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歌舞伎界の『ガラスの仮面』として、話題になっていた本作。年末に本を売りに行ったブックオフで、ついでに買い込んでしまいました。 そこは梨園という特異な世界。伝統という確固たる枠組みの中にありながら、その内部に新しいものを貪欲に取込みつつ、伝承の芸と自由な表現との間で過酷なせめぎ合いを演じている世界。そして、それを演じる役者もまた、血筋とともに受け継ぐ芸と、己の一個の才能との間で、揺れ動くのだった。 主人公の市坂新九郎は、御曹司でもなんでもない駆け出しの歌舞伎役者であった。が、実は彼は、かの「江島生島事件」で咎を受け、流刑になった生島新五郎の子孫であったという設定。その未知なる素質の赴くままに、大抜擢された舞台において、観客の間を読み、興の向く先へと演じ抜く新九郎。舞台は、芝居を己に引き寄せようとする役者たちの戦場と化した。 伝統の重圧に耐えて努力する御曹司と、何も失うもののない突出した異端の才能との対比が、ベタですが魅せます。その舞台に、玉三郎がモデルらしき、重鎮の名女形の思惑がからんで、先の読めない展開と引きの強さは、まさしく『ガラスの仮面』。盛り上がる上がる。 ただ、4巻の「連獅子」編は、少しボルテージが下がり気味かも。ライバルの役者のトラウマとかは、正直要らないです。 | |||
和田慎二原作のベタベタな、ど少女漫画。だが、そこがいい(笑)。プリンセスGOLD誌を『アルカサル』外伝目当てに何回か買ううちに、まとめて読みたくなってしまいました。 主人公まひろは、日本の平凡な女子高校生、のはずが、ある日突然、13年ぶりに再会した兄から、自分が実はアジア中部の小国レガリアの王女であったことを知らされる。彼等兄妹は、母親の王妃が亡くなった後で、継母の現王妃に疎まれ暗殺されるところを、命からがら脱出したのだと。半信半疑のまひろの元に、事実を知った現王妃からの刺客が立て続けに送られて来て…。 主人公はお姫様。彼女を命がけで守る超かっこいい&金持ちの兄と、その相棒。敵の継母はすがすがしいまでに強烈な悪役だし。おまけに某シドーは出てくるし。もう、何も考えずに楽しめる痛快娯楽アクションでした。「ジェイク」の話とか、いかにも和田慎二らしくて、笑ってしまいました。 | |||
歴史物では定評のある市川さんの挑んだ、華麗なる南北朝絵巻。これまで、あおば出版より文庫で2巻まで刊行されていましたが、同社の倒産により、続刊の単行本化が危ぶまれておりました。このたび新たに、上巻に既刊分、下巻に未収録分を収録した、A6版豪華本2冊が刊行され、めでたく完結いたしました。うれしかったのでつい、上下巻とも買い直してしまったよ。 さて、上巻の既刊分は、後醍醐天皇と后の阿野康子が、鎌倉幕府から政権を奪回するも、その第一功労者であった皇子大塔の宮が、足利の陰謀により非業の死を遂げるまで。そして下巻では、大塔の宮の妻であり、彼の死の復讐を誓った娘緋和を軸に、足利に都を追われた南朝政権の興亡。更に、権力の中枢に上り詰めた足利尊氏と、兄との対立により破滅していく弟直義が、群像劇風に描かれます。複雑な対立構造と、絡み合う愛憎の物語。実際、これを描くのはさぞかし大変だったろうと思いましたが、最後まで読めてよかった。本当にお疲れさまでした。 | |||
『トワイライト』シリーズ11作目。ある意味、予想通りの展開でしたが、だからこそ、続きが気になる。完結まで残すところは、あと2冊。それが3月に2冊同時発売とのことです。ごっつ楽しみ。ちょいネタバレです。 ベラ、ネーミングセンスは今イチだと思う。で、これってどんな、「カレカノ展開」? | |||
第18回ファンタジーノベル大賞受賞作の続編です。 根っからのヘタレ青年であった王弁が、ありえない僥倖のあげく弟子になった仙人「僕僕先生」は、何とすごぶるつきの美少女(の姿をしていた)。仙人としてもかなり位の高いらしい彼女に、一般人の男が何一つ太刀打ちできるはずもなく。基本的に気まぐれで底意地が悪いが、時に目の覚めるほどに鮮やかな僕僕と、彼女にただただ振り回されてモンモンとする王弁との、古代中国大陸漫遊記。今回は短編シリーズ6編が収録されています。 全編に漂う、あやういラブコメテイストがなかなかいい感じです。主人公コンビの仲をじれったい程度に温存するさじ加減は上手い。ただその分、主人公コンビ以外の登場人物が今ひとつ精細を欠いていた気がしました。他人は結局、王弁にとってのお邪魔虫でしかないから、無理もないか。 また、物語自体も、ぬるいを通り越して、煮え切らないというオチが目に付きました。モンモンとするのがこの人の芸風なのかもしれませんが、たまにはスッキリ爽やかといかないものかなあ。 | |||
デビュー以来、作品でホラーとミステリの融合を意図してきた作者の、これはミステリ寄り作品かな…。 主人公は、例によって編集者兼、ホラー作家の三津田信三氏。その三津田氏が、核シェルターの取材に行った先で唐突に核爆発に遭遇し、ワケの分からないまま面識のない5人の男女と共に、シェルター内に閉じこめられてしまった。完全に外界と遮断されたはずのシェルター内で起こる連続密室殺人の謎とは…。 と、いう粗筋だけ聞いても、十分トンデモで、バカミスの匂いがプンプンします。それでいて、中途半端に文章はうまいので、つい読んでしまうのだった。で、ありえんだろう、という事件が繰り返されるのを読みつつ。もしかして、ちゃんとしたオチになるのかと、途中で一瞬だけ期待したりもするのですが、やっぱりそこは、王道なまでのばかばかしいラストでした。ま、これはこれで、ある意味期待通りかも。おつかれさん。 | |||
前巻で、やっと面白くなってきて、珍しく青春萌えにワクワクしておりましたが、残念ながら今回で最終巻となりました。どうやら、急な打ち切りだったらしいです。ただ、残り2冊分の予定を、分厚いこの最終巻にまとめた、ということだったので、それほど駆け足の印象はなくて、一安心でした。 戦いの中で消耗してゆく未孵化たち。力に覚醒してゆく陽菜。アンゲルゼをめぐる謎が最後に明かされたとき、陽菜の選んだ道は…? うん、熱っぽく描き込まれた良い最終巻でした。個人的にはあのラストは、脈絡無くなく唐突に平和が来てしまったようで、ちょっと拍子抜けに思えてしまいましたが。須賀さんの次作に期待です。 |