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『金春屋ゴメス』の西條さんの最新江戸人情もの。『烏金』で脇役だった孤児達が主人公として活躍する物語。って、ごめん、この子達のエピソードはごっそり忘れてしまってるわ。読み返しが必用かもだが、それはともかく。 「はむ・はたる」は、もちろん、ファム・ファタール。男を食い物にする魔性の女のこと。縁あって、旗本の御隠居様に身元引受人になってもらい、堅気の仕事で生計を立てようとがんばる孤児達だが、世間の風当たりは時に想像以上に厳しい。界隈で何か事件でも起きようものなら、即座に彼等へ疑いがかかったりする環境で、時に降りかかる火の粉を払うべく、足と知恵を駆使して事件の解決に乗り出したりもするのだった。 そんな時に諸国漫遊していた御隠居様の次男坊の柾が帰還する。柾は気さくで飄々とした人柄で、孤児達の事件解決に手を貸してくれたりもする好人物だったが、彼には長年仇として追っている相手がいた。 孤児達のひとりひとりの視点で描く、長屋界隈事件簿は、決して甘くはない話ながら爽やかな人情がいい感じでした。西條さん、やっぱりこういうの上手いです。 ただ、メインテーマの「はむ・はたる」については、やや、あっさりしていたというか。単なる悪女でない、女の哀しみを描きたかったと思うのですが、そこまで掘り下げられていなかったように思えます。少しもったいなかったかも。 | ![]() |
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作者曰く、なんちゃってヴィクトリアン・コメディ、第3弾。 実業家のマーチ家は、根っから破天荒な一家。8歳にして株を操る、末恐ろしいメリーベル(メリー)お嬢様。メリーには大甘だが、肝はどっしり据わりまくりの両親。メリーの子守メイドのミリー@ドジっ子。メリーの家庭教師のステア先生。前巻の「探偵ごっこのお嬢様」までは、このメンバーが繰り広げるいささかハードなホームコメディと、ミリーとステア先生とのお約束ラブコメが楽しみでした。 で、最新刊は、出奔していたミリーの兄、マーチ家の長男アーサーのお話です。4年前に14歳で出奔したと、話には出ていた彼がこっそり帰還。単なる無鉄砲野郎かと思いきや、彼の幼い頃のある事件が、能天気そのもののマーチ家に意外な影を投げかけていたことが明らかになります。そしてそれは、ミリーの生い立ちの話へとつながっていくようでした。 先がすごく楽しみなんですけど、コレ、どこで連載しているんでしょうか。続き、いつ出てくれるんでしょーか。 | ![]() |
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書店で見かけてつい、買ってしまいました。いえ、あまりに美味しそうだったので。 これは上橋さんの描くところの、ファンタジー作品に登場する異世界の料理を、この世の食材を使って実現させてしまおうというコンセプトの、夢のようなお料理本です。 ちなみに、料理を担当されている方は、最近映画化されたエッセイ『面白南極料理人』の著者の西村淳氏。西村氏は南極越冬観測隊という、考えられる限りのハードな密閉環境で、食うことしか楽しみがないという状況の7人の男集団相手に、1年間飽きさせない料理を作り続けた方だとか。いや、そちらのエッセイもおもしろかったので、つい読破してしまいました。 文化人類学者でもある上橋さんは、世界各地にフィールドワークに出かけた経験もあってか、そのファンタジー世界にいかにも実在しそうな、温度や匂いさえ確かに想像できそうな料理と食事風景を描き出してきました。今回、各料理はレシピとともに、その作品中の食事描写付きで紹介されています。『獣の奏者』の「乳と蜂蜜につけたファコ」とか、『天と地の守り人』の「湯気のたつスチャル」とか、もうその文章だけで生唾もの。わああ、食いてえ!と叫んでしまうのであった。ちくしょー、いつか作ってやるう。おすすめです。 | ![]() |
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コバルトで長いこと第一線で活躍してきた須賀さん。今なおこの人は、昨今の少女小説でめっきり見かけなくなった「大河ロマン」の担い手であり続けています。手に汗握る物語を、無駄に引き延ばすことなく、一定のペースでコンスタントに書き続け、盛り上げてきちんと終わらせてくれる。それができる作家さんは、今や希少種もいいところですが、そのあたり須賀さんは、作品のクォリティといい、刊行ペースといい、文句無しの優等生。少しくらいなら待つから、あんまり無理しないで、と時々言ってあげたくなるほどです。 さて、本作はケータイ小説として発表されたものに加筆されたもの。まもなくケータイの方では、第二部が配信開始予定とのこと。本になるまで待つと思いますが、楽しみです。 時代は日露戦争が終わって、数年が経過したあたり。その頃の日本人の中国北部進出に伴って、女達もまた大陸に渡り、多くが遊郭で女郎となった。主人公フミは日本で旅芸人として育ち、養父に捨てられたどん底の生活から抜け出すべく、大陸はハルピンの新天地を目指した少女。彼女の夢は「大陸一の女郎になること」。 そんなフミと、もう一人一緒に内地から売られてきた少女タエは、2人ながら赤前垂れ(下働き)として、娼館「酔芙蓉」に引き取られ、たくましく成長していく。過酷な時代を生き抜くための、女の戦いと運命と恋。やはり須賀さんは、こういうダイナミックなストーリーがうまいです。 ただ、読んでいて、男性陣が揃いもそろってクールで、理想的過ぎるところはありました。時代の過酷さは例によって容赦なく描かれていたし、間違っても甘い話だとは思いませんが、それでも、こういう話にしては、エロもドロドロもあまり感じられなかった気がして。作者がドロドロが苦手なのは分かりますが、もう少し生身の感情や欲望がストレートな方が好みだったりします。 | ![]() |