白雄関連俳書

『岱表紙』(其明編)


安永2年(1773年)、其明序。白雄跋。

 四時

しばらくは花のうへなる月夜哉
   芭蕉翁

ほとゝぎす啼音やふるき硯ばこ
   同

やすやすと出ていざよふや月のくも
   同

曾良何がしは此あたりちかくかりに居をしめて、朝なゆふなとひつとはり、我喰ものいとなむ時は、柴折くぶるたすけとなり、茶を煮夜は来て氷をくだく。性隠閑をこのむ人にて、交り金を断。ある夜雪にとはれて、

君火をたけよきもの見せん雪丸げ
   同



元禄二年卯月廿三日

 俳諧之歌仙

風流のはじめや奥の田植うた
   芭蕉

覆盆子を折てわがまうけ艸
   等躬

水せきてひる寐の石や直すらん
   曾良



   七日善光寺へまいりて

ありがたや乞児も雪をふみきやす
   しら尾

   粟津

ひともとのばせをはかれずなりけり。噫元禄のむかし蕉風ひろごりてすたれる国なし。吁、元禄のむかし

すり寄て墓の秋風きく日哉
    しら尾

   松嶋良夜

松明や松しまの月夜半過ぬ
    しら尾

   九月九日はこね山を越る

きくのけふ飯笥も匂ふ山路哉
    しら尾



冬ごもり壁にものいふひとりかな
 碩布

 四時混雑

雪舞やさくれのかはる車道
   戸倉 柴雨

ゆふ栄やつれなきぼけの咲ところ
    鳥奴

山ふかみ見しらぬ樹より青嵐
    雨石

春の月馬上ながらの物がたり
    井々

はつ雪や萩の籬に待つけし
    志げ女

   以下見聞並文通

人しらぬ雪間や庵のいけ大根
   江戸 門瑟

こがらしや牧からひとつはなれ馬
    秋瓜

高欄に鳥遠うして牡丹哉
    蓼太

夜はきゝ今朝はながむる時雨哉
   鴻巣 柳几

鹿啼や茨の道のおぼつかな
   箕田 文郷

ぬれてゆく蓑にさはぐや雨の蠅
    普成

むかひ火や逕(こみち)々に曼珠沙華
   曾我野 兎石

ゆふぐれの西瓜ばたけに這子哉
    眉尺

ひる中の小雨にひかる尾花哉
   銚子 百井

やうやうに山茶花咲る小庭かな
    雨什

雪の中に折々嘶ふ厩かな
   奥州船岡 也蓼

涼更てめしかりにやる庵かな
   加賀津幡 見風

しら梅の寒さも障子ひとへ也
   越前丸岡 梨一

ちる木の葉中にちぎれし蔓も有
   名護屋 也有

明寺の六時を雉子の啼にけり
    蝶夢

桜花朽折にしもさくらかな
   小磯 大梁

青柳は枝をならさぬはじめ哉
    百卉

 四時文通

春けしや柳にかよふ鐘の声
    百明

あら小田をひた鳴はしる鶉かな
   信戸倉 古慊

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