2002年2月度 |
| マンガ | 小説 | ||
| 図書館GET | その他借り物 |
あなたのために、特別なツアーをご用意いたしました。あなたのどうしても行ってみたいあの時間、あの場所に、1度だけあなたをお連れいたします。お代は300万円いただきます。 という言葉とともに、人々を過去のあの時に誘う、「時の添乗員」。人はその旅路の果てに何を見いだすのか?いやもう、これは時間ものSFと言っていいのかどうか。普通、この手の作品で、SF作家が最も苦労するのは、どうやって過去に行くか。また、同じく、どうやって現在に戻るか。そして、タイム・パラドックスはどうするか。そうした、仕掛けの問題だと思うのですが、これは、そうした仕掛けの小細工を全部とっぱらって、人間ドラマをベタなほどストレートに描いております。それが、あいかわらず、ほろっとさせられてしまうのでした。 オビに「松本零士氏絶賛」とありますが、かの巨匠に、今更おすすめされてもなあ。どちらかというと、故藤子F不二夫氏の系列に連なる人だと思うのですが。そして今後は次第に「添乗員」側の事情が、明らかにされるのか?次巻も楽しみです。 |
||
今市子さんの、ボーイズ誌での連載作品。いつもながらのドタバタコメディで笑わせてくれます。 主人公は、山登りが趣味の青年。ある日、元妻に拝み倒され、元義父の経営する旅行会社で「1週間だけ」のつもりで、店番をやることに。実は、本当の仕事は、その会社のサラ金の取り立てをかわすことだった。ところが、ひょんな事から、取り立てに来たサラ金会社の社長(男)と部下(男)が、ただならぬ関係にあることを、知ってしまうが…。 ただでさえ入り組んだところに、金の貸し借りや、ヤクザ屋さんの抗争までからんで、シュールでさえある人間関係。それでも皆、山の頂上にある楽園を目指して、1歩ずつ、山を登るのであった。ちょっときわどい描写もありますが、おもしろいです。浅田氏はやっぱりセクシーだわ。 |
||
『からくりからくさ』の番外編にあたりますが、ちゃんと独立した物語でもあります。『からくりからくさ』で登場した蓉子さんが、まだ10歳のようこちゃんだった頃のお話です。おばあちゃんはまだ健在で、人形のりかさんが、ちゃんと「生きて」いた頃。 ようこちゃんの家には、あちらこちらから寄せあつめられた、古い雛飾りのセットがあり、人形たちは、以前いた場所にいた人間たちから「移された」それぞれの想いを引きずって、不協和音を奏でていた。おばあちゃんから、りかさんを譲ってもらい、ともに過ごすうちに、人形たちが抱える「感情」に少しばかり敏感になったようこちゃんは、その不協和音を解消すべく、おばあちゃん、りかさんと協力して、人形たちの過去を調べるのだが…。 そう、人形たちは、側にいる人間の想いを吸収する。長い時間、人間と良い関係を築いてきた人形は、「気だての良い」性格になる。逆に、つらい苦しい想いに晒されてきた人形は、その負の感情を吸い取ってよそにまき散らす。それは、とても納得のいく考え方でありました。そうして、明らかになる、ようこちゃんの家のおひな様にまつわる、ほろ苦いいきさつ。そして、ようこちゃんの友達の登美子ちゃんの家のおひな様が、誰にも伝えられないままずっと胸に秘めていた哀しい思い出。どちらかというと、人形自体というよりは、人形の上にしこりとなって滞っている、人間の感情の方がメインでした。ようこちゃんとりかさんは、まるで、霊媒師のように、そこに凝っている残留思念をほどき、淨化していきます。ちょっとした『ゴーストハント』であるかも。 そして蓉子さんが選んだ染色という仕事。さまざまな物に宿るエッセンスを丁寧に抽出して、それを一番美しい形で布に定着させていく作業。それは、なんと、人の思いをじっくりと受け止めることに似ていることだろう。いつもながらこの作者が手仕事を描くときの、すがすがしさは何とも言えません。 これを読んで思い出した作品。 『草迷宮・草空間』内田善美 『振袖いちま』須藤真澄 『ミッキー』小椋冬美 『ひいなの埋葬』山岸涼子 『百鬼夜行抄』今市子 『レニードールの青い影』森脇真末味 |
||
私的には、最近ハズレも多い茅田砂胡さん。最近外伝の出た某シリーズなどは、あまりに無制限に何でもありな話になったこともあり、ついていけなくなってしまいました。なので今回は少し様子を見て、下巻も出てからGET。今回はしかし、文句なくおもしろくてほっとしました。上下巻、一気読みでした 舞台は、人間と、動物に変形できる種族、「アナザーレイス」と呼ばれる人々が共存している世界。両者の通婚も一般的になり、そうして生まれた混血「インシード」も普通に生活している世界。しかし、いつの時代も、人間そうそう物わかりのいい連中ばかりとは限らない。前時代のWASPのごとく、アナザーレイスを「けだもの」と呼び、彼らの排斥、ひどい場合は撲滅を叫ぶ輩はいるものなのでした。 名家の令嬢にして、44口径の銃の名手キャサリンは、前回の『〜大冒険』で、4人のインシードの用心棒とともに、大陸をかける大冒険から帰還した。そのことから今回は、邪な理由で「変身できるインシード」を追い求める連中が、キャサリンに接触してくる。前回の4人の用心棒たちと、純血のアナザーレイスたちが大勢登場し、所狭しの大騒動となるが…。 いやー、あとがき曰く、「けむけむ」な方や、「ふかふか」な方や、「すべすべ」な方がたくさん登場して、目の保養でした。お気に入りは、気難しいフクロウさん(^^)。もちろん、ダムーは今回もかっこよかった。やっぱり黒パンのところがいいです。 しかし、もしかしてこれ、茅田さんの作品の中で、一番ふつうにラブストーリーしているんではないだろうか。 |
||
久々に読む、恩田陸作品。昨年は、あまりに新作の刊行数が多くて、読む方が息切れしてしまい、しばらく追いかけるのを休んでおりました。これも、この厚さで(1冊あたり、150〜200ページ程度)2ヶ月毎に6冊刊行。リアルタイムに買って読むのは極道だと思い、完結するまで忘れていた。たまたま4巻までを図書館GET。途中続きをリクエスト待ちしたりしたものの、ほとんど一息に読んでしまいました。おもしろかったです。 主人公、楢崎練は中学生。父と母は離婚し、妹の千華子は母と暮らしている。練の父は、考古学者であり、南米で発掘調査に赴いているため、練は父方の祖父の家で暮らしている。彼ら4人は年に1度、一緒に家族旅行に出かけ、つかの間、家族の気分を味わうのが習慣であった。 今年は、父のいる南米のG国で落ち会った4人。しかし、旅行中に、束の間「いい家族」でいるために、水面下で微妙な緊張が漂う家族の仲。そして、ついに母が水面にとっておきの爆弾を落とした。そのとき。G国に突如クーデターが勃発。過酷なサバイバルに投げ込まれた練たちは、果たして日本に生還できるのか? 久しぶりに読んだ恩田作品は、しかしちょっと敷居が高くなっていました。感じたのは、恩田さんが物語中に挿入する、ちょっとした格言めいた言葉の多さ。「親は子供を信じていないが、子供は最後には親を信じてくれる」というような言葉は、一瞬「そうか?」と、読んで引っかかりを感じてしまいました。そして、もう一つは、恩田さん、自分のキャラに萌えてないか?いえ、これまでもそうだったのかもしれないですが、今回は、より露骨に感じてしまいました。楢崎家の人々なんて、かなり贔屓されていたらしく、揃いも揃って嘘のようにすごい人ばかりだし。練のじいちゃんや、高校の頃の邦夫君なんて、いかにも恩田さんの好みのキャラなのがバレバレで、ちょっと引いてしまいました。そんな高校生、普通おらん。そして、極めつけが途中から登場したアレ(笑)。最後はほとんど主役になってしまったし。 練と千華子のサバイバルからは、ラストまでぐいぐい引き込まれてしまいました。できれば最後まで、お約束でも、家族愛を主軸にしてほしかったような。なんだか作品が、恩田さんの好きなものだけで構成され、嫌いなものや人が、いっさい出てこない話になりつつある気がして、ちょっと心配です。恩田ワールドが、だんだんこの現実世界から遠ざかっていく。 最後に、この話の元ネタというか、イメージの糧となった作品は、名香智子の『樹海の虜』』あたりだったりして。 |
||
おなじみ、人気ホラーシリーズ最新作。今回は、作者もあとがきマンガで書いておりましたが、ちょっと疲れ気味でしょうか。 このシリーズ、1人称の誰かが認識している世界が、客観的な世界と少しずつズレているというパターンを扱ったものが多いです。そのズレがいまだに、ぞおっとする怖さを醸し出したり、ミステリーな謎解きになったりするのが、やっぱりうまい。 ただそろそろ、このパターンも、出尽くしてきたなあ。しかし律君も、いいかげん人間離れしてきました。あの従姉妹たちも、今はみんな大学に残っているし。彼ら、どこかに就職できるのだろうか。 |
||
正直、この作者は、あまり好きな方ではなかったです。時々、雑誌に掲載されているものを見るにつけ、どうも作風というか感情表現がウザい!という印象がぬぐえなかったので。ただ、この作品に限っては、はじめに「エヴァだから。」と、薦められたので、漫画喫茶に行った機会に読んでみました。湊さんおすすめありがとうございます。 主人公は、札幌に住む高校生のほほえましいカップル。泣き虫で一途な、ちせちゃんと、普通に鈍感なシュウくん。2人はあの年頃ならではの、イタくて青臭くて、見ていられない、(でも、うらやましひ)おつきあいを始めたばかりでありました。が、そんな事とは全然関係ないレベルで、ある日平和な日常は、唐突に崩壊してしまいます。なんだかよく分からないが、攻めてくる敵。人がバタバタ死んでいく中で、シュウにかろうじて分かったのは、世界中が交戦状態に入ったらしいこと。そしてちせが、いつのまにか、人類の「最終兵器」に改造されてしまったこと。 設定だけなら、「なんじゃそら?」なのですが。読んでみると、本当にすごい。あの暗い終末感が、剥き出しの自我の葛藤が、青臭いリビドーが『エヴァンゲリオン』以上に純化されて表現されていた感じ。要請のある毎に出撃して、敵を殲滅してくるちせ。それどころでないはずの事態のなかで、ひたすらお互いだけを求め、触れ合うことで、存在を確認する2人。主人公たちの痛みに共感するにはさすがに年をとりすぎてしまいましたが、読んでいて、ものすごいテンションの高さが伝わってまいりました。 物語的には、分かりにくさやアラも目立つのですが。特にラストはここまで「サードインパクト」しなくても(^^;)でしたが、これを最後まで描ききったのは、たいしたものかもしれない。そんな異色の作品でした。若い人、ハマるだろうなあ。 |
||
第22回日本SF大賞受賞作。受賞記念に読んでみました。実は、発売当初のタイトルとカバーを見たときには、「ぶたぶた」と混同して、癒し系ファンタジーかなのかと思ってしまったこの話。近いものはあったものの、こちらはまぎれもなくSFでした。なかなかにハード。 舞台は、近未来の日本。人類は木星までたどり着き、そこで何者かと延々と戦争をしているらしい。かめくんの属している「レプリカメ」という種族は、その戦争のために開発された生物兵器であったらしいが、その記憶は、何者かによってかめくんの甲羅に封印されてしまっている。そんなこんなで、地球では遠い世界の情報が伝わらないまま、安逸な日常が繰り広げられており、かめくんは、そこでアパートを借り、工場で働き、まったりのんびり暮らしているのだった。 と、いうわけで、かめくんが暮らしている世界の日常が、シュールにスリリングに描かれます。木星にいく路面電車(!)があったり、勤務先の工場でザリガニと「戦闘」を行ったり、女子高生に甲羅を背負うファッションが大流行したり。どこかとんでもなくズレていながら、妙にノスタルジックな世界がいいです。そして、しみじみと、もの悲しいラスト。この世界のシリーズは他にも何冊かあるようなので、読んでみたいです。 |
||
「アラバスタ編」、クライマックスへ。 30分後に、何十万人が戦っている広場への砲撃予告。爆弾探しに奔走するビビと仲間たち。一人、クロコダイルに決戦を挑むルフィ。もう、何度も読み返してしまった。なんて熱いんだ。 実は、クロコダイルはお気に入りの敵役であったりします。非情で冷酷。しかも頭が切れる。腕力は一流だが、それを過信することなく、人を集め組織し、野望の実現に向けて、着々と計画し実行してきた、恐ろしい男。これまでのどの敵より、抜きん出てすごい奴だということが、ちゃんと分かるところがすごいです。 では、完結編を楽しみに。 |
||
「流血女神伝」シリーズ最新作。前巻が出てからまだ2ヶ月という早さです。作者曰く、「今年は、流血女神を書きまくる年になりそう」とのこと。ありがたいです。次巻は4月だそうだし、働き者で本当にうれしい。 さて、この巻は予告にあった通り、まるまる海上の一冊。海賊トルハーンとその仲間たちの紹介で、物語的にはのんびりと中休みしていた感じでした。いえ、いろいろと物語の背景が、明らかになってきたところもありましたが。 トルハーンと彼女との会話に登場した「少年」とは?某所で盛り上がっておりましたが、私もミュカに1票です。 最近『砂の覇王』を1巻からざっと読み直して思ったこと。須賀さんの作品は、登場人物が皆、それぞれの「正義」のために行動しているあたりが、大変よろしい。時々、特定の人物の行動原理を、必要以上に解説してしまうところはアレですが、カリエ以外の(笑)皆が、おおむね納得のいく己の正義に従って動いている様子が伺えます。たとえば、ルトヴィアを立て直そうとするドミトリアスの正義。ルトヴィアは寿命に従って滅びるべきというバルアンの正義。簒奪者の現王の娘、グラーシカ。血筋正しき亡王の娘、ビアン。彼らの正義はしばしば、真っ向から対立しておりますが、それでもそれぞれが、体を張って己の道を行くのだろう。今後の展開も楽しみです。 |
| HOME <<前月 来月>> |