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2009年 7月度
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Novels図書
『三匹のおっさん』 有川 浩  文藝春秋

大企業を定年退職して、嘱託職員になったキヨこと清一。居酒屋亭主を息子夫婦に譲ったシゲこと重雄。工場経営者のノリこと則夫。幼なじみの元悪ガキ3人組は、めでたく揃って還暦を迎え、時間の融通のきく生活を手に入れた。
が、まだまだ、頭も腕っ節も衰えちゃいない。赤いちゃんちゃんこで老け込むには早い。そう思った3人が企むのは、ご近所限定正義の味方。彼等3匹のおっさんが、町内に巣食う悪を斬る!

いかにも有川さんらしい、まっすぐでかっこいい、じーさんたち。深く考えずに、その勧善懲悪な痛快さを楽しみました。
ただ、ちと残念だったのは、彼等の「正義」にほんの時折ながら、独善の匂いを感じてしまったこと。作者が常に、主人公サイドの行為を全面肯定していたら、却ってうさんくさい。有川さん、そろそろ痛快と独善とのバランスにも配慮していただきたいところです。(某茅田氏にならないように)

それと本書は、表紙と挿絵を須藤真澄が担当しています。彼女の得意とする可愛いじーばーの絵が、ほのぼのした雰囲気を醸していて最高でした。続編、あるかしら。
Novels図書
『RDG はじめてのお化粧』 荻原規子  角川書店

荻原さんならではの、ヤングアダルト向けファンタジーシリーズ、第2段。
前作『はじめてのお使い』は、ただただ、主人公の泉水子(いずみこ)の性格のウジウジぶりがウザかったのですが、彼女の性格は変わらないものの、ここにきて、ぐっと面白くなってまいりました。

周囲の勧めに従い、故郷を出て、東京郊外の私立高校に通い始めた泉水子。寮生活という全く新しい環境で、イジワルな深行以外に知り合いのいない中で、彼女はそれでも、必死に慣れるために努力していた。が、日々の、ふとした折りに彼女は気づく。この学校は、どこかひどく普通でないことに…。

新たな学園生活は、ミステリアスな『謎の転校生』であったり、『学園アリス』であったり。何でもありの展開の連続に、これぞ学園ファンタジーの王道!と感じ入りました。一気に読んでしまった。続きが楽しみです。
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『こいしり』 畠中 恵  文藝春秋

江戸の町名主の息子たちの、お気楽にして、なにかと慌ただしい日々を描く事件簿。『まんまこと』に続く第2段です。

前作で、お気楽息子で通っていた麻之助に、降ってわいた許嫁。どうなることかと思っていたら、その件は意外とすんなり片づいてしまいました。とはいえ、これは封印された火種のようで、いつどこで火を噴くか分からないシロモノ。どうなることやらです。

うーん、今回は全体として内容が薄かったなあ。どの事件も、麻之助が介入する動機がもうひとつ弱い気がしました。そのためか、麻之助も事件の解決にあまり熱心でなく、読者にとっても他人事なまま終わってしまったようで。畠中さん、これだけミステリーを書いていると、さすがにネタが苦しいのかもしれません。

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『聖女の救済』 東野圭吾  文藝春秋

「ガリレオ」シリーズ最新作の、こちらは長編です。
面白かったです。はじめに聞いたあらすじは、子供のできない女性の心の傷がどーのというステレオタイプなやつだったので、どうかと思いましたが、予想以上に引き込まれました。

被害者の男は、そりゃー殺されても仕方ないわ、というくらいのろくでなし。また倒叙ものなので犯人は自明。殺害方法は毒殺に確定。なので今回の謎は、「どうやって殺害したのか」という一点に絞られておりました。一見不可能な殺害方法の謎を、湯川がスリリングに解き明かしていく、いかにも「ガリレオ」ならではの一冊。「人間の闇」的鬱ドラマがつきまとわないシンプルさも、この際良かったです。