HOME 
2004年 12月度
<<前月 来月>> 
マンガ
Novels
小説
図書
図書館GET 
そ他
その他借り物  


Novels
『やがてマのつく歌になる』喬林 知  角川ビーンズ文庫

前巻で、中途半端なところで終わったので、どうなることかと思った後編。いつもの調子が出てきたようで、面白かったです。ユーリが甘ったるい正義漢なのも、みんながユーリをあがめ奉るのも、お約束なのでまあよし。しかし、いくらなんでもサラの性格くらい、途中で気づけよ>ユーリ。ついでに、あんまりわざとらしくサービスしなくていいよ>コンラッド。まあ、今回は、ラストでおお!と思わせてくれたことで、よしとしましょう。以下ネタバレ。

ヘイゼル・グレイブスは1936年に、地球では死亡。ヘイゼルから、四代後の、クリスタル・グレイブスが、1980年代、おそらくユーリ誕生前後に、ボストンにいたコンラッドと会っている。アビゲイルも同じ頃生まれているはずだが、あの様子だとクリスタルの娘という可能性は微妙だなあ。かといって、アビゲイルがヘイゼルの血筋でないということはないと思うのだが。
もちろん寿命からすると、ヘイゼルもボブと同じく、地球産魔族なのでしょうが、彼女は何のために、あちらと地球を行き来しているのか。

これら伏線がここでどうつながっていくのか。やっぱり次巻が楽しみなのでありました。しかし、来年4月からのアニメ続投って、そんなに話が残っていたのだろうか?
Novels
『虚剣』須賀しのぶ  コバルト文庫

尾張柳生新陰流宗家5代目、柳生連也の若き日の姿を描いた剣豪小説。作者は剣豪小説でないと主張していた気もしますが、多分気のせいでしょう。
作者のストイック男好き萌がビシバシ伝わって参りますが、私に言わせるとまだ甘い。己の甘さに苦しんでいるようなヒヨッ子は、趣味ではありません。まして、女に惚れてびびっているようでは、まーだまだ。

内容は、実はタイトルから『ブルーブラッド 虚無編』のような話かと思っていたら、そのものでした。学生時代のヴィクちゃん=連也。ユージーン=柳生十兵衛。あの二人も「BB」の頃は青臭かったが、『キルゾーン』のラストあたりでようやく渋みのあるいいおっさんになってくれた。己の剣の道に人生を捧げ、時代に取り残されて年を重ねた、おっさん連也と十兵衛が相まみえる、の方がよっぽどツボなんですけど。
うーん、好みの問題かねえ。
Novels
『星界の戦旗』IV 森岡浩之  早川文庫

前作でジントの物語が決着したところで、もうしばらく出ないのを覚悟していたので、今回意外にすぐに続きが拝めた気がします。新章突入です。

話は、人類版図を統べる2大勢力の戦争がテーマに。「アーブによる人類帝国」ではいきなり皇帝が登場し、トップレベルの会談が行われる。その2大国+αの情勢が分かりやすく説明されたところで、ジントとラフィール、そして、今回からレギュラー入りらしいラフィール弟が登場。そして、情勢は、彼らを巻きこんで、急転直下していく…。

いやあ、戦記物の醍醐味であるワクワクの展開がうれしいです。この続きは、あまり待たせないでくれるとうれしいなあ。
『解決 浪漫倶楽部』遠藤淑子  Jets Comics

タイトルの『解決 浪漫倶楽部』は、大正時代、万里小路家の空子お嬢様が、世の平和のために活躍するシリーズが4作。また、このシリーズ以外の読み切り短編が3作収録されています。
感想はオビの言葉に全く同感。曰く、「侯爵令嬢、美少年、帝都、大正、女学園… これだけそろって、何故こうなってしまうのか」。まさしくこの世界こそがオーソドックスな遠藤節だからでしょう、多分。
『バルバラ異界』3巻 萩尾望都  フラワーズComics

萩尾望都のSF最新作。話についていけないので、立ち読みはほとんどあきらめた3巻目。話は核心に近づいている気配です。今の所、キーパーソンの世羅ヨハネと某氏。キリヤとバルバラ世界の彼。異なる時空は少しずつ歪み、少しずつ重なる。青羽の棲む火星の記憶だけが、今はあまりに隔たっている気もしますが、この先どうつながってくるのか。

作家の、とっておきの芸を見せる楽しみが伝わってくるような本作。どうか最後まで、楽しく(本来の意味で)描ききって下さいますよう。
『おうちがいちばん』1巻 秋月りす  竹書房

秋月りす新作4コマ。一時、朝日新聞土曜版にも連載しておりました。主人公は共働きの主婦で夫と一男一女の4人家族。すぐ隣の敷地内に、実の両親と妹1人。そんな平均的一家の、ほのぼの生活4コマです。
なんの変哲もない。でも、おもしろいんだな、これが。
『豪放ライラック』2巻 桑田乃梨子  ワニブックス

舞台は私立女子校とその寮。青春まっさかり、ラブもある、はずなのに。それがここまで、身も蓋もないコメディになるのがやっぱり凄い。そして主人公が、あらゆる場面でのボケ役を1人でこなしているのが、ある意味、最強と申せましょう。

そう言えば、この人の『だめっこどうぶつ』が、1月からアニメ化される予定です。遠藤淑子よりも、川原泉(映画化は別)よりも、先にこれが来るとは思わなかった。
Novels
『誰も猫には気づかない』 アン・マキャフリー 創元推理文庫

おとぎ話のよく似合う、中世的世界を舞台に、猫の活躍するファンタジー。以前に猫バカ御用達として皆様におすすめいただいたのですが、このたびようやく読めました。割と短めなので、読み始めたらあっと言う間でした。おもしろかった。

若き領主に仕え、公国を支えてきた老練な摂政が亡くなった。彼亡き後、彼の飼い猫だったニフィは、跡を引き継ぐかのように、領主の近くにあって彼を補佐するようになる。そうして若き領主と公国に陰謀の魔の手が迫るとき、「影の摂政」は、人知れず大活躍するのであった。

『長靴を履いた猫』のような設定ですが、サビ猫(黒茶の毛色はこうも呼ばれます)のニフィは一応、本当に猫にできそうなことしかやりません。例えば書類に目を通したり、狩に同行して猛獣から主人を守ったり(笑)。それでいて、重大任務を果たしてしまうニフィ、ラブです。ただし、それは前摂政の心が乗り移っていたからということにはしてしまったのはちょっとイヤ。亡き友との友情の証に、ちょっとだけ、秘めた力を人間のために提供する猫、でいいじゃないの。

作者の猫バカぶりが伺える1冊。『夏への扉』(ハインライン)と比肩できるかもしれません。
Novels図書
『ダレン・シャン』シリーズ ダレン・シャン作/橋本 恵訳 
「奇怪なサーカス」/「若きバンパイア」/        小学館
「バンパイア・クリスマス」 

『ハリー・ポッター』とほぼ同時期にスタートした、児童文学の人気シリーズ。明るく健全な「ハリポタ」に対する、ダークな方向の雄と聞いておりました。このたび、シリーズは12巻で完結したそうです。その1〜3巻。

主人公ダレンは、中学生くらい。ある日、ダレンの住む街に、「シルク・ド・フリーク」なる、フリークショーのサーカス団がやってくる。文字通り、異形の人々を見せ物とするショーに眉をひそめる大人達。しかしその猥雑な臭いに、すっかり虜になったダレンは、こともあろうに、出演者の1人、Mr.クレプスリーの飼っていた毒蜘蛛を盗み出してしまうのだが…。

フリーク、見せ物小屋とくれば、つい連想されるのは江戸川乱歩の世界。あそこまでR指定ではないものの、あれに通じるダークで猥雑な気配が、シリーズを通じてたっぷり詰まっています。ただ、主人公のダレンが毎度軽率で、学習能力が無さそうなのが、ちょっと気になるところ。まあ、その分クレプスリーがいい漢なのに救われています。

図書館でたまたま手に入った順に読んできたので、ここまでにやたら時間がかかってしまいました、そろそろ、一気にリクエストしてみようかな。

Novels図書
『二人道成寺』 近藤史惠  文芸春秋社

大部屋役者の小菊と、今泉探偵が、歌舞伎の世界に起こった事件の謎を解くシリーズ最新作。このシリーズ、実はいつも、ミステリ的にはどーよ?という、内容なのですが、ここで描かれる梨園という小宇宙が、時にどうしようもなく魅力的に見えて、つい追いかけてしまうのでした。

探偵今泉は、新進気鋭の人気役者、中村国蔵に調査を依頼される。依頼内容は、同じく人気役者である岩井芙蓉宅が火災に遭い、芙蓉の妻が意識不明の重体に陥った事件について、不審な点がないかを調べるというもの。一見、疑いようのない不慮の事故に思えた事件に対し、芙蓉と不仲との噂もある国蔵が、わざわざ調査を依頼してきた理由は…?

今回も、独特の人間関係が興味深かった。どんな世界でもそうそう、愛憎ドロドロしているはずはないとは思うのですが、やはりあそこには妖しくも美しい妄想がよく似合う。このところ、すっかりあの手の文化のかほりから遠ざかってしまったなあ。
『げんしけん』1〜5巻  木尾士目 アフタヌーンKC

この秋からのアニメ化されたものを観て、つい原作にも…(以下略)。オタクなキャンバスライフをリアルに描いたことで、巷の話題となっております。

どちらかというと、オタクの内輪受けネタはお腹一杯な気分だったので、最初は迷いました。それでも読んでみれば、思ったより内輪受けネタは少なかったです。最初はオタクの身も蓋もない生態がテーマであったのが、巻が進むに従って、彼らなりの青春群像が焦点になってきた気がします。微妙にすえた臭いも漂うものの、彼らの生きているのは、まだまだ甘酸っぱい季節の中なのであった。

さて、「げんしけん」の正式名称は現代視覚文化研究会。主な活動内容はマンガ、アニメ、ゲーム等の視覚メディアを鑑賞し、それについて研究すること。と、いえば聞こえはいいですが、要は集まってはオタク話で盛り上がっているだけに近いサークルです。そこに、一応主人公の、ノーマルオタク笹原君。外見はオタクに見えないイケメンの高坂君と、高坂に惚れたばかりに、オタク集団に足を突っ込んでしまった、一般人の春日部さん。帰国腐子女のコスプレ命、大野さん等々が入会し、まったりとぬるい日常を繰り広げるのでした。もしかして、『究極超人あ〜る』の光画部の面々が大学生になったとしたら、こんな感じかもね。生徒会ならぬ、学生会とのバトルもあったりするし。

感心したのは、原口さんのキャラ。「ああ、いるいる。こーゆーやつ!」っと思わず膝を打ちました。それと、最新刊。コミケ初参加で完売御礼とは、また、うらやましいことで。
Novels図書
『ハリーポッターと不死鳥の騎士団』上下 
       J・K・ローリング作/松岡佑子訳  静山社

相変わらず図書館待ち組をやっております。世界一のベストセラー最新刊。今回は割合い早く入手できたかもしれません。さて。

前作でついに復活のラスボス、ヴォルデモート卿。夏休みの恒例として、ダーズリー家に戻ったハリーは、闇とも恐怖とも縁のないマグル達の中で1人焦燥感をつのらせていた。そしてある夜彼は、マグル社会の一画で突然、吸魂鬼に襲撃される。その場は何とか吸魂鬼を撃退できたものの、許可無くマグルの社会で魔法を使ったことは、後々、大問題となってしまう。
ともあれ、ヴォルデモート(以下ヴォ卿)の復活によって、活気づく「死喰い人(ヴォ卿に忠誠を誓った者達)」。一方、反ヴォ卿陣営の魔法使い達は、かつてヴォ卿に抗戦した組織である「不死鳥の騎士団」を再結成し、対抗策を練る。騎士団本部にて、懐かしい人たちと再会するハリー。そんな中で、ホグワーツの新学期が始まる。ハリー達5年生は、魔法使いとしての重要な節目である「OWL試験」を控えた、ハードな日々が待っていた。

いやー、ここに来て全編に漂う雰囲気はいっそう、ダークになって参りました。もう誰がいつ死んでもおかしくないような重苦しさ。これまで学校の中は、基本的にハリーがヒーローとなれる楽しい空間であり、作者のえこひいきもひとしおであったのですが、今回はそのお約束が通用しなかった。今回、ホグワーツは恐るべき敵によって陥落寸前の危機に陥ります。今度ばかりは、ダンブルドアにさえ頼ることができないまま、強大な相手に立ち向かわなくてはならないハリー。果たして…?だったのですが。

うーん、しかし。最後まで読むと、どうも今回の話は??なんだよなあ。鳴り物入りで復活したヴォ卿は、いったい何をしたのか?少なくとも、今回綿々と描かれたホグワーツの危機には、あまり彼は関与していなかったような。
今回の危機の80%くらいは、単に魔法省が石頭の分からず屋だったことが原因のような気がしますが、ハリー&ダンブルドア。勘違いした小役人ににらまれただけで、ここまで直截的な危害を被りますか。1生徒のハリーは仕方ないとしても、今回ダンブルドアの役立たずぶりは、あんまりではないかと。せめてこれが、ヴォ卿がしくんだ陰謀だったとか、魔法省は長い間の工作により、組織ぐるみ死喰い人の手先になっているとかいうオチがあれば、まだ納得がいったのですけど。

たぐいまれなる魔力を持ち、吸魂鬼を操り、狡猾さと残忍さを併せ持つ敵であるヴォ卿。彼との全面対決を控え、騎士団に勝ち目はあるのか?というわけで、ここらでヴォ卿が、これまで出し惜しみしていたパワーの一端を垣間見せるかと予想していたのですが、そのあたり、ほとんど出て来ませんでした。上下巻このページ数を使いながら、話は『アズカバンの囚人』以後、あまり進んでいない気がするんですけど…。

それと、個人的に残念なのは、スネイプ先生のここぞいう見せ場が、肩すかしだったこと。スネイプ先生が、ハリーの頼れる唯一の騎士団員として残されたその時。感情的な葛藤を抱えつつも、騎士団員としての義務を全うする男前な彼の姿を見てみたかった。今のままでは彼は、過去のトラウマを克服できないまま、自分の存在意義を問うことすらできないヘタレ。ああ情けない。

さて、最後に今回お亡くなりになったあの人の冥福をお祈り申し上げます。ハリーと彼とが誰よりも強い絆で結ばれていたという話は、もしかして萌えネタとしてはメジャーであったのかもしれないですが、そのあたりに疎い私にとっては、あれ、そうだったの?と意外に思ってしまったところでした。あの人はハリーにとって、おみやげをくれる親戚の小父さんのような位置づけなのかと思っておりました。
しかし、彼がなぜあそこで死ななくてはならなかったのか、今考えても、どうしても分からないのですけど。次巻で作者の意図が明らかになるでしょうか。