2001年12月度
   
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『エロイカより愛を込めて』27巻 青池保子 プリンセスComics

なんだか、26巻の後ずいぶんと時間があいていましたが、やっと出ました。人気スパイアクション(?)最新刊。おかげで、前の話をすっかり忘れておりますが、とりあえず、芸術オンチな少佐と、彼の任務のために、下心ながら協力体制をとる伯爵。今回そのお約束のコンビネーションが、なかなかよかったです。

しかし、国際情勢もハイテクも最近しゃれにならないからなー。スパイの皆様も大変です。
『The World 〜コーの白』1巻  獸木野生 徳間Chara Comics

獸木野生の、『パーム』以外で初の(かな?)、長編連載です。登場人物の見た目は、もろ使い回しでしたが、内容は一応、全く別の話です。そして、このペンネームがぴったりの、エコロジカルな話でした。テーマは例によって明快で、それが、押しつけがましくなるかのスレスレのところで、物語化されていたと思う。ある意味、ものすごく獸木野生らしい直球の話でした。

北の果ての地には、2頭のオオカミの姿をした神がいた。それは、黒い神(by サロニー)と白い神(by ジェイムス)。一方、彼らを崇めて暮らしてきた人間の部族は、隣の部族に攻められ滅びの危機に瀕していた。合理的思考を持ち、部族をなんとか救おうとして奔走する男、コー(by カーター)。生きのびようと足掻く人間たちと、傍らでその営みを俯瞰する神々の姿が、なんとも残酷で美しかったです。

ところで、この連載、なんでキャラ誌でやってるんだろう。ついにボーイズ?と思ったのは、私だけではあるまい。

やっぱり、禁句でしょうが、そろそろ『パーム』(以下略)…
『ヒカルの碁』15巻 ほったゆみ/小畑健 少年ジャンプComics

うすうす展開は予想はされていることと思いますが、一応ネタバレで存分に行かせていただきます。

佐為が、佐為がー!!!!!(号泣)いえ、雑誌で彼の消えたシーンを立ち読みしたときは、マジでショックでしたとも。泣けましたとも。それでも、ヒカルが探し回って、佐為をどこかで見いだしてくれるのではないかと、一縷の望みを託しつつ見守り。しかし、ついに、彼は逝ってしまったのですね。もう逢えないのですね。本当に悲しい。ドラクエVIIで、あの人と別れたとき以来だ。

しかし、佐為なき後の連載は、どうしても盛り上がりに欠けてきたように思えてなりません。この先、ヒカルとアキラの勝負だけで、どう盛り上げてくれるのだろうか。
Novels図書
『チェンジリング 〜碧の聖所』 妹尾ゆふ子 ハルキ文庫

先日、この前編である「赤の誓約」を読んだので、続けて読んでみました。ケルト神話をふんだんにモチーフに取り入れた、異世界ファンタジーです。

正直、前編の設定はイマイチでした。現実世界になじめない主人公、美前の元へ、異世界から迎えが行く。その異世界では美前は、女王の世継ぎの君とのこと。これはもう、美前は異世界に行って、波瀾万丈の冒険の末、王位を継いで女王となって、めでたしめでたし。と、いう展開しか予想できなくて、勝手に引いておりました。これでは、あまりにご都合主義だ…。

ところが、読んでみると、そんない甘い展開では全然なくて、いい意味で裏切られました。大掃除で忙しいのに、ラストまでつい読みふけってしまった。おもしろかったです。

見所はやはり、ここで描かれるケルト風異世界でしょう。神話的モチーフをふまえながらも、確かにそこに人がいて、生活していると思えるような、地に足のついた世界となっている。命がけの「誓約」によって力を得、それに従って、一見堅苦しく生きる騎士たち。しかし、実生活では、誓約と折り合っていくための抜け穴も意外におおっぴらに用意されていたりします。美前が見抜いたこの世界の法則。誰もが誇りを何よりも尊ぶので、「自分のやりたいことを、相手の誇りを満たすものだと論破してしまった者の勝ち」には、笑ってしまった。

前編ではひたすら後ろ向きだった美前は、それでも強くなってきました。美前の「騎士」リンの、忠実であるが決して犬ではない、真心が感動的だったし。また、上王のような食えない年輩者をはじめ、どのキャラも魅力的でツボでした。

異世界での美前の役割は、最初に知らされたものから、2転3転して、真実は最後まで謎のままでした。そして、最後の最後に明かされる、真打ちの「あの人」の謎がまた意外で、うーんとうならされてしまいました。
『ベルセルク』22巻 三浦健太郎 白泉社JETS CMICS

前巻で復活したグリフィスが、ガッツと直接対決。と、いっても、なかなか昔のようにはいきません。
作者が某所のインタビューで、グリフィスを「大人になった」と評しておりましたが、本当にそんな感じ。昔の青臭い部分を切り捨ててしまったグリフィスを、はがゆく見つめながらも目が離せないのは、ガッツも同じなのでしょう。

しかし、いよいよ終わりの見えない、壮大なスケールの話に…
『KUNIE 〜パンゲアの娘』2巻 ゆうきまさみ 少年サンデー 
    Comics 

なかなか星野之宣ばりのSF、もしくはゴジラ映画してまいりました。南の島の奇妙な話。第2巻。

主人公陽(あきら)の従姉、クニエのペットは海竜の幼生だし、クニエの故郷の島に、正体不明の「巨大な柱」が現れるし、その近海には、絶滅したはずの古生物がゴロゴロいるし、CIAが、古賀新一の描くような、よく分からない怪物に追いかけられるし。そういったシーンが、見るからに楽しそうに描かれております。うん、読んでいても、とっても楽しい。
Novels
『ぶたぶた』 矢崎存美  徳間デュアル文庫

見た目は、バレーボールくらいの大きさの、ピンクのぶたのぬいぐるみ。性別:男。妻子あるサラリーマン。それがこの主人公の山崎ぶたぶたである。いや、こう書くと、非常にメルヘンな設定なのですが、読んでいると不思議に違和感がないんだな、これ。

彼が人混みを踏まれそうに歩き、kioskで牛乳を一気飲みし、時にカラスにさらわれながらも、家路につく姿が、目に浮かんでしまう。物語中でぶたぶたに対面した人は、まず驚き、次に、自分の方がおかしいのかと混乱して周囲を見回し、そして、ひとしきり常識と格闘したあげく、彼を受け容れていく。そのプロセスが毎度ほほえましくて、笑ってしまいました。

こんなことがあったらいいな、と思えるじんわり暖かいファンタジー。今更ですが、おすすめです。

Novels図書
『夏の滴』 桐生祐狩  角川書店

第8回日本ホラー大賞長編賞受賞作。うーん、それだけのことはあった。すごかったです。

主人公はN県に住む、9歳の少年真介。彼のクラスには、車いすで生活する友人がいて、時々彼のバリアフリーな学校生活が、TV番組で取り上げられたりする。その年は、たまたま市主催のイベントが大コケして、市全体が莫大な借金を抱えていた。そんななかで、こっそり夜逃げして、行方の知れなくなった友人一家。にもかかわらず、妙に金回りの良くなった、一部の人々。クラスで流行する「植物占い」。そうしたなんとなく据わりの悪い出来事が続く中、学校は夏休みとなりそして、彼と友人たちの、おぞましい一夏の体験はスタートした…。

作者は演劇畑の人らしいのですが、確かに教室を舞台にした劇のような雰囲気がありました。とくにどこがどう怖いというのでなく、あの教室という場所に漂う空気がすごい。学校はそれでなくとも、外から隔絶された空間でありますが、そうした教室にある断絶感のようなものを、丹念に凝縮していって、そのまま教室を、1個の異界として描き出してしまったようでした。

そして、その異空間を最後まで手抜きなく楽しめました、久々によくできたホラーだったと思います。

これを読んで、思い出したのは、昔読んだ永井豪の短編。子供を慈しむ親の「本能」が壊れたとき、何が起こるかという話でした。その容赦なさにぞっとしたっけ。
『ONE PIECE』21巻 尾田栄一郎  少年ジャンプComics

言わずと知れた、少年ジャンプの看板である海賊マンガです。
このたび、アニメから入ってハマり、続き見たさに、原作の後半部分を入手してしまいました。その最新刊、アラバスタ編ようやく、クライマックスに差し掛かります。ああ続きが読みてー。

さて、この作品。人気のほどはよく知っていながら、長いこと読まずにおりました。絵柄が取っつきにくかった、ということもありましたが、それ以上に実は、アニメの最初の方で見た、とあるエピソードが引っかかっていたらしい。

そのエピソードとは、ゾロとくいなの回でした。あれが、あまりに古き良き少年マンガのお約束を踏襲していたのが、気になりました。一般に、昔の少年マンガの「王道」ストーリーなるものにおいて、女性キャラの扱いはひどかった。主人公のサポートや後方支援ならまだいい方。大抵はお荷物となって足を引っ張るか、ひどいときには、当然のように、主人公の冒険の踏み台にされて死んでいきます。ここでも、くいなはゾロの夢のためだけに、さしたる理由もなく犠牲になったように思えた。そうした、はた迷惑な男のロマンには、心の底から食傷していただけに、つい警戒してしまったのでした。

それを考え直したのは、やはり、ナミの存在があったからでしょうか。ナミはいい女だなあ。この手のパーティの紅一点でありながら、はっきりとした自分自身の夢を持っていて、ちゃんと彼らの戦力になっている。彼女が主役の「アーロン編」は、ナミが前述のお約束を吹っ飛ばして船出するまでの話でありました。そして、このあたりから、ルフィにとっての「仲間」という言葉の重さが、より以上に痛いほど伝わってくるようになった気がします。漠然とした正義より何より、自分の旗のために、そしてその旗の下にある仲間達のために。そうやって生きる素敵な野郎どもに乾杯、でありました。

そして、アラバスタ編。今、気になっているのは、すべてが決着したときに、ビビがどうするのか、ということ。これまでの経緯からすると、このまま国に残って、コーザと荒廃した国の建て直しに力を尽くすというのが、最もありそうな気がしますが、それではおもしろくない。武者修行でも何でもいいから、これからもいっしょに冒険を続けてほしいです。ビビだって、大切な仲間なのですから。
『新世紀エヴァンゲリオン』7巻 貞本義行 角川ComicsA

いまだに、1年に1冊ペースで出ています。そして、まだ買ってしまいます。『エヴァ』7巻。アニメの最も悲惨かつ、コアな部分、「男の戦い」。挿入された加持さんの少年時代のエピソードが、ずっしり重いです。そして、最後のシ者、ダブリス登場。やっぱり、うわー!と叫んでしまうのであった。

ここまできたら、とことん最後までつきあってやる。劇場版のラストまで、漫画化されるのを待ってるぞ。


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