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2005年 7月度
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Novels
『彩雲国物語 〜欠けゆく白銀の砂時計』 雪乃紗衣  ビーンズ文庫

とりあえず政情が安定し、復興の端緒についた茶州。若き2人の州牧は、この先の茶州の進む方向を模索し、それを任期中に何らかの形に残そうとして奮闘する。

秀麗はそれに先だって、例年、年明けに国都貴陽で催される、「朝賀」なる行事に参列することになった。「朝賀」は、表向きは参列者が王に新年のお祝いを述べるというものであったが、国中のVIPが国都に集結することから、水面下では壮絶な政治パフォーマンスが繰り広げられるのが慣例であった。政治の舞台で果たすべき任務を負って、秀麗は懐かしい人々の待つ都へと向かうが…。

本編は、やっぱりおもしろいのであった。しかし、茶州復興案の実現のためには、難物の工部省尚書に、どうしても是と言わせなくてはならない。そんな秀麗がとった最終手段とは?野暮だとは思うけど、あれは流石に無茶だと思います。あれをやったら普通、死にます。気合いでどうにかなるものじゃないんだけどなあ。
それ以外は、おおむね期待通りでした。諸家の嫁候補として株価暴騰する秀麗。それは本人にとってはむしろ、やっかい事の種であったりする。そして、劉麒との再会。また、予想通り、死んでいなかったあの人。また、前の外伝で予想された通り、仙界が絡んでくる兆しも見えてきて、こちらも思ったより楽しめそうです。冒頭のスプラッタシーンの意外な迫力といい、実はこの人、文章力は突出してある方なのかもしれない。いまのところ、ストーリーの雑さや単調さが目立ってしまっていますが、もう少し丁寧に細部をつめれば、かなり剥けそうなのになあ。もったいない。

『金魚屋古書店』1      芳崎せいむ  小学館IKKI Comics
『金魚屋古書店出納帳』上下 

たかがマンガ。されどマンガ。ここは、マンガのある世界の幸せを満喫できるパラダイス。マンガのことなら何でも知っている店員と、底知れぬ在庫量を誇るマンガ専門古書店「金魚屋」をめぐる、心温まるストーリー。

マンガテーマのウンチクものということで、評判は聞いていたのですが、読んでみると…。うーん、ちょっと期待はずれだったかもしれません。この手のウンチクものは、一般的に、素人の読者を対象として、そのテーマについてのちょっとした知識と、ドラマを提供するつくりになっています。そのテーマがアートならば『ギャラリーフェイク』。酒ならば『レモンハート』。他にも、医療、軍事、鉄道などなど、テーマは多岐に渡っています。

で、本作ですが、基本パターンはごく単純に
探しているマンガがあって金魚屋に客が来る → 店主がそれを解決
となっています。その場合、その客がなぜそのマンガを探しているのか?が、ドラマのキモとなるわけですが、それがどうもショボい。知り合いを勇気づけたいとか、好きな相手にプレゼントするとか、ベタすぎ。全体的にもうちょっと、ひねりがほしかったです。

また、この話のメインテーマは「マンガ」なのか。それとも、マンガの古本市場の業界ウンチクなのか、絞り切れていなかった気がするのも、引っかかるところ。一方で、古本業界に素人の読者に、「お宝本」のウンチクを披露しようとしながら、もう一方でディープなマンガ読みとしての読者の共感を期待する。そのスタンスが中途半端でどうにも収まりが悪かった。まあ結局、作中に登場するマンガ読みさん達のマンガ体験には、ほとんど共感できなかったのですけど。お願いだから取り上げる作品が描かれた時代の空気くらい、ちゃんと描いてください。

まあ、「背取り」なる仕事についてのウンチクとか、共感を要求されない部分は興味深かったのですが。でも、マンガはやはり、「お宝」かどうかよりも、その内容の方をテーマにしてほしかったけどな。

Novels
『ふたぶたの食卓』 矢崎存美  光文社文庫

『ぶたぶた』シリーズ最新作。いつもの和みストーリーですが、中でも今回は、ぶたぶた氏のお得意の料理にまつわる4編が収録されています。チャーハン、ボンゴレ、クレープ、かき氷。美味しくて、元気の出るお父さんの料理って、なんだか『クッキング・パパ』のようだ。どうか、クレープを焼いてください。心が疲れたときに…。
『おおきく振りかぶって』4巻 ひぐちアサ  アフタヌーンKC

おそらく、今、最も楽しみにしているマンガの1つです。先月も、これ目当てにアフタヌーン誌を買ってしまいました。最新刊を読んで、続きの読みたさに拍車がかかり、発売日前のアフタヌーンを探してしまったりして。取り立てて、なにがどう面白いと説明できないのに、このパワーは何だろう。(「萌え」だよ、ってやっぱり?)

王道少年漫画的、勝利至上主義とは最も遠いところで、『ドカベン』のような天才の名人芸でもなく、『キャプテン』ような努力の権化でもない。普通の、幼くさえ見えるの15、6歳の少年たちの内面をしっかり描いた、「野球チーム」の物語。そういう意味では、『スラムダンク』にとても近いところにあると思います。今回、試験前に赤点回避のために、みんなで集まって勉強するシーンがあって、なんだか懐かしかった。

そして夏に向けた公式戦が始まる。西浦高校は、抽選で初戦から、昨年の優勝校、桐青高校と対戦が決定。この初戦がアフタヌーン誌上で大いに盛り上がっております。ああ、読みたい。
『鋼の錬金術師』11巻 荒川 弘  ENIXガンガンComics

久々に話がぐんと進んだ気がする最新刊。この話のテーマが、「兄弟の元の体を取り戻すこと」にあったということを、久々に思い出しました。
つーか、このところ、話が広がりすぎてすっかり当初の目的を忘れていたよ。そういえば、等価交換て何だったっけ。人がぼこぼこ犠牲になる割に、得る物があまりに少ない気がして、今更「賢者の石」ぐらいでびびるんじゃねえ!と、ツッコミまくっていたのですが。以上、TV版アニメの後遺症でした。ようやく原作ストーリーに立ち返れた気がします。

と、思ったら劇場版アニメが公開されました。気にはなるが、原作ストーリーを素直に楽しみたいので、とりあえず様子見です。感想だけ、ちょこっと聞きたいなあ。
Novels
『星界の断章』I 森岡浩之  ハヤカワ文庫

『星界』シリーズ初の外伝集。シリーズ本編の幕間を彩る短いエピソードが収録されています。本編と同一世界を舞台にした、いわば「正史」が7編。そして、それとは別物らしいパラレルワールド的パロディが5編。「正史」の方はそれだけでも読み応えがあったのですが、一方の、予備知識なく読んでしまったパロディの方も、なんともはや…。インパクトがありました。

少なくとも、コミケで同人誌を買い漁るラフィールとか、2ちゃんねらーの会話を盗み聞きして頭を抱えるアーブ指揮官とかが拝めるとは思わなかったです。これまで思い当たることは多々あったものの、改めて思い知らされてしまった。森岡さんて、ただのベタなオタクだったんですね。できれば、その趣味は星界世界に持ち込んでほしくなかったけど…。
Novels図書
『ダレン・シャン』IV〜VII  ダレン・シャン/橋本 恵
「バンパイア・マウンテン」「バンパイアの試練」        小学館
「バンパイアの運命」「黄昏のハンター」

人気児童文学、「ダレン・シャン」シリーズ続き。面白くなってまいりました。
『ハリーポッター』が、シリーズ毎に暗く憂鬱になっていくのと対照的に、こちらは胸躍る冒険活劇に近づいていきます。「バンパイア・マウンテン」では、クレプスリーに連れられて、バンパイア一族の聖地、バンパイア・マウンテンに赴くダレン。そこでは、一族の絆を強めるために、12年に一度のバンパイアの総会が開催されることになっていた。

バンパイア一族勢揃い。なかなか気持ちの良い仲間達です。総会では、今後の一族の存亡に関わる、ある重大な予言がもたらされます。バンパイアとバンパニーズ。闇の世界を2分する相容れない一族の未来に待ち受けるものは?

「〜マウンテン」から「〜運命」にかけての3冊は、バンパイア総会で起こる一連の事件を描いた続き物です。少しばかり年をくっても、軽率なところはやっぱり治らないダレン君。子供だったダレンを半バンパイアにした事で、クレプスリーが一族から非難されると、自分のバンパイアたる資質を証明しようとして、うっかり「バンパイアの試練」なるものに挑戦すると宣言してしまった…。

「バンパイアの試練」は、ハリポタの、「三大魔法学校対抗試合」を思い出しました。しかし、一筋縄でいかない展開は、こちらが一枚上手。とにかく展開が早いです。予言や運命という名の伏線を張り巡らせ、それらを、もったいぶらずにさくさく回収していく手並みが見事。旧キャラも新キャラも山ほど登場しながら、それぞれがちゃんと、ストーリー上で欠かせない役割を担っているところもいい。手に入るなら、このままラストまで読み通したいです。

そういえば最近、この作者の新シリーズが発売されました。結局、ダレン・シャン名で発表されていたのが、なんとなく笑えました。

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