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2002年 12月度
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『あずまんが大王』全4巻 あずまきよひこ  メディアワークス

けっこう前から、かなり売れていたらしいシリーズ。周囲の評判はいろいろ聞いていたものの、推薦者がほとんど男性で、しかもオタク度が高いとあって、ちょっと警戒しておりました。ついでにアニメ版が深夜放映だし。可愛い女の子の表紙だし。さすがにアブナくないのかなーと…。

が、そのアニメを、ようやくビデオでレンタルして観ました。文句なくおもしろかったので、原作もGET。うーん、この何とも言えない間がすごい。それを、見事に映像化したアニメもまたすごい。可愛くて、シュールで、ほのぼので。そして、笑えます。

ストーリーは、とある高校に通う少女たちの3年間を、まったりと描いたもの。夏休みや体育祭や文化祭といった、定番の学校行事を追いつつ、のんべんだらりと過ぎる日常。別に女子校ではないのに、男子のほとんど登場しない学内で、10歳ながらスキップして高校に入学した天才少女「ちよちゃん」、猫好きなのになぜか猫に嫌われる「榊さん」、とろくさい大阪出身者「大阪」、ハチャメチャ教師「ゆかりちゃん」等、イキのいい女の子たちが、ごく自然体で闊歩しています。
女の子たちのタイプは何というべきか。オタクに受けるポイントをしっかり押さえつつも、男のドリームだけでないリアルさがあって、そのあたりは絶妙なバランスを感じます。受けるわけだよなあ。

榊さん家のマヤーちゃんが欲しいです。
Novels
『マリア様がみてる 〜子羊たちの休暇』 今野緒雪  コバルト文庫

『マリア様がみてる』シリーズ最新刊。期末テストも終わり、いよいよ夏休みに突入するリリアン生徒たち。祐巳は、大好きな祥子お姉さまから、別荘への招待を受けたのだが…。

こちらの世界はクソ寒いのに、物語中では夏休みでしかも、避暑地の別荘などと、妙にうらやましいのですが、それはさておき。前巻で仲直りして、順調に親密度を上げている紅薔薇姉妹はなかなか、じれったくもほほえましかったです。

しかし、新参者の祐巳に高級別荘地の風当たりは強く…というこの展開は、ちょっといただけなかったです。トゥシューズに画鋲を入れるような世界が、今更出てくるベタさに、違和感を感じたし、何より、周到に画策された嫌がらせに、性格の良さだけで対抗する祐巳っていったい何者?もはや、あの祐巳ではないような気がするんですけど。いっそ本当に安来節を踊ってくれた方が、なんぼかマシだった。

楽しみにしていたシリーズですが、そろそろ様子を見ることにしようかしら。

『ベルセルク』24巻 三浦健太郎  白泉社JetsComics

このところ、行く宛てもなく悲惨な旅路を続けていたガッツたち一行の前に、一筋の光明が…。この世の理を知る者「魔女」フローラとの出会い。彼女はガッツたちにささやかな手助けを申し出る。この出会いは彼らに、何をもたらすのか?

久々に因果律の話が出て、話が少し物語の中心に戻ってきた気がします。これまでのところ、やられっぱなしのガッツ。少しは挽回なるか?楽しみです。
『あかりをください』 紺野キタ  幻冬舎Comics

『ひみつの階段』他で気に入った、紺野キタさんの読み切り短編集です。
表題作は、母親の死後に、母親の再婚相手と妹と暮らす、高校生の女の子が主人公です。彼女が継父に寄せるほのかな想いがせつなくて、思わずじんときてしまった。
やはり、この人の描く女の子は絶品。現実には、いそうもないながら、それでも生き生きと物語の中で動いているところがたまりません。時々見かける、ドキッとするような鋭いセリフも良いです。
『百鬼夜行抄』10巻 今市子  ネムキComics

「律君と仲間たちの奇妙な日常?」はや、10巻目です。正直、前巻あたりでは、マンネリも仕方ないかと思っておりましたが、この巻でまた、ぞおっとする怖さが健在で、かなり持ち直しています。さすがだあ。
『ヘウレーカ』 岩明均  白泉社JetsComics

紀元前200年代、ローマ帝国の支配下にあったイタリア。シチリア島にあるシラクサ市は、ローマを見限って、ローマの宿敵カルタゴに味方した。シラクサに攻め寄せるローマ軍は、シラクサに住む天才数学者、アルキメデスの製作した防衛機械に蹂躙されてしまうが…。

アルキメデス先生と言えば、お風呂で浮力を発見し、喜びのあまり素っ裸で街を走り回ったという逸話のある人で、このタイトルは、その時先生が叫んだと言う言葉に由来しているのでしょう。

物語は、シラクサに住むスパルタ人ダミッポスと、ローマ人の娘クラウディアを通して、この第2次ポエニ戦争を描きます。話としては短くて、やや散漫な印象でした。おそらくどこかで、戦争における技術の功罪のようなものを、問いかけたかったのではないかと思うのですが、そのあたりのテーマが、絞りきれていなかった気がします。ただ、読み終えて、「まったくいつの時代でも人間てやつは…」といった歴史の哀感は十分伝わってまいりました。

スパルタ人のくせに、気の弱い優男のダミッポス君が、それでも頭脳力でローマ艦隊を翻弄するシーンなど、なかなか印象的なのだがなあ。
『新世紀エヴァンゲリオン』8巻 貞本義行/GAINAX  角川ComicsA

1年ぶりに、不意打ちで対面すると、ちょっと感動します。マンガ版の最新刊。
内容は、アニメ版とそう変わらず。ただ、そろそろほころび始めていたアニメより、さすがにストーリー的に整合性がとれていて、アニメであえて出なかった部分を補完しておりました。
ううう、加持さーん。
Novels図書
『桜姫』 近藤史恵  角川書店

『ねむりねずみ』に登場した、探偵今泉と大部屋役者の小菊が、再び登場するミステリーです。

その年、例年小菊たち大部屋役者が開催する勉強会の演目「桜姫 東文章」が、小劇場ながら本公演として上演されることが決定した。それ自体は、滅多にないチャンスであったのだが、小菊はなぜか釈然としない。

一方、そこで主役の桜姫を演じる若手女形、中村銀京は、鍋島屋の1人娘笙子に接近する。彼は笙子に、幼少の頃に亡くなった笙子の兄の死の謎を解き明かしたいと持ちかけるのだが…。

メインは笙子の兄の死の謎であり、そこに、公演中に起こったある悲劇の謎や、銀京の目的などが絡んで、話が展開していきます。笙子の兄の謎自体は、なかなかドラマチックで意表を突かれる展開でした。ただ、もう一つの事件の方は、結局あまり、メインの方に絡んでいなくて、話がやや散漫になってしまった感もあります。

例によって、登場人物が生き生きしており、細やかに描かれた人間関係と心理描写に引き込まれて、おもしろく読めました。しかし、謎が解かれた後に、結局、銀京と笙子の2人はどうなったのよ?という、オチがなかったのはちょっと、残念です。
『ONE PIECE』26巻 尾田栄一郎  少年JUMPコミックス

「空島」の冒険、続く。実はこの章ですが、あまりよく読んでおりません。
ごく単純に、おもしろくない。ルフィたちは、なぜ空に来たのか。そして、そこで何をしているのか。読んでいて、物語の状況も必然性も把握できないままで、まるで危機感のない戦いが延々と続いている気がして。

アラバスタ編が終わったので、少し本編から離れて軽めの外伝をやっておくというのは、悪くないと思う。ただ、もう少し、空の世界のルールが読者に分かりやすくなっていたら。そして、ルフィたちがなぜ戦っているのかが、納得できれば。未だに消化不良気味でいます。
『グーグーだって猫である』2巻 大島弓子  角川書店

大島弓子の猫的生活エッセイコミック、2巻目です。夏からずっと発売延期を繰り返してきて、ようやく入手できました。2巻はいきなり、1巻の最後にあった、作者の癌の手術と治療の話から始まります。

悪性腫瘍が発見され、手術することになるまでのいきさつ。手術と術後の抗癌剤治療。結果として、手術も治療も成功し、5年後の今も、何事もなく生活していると書かれていたのが何よりですが、はっきりいって、猫どころでないヘビーな状況であったと思われます。しかしそれが、どこか他人事のように、淡々とユーモアさえ漂わせて描かれているところがすごい。この何のてらいもない、まさに天然の境地は、大島弓子の独壇場であったと思います。

そして、人間の闘病が一段落したところで、もちろん猫の話も続く。ニューフェイスの、長毛ミックスの黒猫「クロ」。皮膚病を患い、目も良く見えない状態でやってきた「タマ」。2巻は、タマの治療の途中で終わってしまうので、早く4匹が勢揃いした話の続きを読んでみたいと思ってしまいました。

あくまでもこの作品から感じる作者像について思うこと。人は50年生きてきて尚、こんなふうに、哀しいほど透明になれるものなのだなあ。
『陰陽師』11巻 岡野玲子/夢枕 獏  Jetsコミックス

さてさて。厚みと内容にびびって、なかなか感想が書けないでいた、『陰陽師』11巻ですが、何とかやっつけてしまいましょう。しかし、厚い。どこかで聞いた「人が殴り殺せる厚さ」というフレーズが思い浮かびます。

ストーリーは、雑誌掲載時に切れ切れに読んでも、皆目理解できなかったのですが、今回まとめて読むと、なんとなく分かる気はしてきたような…。前巻で「安摩」を舞った清明様、そのまま滞りなく手を打って、平安京の初期化と再生をやりとげたらしいです。よう分からんですが、本人的には、最初がすごく肝心らしいので、細心の注意を払って。

それは、万事ぬかりなく成功したらしく、これで、京都はこの先1000年の礎を築いたのだわ、などと大仰に解釈しておりました。実際はこの先も都は何度も炎上し、ボロボロであったと聞いて(くみ様より)、ちょっと、拍子抜けいたしましたけれど。

一連の再生の手順で垣間見えるのは、「易」の世界観。その世界は、「天」が下にあり、「地」が上にあるという状態から始まり、そこから天が上昇し、地が下降するためのエネルギーが循環することによって、万物が動いていくという。陽。地天。そして。相対する二者が有する、それぞれのイメージのせめぎ合い。晴明は今回、絶対的な闇なるものに挑み、それを従えることによって、再び循環を始動させることに成功した、とそんな感じに解釈いたしました。

あいかわらず、精神世界に直リンクしたかのような、イメージの洪水がものすごく、容量不足で全部はとても受信しきれませんでした。読後感は、なにやら宗教体験にでも触れたかのようで、疲れたけど気持ちよかった、というところです。

しかし、最初の頃の作風はどこへやら。行き着くところまで来た感のある、岡野版『陰陽師』ですが、当初の予定ではあと一冊で完結。果たしてちゃんと、収束するのか。そしてどこまで逝けるものか。もはや、別の意味でも見届けるのが楽しみです。
Novels図書
『聖なる黒夜』 柴田よしき  角川書店

図書館の期限が迫っているので、先に感想を書きます。この頃、男同士のハードな恋愛に飢えているという腐女子の皆様へ。自信を持っておすすめしてしまいたい、ゲイ小説。いえ、やはり一部、女のドリームが入っている気がするので、ここはやおい小説というべきでありましょう。作者の『RIKO』シリーズに登場した、山内練と、麻生龍太郎。2人の過去の物語です。

さて、新宿のホテルの1室で、ある夜、暴力団の大物幹部が殺された。入浴中に刃物で殺害されたことから、被害者のごく親しい人間の犯行と推定された。この事件の担当となった警視庁の麻生刑事は、被害者の身近にいた青年実業家、山内練に再会する。山内はかつて、麻生の担当した婦女暴行事件の犯人として実刑判決を受けたのだった。山内の変わり様に衝撃を受けた麻生だったが…。

と言うわけで、この殺人事件の謎を追いながらも、麻生の龍ちゃんが、練の「魔性のゲイ(笑)」っぷりに翻弄され、壊れていく様子が、つぶさに描かれます。練ちゃん、『RIKO』の頃よりはまだ、純情で可愛いです。練と、殺されたやくざの幹部の愛憎とかも、爛れていて実によろしい。

作者の狙いはあからさまです。登場人物(男)は、ほとんど総ホモだし。ただ、読んでいてそれが、そう不自然に感じない程度にはリアリティがあり、事件についてもちゃんと謎が解かれていました。巷のボーイズも、ここまでとは言わないですが、萌え以外のところにも、多少は気合いを入れてくれたら、もうちょっと楽しめるのだけどなあ。


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