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水谷徹はある日気がつくと、見たこともない世界にいた。それだけならまだしも、長い金髪にセーラー服という、うなされそうな格好で。その世界には、また、クラスメイトの小泉(女)が魔女役で登場し、ドラゴンや騎士やお城の姫君が当然のように存在する。徹と小泉は密かに結論した。「これは、誰かの夢なんだ」 と、言うわけで、あまりにもベタな夢オチファンタジーでした。すみません、夢オチはどうも苦手なので、やはり、それほど評価できませんでした。ただ、小泉が生き生きしたいい子なので、わかつきめぐみさんの挿絵が良く合っていた。 |
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児童文学の古典的名作で最近改訂版として文庫化されたそうです。誰かが、My心の書として取り上げている書評を見かけたので、手に取ってみました。 小学6年生のリナは、父親の薦めで、夏休みに「霧の谷」という町に旅行することになった。地図にも載っていないそこは、山奥にひっそりとたたずむ、小さくおしゃれな町。たどりつくなり、下宿屋の主人という意地悪なおばあさんにきつい一言をくらうリナ。リナの滞在する下宿「ピコット屋敷」のモットーは、「働かざる者食うべからず」。翌日からリナは自分の食い扶持を稼ぐために、町の住民のところに、働きに出ることになったのだが…。 裏表紙にの紹介文に『千と千尋の神隠し』に影響を与えたとある通り、設定は近いものがあります。「ピコットばあさん」=湯婆婆というのはうなずけるし、働くことで、他人と関わって成長していく少女というテーマも共通しています。 私は子供の頃には、ほとんどこの手の女の子向けの児童文学を、読んでいなかった気がします。今にして読むと、この世界のふんわりした魅力も分かる。しゃれた町の魅力的な住人達。美味しそうな(太らない)料理とお菓子。そうしたふしぎ世界に迷い込むのも、ファンタジーの醍醐味でありましょう。子供に読んで欲しいとは思います。 でもその頃私が好きだったのは、結局、謎の転校生や、少年探偵団や、アルセーヌ・ルパンといったダイナミックな冒険の世界であったようです。もしもう一度、戻れたとしても、きっとそれは変わらないだろうなあ。 |
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GAINAX出身の、最近は主に漫画家である鶴田謙二さんの最新作。この人は以前『Spirit of Wonder』という作品を読んで、ノスタルジックな雰囲気が気に入っておりました。今度は、探偵ものの連作です。 伊万里マリエルは、水の都ベネチアで、しがない探偵業を営んでいる少女。というのは表向き、その実体は豪華なお屋敷に住むお嬢様であった。マリエルはその屋敷のまぎれもない相続人でありながら、相続の条件を満たしていないために、宙ぶらりんの身分のままになっていた。その条件とは、家宝でありながら、先代の時代に紛失したままになっている、一枚の絵画「Forget me not」を探し出すこと。マリエルは、仕事熱心な管財人に背中を押されつつも、日々探偵の修行に励むのであった。 そういえば、以前デュアル文庫版『エマノン』シリーズ(梶尾真治)の挿絵が鶴田さんだったのを思い出しました。気取らないジーンズ姿の女性を描かせたら、鶴田さんにかなう人はそういない気がする。でもちょっと、マリエル胸でかすぎ、かも。 そして相変わらずのノスタルジックな空気。やっぱりいいです。 |
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TONOさん、うぐいずみつるさん姉妹が、「うぐいす姉妹」というコンビ名で、いろいろなところで長いこと続けていた猫エッセイマンガ。一時期、いろいろ買い込んだ猫マンガの中では、かなり気に入ったシリーズでした。 実は、TONOさんの他の作品は読んでいないのですが、可愛い絵柄と、シミカルでブラックな作風の噂は聞き及んでいます。このエッセイも、要は自分の飼い猫がいかに可愛いくて、その生活がいかに幸福かを延々と語っているだけなのですけど、そこにTONOさん本来のシニカルな毒がほのかに漂っていて、甘くなりすぎず、いい味を出しています。 うぐいす家代々の猫たちのキャラもみな個性的。おおらかで楽天的な「しま」(他界)。かしこくて繊細な「ゴロンタ」(行方不明)。天使のような外見とハードな性格の「ニャンニャン」(他界)。他にも、この一家が愛し狂っていた「ハナ」が、行方不明になってしまったことを、つい最近に知ったのですが、私まで胸が痛くなりました。 この4巻の中では「カエルライオン」の話がおもしろかった。猫って本当にくそグルメ…。 |
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小野不由美、2年ぶりの新作。しかし、ミステリーということで、過去の苦い記憶もつい蘇ってしまうこの頃。それでも、1000円以内の文庫か新書なら、ご祝儀として購入しても良かったのですが。2000円はさすがにハズレたら痛いので、今回は図書館リクエストにしました。 主人公耕介は、小学6年生。夏休みに、父親に連れられて、亡くなった母方の本家という、古くて暗いお屋敷に滞在している。どうやら、本家では相続の「跡取り」を決める問題が持ち上がっていて、耕介の父はその候補の1人であるらしい。同じ年ごろの親戚の子供達と過ごす本家の日々で、ある日起こった奇妙な事件とは? 感想は…。実はネットの知り合いによる評価だと、あまり好意的なものがなかったので、つい読む前に心の準備をしてしまいました。そのせいか、途中までは思ったよりおもしろかったです。これにどうオチをつけるのか?とワクワクしました。しかし、オチは…。噂通りツッコミどころが豊富でした。座敷わらしが誰か?という謎は、けっこう良くできていたと思うのだけど、それ以外があまり…。ネタバレいきます。 まず、三郎さんのキャラが怪しすぎでした。最初から彼が関与しているのが見え見えなんだもの。それはお約束として譲れたとしても、そもそもの設定にやはり、無理がありすぎです。跡取りが生まれないので、成人した子供世代を差し置いて、子供のいる親戚に跡取りを選ぶという「呪いの家」。ホラーならともかく、普通に考えれば、犯罪に走るよりは、まっとうに弁護士を雇って、相続の法定遺留分を争う方がよっぽど確実だと思います>犯人。そんなに遺恨を残しまくりの相続方法は普通、今の今まで続かないと思う。 また、子供達の推理にも、ちょっと突っ込みたい。推理の前提として、跡取り候補たちは犯人でないと仮定しているのは何でだ?跡取りの座を本気で狙っている人なら、他の候補を追い出すことをまず考えるだろうし、自分のお膳にわざと毒を入れて、食べたふりをすることくらい、やってもおかしくないと思う。第一、その論法でいけば、「急に候補者になった」人は、それに気づいた時点で、それ以上の小細工をする必要がなくなるはずなのだが。 せめて、犯行の動機が単なる財産目当てでなくて、何かあっとおどろく謎があったのなら、まだ納得できただろうに。そのあたりはもう少し何とかして欲しかったです。 あと、子供から見た場合、ああいう子供達はどうなのかなあ。慣れるまで、梨花ちゃんの台詞の枕詞「大人は〜」「大人って〜」は、相当鼻につきました。 |
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ここ1週間だけのことですが、片道2時間弱の遠距離通勤をするはめになったもので、本が読めた読めた。おかげで感想が追いつかなかったのですが、順番にアップして行くことにします。さて。 初版1983年発行。SF者必修の古典的ドタバタ活劇であったらしい。神林さんは、中堅どころの実力派SF作家として話には聞くものの、作品は読んだことはありませんでした。それがこのところ、『戦闘妖精・雪風』がOVA化されたり、この『敵は海賊』に由来する名前の、黒と白の猫を飼っている人をネットで見かけたりで、気になりだしたので、入手できたこの2冊をこの機会に読んでみました。 人類が銀河へ進出し、星から星への航海が日常となった未来世界。広がった人類の版図に辺境有り。文化都市あれば無法地帯有り。そして長大な航路には出没する海賊あり。 そしてその世界に、海賊の中の海賊王として君臨する1人の男がいた。人間離れした冷酷非情なその男の名は知る人ぞ知る(というか、知った者はあまり生き残っていない)、ヨウメイ(漢字が出ない)・シャローム・ツザッキィ。 しかしその一方で、無敵のはずの海賊王が唯一恐れる存在があった。それこそが、太陽系警察の一部署である対海賊課。そこのしがない公務員であるはずの海賊課の刑事たちは、海賊に拮抗できるだけの凄腕かつ、目的のためには手段を選ばぬ、ある意味常識の埒外の存在であった。 その2者が壮絶な死闘を繰り広げつつも、海賊課刑事のラテル(人間・男・独身)とアプロ(黒猫型異星人)のコンビが繰り広げるドタバタ漫才が見物でした。ヨウメイは、どこかノース・ウェスト・スミスを思い出させます。ハードに登場していながら、実はヘタレなのか?思わされるところとか(笑)。とりあえず、天野喜孝さん挿絵の、肩の力の抜けた黒猫アプロが可愛いかったので、それだけでもOKです。 |
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『あずまんが大王』の作者の新連載。先月買ったのに、読むのがずいぶん遅くなってしまった。 ある日引っ越してきた、父子2人の家族。翻訳家の若いとーちゃんと、最強パワフルな少女よつばちゃん。そして、そのお隣には、あさぎ、風香、恵那という名のタイプの違う3姉妹が暮らしている。そんなよつばちゃんと、とーちゃんと、隣家3姉妹の、ほのぼのした日常を描きます。 テイストはおおむね『あずまんが大王』な感じ。ほのぼの感と独特の間は健在です。この巻では、作中で、よつばとーちゃんの言った台詞「よつばは、外国で拾った」が気になるところ。先が楽しみです。 |
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宇宙連邦警察の捜査官バーディー(♀)は、捜査中の犯罪者を追って地球に潜入したが、逮捕の立ち回り中にうっかり、原住民の少年を巻き込んで重傷を負わせてしまう。償いのために、少年の身体が修復できるまでの間、バーディーは少年「千川つとむ」の意識を自分に宿し、彼の姿に変身して日常生活を送り、捜査も行うこととなった。かくして、千川つとむとバーディーとの、ハードな2重生活が始まったが…。 ゆうきまさみの新連載。今から20年?ほど以前に連載し、未完のままになっていた同名作品のリメイクです。再録はなく、最初からの書き直しでした。 設定の通り、明らかに『ウルトラマン』へのオマージュとして始まったらしいこの作品。主人公がウルトラマンに変身する代わりに、パワフルな美少女に変身したらどうなるか?というのを狙ったらしいですが、20年前ならともかく、今はそれだけでは、とても話が続かないよなあ。しかしこれまでのところは、忠実に以前の話をなぞっている感じだったので、どうも印象が中途半端です。 つとむ君はヘタレだし。バーディーは色気ないし(過剰にあるとうっとおしいが)。漫才もそれほどないし。敵組織や、連邦警察の描かれ方も、全体的に古い。もう少し自由に、今ならではのアレンジをしてはどうかなあ。3巻以降に期待します。 |
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南米原産の植物でありながら、瞬く間に世界中で栽培されるようになり、やがて、人間社会に頑固に根を下ろしてしまったタバコ。このタバコの謎を追って、世界中を旅する大冒険の書、なのかもしれない。 先日ハマった『夏のロケット』の作者の作品と言うことで、読んでみました。もし作者が川端さんでなければ、タバコを題材にした小説というだけで、警戒して読まなかったかもしれません。本音を言わせてもらうなら、私はタバコなどこの世から消えて欲しいと思っている方なので。 そういう意味では、これはなかなか難しいテーマだったと思います。嫌煙家としては、作品中でタバコを無神経に賛美されたりしたら、その場で読むのをやめたでしょうし、愛煙家であれば、耳に痛いお説教は聞きたくないことでしょう。 その点は、タバコの文化的、社会的位置づけは一応、様々な立場から公平に検証されているようで、読んでいて特にひっかかるところはありませんでした。植物であり、工業製品であるタバコの、文化的、宗教的、歴史的関わりを追う、壮大なミステリー。なかなかおもしろかったです。さて。 日本のキャリアウーマン、喜入明子(メイ)は、自社で開発した「無煙タバコ」をアメリカで販売するために、ニューヨークの大手タバコメーカーに営業にやってきた。無煙タバコとは、火を付けずにくわえて吸うだけで、ニコチンと香味が吸入できる、画期的な新製品である。販売にあたって、特許等のクリアすべき問題を検討していたメイは、植物としてのタバコの専門家、カルロスと出会う。どうやら、無煙タバコをめぐって、カルロスの祖父である、ロクサノ・テンマという人物が重大な情報を握っているらしい。メイは、カルロスとともに、ロクサノの消息を訪ねる、遠大な旅に出る羽目になったのだが…。 前述のように様々な側面から、タバコに対してアプローチしておりますが、中でもタバコという植物の、先祖帰りのメカニズムが興味深かったです。ウィルスによる遺伝子変異が、種子によって次世代へではなく、一緒に植えられている別の個体に伝染し、同時期に広がっていく。あたかも、植物の都合のいい形質のみを利用してきた人間への反乱のように…。これを読んで思い出したのが、岡崎二郎の『緑の黙示録』でした。おまけに、偶然なのか、この「緑の黙示録」という言葉、本文中にしっかり出てきている。テーマ的にもこの2作は通じるものがあり、これが偶然ならば、時代の共時性というものを感じさせます。ちなみに、この本の発行は2001年6月で、『緑の黙示録』の最初の雑誌掲載は2001年3月となっておりました。 周囲に受動喫煙の害を与えずに、いつでもどこでも楽しめる無煙タバコ。早く発売されてくれないかなあ。 |
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終わりました。「北斗杯編」最終回と、最後の番外編を収録して、これでついに本当に「ヒカルの碁」という物語が完結いたしました。 連載終了から早4ヶ月?さすがに頭は冷えました。と、いうより去ったものへの関心は薄まるものなのでしょう。その今となって読めば、あの北斗杯編の終わり方は、それほど悪くなかったかもしれない。「俺たちは、遠い過去と遠い未来をつなげるために、碁を打つのだ」という台詞が決まったし、ヒカルやアキラや高永夏ら、伸びゆく若者たちの築く未来が暗示されてもいました。 ただ、やはり、もっとうまく終わらせることはできたはず、という感覚は付きまとっています。もし、急遽連載終了が決まったのだとしても、例えば最後の2話の部分程度でも、もっと何とかできるはずだった。楊さんと行洋先生の会話は、伏線でなく、もっとこれまでの総括的なものにすることもできたはずだった。それも無理ならば、せめて、意味不明な最後の1ページは削ってほしかった。 そして、物語を補完することのできる最後の機会であったはずの番外編。雑誌掲載時にこのページを意気込んで開き、そして脱力してしまった私を許してください。個人的には、前半はいらなかった。どうせなら、後半の少年達の話を、ヒカルやアキラの今後とからめて、じっくり描いてほしかったです。それでなければ、緒方さんの過去の話とか。ダメ? あの連載終了時に、何があったのかは、結局知ることはできませんでした。この最終巻を読んで尚、解けないなぜ?は、このまま埋めることにします。小畑さん、ほったさん、本当にお疲れさまでした。お二人の次回作を楽しみにしております。 最後に、ほったさんの欄外コラムについて。小学館漫画賞の受賞後の祝賀会で、萩尾・竹宮両先生と話せたと、興奮していたのが、微笑ましかったです。気持ちはとってもよく分かるぞ(笑) |
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「封殺鬼」シリーズ羅ごう編最終章。ラストスパートには違いないが、まだ何冊かは続きそうな気配です。 大物の神様が出そろって、最終決戦迫る。ラストが近づいて、やけに悲壮感が漂ってまいりました。ドツボにハマっているのは、今回は弓ちゃんです。 一皮むけてそれなりに頼もしくなった達彦。進歩のない三吾。三吾はちょっとは煙草をひかえたほうがいいと思う。1冊の中で、計11本の煙草に火をつけていた…。 弓ちゃん、本当に自分の命を引き替えにするつもりなのか?また、生き返ってくるんじゃないのか?どうなることでしょう。 |