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2006年 5月度
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『エマ』7巻 森 薫 ビームComics

ついに、本編最終巻。ぶ厚い第7巻です。
このラストは、雑誌掲載時に立ち読みしたのですが、正直、駆け足&唐突との印象がぬぐえませんでした。山積みの問題を全部放置してここで終わるかい!と。残された不安要素が多すぎて、とてもハッピーエンドには見えませんでした。

その感想は今回、単行本で読み返しても、あまり変わりません。帽子の少女のちょっといい話を入れたり、ハキム&モニカガールズを丹念に描き込むとかより先に、もう少し描くことがあっただろう、と思います。

かといって、どういう終わり方なら良かったかと言われると、言葉に詰まるのも確かです。新大陸で『君の名は』を、延々続けられても無意味だし、全ての問題をクリアするまでハッピーエンドになれないのでは、かなりきついのも事実。ある意味、ここらが潮時というのも正しかったのかもしれない。できれば、せめてもう少しだけでも、先行きに具体的な光明が見える終わり方であって欲しかったけど。

ともあれ、まだ完全に終わりという訳ではなく、この先しばらくは、番外編という形で話が続いていくらしい。願わくばその中で、ある程度の分量で、2人の後日譚が拝めますように。また、本編で不憫なままだったエレノアも、ちゃんと幸せになってくれますように。期待しております。
『もやしもん』3巻 石川雅之 イブニングKC

人気の農大「菌」マンガ(どんなマンガだよ)、3巻目。なぜか、来月発売の『のだめ』最新刊の広告がオビにでかでかと。大学生マンガつながりでタイアップしているのでしょうか?

さて、作中の大まかな出来事としては、樹ゼミでいよいよ、醸造作業が本格化。また、夏休みに入って、1年生は沖縄実習に突入、というあたりです。例によって、本題以外の寄り道エピソードがてんこ盛りです。いつもの奇人変人集団の、彼らなりに大まじめにやっている漫才が、やはりとてつもなくおかしい。そして菌たち。そのぼへーっとした姿が、可愛いすぎです。欄外までぎっしり詰まった情報量が、とってもお得です。

前巻の春祭以来、割と色っぽいネタが増えたのも楽しい。今のところ皆、恋愛未満ですが、意外とそのうち、まっとうな恋愛話も出てきたりして。
Novels
『裏庭で影がまどろむ昼下がり』縞田理理 ウィングス文庫

縞田理理さんの、ケルト妖精(妖怪?)ファンタジー。もちろんイギリスはロンドンが舞台です。
主人公の少年テルは、マフィアのコカインをくすねたことで、組織から追われていた。たまたま逃げ込んだ神秘グッズ店「水銀の秘密」で、店主のハーパーに匿まってもらったものの、ハーパーのとんでもない正体を知ってしまい…。

ハーパーの正体は、不定形の妖精「ブロラハン」。何故か人間大好きで、人間に立ち混じって暮らしている。性格は全然違うものの、なんとなく『寄生獣』のミギーに似た可愛さがあります。
妖精と少年との、ほのぼのまったりライフ。マフィアからみのアクションもありますが、あまり似合っていません(きっぱり)。ハーパーお手製のデザートや野菜料理を嗜み、猫たちを愛でつつ過ごす、特に何も起こらない日常が素敵です。

ただ個人的には、イラストがいまひとつ。作中のシーンが、妙にボーイズ臭く見えてしまいました。もう少し硬派な絵柄の方がよかったです。
Novels
『ダ・ヴィンチ・コード』上中下 ダン・ブラウン 角川文庫

ついに映画が公開されました。この内容はやはり、カトリック界隈にとってはかなりの衝撃であったらしく、公開に当たって世界的に物議を醸しております。
この話の元ネタについては、事前にいっさい目にしないように気を付けてきたのですが、ここにきて、映画の話題に連動して、テレビ等の検証番組が目白押しに。うっかり半端にネタバレしてしまったらもったいないと思い、急いで読みました。案の定、読み終えた翌日くらいに、TV欄の見出しで、でかでかとネタバレ…。新聞のコラムにもなにげにその手の話題。アブねえ、危機一髪だったわ。
内容はもちろん、おもしろかった。是非とも、星野之宣絵で読みたいものです。

てんこ盛りの謎解きといい、最後の最後まで息もつかせぬ展開といい、極上の逸品でした。贅沢なネタをふんだんに使って、豪華絢爛に盛りつけたフルコースのごとき物語を堪能しました。難を言えば、サスペンスとしては、けっこうツッコミどころはあったかも。発信器をビルの窓から投げ捨てて、警察がそれを追いかけて行く間に、逃げ延びるとか、さすがに古すぎ。
ともあれ、これを部外者としておもしろがっていられる、非キリスト教徒でよかったです。
Novels
『アキハバラ@DEEP』 石田衣良  文藝春秋

『池袋ウエストゲートパーク』で、路上のギャングボーイ達の青春を描く石田さんが、今度は秋葉原を舞台に、電脳青年たちの青春を描いたもの。一応、単発の別作品です。

主人公たちは、秋葉原にたむろする電脳オタク青年と少女。音楽担当「タイコ」。ビジュアル担当「ボックス」。プログラム担当「ページ」。彼らに意気投合した戦闘コスプレ少女「アキラ」。そこに「イズム」と「ダルマ」が加わった総勢6人は、それぞれ、社会人として致命的な欠陥を抱えながらも、個々の才能を認めてくれる世界を探し出そうとしていた。彼らが、ついに起ち上げた会社組織、「アキハバラ@DEEP」。世界の電脳の中心で見た彼らの夢の物語。

ありとあらゆるオタクの坩堝、秋葉原。その摩訶不思議なエネルギーに浮かされるようにして、何かを生み出そうと模索する青年達。そのストレートに明るい未来図が良かったです。難をいえば、AIネタの掘り下げは少々甘かった。結末はさすがに、ありえねえと思ってしまいました。
Novels
『空白の殺意』 中町 信  創元推理文庫

ミステリーコーナーで、予備知識無く手に取ってみた本作。この作者の、1980年発行のミステリ作品、『高校野球殺人事件』を改題、改稿したものだそうです。読んでみて…。正直、ハズレでした。

うーん、オビによると、有名な古典作品へのオマージュ的トリックの話であったらしい。その古典作品についての知識もなかったので、行けるかと思ったのですが、犯人、すぐ分かっちゃったよ。つーか、事件によって一番利益を得た人物を考えたら、あの人は怪し過ぎるって。で、犯人が分かったら、いくら殺害方法が凝っていても、何の意味も無いですけど。

また、ミステリ部分以外のところでも、古臭い描写が鼻についてしまいました。刑事さんが参考人の女性を「ふるいつきたくなる美女」と表現するのに萎え。アンタ、どこのチンピラですか。また、「高校野球」がテーマにしては、プレーする選手がほとんど登場しない。ここで取り上げられている「高校野球」とは、巨額の絡む疑惑の温床であったり、関係者の不祥事だの、不倫だの、隠蔽体質だのという生臭い大人の事情のみ。さすがに、うんざりしてしまった。

作中で、群馬県内の高崎・前橋近辺が舞台となっており、だいたい場所の見当がつく地名が輩出しているのが懐かしかったのですが、あとはちょっと…でした。
『へうげもの』1,2巻 山田芳裕  モーニングKC

巷で話題になっている戦国絵巻。「織部好み」なる独特の美意識で、桃山時代の茶道界をリードした大名茶人、古田織部(左助)。少し若い頃の左助を主人公に、この時代の「数寄」なるものを描きます。おもしろい。茶碗一個と城1つを秤にかける価値観は、ほとんどSFのようです。

1,2巻では、天下統一を目前とした信長が、本能寺で倒れる迄のあたり。この頃の左助は、信長に仕える小物の一人に過ぎないのですが、その「数寄」好みで、ごくたまに注目を浴びることもある、というところ。とりあえず、この本能寺とか、本能寺とか。先が楽しみ。

さて、作中にはお宝級美術品が山ほど登場するのですが、この作者、お世辞にも絵が上手いとは言えません。なので、「美」の表現は、描かれた絵ではなく、ひたすら、左助の表情で語らせています。実際、どうがんばっても、命を購えるような茶碗の美をリアルに表現するのは無理なことでしょうから、この手法は正しいと思います。観客のオーバーアクションで説得力を出し、場を盛り上げていく方式は、よく考えると、『ガラスの仮面』的なのかも。ギャグすれすれのダイナミックさがいいです。
Novels
『箱はマのつく水の底!』 喬林 知  ビーンズ文庫

「マのつく」シリーズ。本編の13作目にあたります。今回は「作者急病のため(ホントらしい)」、通常の2/3くらいの分量でした。で、体調を反映してか見事なまでの鬱展開。しかもそれが、少しも上向かないままに「続く」となってます。次では是非とも上向いてほしい。喬林さん、ここが正念場かも。

まあ、鬱展開というか、シリアスに現実と対決すること自体は、ユーリには必要だと思う。いつまでも、甘ったるい正論を言っていれば、周囲がなんとかしてくれる、へなちょこではまずいと思うので。サラの終始一貫した邪悪さも、いっそ小気味いいくらいで、密かに気に入っています。

ただ、何と行っても聖砂国編は長くなりすぎました。寄り道しまくったために、どんな話だったか、ほとんど忘れてしまったくらい。なので、聖砂国編については、区切りがついてから、改めて感想をまとめたいと思います。

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