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縞田さんの妖精(妖怪?)ファンタジー、新シリーズ。1920年代のアメリカをイメージした、架空のブルームフィールド市は、人間と人外の「神話的人類」が共存する街。市の方針として、「神話的人類」の移民を受け容れることになったことから、街中でマーメイドが泳ぎ、セントールが闊歩し、ハーピーが舞い飛ぶ日常が、繰り広げられている。 そんな街の犯罪捜査局の捜査官に任命されたジョエルは、着任早々、「風紀係異種族問題対策班」なる部署に配属された。彼らの任務は要するに、「神話的人類」が関わる、あらゆる事件や、やっかい事に対応すること、であるらしい。おまけに、唯一の同僚、カート・V・ウェステンラは、V属性−つまり、ヴァンピール=吸血鬼であった。翌日から、カートと共に、事件の謎を追って駆け回ることになったジョエル。それは、「神話的人類」にそれほどなじみのなかった彼の、想像を遙かに超える世界だった…。 後書きで、初期設定のジョエルの相方は、セントールだったとありましたが、すみません、そうならなくて良かったです。お人好しのルーキーと、体育会系人情家のコンビでは、なんか暑苦しくてイヤ。 ヴァンピールのカートは、細身の美形で、黒髪のひねくれ者。登場時はもろに、私のツボなタイプだっただけに、惜しい。できれば、ベタでも、もう少しツンデレしていて欲しかったかも。孤独に突っ張ってはいるが、それが周囲からミエミエになった時点で、あまーい!と突っ込んでしまいました。ヴァンピールの美学はやせ我慢にこそあり、と再認識です。 とりあえず、今回はほとんど役立たずだったような気のするジョエル君。次巻では相棒と、ちょっとはハードに(…)活躍する姿が見られるといいなあ。今の所、性格以外にはいいとこ無しの彼に、何か1つでも、特技を与えてあげて下さい。 | ![]() |
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北国の暮らしと鳥の歳時記、2巻目。最近はモーニングを見かけると、ついコレだけ、立ち読みしてしまうようになりました。基本はコミカルな日常エッセイですが、時折、ドキッとするような、濃い陰影と詩情を湛えたページもあって、目が離せません。 今回は、鳥話の他に、晩秋に保護したカマキリの話も収録。賛否あったということは、連載当時、虫嫌いな読者の拒否反応もあったのでしょうか。私は小学校の頃、カマキリを飼っていたこともあったので、懐かしく読ませてもらいました。 ところで巻末に、作者が『猫本』刊行に寄せた、1ページエッセイが収録されているのですが、それに関する疑問。萩尾先生の『A-A'』が雑誌掲載されたのは、1981年のこと。その当時、本格的にマンガ投稿していたとしたら、とりのさんて、いくつだ?いや、成田美名子みたく、高校在学中にデビューしてしまう人は、当時も珍しくはなかった。とはいえ、まだ十代の小娘が、萩尾作品がショックで描くのをやめたなんぞと言い出した日には、小一時間説教かましたくなるでしょう。十年早いわ! つまり、その当時20を超えていたとしたら、少なくとも私より年上…!。デビュー当時四十路?その年で、会社を辞めて、まかり間違えばフリーター、だったとしたら、そりゃお母さんは心配するわ。 これまでなんとなく作者は、30代中頃くらいと思っていたのですが、作品に漂う、どことない同世代感が腑に落ちました。 | ![]() |
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2005年の本屋大賞受賞作。また、映画化進行中で公開も間近です。恩田作品としては直球の、ノスタルジックな青春小説として、評判が良かったので、気になってはいました。ただ、私自身はここ2,3年、恩田作品を読むと失望することの方が多かったので、読むふんぎりがつかずにいました。このたびの文庫化で、やっと読了。これは確かに良かったです。高校生達の2度と来ない日々に、見え隠れするある一瞬が、当時のヒリヒリする居心地の悪さまで込みで、鮮やかに切り取られていました。映画もけっこう期待できるかも。 北高の伝統行事、歩行祭。それは、全校生徒が一晩かけて、トータル80Kmを歩き通すという、盛大なイベントだった。特に3年生にとっては、おそらくこれが、高校生活最後の思い出となる。主人公、甲田貴子はこの行事に臨んで、自らにささやかな賭けを課したのだが…。 「みんなで夜歩く。たったそれだけのことが、どうしてこんなに特別なんだろうね。」 こういう、青春そのものといったフレーズは、恩田さんの本領発揮というところでしょうか。 思い出したのは、『エイリアン通り』(成田美名子)のセレムの台詞。「昼間は地球に閉じこめられているように感じるが、夜は遠く宇宙まで見渡せるので、故郷に帰ったように安らいで、自分をさらけ出すことができる(大意)」というやつでした。蘇る、学生時代の記憶。夜な夜な盛りあがる、告白大会。こっぱずかしくてとても昼間に口にできない、赤面ものの言葉が飛び交っていた、とある季節。不覚にも、思い出しちゃったよ。 どうでもいいが、一般に男性作家(ex:米澤穂信)の描く高校生活は、単純に「あの頃は良かった」なのに、女性作家のそれは、「懐かしい、が、二度と戻りたくない」ものになりがちなのは、なぜでしょう。恩田さんもだが、荻原規子の『樹上のゆりかご』もそんな感じだったし、若竹七海の『スクランブル』なども、その傾向がありました。 | ![]() |
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有川浩、図書館シリーズの至福の一気読みです。あーおもしろかったあ。 『〜戦争』は発売当初からチェックして、すぐさま図書館にリクエストをかけたのが、ようやく入手できました。いくらなんでも遅すぎ。どうやら、係の人がうっかりして…ということだったらしいですが、たのんますわ。待っている間に、評価はどんどん上がって、本屋大賞なんぞも受賞してしまうし、よっぽど買おうかと思ったが、半年以上待ったこともあり、なかば意地にもなりました。で、『〜内乱』は最近出たばかりなので、すぐさま買って即読みました。 さて、舞台はパラレル日本の近未来。「メディア良化法」なる、悪法が施行され、メディア良化委員会なる組織により、あらゆる書籍が検閲されるようになった時代。検閲によりチェック対象となった本は、販売・流通が厳しく制限される。そんな時代に図書館は、検閲によらず、あらゆる本の保管、配布権限を死守し、表現の自由の最後の砦となった。 メディア良化委員会の「強制執行」に対抗するため、やがて図書館も武装し、両者、武力衝突も辞さない敵対関係が続いている中、主人公、笠原郁は、図書館の防衛員に志願し、戦闘訓練に励んでいた。彼女の防衛員志望の動機とは…。 うわあー、ラブコメじゃん。 とにかく笑いました。図書館の法規的立場とか、表現の自由を守るための戦いの意義とか、特に『〜内乱』の方など、テーマ的にはかなりシリアスなのですが、もうそこで活躍するキャラが立ちまくって、真面目に笑わせてくれます。そして乙女度がやたら高いです。読んでいて、顔がにやけっぱなし。 思ったのですが、有川さんて、コバルト文庫で書いていた頃の、新井素子の正当な後継者ではないでしょうか。このシリーズの、堂上教官&郁ちゃんコンビに、つい、太一郎&あゆみコンビを思い出してしまいました。柴崎&郁は、『ブラックキャット』のあの2人みたいだし。あとは、半分くらい『機動警察パトレイバー』(ゆうきまさみ)かな。郁&手塚で、恋愛感情は別にして、同期で張り合ったり、仕事をやりくりしたり、何かと一緒に行動したりするところなどなど。 時に、防衛隊の公私混同ぶりに、「感情まかせの仕事がしたい人は、今すぐ退職して芸術家にでもなりなさい(by 熊耳武緒)」と突っ込みたくもなりましたが。まあ、命がけの仕事で一蓮托生の仲間同士、少しは私情もアリかもね。 ともあれ、続きが凄く楽しみです。そんなに待たないといいなあ。 |
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かの名作『日本沈没』を、沈んでいく日本各地のご当地ネタでパロディ化した、マンガアンソロジー。小松左京氏公認とのこと。すみません、実は小松さんの原作も、新旧の映画もまともに観ていないのですが、これは執筆陣がやたら豪華なので、読んでみました。けっこう前に発売されたのね。気がつかなかった。 ざっと挙げただけでも、あさりよしとお、吾妻ひでお(ともに北海道)、遠藤浩輝(東北)、鶴田謙二(伊豆)、いしいひさいち(岡山)、TONO(広島)、安永航一郎(高千穂) etc…。 どうも、西と南に行くほど、ご当地ネタのインパクトが強烈に思えるのは、気のせいでしょうか。 一番気に入ったのは、いしいひさいちの「岡山沈没」でしょうか。いやー地元への知識と愛溢れる自虐ネタが最高でした。 | ![]() |
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犯罪心理捜査士、大滝錬摩の事件簿、第5段。シリーズ完結編です。 今回、錬摩の絡む事件は、都内の連続少女失踪事件であり、そこに錬摩自身の過去が深くシビアにリンクしていきます。錬摩に届けられた1通のカード。「15年ぶりに会いたい」と書いて寄越した相手は、果たして錬摩の知るあの人なのか?カードの主に会いに行った錬摩は、件の失踪事件の被害者の遺体処理現場に遭遇する。果たして…。 ちなみに、犯罪があって、その捜査がメインになっていながら、なぜか、この話はミステリーではありません。事件の犯人が誰かなんてささいなこと。この話の本質は、犯罪をめぐるサイコサスペンスであり、メインテーマは、15年前の事件により深く傷ついた錬摩自身が、闇と救済の狭間を綱渡りするかのような彷徨の末に、どこへたどりつくのかということでした。 待った甲斐がありました。事件他の細かい穴は多いですが、特にその心理面においては、期待通りに収束させてくれました。満足です。 さて、愛あるツッコミ。 ・錬摩、前回くらいから全然、プロファイリングしていないんですけど。 ・錬摩、事件のたびに、いつも偶然犯人に会ってるんですけど。 ・ついに出た、ツンデレ錬摩の、デレシーン ・よく分からないが、仮にも成人の殺人で執行猶予ってアリなのでしょうか? | ![]() |