HOME 
2006年 4月度
<<前月 来月>> 
マンガ
Novels
小説
図書
図書館GET 
そ他
その他借り物  


Novels
『ブラックベルベット』4巻 須賀しのぶ コバルト文庫
 〜菫咲くころ君を想う

「ブラックベルベット」シリーズ4作目。ハル神父の過去編です。正直、一昔前の少女漫画の悲恋のようで、ストレート過ぎて陳腐だった。

今回、主教と聖女の関係等、ディートン教に関する、突っ込んだ設定も明らかになっています。主教と聖女は、設定上、少しだけ『FSS』の騎士とファティマに似ていますが、こちらは全然萌えないのであった。聖女はどうも主教の、意志のない付属物のような描かれ方なので、両者の絆らしきものが見えてこない。主教陣の描き分けに苦労している気配があるので、どうせなら、それぞれの主教と聖女との出会いとか、お互いを選んだ理由とか、型破りなじゃじゃ馬聖女とか、思いっきり気が合わないけど、強引に組み合わされたとか、そういう生身なエピソードを、ほんの少しでも添えてくれると、楽しいだろうになあ。

ハル神父にしても、キリにしても、真面目で面白みの無いキャラばかりで、正直、息苦しい。もう少し、話に幅広さと遊びを下さい。
『ファミリーペットSUNちゃん!』2巻 岡崎二郎 ビッグComics

100年生きて妖怪化した(?)サンショウウオのSUNちゃんと、霜月家の皆様が繰り広げる、ほのぼのホームドラマ2巻目。1巻ではまだ、話にバラツキがあったようですが、この巻では、動物とエコロジーにテーマが絞られたようで、そのあたりのミニ知識と、まったり人情話が繰り広げられていました。いつもながら、おもしろかった。

ところで、SUNちゃんと里子の掛け合いを、最近どこかで見たような気がしていたが、そうか、某「ボケガエル」に似ているのでした。まあいいか、同じ両生類だし(そういう問題?)
Novels
『池袋ウエストゲートパーク』 石田衣良 文春文庫
「少年計数機」

人気シリーズ「池袋ウエストゲートパーク」にトライ。2作目まで読みました。池袋のストリートを舞台にした、少年達によるミステリー、なのかな。おもしろかったです。

作品中で描かれる池袋は、路上をテリトリーとする少年少女達の世界。大人たちが目を逸らし、見なかったことにしているそこにも、なかなかハードな修羅場あり、友情あり、恋愛沙汰もある。
主人公の真島誠は、池袋西口公園、通称ウェストゲートパークを根城にする少年達の一人。ある日、彼のチームの少女が殺人事件の被害者になってしまった。彼は、自分の持てるネットワークを駆使して、彼女を殺した犯人を追いつめていく…。
そうして、仲間から多少一目置かれる存在となった誠の元には、時折、近隣の事件や、やっかい事の相談が持ちかけられるようになります。彼は家業のフルーツショップを手伝う傍ら、七転八倒しつつも、それらの事件を解決していくのでした。

ストリートの不良少年達(古)が主人公ということで、当初、暗く救いのない話をイメージしていたのですが、思ったよりずっと、明るくて痛快な話だったので安心しました。これが例えば新宿であれば、ヤクザとおじさん達のハードボイルドな事件になるところが、池袋を舞台にしたことで、少年達が生き生きと活躍する話になった、というところでしょうか。
誠をはじめ、登場する少年少女達が、今時すごぶる健全なのがよかった。誠の義理人情を重んじるメンタリティは、ほとんど浪花節。老成しているようにさえ見えて、時々、おまえホントに20歳か、と突っ込みたくなります。まあ、主人公に作者自身が出てきてしまっているのは、仕方がないところかもしれませんが。
続きも探してみよう。
『猫本(ねこもと)』 モーニング編集部編  KCデラックス

総勢23人の漫画家による、競作猫アンソロジー本です。テーマの猫以前に、参加しているメンツがめちゃくちゃ豪華なのに釣られてみました。萩尾望都、諸星大二郎、近藤ようこ、業田良家、山下和美、漆原友紀、とりのなん子…。中にはマニアックな毒のある作風の人もいて、ホント同人誌みたいでした。

有名な子猫マンガ『チーズ・スイートホーム』も、これで初めて読みました。確かに可愛かったけどあまりにストレート過ぎて物足りなかった。猫エッセイは、作者の猫バカ描写と、それに対する自身のツッコミが欲しいところです。
Novels
『彩雲国物語 〜藍より出でて青』 雪乃紗衣  ビーンズ文庫

シリーズの外伝第2弾。評判が良かったのでまた買ってみました。
今回はほぼ、藍龍蓮氏の独壇場でした。歩く迷惑、ド派手な衣装を纏った非常識。しかして、その実体は彩7家の筆頭である藍家を背負って立つことを運命づけられた男。何者にもまつろわず、孤高を貫く彼に、うっかりオトモダチ認定されてしまった、秀麗たち国試合格組。その栄光と苦難の物語(嘘)。

いや、このところ登場人物の有能と高潔のインフレに悩まされていたので、ベタで低レベルな漫才の連続技が久々に楽しいです。よく読むと、龍蓮も方向が違うだけで、同じくらい有能で筋の通った人物なのだと分かりますが。とりあえず、おもしろかった。

ところで、今回秀麗の周囲に出没している黒い謎の物体ですが。つい某『楽園の魔女たち』シリーズを思い出したので、とりあえず「黒ごくちゃん」と呼ばせていただきます。
『The Five Star Stories』12巻 永野護 
              角川 NEW TYPE Comics

これぞSF!たる、壮大なスケールの物語。20周年にして最新刊の12巻発売です。前巻からの魔導大戦編続く。いまだに、壮大すぎる物語の中でワケが分からなくなって、ここはどこ?この人ダレ?状態で、途方に暮れることもしばしばですが。とりあえず、10巻から読み返してようやく一通りの登場人物が思い出せました。えーと、あとアルル王女って、前にどこに出てたっけー。(ええい、もっと前から読み直し!)

さて、フィルモア皇帝とクリスティン・V。ファティマ「パーシャ」とヨーン少年。サリオンと某姫。それぞれに交錯する想い。それに前巻のミースの、乙女なマッドサイエンティストぶり、などなど。広大な時空の中にちりばめられた想いの丈ごと織りなされていく物語。
最初に年表という特大のフロシキを広げておきながら、20年かけて更に広げ続けている気がするのがすごく不安なんですけど。そろそろ畳む方に力を入れて欲しい気もヒシヒシとしてますけど。また、最近妙にお遊びパートが増えてきて、シリアスパートが押され気味に見えるのが少々気になりますけど。もはや、更にあと20年かけても、どこまで話が進むか分からないのは、分かってますけど。でもでも、この世界は、やっぱり好きなのでした。どこまで行けるかは分からないけど、もういいです。一生ついていきます>永野さん。

巻末のちゃあ嬢(アイシャの妹姫だったのね。やっと正体に気づいた)のお遊び短編も、11巻にあったファティマの設定一覧を読んで、初めて意味が分かりました。バランシェファティマbQ1の、星団最強スペックを持つ「ほっといて型」ファティマ、「ヒュートラン」が、例のあの子だったのね。本当に久々登場のK.O.G.があれで、哀れでした(笑)。
『ONE PIERCE』41巻 尾田栄一郎  少年Jump Comics

このところ、以前にも増して話が進まない気のする『ワンピース』。おかげですっかり、流し読みが定着していたのですが、久々に、今まで読んでいて良かったと思えた最新刊。ロビンの過去編です。

考古学者の島であった幼いロビンの故郷は、過去の公にできない歴史的事実を探求したために、世界政府によって、その知識ごと葬り去られた。黒歴史の生き証人であるロビンは、生きている限り、世界政府から追われる運命となる。

そして仲間達の過去のしがらみが、パワーアップしたルフィにより粉砕されていくのが、毎度のパターンなのですが、やっぱり毎度感動してしまうのであった。どうでもいいが、 ロビンはやはりニコが姓でロビンが名前だったのでした。

Novels図書
『忘れないと誓ったぼくがいた』 平山瑞穂  新潮社

ファンタジー大賞受賞作、『ラス・マンチャス通信』 の作者の最新作。前作はほとんどホラーでしたが、じとじと暗く、なま暖かい読後感が、妙に気に入ってしまったようです。で、その作者が今回は、直球のラブストーリーということで。毒が薄まって読みやすいかと期待したのですが…。
うーん、今回は本当にピュア路線だったようで、漂白したように毒が無さ過ぎ。かといって、悲恋に泣けるほどでもなかったです。正直もの足りなかった。

主人公の僕は退屈な日々をもてあまし気味の高校生3年生。そんな僕がある日、眼鏡屋でバイトしていた織部あずさと出会う。実は同じ高校の生徒だったあずさと、思いがけず校内で再会した僕。帰国子女で少し変わったところのあるあずさは、実は、とんでもない秘密を抱えていた…。

死ぬのでなく、ただこの世界からいつのまにかフェードアウトし、無かったことにされていくのを運命づけられたあずさ。彼女を忘れないと誓った僕。映画化企画のウワサもあるようですが、役者によってはうまく泣かせ路線を狙えるかも。ただ、次はできれば元の、じめじめホラー路線をお願いします。
Novels図書
『沼地のある森を抜けて』 梨木香歩  新潮社

梨木香歩さんの 、『からくりからくさ』 『家守奇譚』に続く、大人向けファンタジー。
急死した叔母のマンションを相続した主人公(女性・独身)。しかしそこに、マンションの付録として、とんでもないものが、憑いてきた。それは先祖伝来の(家宝の?)「ぬかみそ」。その日から、「ぬか床の世話をすること」が、主人公の日々の最優先事項として組み込まれてしまう。わがままなぬかみそは、気にいらない扱いに対して、うめくぐらいは序の口。やがて、ぬか床をめぐって、とんでもない怪奇現象が出現するようになり…。

ぬか床をめぐるファンタジーというのが、いかにも地に足がついていて、梨木さんらしいと軽く構えていたら、けっこう重くてブラックでした。女達に代々受け継がれてきた怨念の象徴であるかのようなぬか床は、しかし、一面では菌の塊であり、雑多な菌の奇跡的なバランスにより保たれている小宇宙、であるらしい。その菌が体内に取り込まれて、人間をコントロールするという可能性が取りざたされるに及んで、話はすっかりSF&ホラーモードに。そうやって、さっくりと日常から離脱してしまった話に、あっけにとられつつも、なんとか脱落せずについていきました。
ああ、こういうのよく恩田陸が書きそうな気がする。主人公に課せられた義務の重みのリアルさなどは、確かに梨木さんの感覚だと思うけど。

どうでもいいけどこの話、一度『もやしもん』風にマンガ化したものを見てみたい。うめくぬか床やら、手に手を取ってお散歩中の粘菌やら、さぞかし、へんてこりんな空気が醸されてくれそうな気がします。

HOME  <<前月 来月>>