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米澤さんの「古典部シリーズ」第2作。『クドリャフカの順番』の前作にあたります。これだけまだ未読でした。 夏休み残すところ、あとわずかとなった神山高校。来る文化祭の準備に余念のない各団体を尻目に、まったり過ごすホータローたち古典部の面々だったが。ある日彼らは、千反田えるの発案で2年F組による自主制作映画の試写会に参加することになった。「ミステリー映画」との触れ込みながら、密室殺人の発生直後で映像がとぎれてしまった映画。実は、脚本担当の生徒の体調不良により、この先の展開が明かされないまま、撮影続行の目処も立たないでいるという。ホータローたちは、脚本家の意図した、映画の結末を明らかにするべく、協力するように頼まれるが…。 おもしろかったのですが、そもそもの事件の発端については、やや難アリ。映画の結末について、簡単なあらすじ程度のことを、なぜ入院した脚本担当の生徒に確認しないのか。誰でも普通に疑問に思うでしょう。協力を要請するなら、そこらは最初から明らかにしておいた方が得策だと思うのだが。 そういうネタの弱さとか、また、ホータローがナマな選民意識と自己否定とで葛藤しているところとか、作者自身「まだまだ青いな」と、いう感じは否めないです。ただ、今回登場の「女帝」様のキャラ立ちぶりとか、ホータローをタロットカードの「力」の札になぞらえるエピソードとか、青春ミステリーとしてのおもしろさは一貫しています。『クドリャフカ〜』では、それが吹っ切れたのかもしれません。 | ![]() |
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仮想の「数値海岸」を舞台にした、「廃園の天使」シリーズ、第2弾。今回は、5編の中短編が収録されています。第1作『グラン・ヴァカンス』は、仮想世界側内の出来事に限定された話でしたが、今回は、仮想世界内と物理世界の双方の出来事が取り上げられ、交錯します。「数値海岸」がいかにして生まれ、いかにして「大途絶」が起こったのか。そのあたりの事情も明らかにされており、読み応えがありました。 相変わらずの圧倒的なイメージの玉手箱。今時、人間が仮想空間に行くことに対して、思考放棄寸前の難解で緻密な設定を施すのは凄い。サイバーパンクの名残の空気を愛するものとしては、ヴァーチャル世界をいかにも実在しそうに描こうとすれば、これくらいあってほしいところです。「数値海岸」を誕生させた黎明期の研究者たちの、文字通りの怪物ぶりが強烈でした。 美しさ、醜さ。残酷さ、苦痛、そして官能。悪意さえも突き抜けて美しい。自在に分裂し、ほどけ、再構築されていく自我の乱舞。そして、破壊とカタストロフィ。これぞ眼福。堪能させていただきました。 次作をゆっくりとお待ち申し上げます。 | ![]() |
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こちらもつい買ってしまいました。有川さんの、自衛隊に関連した、甘々のラブストーリー短編集。いかにも彼女らしいコンセプトでしょうか。まあ、こういう切なさは自衛隊に限らずとも職場恋愛につきものかもしれませんが、自衛隊の特殊性や、仕事の縛りのきつさがリアルに描かれている分、主人公たちに共感しやすかったです。正直、『図書館危機』より、こちらの方が、ラブストーリーとしても、読み応えがありました。 さて、個々の短編について ●「クジラの彼」『Sweet Blue Age』にも収録。『海の底』に登場した冬原が主人公の、潜水艦乗りが相手の過酷な恋物語。切ないです。 ●「ロールアウト」自衛隊向けの新型輸送機の設計を請け負った民間会社の女子社員。要望として挙げられたのは、機内のトイレの改善。しかしそれを自社の設計側に承諾させるためには、長く熱い戦いが…。乙女の想像を超えた過酷な職場環境が見物でした。 ●「国防レンアイ」同期の女性隊員とお友達のまま、八年越しの腐れ縁。最近はすっかり、都合のいい男になりきっている主人公だったが…。ほろりと泣かされました。 ●「有能な彼女」こちらは、『海の底』の夏木&望カップルの後日譚。夏木を追って自衛隊に入隊し、すっかり美人で有能な隊員に成長した望。そんな望に愛されている自信がいまひとつ持てない(ぶっ)夏木君は、30歳を目前に、彼女とのおつきあいに、悩み多きお年頃、ってホントに乙女チックな話なのか?思いっきり笑わせてもらいました。 ●「脱柵エレジー」脱柵とは、脱走と同義で、つまり基地を無断で抜け出すことだそうな。入隊間もない若い隊員が、恋人に会うためにやらかす、彼らなりに真剣な「若気の至り」の話。ほろ苦い痛み。 ●「ファイターパイロットの君」『空の中』の高己&光稀カップルの後日譚。しかも高己視点なのでもう、のろけるのろける。子供が生まれても戦闘機乗りをやっているというのが、光稀さんらしいです。ホント、がんばれ。 | ![]() |
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ついに出ました。図書館シリーズ最新刊。前作「〜内乱」が出たのが半年前ですから、かなり早いペースです。働き者でうれしいですが、過密スケジュールは大丈夫かと、余計な心配もしてしまいます。 さて、本作。前回、手塚兄から、行きがけの駄賃とばかりに「王子様」の正体を知らされた郁。うっとおしく身もだえる彼女の挙動不審を見守る隊の面々。時に発火せんばかりのハイテンションに舞上がりつつ、とりあえずの任務と日常は、繰り返されていきます。 ラブコメ度、更に5割り増しアップ。今回はさすがに、このハイテンションについていけなかったかもしれません。つーか、もしこのバカップルが職場にいたら、うざいことこの上ないです。おまえら少しはTPOをわきまえろ。で、できれば職場での公私混同を諫める立場の人が、1人くらいいてほしいんですけど。 ベタ甘とか、はぢらひとか、デレデレとか、基本的には好きなのですが、あくまでも、職場恋愛のリアリティは押さえてほしいです。感情ダダ漏れなのは、大人としてはどーよ。 などと、前半のほのぼの系の事件では、緊張感のなさのあまり、特にそう思ってしまいました。が、後半の茨城県展警備の章はいつも通りおもしろかったです。このシリーズはあと1作とのことなので、最後に切ない、だけど一途でキリリとかっこいい、そんなラブストーリーで盛り上げてくれますように。 | ![]() |
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「流血女神伝」最新刊。新女王ネフィシカに捕らえられ、軟禁状態に置かれたカリエ。残された希望は、エドに託したセーディラが今のところ無事らしいこと。とりあえずは恭順を装って、脱出のチャンスを伺うカリエだが…。 一方で、ユリ・スカナ−エティカヤ間では、ザカールに大きな影響力を持つカリエとセーディラの身柄を巡り、駆け引きが続く。そこにビアンの立場が絡んで更に過熱する。このあたりは、毎度おもしろいです。 そして、皇帝の必死の努力の甲斐なく、急速に死に体となりつつあるルトヴィアの描写がリアルでした。最終章クライマックスへ向けて、徐々に加速し始めた物語。少しぐらい話が延びてもいいです。ペースが遅れてもいいです。その分、楽しみにしています。 ともあれ、エドは最高です。どんな状況になっても彼さえ出ていればいいかも。 | ![]() |
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