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2002年7月度
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Novels
『砂の覇王』8巻 須賀しのぶ コバルト文庫

いつの間にか長くなりました。「流血女神伝」シリーズ最新刊。ちなみに、「砂の覇王」は次巻で終了だそうです。

さて、例によって、えええ!?という展開でした。いつも通り、ネタバレで…。
いやー、やられました。これまでの展開だと、主人公、ハレムに売られる。ハレムの主に、見そめられ、名ばかりの正妃となる。主人公、自分の気持ちに気づく(名ばかりの夫を、本当は愛していた(^^;))。
さて、この後に来るのは、当然、名ばかりの夫に想いをうち明け、実質的な夫婦に…。という展開かと思いきや。やっぱり、少女小説の主人公は、好きな相手以外とHしてはいけないのねーと、納得しかかっていたところが。

まさか、あの何とも思っていないヘタレ男と、いきなり、ヤってしまうとは(すみません、露骨で)。さすがに読めなかったです。さー、どう出るんでしょ、今の本命の夫君は。カリエのバルアンへの感情は、今イチ共感できないところもあるが、次巻の怒濤の展開を見守りたいです。この先、転落を暗示された、ドミトリアス&グラーシカも、目が離せないです。

『おさんぽ大王』6巻 須藤真澄 エンターブレイン

作者自ら、あちこち出かける、ルポエッセイ6巻目。この巻は、『ガラスの仮面』ネタが全開で、笑いましたとも。
すっかり、月影せんせいになりきってしまった須藤さんに導かれるのは、思いっきりネタにされている担当のノナカさん。二人で出かける、5寸釘BAR(((^^;「シジルの罠」は壮絶でした。飲み放題、歌い放題、呪い放題…。うーん、確かに需要はありそうです。

その他には、科学の街つくば。インド大使館、タイの旧正月、歌声喫茶。毎度ながら、作者いっそう、壊れてきた気がする…

Novels
『宙都 第三之書〜風神飛来』 柴田よしき 徳間ノベルス

トンデモ大河伝奇SFシリーズ、最新刊。はっきり言って話が進みません。

どうやら、この章では「青の民」という種族の存在がキーになっているようですが、その正体はとっくに読者には自明のことになっています。なのに、物語中でその情報が届かない人たちが主役になって、不毛な諍いを繰り広げているうちに、一冊終わってしまった気がします。もう、十分に役者は揃ったはずなので、とっとと、ハルマゲドンでもなんでも、突入してほしいものです。カップルの痴話げんかは、もういいから。

危機管理委員会も、あんなマザコンの集団なら、あまりに情けないぞ。

Novels図書
『百年の恋』 篠田節子 朝日新聞社

篠田節子さんの…、これは何と言ったらいいのでしょうか。
後書きで、自分は「SFパニックホラー出身」なので、チマチマした家庭劇など苦手と書いておりますが、ある意味これは、「家庭を舞台にしたSFパニックホラー」だったりして。なかなか、読んでいてコワイものがありました。

さて、主人公岸田真一は、しがないSF翻訳家兼、サイエンスライターであったが、ひょんな事から、大手信託銀行営業のバリバリキャリアウーマン梨香子と知り合い、あろうことか結婚にこぎ着ける。ところが、結婚生活で見せる梨香子の人格は、仕事上の顔と似ても似つかない、家事無能者だった。超ずぼらで、幼児的。なにかあると、切れて泣きわめく。あっけにとられた真一だが、そのうち、彼女が妊娠し…。

と、言うわけで、梨香子さんのぶち切れた性格が、強烈でした。しかしながら、彼女を理解する努力を放棄して、男のコケンにしがみつくだけの主人公も、十分情けない。テーマとしては、やはりフェミニズムもあることでしょうが、ここではそれを極力抑えて、結婚に伴う異文化衝突が前面に描かれています。描き方によっては、コメディにもなったことでしょうが、この二人が噛み合わない不協和音は、意図してシリアスに描かれたようで、読んでいる間はひたすら不快でした。だからこそ、ラスト近くでのカタルシスが効いています。じわっときました。
Novelsそ他
『魔法の庭』全3巻 妹尾ゆふ子 ファンタジーの森新書

本格ファンタジーの旗手、妹尾ゆふ子さんの初期長編ファンタジー。現在絶版となっているそうで、ゆかりさんにお借りしました。ゆかりさん、ありがとうございます。

さて、これも一口で言えない、複雑な物語でした。主人公は、旅の楽師アストラ。物語は、凍て付く北の地を旅するアストラが、「妖魔の王」シリエンに出会ったところから始まります。アストラは南方の出身ながら、禁忌や制約でがんじがらめになった南方の音楽に見切りをつけ、「うたびと」たちの組織「風の塔」を出奔した。北方の音楽を聴き、それを歌いたいがために。

一方、シリエンは、古い時代、北の地にかけられた「氷姫の呪い」を解くために奔走していた。かつて、北の地の主であった「氷姫」イザモルドは、昔、北の大地が南方からの侵略に遭ったときに、かの地が誰も受け容れぬよう、永遠に氷に封じられるよう、呪ってしまったのである。シリエンは、配下の妖魔たちが、かの地で春を望みつつ朽ちていく声に耐えられず、その事態を打破しようとして、どこかに封印されているイザモルドと彼女の魔法の庭を探していた。そして、アストラは、全くの偶然ながら、かつて氷姫の「魔法の庭」に迷い込み、そこから帰還したことがあったのである。シリエンは、アストラを「魔法の庭」への道案内として、同行しようとするが…。

と、いうわけで、この旅人たちは首尾良く、氷姫の魔法の庭にたどりつき、彼女の呪いを解くことができるか?というのがメインテーマとなっております。そして、途中まではこの、シリエンとアストラの弥次喜多道中が見物。2人で見事なボケとツッコミを披露してくれます。

それでも、話が核心に近づくにつれて、それぞれの抱えているものの重みが明らかになっていきます。天然にしか思えなかったアストラが背負ってきた過去。この事態を招くことになった、「氷姫」の過去の哀れな生い立ち。シリエンをはじめとして、「主」たるものが、否応なしに背負ってしまう僕たちの命の重み。この、力のある者が否応なしに背負うことになる重荷という考え方は、最新作『真世の王』にも通じる、妹尾さんに一貫したテーマである気がします。ラストはやや、詰め込みすぎで分かりにくいところもありましたが、そこに至るまでの、いかにも「ファンタジー」な小道具をふんだんに使った語りは、なかなか読み応えがありました。例えば、「名前を知られると、相手に支配されてしまう」という考え方などは、今では割合良くあるかもしれませんが、それをここまでちゃんと、体系立てて使った人はそういない気もしますし。妖魔の名前を指輪に縛り付けて下僕にするあたりなどは、アイゼンシュタインの『妖魔の騎士』を彷彿させられました。

ただ、妹尾さんの描く主人公の背負う孤独というものは、時々、そこまでしなくても…というものがあって、見ているのが辛くなります。物語において、主人公が意に反して、一方的に使命や責任を押しつけられるという展開は、実はあまり好きではないもので。いえ、「イヤだと言えないばかりに、仕事を押しつけられる話」になってしまったら、読んでいてストレスが溜まると思うのです。背負わせられるのが女である場合は特に。あくまでも、主人公の戦いは、その選択の結果であって欲しい(願望)。今回、氷姫は…。あまりに悲惨だよなあ。
『電脳やおい少女』1巻 中島沙帆子 竹書房

主人公、田中美月は、ごく普通に大学に通い、ごく普通に彼氏を見つけ、ごく普通に生活していました。ただひとつ普通でないことに、彼女は3度のメシより「やおい」が好きな、やおい少女であったのです…。

といった話で、隠れやおらーかつ、ディープなネットユーザーとなってしまった美月の転落人生を切々と綴った、コアに笑える4コママンガ。四コマ誌で月刊連載されていて、楽しみにしています。「やおい」でなくとも、オタク&ネットから足抜けできない身としましては、身に覚えがあるネタ満載で一見の価値ありでした。
まあ、内輪受けだけでなく、敢えて「やおいって何?」という人にも笑えるような、「やおい入門」的なネタも取り上げてあるのは、さすがです。作者もおそらく、相当ディープな世界の住人なのだろうに…。

彼氏とやおいを、常に天秤にかける生活。ネットに溺れていきながら、人間をやめるかを考える。「自分の場合」と「普通の人の場合」とをつい考えた時から、あなたはもう引き返せない。そんな、めくるめく世界。是非あなたもどうぞ。
『忍者飛翔 雪の章』和田慎二 メディアファクトリー

白泉社系の雑誌で、本当に時たま連載されてきた、「忍者飛翔」シリーズも、こちらに移ったようです。これは一応、全作単行本未収録の話。あいかわらずの和田慎二的人情話で、マンネリといえば、その極地ともいえますが、やっぱりこの世界好きなのだわ。

しかし、ネギを使った風邪の民間療法って…。想像するのがこわいかも。

『昔、朧なる男ありけり』 水野十子 花とゆめComics

人気ゲーム『遙かなる時空の中で』のキャラデザインとコミックス化を手がけている水野十子さんの、独立した読み切りシリーズ。天然でぼんやりしていると世間に噂される、その名も「朧中将」が、京の都で鬼やらあやかしやらに出会う、ほのぼのコメディシリーズが3話。そして、それ以外に、シリアスな読み切り短編が2作、収録されています。

この人のオリジナルマンガは、これで初めて読んだのですが、意外と好きなタイプでした。『ハルトキ』マンガも、ゲームのイメージを忠実に描こうとする努力が感じられたし、今回の読み切りも、1作1作丁寧に描き込まれていて、好感が持てました。そう、格別華麗とか、達者とかではなく、この人の印象は、ひたすら職人気質に丁寧なのだなあ。

そしてどの話も、人外のあやかしが登場し、人間よりもよほど綺麗に描かれています。この人の描くあやかしは、なかなかツボでした。
『ONE PIECE』24巻 尾田栄一郎  少年ジャンプComics

新しい冒険へと旅立ったルフィたち。ビビが抜けて気落ちしながらも、新しい仲間(あの人だ!)とともに先に進むのでした。さて、今度の目的地は何と、「空島」。詳しい情報を得るためにたどり着いた先では、ルフィたちの荒唐無稽な夢は、人々に思いきり嘲笑されてしまう。果たしてルフィたちは、伝説の島に行き着けるのだろうか。

新しく仲間になったこの人、なかなか私的には気に入っております。さて、「空島」編。まだまだ序盤で先の展開が読めません。先が楽しみですが、また、長くなりそうだなあ。

Novels
『マリア様がみてる 〜パラソルをさして』今野緒雪  コバルト文庫

前巻『レイニー・ブルー』が、波乱含みで終わったので、待ち遠しかった新刊です。前巻の話にはちゃんとオトシマエがついて、祐巳も成長したし、前白薔薇こと、佐藤聖さまの大学生活を垣間見られたし、なかなか盛りだくさんでした。

ただ、読んでいて祐巳の性格がちょっと…。彼女のいいところというのは、誰にでも会ってすぐ分かってもらえるようなものでもなかったと思うのですが…。なんだか今回、祐巳は周り中から、すごい持ち上げられ方をしていた気がする。あまりに賞賛されるので、妙に居心地が悪くなってしまいました。祐巳はこれまで通り、天然の親しみやすさと強さを持った子でいてほしい。あまりスゴいヒトには、ならなくていいから。

さて、この話は一段落したし、現白薔薇姉妹は安定したようだし。そろそろ祐巳か、由乃さんの妹作りの話が出てくるでしょうか。某瞳子ちゃんは、どう絡んでくるか楽しみです。



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