五升庵蝶夢



蝶夢の句

宵なから町静なり朧月


むし啼やまだ夜の明る鐘ならず


我菴の天窓数にも瓢かな


朝露や木の間にたるゝ蜘の囲


ちる木の葉中にちぎれし蔓も有


夕日さす長やの窓や唐からし


かくれても谷の長者や夕紅葉


春の日やむ井桁によりて魚を見む


其寺の鐘とおもはす夕霞


名月の明がたゆかし人通り


ひとしぐれ門の菜の葉は背戸の中


鴈啼や物着て舟をおして行


松そ花西行よりハ五百年


遠里や稲葉の末の揚燈籠


かき上て盥なをすや萩の花


若竹に家かさなるや小野醍醐


若竹の家かさなりぬ小野醍醐


ひくらしや盆も過きたる墓の松


花鳥の春見送るや大井川


ほとゝきす夜明の鐘そ嬉しけれ


鶯や内侍処の鈴の音


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