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某所で、「猫が活躍する物語」と紹介されていたので、読んでみました。 厩戸王子こと聖徳太子の愛娘、珠光王女は、海神の眷属を母に持ち、名前の通り輝く珠のように美しく成長した。 ある年、倭の国に正体不明の赤気が、天空に尾を引いて現れた。厩戸王子は、赤気の謎を読み解くべく、珠光王女を遠く海の向こうに遣わし、知識を得ようと試みる。王女は王子に扮し、勇敢な3匹の猫と、竜の化身たる青い馬をお供に、海の向こうに旅立つが…。 小説というより、きれいなお伽話のようでした。珠光王子は美しく優しく勇敢という、まこと何の面白みもない人物。その王子が行く先々で、そこに巣くう妖怪変化を退治するというお話。おともの猫3匹が、王子に一生懸命仕える姿が可愛かったです。 | ![]() |
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『生き屏風』の田辺さんの新作で、妖鬼皐月が主人公の続編です。 今回の皐月は、「魂追い」という、肉体を抜け出した魂を捕らえて商うのを生業とする少年縁(ゆかり)と出逢い、彼に深く関わってしまいます。 縁に関わったがために、この世とあの世の狭間に迷って、身にまとう気が変わってしまった皐月。気を元に戻すために縁と2人、火の山まで旅に出なくてはならないという、RPG的展開です。なんというか、『生き屏風』の頃より、格段に幼く、また人間臭くなってしまった皐月でした。ちょっと期待したものと違ったなあ。 | ![]() |
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最近あちこちで話題の江戸人情グルメシリーズ。主人公澪は、大阪の一流料亭に奉公していたが、火災で何もかもを失い、奉公先の女主人(お寮さん)とともに、お寮さんの息子を頼って江戸にやってきた。しかし頼りの息子は行方不明になっており、お寮さんと2人路頭に迷っていた澪は、人の好いそば屋の主人に出逢って、彼の店を手伝わせてもらえることになったが…。 並みならぬ料理のセンスを持ちながらも、度重なる困難に見舞われるヒロイン。彼女は、応援し、手を差しのべてくれる周囲の人情に支えられながらも、ひたむきに困難に立ち向かい、信じた道を進むのであった。 と書くと、いかにも王道のベタ展開ですが、まあその通りです。作者の田さんは、マンガ原作者として活躍されていた方だそうで、確かに大和和紀あたりの少女マンガの匂いが濃厚にありました。展開の早さ、前向きな成長。周囲を巻き込んでがんばるヒロイン。季節感漂う料理の数々。すべての予定調和が心地よい。ただ料理については、現代では一般的になったレシピが、当時の大発見としてもてはやされるパターンもままあって、それが物足りなくもありました。グルメ部分もこのシリーズの売りなので、できれば全部、作者オリジナルレシピで、というくらいに力を入れて欲しいところです。 |
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昨年からいろいろ映画化で、盛り上がっている伊坂さん。これまで『陽気なギャングが地球を回す』を読んだだけでしたが、このときはあまりピンと来ませんでした。で、ご縁が薄かったのですが、通勤時間が豊富なこの機会に改めて読んでみました。 主人公伊藤は、「なんとなくやっちまった」コンビニ強盗に失敗して逮捕された。伊藤を逮捕したのは、彼の中学の同級生だった城山。彼は狡猾で邪悪な精神の持ち主で、直接罪に問われることのない悪事に長け、現在は警察官になっていた。すんでに城山の拘束を振り切って逃亡した伊藤が意識を取り戻したとき、彼がいたのは夢とも現実ともつかない奇妙な「島」の中だった…。 読み初めてしばらくは、???。てっきり普通にミステリーなのかと思っていたら、この荒唐無稽な「島」の設定は、どうみても、ファンタジーだし(SFというにはあまりに…)。 そこは「荻島」と呼ばれる島。江戸時代以来、日本に対して鎖国してきたというその島は、それにしては文明度も言葉もほとんど現代日本と変わらないし、「現代の病」じみたややこしい性格のやつしかいねえし、極めつけは、島の中心に神の如く立っている、「カカシ」。カカシの「優午」は本当にただのカカシなのですが、あたりまえに人格を持ち、思考し、話し(!)、未来を見通す(!?)。 さすがに、これは夢オチでしょうと思ったくらいに、はじめは違和感バリバリでした。まあ、これがデビュー作ということなので、バランスの悪さはまだ仕方ないのかもですが。 しかしながら、このとっぴな設定は、この後のミステリー部分に不可欠であったらしく、このあと実に鮮やかにピースがはまっていくのにはうならされました。閉鎖された島になぜ伊藤は連れてこられたのか。その後の連続殺人事件に彼はどう関わっているのか。伊坂さん、人気があるのもうなずけます。 と、言うわけで、最初の設定のハードルを越えれば、大変面白かったです。ただ『ギャング』の時にも感じましたが、この人、物語の基調がけっこう後ろ向きなのな。そして主人公から感じたのは、世をすねた甘えと微妙な上から目線。そのせいか読後にどうにもすっきりしないものがありました。うーん、他作も読んではみるつもりですが、ずっとこうなのかな。微妙。 | ![]() |
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これも某知人のブログで知りました。女子高校生のちづかちゃんが、「尋ね人探偵」のおじいちゃんの仕事を手伝って(というかほとんど試行錯誤の末に)、目的の場所にたどり着くという話。から始まったのですが、やがて次第に、彼女と仲間達が、好奇心赴くままにあちこち出かけては、現地で様々な「おもしろいもの」に出会う、それ自体を楽しむお話になっていきます。なんともいえず、気持ちのいい1冊。 「物語」と「エッセイ」の間を漂う、空気感がいい感じ。この中で、作者が実際に出かけておもしろかった場所や物が取り上げられているのはヒシヒシと伝わってきて、それ自体が非常に魅力的でした。この後、ご多分に漏れず「修悦体」の動画にハマったし。ただこれが、作者自身がレポートするノンフィクションとして発表されたとすれば、また全く趣が違っていたと思う。ちづかちゃんや、彼女のおじいちゃん@いぶし銀や、同級生男子達が、わいわい出向き、ページを右往左往する虚構としての魅力としても確かにあるわけで、そのあたりのバランスが絶妙でした。 古いシリーズに加筆して1冊にまとめたものらしいですが、この形式で今後少しずつでも新作を読んでみたいです。 | ![]() |
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これまで一貫して、ピュアな少女の痛みを描いてきた紅玉さんの、より「痛い」物語。放送部にたむろする4人の女子高校生たちの、2度と戻らない時間を鮮烈に描いた、まさに少女のための物語。男性置いてきぼり上等の、純度の高い青春物語です。 古いマンガ読みでは、吉田秋生の『桜の園』や、もっと最近では桜庭一樹の少女ものあたりと、比較されそうですが、痛みの切実さのランクは、それらと比べてもかなり高いと思う。前述2作は少なくとも、男性読者を意識して手加減しているところがあるし。おかげで男性評価が異様に高いので、時々、「ケッ」っと思ってしまうのですが…。 で、本作。読者を選ぶくらいに痛いですが、それだけに「あの当時」を感じさせるリアリティも強烈でした。思春期の渦中にいる当事者は、あるいはつらすぎて読めないかもしれないですが、妥協しない作者の感性に拍手を送ります。 | ![]() |
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武士道を追求する女子高校生たちの青春物語、第3弾。高校最後のインターハイで相まみえる香織と早苗。ここまでくると、どちらが勝つとか負けるとかはもはやどうでもよく、2人離れていても、同じ物を追い続けてきたその時間が、とても美しく思えてきます。 高校を卒業して、それぞれの進路に向かって歩き出した主人公2人。また彼女ら以外の、その周囲の人たちのエピソードも新たに盛り込まれており、良い最終回、な感じの大団円でした。ただ、特に完結とは書いていなかった気もしたので、もしかしたら、まだ続編が拝めるのかもしれません。 | ![]() |
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ネットの知人のブログで紹介されて気になっていた本作。噂に違わず面白い! 「テルマエ」は古代ローマの公衆浴場のこと。お風呂の快楽を追求すること、現代の日本人に劣らぬ古代ローマ人たち。その1人にして風呂設計技師のルシウス氏が、現代日本の様々なお風呂にタイムスリップしてきては、「平たい顔族」の高度な風呂文化にカルチャーショックを受けるというお話です。 それだけのことが、どこがとも言えないものの、なんとも面白いのだった。カルチャーギャップの妙ということでは、『聖☆おにいさん』あたりと通じるものがあると思います。 もしかしてこれにより、前人未踏の「風呂グルメマンガ」というジャンルが開拓されてしまった、のかもしれない…。 | ![]() |