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幽霊と話せる体質のため、殺人事件の被害者からの、情報収集を担当することになる主人公と、同僚の霊感刑事たちが活躍する、警視庁幽霊係のシリーズ第3作。坂田靖子さんのカバーで売れています(イヤミです)。短編4話が収録され、1話に1枚ずつくらい挿絵もあります。 2作目は読んでいなかったのですが、今回はいっそう、少女漫画っぽいミステリーを意識しているようです。なんせ、アンティークの指輪に憑いている霊が、オーストリア貴族の令嬢、アマーリエだそうで。登場人物のヘタレな可愛さといい、悔しいが挿絵に合っています。おもしろかった。 | ![]() |
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第13回電撃小説大賞「大賞」受賞作。買ってきたら、娘(小6)が先に読んでしまった。ちっ。良かったです。初めて電撃文庫で泣きました。 ミミズクは人間の少女で、魔物に食べて欲しくて「夜の森」に入っていく。夜の森は、夜の王が統べる国。そこで、食べられることもなく、夜の王の近くにいることを許されたミミズクは、つかの間の平和な時を過ごすのだったが…。 直球ど真ん中のラブストーリーでありながら、ミミズクの純な想いがずんと胸に響きました。ぐいぐい訴えかける筆力に脱帽です。次作を楽しみにお待ちしております。 | ![]() |
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長いのを読みたい気分であったので、今更と思いつつ、文庫で読み始めました。宮部みゆきミステリーの代表作の1つ。しかし、評価は微妙、と認識していた本作。映画版をTVで放送していたのをチラ見していたものの、犯人役の中居君が出ずっぱりだったことしか記憶にないや。果たして…? 読み始めると、いつもながら続きが気になって、あっという間でした。互いに関係なさそうに配置された登場人物の動線が、ニアミスから次第にリンクし、ついに事件の全貌が明らかになっていく。そのあたりのうまさは、流石に宮部さんというところで、文句のつけようがありません。悪魔的に頭の切れる殺人犯に、人々が翻弄される前半部分は、ほとんどよくできたホラー小説の気分で読み進みました。あー、だからそこに行っちゃだめだってば。 なので、ここまで盛り上げて、ああいうオチかい!な、物足りなさはいつも宮部作品につきまとう。結末を読んで思い出したのは『デスノート』。あの、単なるゲームであることを前提とした殺人は、盛り上るほどに、その空虚な非現実の歪みをさらけ出していました。そういう意味では、やっぱりあれは名作だ。 この作品も、おそらくそうした、現実感のない時代を先取って、その歪みを描き出そうとしたのでしょうが、早くも現実に追い越されてしまったようです。この先の病んだ社会を描こうとすれば、それは本当にホラーにしかならない、のかも。 | ![]() |
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『アルカサル』本編完結編、ついに単行本化。長いこと中断したまま未完となっていた歴史巨編の完結編が、今年になってから前後編200ページの読み切りとして発表されたのは記憶に新しいところです。雑誌掲載時に読んで、しばらく悠久の歴史ロマンに浸りきっておりました。 今回は、その完結編と、連載時の単行本未収録分を合わせて収録した、分厚い最終巻です。その完結編にも多少の加筆がありました。読んで青池さんに、心からお疲れさまと言いたい気分です。もっとも、この先もう少し、アルカサルの外伝を描く予定があるそうなので、それも楽しみです。 さて、完結編は、前半は王の忠実な騎士、マルティン・ロペスの視点から、王権の凋落を描き、後半は、王亡き後のカスティリアを巡る国々の動向を、年代記風に描き切ったもの。特に後半は、カスティリア1国にとどまらず、正統なる王の血脈が、死後も次代に継承され、西洋史の大きな流れの1つとなっていく、そのダイナミズムを余すところ無く伝えていて、感動でした。 イギリスに亡命したドン・ペドロの娘たちによって継承された王の血筋は、西洋史で抜きに語れないほどの大きな役割を担っていた、と聞いたので、興味を引かれて少し調べてみました。題して「ドン・ペドロの子孫を捜せ」。なにぶん、西洋史ど素人なので、誤りもあることと思いますが、そのときは優しくご指摘いただけるとうれしいです。さて。 イザベルの家系は、薔薇戦争のリチャード3世につながるところまでは、記述がありました。リチャード3世以降は、ヘンリー7世妃のエリザベスが、血を受け継いだ人で、その息子のヘンリー8世へと続きます。 ヘンリー8世の子供たち、メアリ1世(ブラッディ・メアリ。この人は、母系でもペドロ王の血を引きます)、エリザベス1世も、当然該当者。また、同時期のスコットランドの女王、メアリ・スチュアートも、ヘンリー8世の姉の血を引くことから、該当者。エリザベス1世には子孫がいないため、後にスチュアート家が、イングランド王家に迎えられ、大英帝国の覇者、ヴィクトリア女王に連なります。彼女の権力の強大さを背負って、その子孫はヨーロッパ全土に散ります。彼らが女王の血友病因子をも受け継いでいたのは、また別の悲劇ですが…。 ともあれ、現ウィンザー朝に至るまで、脈々とその血統は受け継がれてきたのでした。 一方、コンスタンシアの家系は、イザベル1世で統一スペインの黄金期を経た後、その娘で「狂女王」と呼ばれたフアナ(青池表記だと多分ホアナ)に受け継がれます。彼女は、ハプスブルグ家の「美公」と呼ばれた、ブルゴーニュ公フィリップと結婚し、後のカルロス1世と、神聖ローマ皇帝フェルディナント1世を産みます。 この結婚により、スペインはそっくり、ハプスブルグ家の領土に組み込まれてしまいます。この時期のハプスブルグ家は、オーストリア・ハンガリーを中心に、フランドル、スペインに致る大帝国を形成しており、まさにお家芸である、婚姻による領土拡張の威力を見せつけた時期でありました。 そして、これ以降のハプスブルグ家の人々は、まんべんなく、フアナの子であるこの兄弟の血を引いています。マリア・テレジア、マリーアントワネット、ナポレオン1世妃マリー・ルイーズ、また、皇妃エリザベート夫のフランツ・ヨーゼフ1世と、20世紀に至るまで、この血筋は繁栄を続けました。 また、彼の家のお家芸の婚姻によっても、ヨーロッパ全土に血筋が行き渡ります。フランスとはたびたび縁組みがあったことから、ルイ14世、ルイ15世、ルイ16世ともに、ハプスブルグ家の血も引いており、ドン・ペドロ王の子孫になります。その他、デンマーク・スウェーデン・ポルトガル等も含めて追跡すれば、もっともっと複雑怪奇な図柄が浮かんで来るような気もします。おもしろそうですが、とりあえずは、ここまでといたします。 参考にさせていただいたのは、以下のサイトと、Wikipediaの記載事項など。ありがとうございました。 白い猪亭様 ヨーロッパの宝石 : オーストリアにいってみよう!!! 様 | ![]() |
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『しゃばけ』の作者の、江戸を舞台にした別シリーズ。てか、まだ続くよな。いかにも続きそうですが…。 主人公は町名主の息子、高橋麻之助。町名主と言えば、町人ながらも、その「支配町」においては、民事訴訟を奉行所に変わって裁定する権限を持つ、なかなか重要なお役目なのである。 でありながら、麻之助は近隣にも評判のお気楽息子になってしまい、幼なじみで、同じ町名主の息子の八木清十郎とつるんでは、遊びほうけている。父も頭の痛いところであったが…。 そんなこんなで、高橋家に持ち込まれる訴訟を、父に代わって裁定する羽目になる麻之助が、事件の裏にある真実(まんまこと)を知ろうとして奔走する、れっきとしたミステリー。麻之助は『しゃばけ』の一太郎と違って、体は丈夫だし、意外にも腕っ節が強い。そして、もっと意外なことに朴念仁でない。なので、妖怪は出てきませんが、これはこれで、おもしろくなりそうです。とりあえず、許嫁の件がどう決着するか楽しみです。 | ![]() |
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『金春屋ゴメス』の作者の最新作。今度は本物の江戸の町を舞台にした、人情時代ものです。 「烏金(からすかね)」は、金貸しの用語で、朝、商売人に運転資金として貸し、夜にあがりの中から返してもらうような金のこと。主人公の浅吉は、金貸しの老婆、お吟に彼女の仕事の手伝いを申し出た。浅吉のやり方は、貸した金を、なるべく取りはぐれの無いよう心がけつつも、借り手の商売を経営コンサルタントよろしく面倒見たり、多重債務で首が回らなくなったお武家の借財を、家財道具まで1点残らず目録化した上で、返済可能になるまで精算させたり、と、誠意ある応対で顧客の評判も良かったが…。 金貸し、とくれば因業と相場の決まっているところですが、金貸し商売にこんな切り口もあったかと、目からウロコ。なんだか、業界小説のノリで楽しめました。浅吉は、何かたくらんでいるらしいですが、基本的に人情家なので、安心して読めました。ゴメスのような派手さはありませんが、こういうのも悪くない。 以前、NHKで『武士の家計簿』というタイトルの教養番組があったのを思い出しました。 加賀藩のある武家が藩の会計を管理するお役目の傍ら、家の私的な収支をコツコツと何代にも渡って記録していたのが発見された話。その記録を解析して、武士の生活実態に、詳細に分け入った番組でおもしろかった。その武士はそれなりの収入がありながらも、身分上出ていく額も多く、借金に首まで浸かった状態だったこと。それを、ある日一念発起して、すべての家財を質に入れ借金を清算したことなどが、具体的な数字で明らかにされていました。とどめは、その子孫がやがて、計算能力を買われて官軍の大村益次郎に仕え、明治政府の役人になったという、出来すぎなオチ。この話中の借金精算方法など、そのあたりが参考になっているのかもしれません。 | ![]() |
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