| 『宙都 〜海から来たりしもの』 柴田よしき 徳間ノベルズ |
壮大なスケールの「トンデモ大河伝奇SF小説」。そのまんまで、快調に飛ばしてます。たとえばオビの文章はこう。
「孵化した巨大な芋虫の役割は?
幻の大陸と青の一族は何処に?
深海から甦った闇の神々が蠢動し始める!!」
はい。前からギャオスは出てましたが、今度は巨大モスラが羽化するし。おまけに、闇の神々の一人で、どう見ても「ダゴン」と呼びたいようなのが海から上がってきます。やっぱり、ゴジラのノリだよなあ。
天狗とゲッコー族の漫才が楽しくて、一気に読んでしまいますが、話はあまり進んでいないです。闇の神様、鳴り物入りで登場なさったのなら、少しは何かしてください。次巻は楽しみですが、あまり長くなると、そろそろつらくなってくるかも。
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コミックに分類してしまいましたが、これは実はほとんど文章の本で、マンガはあまり載っておりません。作者曰く、いろいろ入った福袋のような本。最初は、マンガで読みたいと思ってしまいましたが、なかなかどうして。この人の文章のエッセイもおもしろい。
お気に入りのテノール歌手の話、映画の話、舞台の話、夏目漱石の話。坂田さんの食べ物の話は、いつも飛びきり美味しそうでごきげんだったし。RPGの話なんかは、本当に別世界に行って冒険しているかのような臨場感があってすごい。つい、そういった手間暇かかるゲームをやり込んでみたくなってしまうのでありました(できないけどさ)。
こうなると、マンガのエッセイもまとめて読みたくなってしまった。まんがくらぶ誌で連載していた、『たぷたぷだいあり』を単行本化してくれないかなあ。
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『西の魔女が死んだ』で、すがすがしい児童文学というか、ジュニア小説を描き出した梨木さん。今回の主人公は、20代前半とおぼしき女性たちです。
祖母が亡くなって、残された古い日本家屋。その家を下宿屋として人に貸す事になったとき、孫娘の蓉子は管理人としてそこに住むことを希望した。蓉子は染色を志しており、そのつてで、彼女と似たような「何かを生み出す手」を持った娘たち3人が、下宿人としてその古い家で暮らすこととなる。その4人の女性+「りかさん」の共同生活を描いた、奇妙でミステリアスな青春小説でした。
ちなみに、りかさんは亡くなった祖母の市松人形であり、蓉子とは長いつきあいであったらしい。そのりかさんは本来、意志を持ち、話もするらしいのですが、物語中ではおばあさんの「浄土送り」に出かけているということで、一応はふつうの人形でした。ただ、この4人が折に触れ、自分の血筋や技のルーツをたどっていくとき、そこにあたかも、りかさんの意志が働いていたかのような、偶然の符合が次々と明らかになっていきます。このあたりは、ちょっとぞくぞくします。
「手仕事」に携わる4人の生活は瑞々しく健やかです。しかし、今回はそれを、さわやかに描くにとどまらず、「女」が担って受け継いできた仕事の重さ、その業なるものまで含めて、描き出そうとしていたように思います。1つ1つ想いを込めて、紡がれる糸、織られる機。それは常に、女たちの呪いと祝福がないまぜとなったものとして受け継がれてきたのだと。そうしたテーマが、かなり意図的に作品中にちりばめられていたように感じました。
かなり飛躍しますが、読後感がちょっと『残酷な神が支配する』に似ていた気がします。血に受け継がれゆく祝福と呪い。作者自身が、どちらを描きたいのかを決めかねて、作品化の課程でそれを確認していたかのような、迷いと逡巡の痕。生きることの割り切れなさのようなものが、心に残ります。
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『マンガ 皇妃エリザベート』 名香智子 講談社α文庫
原作 ジャン・デ・カール |
渋谷オフで「まんだらけ」で入手した戦利品(笑)です。前から読みたかったのですが、文庫で880円という値段に、躊躇しておりました。おもしろかったです。
19世紀後半、オーストリア皇帝であった、ハプスブルク家のフランツ・ヨーゼフ2世に嫁いだ、「皇妃」エリザベート。この時代のヨーロッパ世界にはあまり詳しくないのですが、あの華麗にして退廃的な雰囲気には非常に心惹かれるものがありました。この時代の、しかも王侯貴族の世界を描くのに、名香智子以上の適任者はまずいないであろう。冷ややかな絹の感触を身にまとった虚構の美。誇り高さと権力。しばし、ロマンの世界に浸ってまいりました。
バイエルン公女エリザベート(シシィ)は元来、自由を愛する野性的な魅力のある少女であったが、皇帝フランツに見そめられて、オーストリア帝国の皇妃となる。フランツを深く愛しながらも、窮屈な宮廷生活と、皇妃に容赦なく科せられる義務と重責に、次第に憔悴していくシシィ。この激動の時代、政治情勢を見ればおそらく、各国の利害と権謀術数が幾重にも取り巻いていたことでしょうが、作中で一貫して描かれていたのは、地位も権力も投げ捨てて、自由になることを渇望していた1人の女性の、気高い孤高の魂の叫びでした。
名香智子の最近の大人向け作品は、お世辞にも道徳的とは言い難いものが多く、特に男性キャラなんぞは、身も蓋もないくらいに本能に忠実であったりするのですが、これは、原作と史実があるだけに、いつになく一途な愛の物語として描かれておりました。でもねえ、愛のためであっても、捨ててはならないものは、確かにあるのだな。そのあたりの突き放し方は、さすがというべきかも。
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『ぶたぶた』でハマった矢崎さんの、ミステリーレーベル作品。なかなかに、ひねってあってよかったです。
主人公黒部真人は、霊感のある高校生。いろいろと見えてしまう体質だが、中でもつきあいが長いのは、守護霊の美海(みみ)だった。物心ついた頃から、何かと彼女に助けてもらってきた真人だが、ある日、当たらない占い師の姉が、ひょんなことから山で死体(!)を掘り当ててしまい、殺人事件に巻き込まれる。
真人は美海をはじめ、在野の幽霊の方々の協力を仰ぎながら、殺人事件の謎に挑むのであった。
うーん、血縁なら誰でも幽霊が見えるかというと、そんなこともないと思うんだけどなあ。いくら身内にひと目会いたくても、どうにもならない事の方が、多いと思うのですが。そこを、そういうものだと納得できさえすれば、なかなか楽しめました。
ここに登場する幽霊たちを見て、つい某碁打ちの霊を思い出してしまった(/_;)
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殊能さんは、とらえどころのない作家です。
『ハサミ男』で、ラストのオチが命という、まさに本格ミステリの若手旗手としてデビューし、『美濃牛』でそこに名探偵を登場させ、キャラ萌え路線を狙ったかと思いきや、続く『黒い仏』で、ミステリーという枠組みをさえ、あっさりとなぎ倒す一発芸を見せた。そのたびに、すごい!と思い、これはちょっと…と思い、頭痛をこらえて笑い。
その新しい試みが、いつも作者のねらい通りの効果をあげていたわけでもないのでしょうが、そこにはいつも、してやったりとほくそ笑む確信犯の作者の姿が想像できました。少々苦しいところはあっても、やられた!と驚愕できるミステリ作品を期待できる人あったのですが。
ただ、前作『黒い仏』のショックが未だ後を引いていたようで、今度もミステリなのかどうか「本当だな!?」とさんざん突っ込みを入れつつ買った本作。確かに本格ミステリでした。少なくとも超常現象は出てこなかった。しかし、おもしろかったかというと。正直もの足りなくもありました。
名探偵、石動戯作が請け負った依頼は、14年前に実際に起こった「梵貝荘事件」の真相を調査してほしいというものであった。その事件は、小説として発表されており、小説と同様に、実在の名探偵、水城優臣が鮮やかに解き明かしていた。水城名探偵のミーハーなファンである石動は、本人に会えるかもという役得につられて、事件の再調査を引き受けるが…。
と、云うわけで、現在と14年前の事件とが交錯しながら、解かれていく謎は2つ、1つは14年前にいったい何があったのか。そして、もう1つは、あの名探偵は本当に、殺されてしまったのか?
14年前の事件は、もろに某館シリーズのノリでした。本格ミステリというお約束に忠実に描かれた、ほとんどパロディのような事件。正直、読んでいて、犯人なんてだれでもいいじゃんな気分でした。そして、それと絡んだ現在の事件の謎がまた、重要人物の性別に意表をつかれるという、どこかで見たような展開になってしまった。また、アルツハイマーの登場人物が2人いて、どちらも「ユキ」という女性が介護しているというのも、あまりにご都合主義なのではないだろうか。今回は、そうした作為が鼻について、残念ながら楽しめませんでした。
次作に期待、できるかな?
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| 『遙かなる時空の中で』4巻 水野十子 花とゆめComics |
同名人気ゲームのマンガ版、4巻目。八葉が揃って、一段落した感じです。今回登場の永泉さん。ゲームプレイ中は、全然省みなかった人(ゴメン)。なので、それほど萌える絵がなかったかも。あ、ちび天狗さんは、めちゃくちゃ可愛かったです(^^;)
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