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2005年 4月度
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Novels
『ガーデン』 近藤史恵  創元推理文庫

近藤さんの、歌舞伎シリーズの今泉探偵が、ここにも登場すると言うことで読んでみました。が、イタい。こんなイタい話久々に読んだよ、ママン。

主人公の真波(女)は学生で、無意味な日常にうんざりして、いつも「死」について考えていた。そして真波の部屋に居候している火夜は、真波に輪をかけて、刹那的で享楽的、野生動物のような女。その火夜が姿を消した。何らかの事件に巻きこまれたらしいと察した真波は、今泉に彼女の捜索を依頼する。火夜の足跡はある家の美しい庭で途絶えた。1個の身元不明の死体を残して…。

しょっぱなからイタタな主人公と火夜ですが、彼女達だけならなんとか、若気の至りと納得することもできた。しかし結局、イタタなのは事件に関わるほぼ全員と判明。そして、犯人の動機のトホホさは、群を抜いていました。

結論。若さ故のあやまちは、あまり人前に出すものでないと思います。
『ギャラリーフェイク』32巻  細野不二彦 ビッグComics

分厚い最終巻です。最終話は、フジタの追い続けた至宝、「もう1枚のモナリザ」がテーマです。長い連載で、途中「アート」のネタが尽きたのか、話は考古学や国際謀略にまで広がりまくり、ヘタレのフジタがスパイまがいの大立ち回りをしてみたりと、何でもありな話になりました。一時期は、某トガシヨシヒロの臭いがしたことさえありましたが、なんとか持ち直し、まあまあすっきりとフィナーレを飾ってくれたと思います。

細野さんの、この作品以後に始まった連載は、どれも肌が合わなくて読んでいません。だから、多分、細野さんの漫画を読むのはこれで最後でしょう。長いことお疲れさまでした。
Novels
『葉桜の季節に君を想うということ』 歌野晶午 文藝春秋

『このミステリーがすごい』他、2004年版のミステリーランクで、軒並み高順位を獲得した本作。古本屋で購入してみました。

主人公、成瀬将虎はある日、駅のホームで、線路に衝動的に飛び込んだ女性をきわどいところで助け出す。その後、何となく彼女と連絡と取り合うようになった将虎は、彼女を憎からず思いつつ、もう一歩踏み込めない。一方、同じ頃、後輩の知人の女性に相談を持ちかけられる。悪徳商法に引っかかった身内の死に、不審な気配があるのを、調べて欲しいというもの。かつて、駆け出しの探偵だった将虎の杵柄を見込んでの依頼であったが、果たして…。

ああそうか。こう来ましたか。騙されました。たしかにこれまで見たことのないパターンの仕掛けでした。ただ、それほどスカッとするような仕掛けでは無かったなあ、個人的に。

思うに、絶対映像化は無理ですね。そういえばどこかで、『ハサミ男』をドラマ化すると聞いたけど、どうするつもりなんだろう。
Novels図書
『bU』2,3巻 あさのあつこ 講談社 YA!ENTERTAINMENT

『バッテリー』のあさのあつこさんのSF。たまたま2,3巻が手に入ったので、1巻を飛ばして読んでいます。

1巻を読んでないので、細かい食い違いはあるかもしれませんが、おおまかな設定は以下の通り。タイトルの「bU」は、都市の名前。エリートのみが住むことを許され、幸福が約束された都市。そこは、衣食住必用な物はすべて保証され、清潔で無駄なく美しく調和し、細部に至るまで完璧に管理されている。主人公紫苑は、そんなbUで母親と2人で暮らしていたが、ある日、彼の家に「ネズミ」と呼ばれる少年がケガをして転がり込んで来る。思わずネズミを助けた紫苑だったが、彼が犯罪者であることが発覚し、紫苑もまたbUの当局に追われる立場になる。紫苑は、都市の外に広がるスラムへと逃げのび、そこで今度はネズミに拾われて彼と暮らし始めるが…。

うーん、SFとしては正直、古い。というか、ほとんど往年の「NHK少年ドラマシリーズ」のレトロなノリです。これはこれでなつかしくはあるが。ただ、読んでいて気になったのは、『バッテリー』よりホモくせー。見ていて萎えるくらい露骨に、紫苑とネズミの仲がボーイズ臭いです。明らかに狙っているのか?ここまでしなくてもいいと思うのですけど。

さて、豊かな都市を1歩出てしまうと、生活能力は皆無に近かった紫苑は、それでも様々な体験を積み、まっすぐに成長していく。紫苑の甘ちゃんぶりに容赦なく突っ込みを入れつつも、彼のまっすぐさに、ついほだされてしまうネズミ。お約束だが、良いコンビです。

そして、bUはその成立の過程からして、何か重大な秘密を内包しているらしい。果たして?以下続刊です。引き続き読んでみるつもりです。
『失踪日記』 吾妻ひでお  イースト・ブレス

これもまた、巷で話題にされまくっている実録エッセイ(?)マンガ。今更ここで内容を説明するまでもないですが、とにかく作者の描くところの実録の内容が、もの凄い。失踪してホームレスになる。成り行きでガス配管工になる。アルコール依存症で入院する、等々。そして、他でも言われているように、その凄惨な内容を、本当にあっけらかんと笑えるギャグマンガに仕立ててしまった本作。そこらの芥川賞なんぞ、束になっても敵わない凄味があります。

吾妻ひでお氏といえば、伝説の星雲賞受賞作、『不条理日記』は今でも大好きです。その後、この人は美少女・ロリコンで一世を風靡し、コアなマンガマニアから教祖のように崇められていた時期を経て、この『失踪日記』に至ります。最後に読んだのは、90年代になってから発行された『夜の魚』(太田出版)で、これは吐き気がするほど暗かった。精神活動の排泄物のような、崩壊寸前の世界を垣間見たようで頭を抱えてしまいました。

『失踪日記』は、しかし、その内容の凄惨さにもかかわらず、ちゃんと読者を楽しませようとするサービス精神が随所に感じられます。ネタにされている、作者自身の過去に対する距離の取り方が絶妙で、それが飄々とした味わいになっている。そして、本作でも『夜の魚』でも、ドロドロの心の闇の根っこに、まだピュアな作家魂があると感じてしまうのは、そう間違っていないと思います。

最後に、ここに登場する奥様って、ある意味作者より過酷な生活だったと思うんですけど。ここに至るまでの地獄につき合い抜いて、いまだに一緒にいるのは、何より凄い、かもしれない。
Novels
『影のオンブリア』パトリシア・A・マキリップ  ハヤカワ文庫

マキリップは、20年も前に、代表作の『妖女サイベルの呼び声』及び、『イルスの竪琴』3部作を読んで以来の、私的殿堂入り作家です。神秘的な謎解きと暗喩に満ちたストーリー。華麗にして奔放なイマジネーション。個性的な登場人物たち。西洋ファンタジーの決定版ともいうべき世界がそこにありました。

その後『ムーンフラッシュ』『ムーンドリーム』を最後に、長いこと翻訳の新作が出ていませんでした。そして今回、久しぶりに読んだマキリップの世界。ページから立ち上る香気は、昔とあまり変わっていないように思えました。

この世で最も古き都、オンブリアの大公が逝去した。幼い若君の摂政となったのは故大公の伯母たる魔女「黒真珠」。彼女は敵対する者を容赦なく排除し、絶対的な権力を握った。大公に仕えた妾妃は宮殿を追われ、故大公の甥は、彼女に足下を掬われないように細心の注意を払う。この陰謀の行き着く先とは?

正直、内容は陰謀譚としてはオーソドックスで、もの足りないところもありました。現実の都と影の都というモチーフも、謎というほど複雑ではなかったし、ヒロインがいつもほど、一途で芯が強いというタイプでなかったこともあって、淡々とした展開のまま終わってしまった印象がありました。まあ、あの雰囲気をまた味わえたことだけで、よしとしましょう。

プロフィールによると、作者は1948年生まれ。日本の24年組と、ほぼ同世代です。世代的にどこか通じるものがありそうです。
Novels図書
『西条秀樹のおかげです』 森奈津子  イースト・ブレス

以前から爆笑エロとして、あちこちで絶賛されていた本作。最近なぜか、ハヤカワから文庫化されたので気になって図書館GET。読んだのはイースト・ブレス版ですが、画像がないので、ハヤカワ版にリンクしておきます(→)。さて。

表題作は、人類がすべて謎の死を遂げた世界に、生き延びた主人公の「私」。彼女が生き延びた理由とは?噂の通り、突き抜けたばかばかしさと、エロエロ描写がステキな短編集でした。

森奈津子さんは以前に、ハルキ文庫の『あんただけ死なない』というホラーを読んだことはありました。そのときは正直、ホラーとしてはいまいちで、ほとんどエロ。しかも、エロが萌えない!という印象だったのですが、本作はなかなか気に入ってしまった。どうも私、百合はともかくレズはだめらしい(やおいとさぶの差か?)。そして、Mには萌えないことが良く分かりました。(いや、そんなもん分かってどうする!)。えーと、「バナナ」と「テーブル」はけっこう好みだったかも(オイ!)