもれ侍りしに、首尾年ありて、此集の人足にくはゝり侍る

鴨啼や弓矢を捨て十余年
   去来

同講の心を 心の月をあらはして鷲の御山の跡を尋ん

新月やいつを昔の男山
   其角

鉢たゝき聞にとて、翁のやどり申されしに、はちたゝきまい(ゐ)らざりければ

箒こせまねてもみせん鉢扣
   去来

   明けてまい(ゐ)りたれば

長嘯の墓もめぐるかはち敲
   翁

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