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そうこうしているうちに、図書館にありました。これも、すぐ読んでしまった。もったいないくらいでした。
故郷カンバル王国を後にし、新ヨゴ皇国に戻ったバルサ。そこには何より、タンダやトロガイのいる、バルサの「家」があった。その頃、新ヨゴ皇国には、奇妙な病が流行していた。健康であった者が、魂が抜け出て眠ったままになるという症状。タンダの身内にそうした少女が現れたことで、タンダとトロガイは、その原因を探り始める。どうやら、その病は、バルサが出会った旅の歌い手、ユグノに関係があるらしかった。
人はなぜ、現実だけで生きられないのだろう。叶うはずのない夢を見ずにはいられないのだろう。表題の「夢の守り人」とは何なのか。ラストまで読むと、人生に対するしみじみとした哀感と、暖かいまなざしが伝わってきます。やっぱり好きだわあ、このシリーズ。
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『守り人』シリーズの上橋さんは、文化人類学者としても活躍していた人でした。これはその上橋さんが、古代の日本を舞台に、自然と人間というテーマをストレートに込めて記した物語。児童文学というには、いささかヘビーかもしれません。
古代より、森に住まう神々を恐れうやまい、昔ながらに暮らしていたムラ人たち。しかし同じ頃、大和朝廷は都で強大な権力を確立しつつあった。その支配は、静かに暮らしていたムラにも、想像以上の重圧をもたらすようになる。働き盛りの狩人たちを朝貢に奪われたため、飢えゆく村人たち。大和朝廷の推進する稲作を導入すれば、少しは楽になるという。しかしそのためには、カミの掟を破り、禁域を冒さなくてはならない。これまで、掟を破った者には、例外なく死がもたらされた。しかし、人々はそうする以外に生きるすべがなかった。
『もののけ姫』で、宮崎駿が挑みながら、結局うやむやにしてしまった(少なくとも私にはそう思えた)テーマがここでも取り上げられています。そして、その問いに対し、はっきりと結論を出しているところがまたすごい。以下、ネタバレ。
人と、自然との共存は可能なのか?この問いに対する作者の答えは、明快にNOでした。人間は、月の森のカミを殺し、自然を自分の都合のいいように造り替え、そうやって生きてきた。それがどんなに哀しいことであっても、生きるためにはそうしなくてはならなかった。人間とはそういう存在である、というのが作者のスタンス。その、きれいごとでない現実認識と、そうして切り捨てられていったものたちへの、哀切な想いが、胸に迫ります。
切り捨てられたカミへの罪悪感はもちろんですが、それ以上に、カミを愛しながらも、カミを含む自然の循環の一部として在れなかった、人間自身に向けられた哀惜。おそらく、この先、数限りない歴史の転換点が存在し、幾度も同じ事がくりかえされていく。この物語で描かれていたのは、おそらくその最初の1コマででした。その積み重ねの結果として現在が存在するとすれば、人間は、この先も同じように選び続けていくのだろう。選び続けたその果てに何が待っていようと。
「何がそんなに哀しい?」
「人間に生まれたこと」
〜『星の時計のLiddle』(内田善美)より
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| 『時空のクロスロード』〜ピクニックは終末に 鷹見一幸 電撃文庫 |
これも、鷹見さんの人気シリーズ。平凡な高校生、木梨幸水はある日、謎の老人によって、この世界のパラレルワールドらしき、もう一つの世界へと誘われる。そちらの世界は、謎の伝染病の蔓延により、滅びの危機に瀕していた。病気を避けて、避難してきた人々の中には、向こうの世界で、彼とごく親しい者達の姿もあった。しかし、終末を前にして自暴自棄に陥った一部の人々は暴徒と化し、無差別の殺戮が繰り広げられる。幸水は、こちらの世界を救うべく、立ち上がるのだったが…。
うーん。このところ、終末に瀕した世界というものを、あちこちの作品で見てしまったので、それらに比べると、さすがにこの異世界の描写は、ぬるく思えてしまいました。
「でたまか」もですが、鷹見さん描く主人公は、なんだかんだ言って、ちゃんと前向きにヒーローしています。ただ、あまりにうまく行き過ぎな気もしなくはないです。一方、女の子は、やはり少し、男の子から見た理想が入っている気がしてしまう。
うーん、この1冊は、いまいちお約束の展開が気になってしまいました。続編は、どうかなあ。
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| 『でたまか』問答無用編 鷹見一幸 角川スニーカー文庫 |
最近、私の周辺でブームになっている鷹見さん。どんなものかと、お試しの1冊です。ちなみに、「でたまか」とは、「でたとこまかせ」の略。戦場における応用と機転と言い換えることも可能です(^^;)。主人公の得意ワザであるらしい。さて。
主人公マイド君は、ビンボー貴族出身の士官学校生。卒業演習で門閥貴族のどら息子どもを、本気でたたきのめしたことで、そのバカ親どもの不興を買い、ついには、辺境も辺境のアウトニア王国にとばされてしまった。アウトニアは、2大帝国の最前線基地であった。アウトニアの善良な人々と、人が良くて庶民的な王室がすっかり気に入ってしまったマイド君は、アウトニアの人々を守るべく、戦場で奮闘するのだが…。
うーん、1冊ではまだ、なんとも言えませんが。主人公がちょっと、完璧すぎ。なんでも自分でやっちゃうんだもんなあ。そして、王女様がまた、あまりに男の子の夢見る理想の女の子そのものだし。あまりにも露骨な、男の子の願望充足小説の気がして、ちょっとしらけ気味。すみません。続きはどうだろう。
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| 『ANGELIC LAYER』5巻 CLAMP 角川コミックスA |
アニメ版が盛り上がっておりますが、マンガ版もこれでラストです。めでたしだけど、アニメに比べるとあきらかに、はしょってるよー、これ。
みさきちのお母さんが、ANGELIC LAYER の最強のエンジェル「アテナ」の操作者であったのは、思いっきりありがちだけど、まあいい。しかし、アニメで挿入されていた、ANGELIC LAYER の開発秘話とか、みさきちがどうしてこれまで、お母さんと一緒に暮らせなかったのかというあたりの話が、全然出てこないので、全体として??だらけの結末でした。詳しくはアニメを見てくださいってか?やり方が、あざとくねーか?
アニメが思わず手に汗握ってしまう出来で、楽しみに見ていただけに、なんだかなーでした。
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9999Hitヨハンさんからの、キリ番リクエストです。ようやくマンガ喫茶に行けました。気合いを入れて感想を書かせていただきます。
舞台は、近未来。一見して、押井守作品の影響大と思われる、サイバーパンクSF(って、何なのかよく知らないけどさ…)な雰囲気が漂っております。科学技術の恩恵にあずかれる都市の中核とうらはらに、末端で、とどめようもなく荒廃していく世界。肉体の不備を補うべく、機械と融合して寿命を延ばす人間達。そして、そうした世界が、確かな画力でリアルに、しかし、非常に無機的に、突き放した視点で描かれております。
その未来では、免疫系の伝染病の流行によって、人口の何割かが死に至った。体が表面から角質化していき、やがてはすべての機能が停止して死に至る、という奇病。その病気自体は、抗体のある遺伝子の発見によって、終息していくように見えた。しかしそれは、崩壊の単なる始まりに過ぎなかったのだった。
混乱から立ち直れぬまま、きしみ、病み続ける人間社会。その裏で「原父(プロパテール)」と名乗る組織が勢力を伸ばし、暗躍する。主人公の少年、エリヤの父は、麻薬組織の大物であり、「原父」及び、政府とは、それぞれ微妙な敵対関係にあるらしい。そのあたりの力関係は、今のところ、よく把握できていないのですが。そんなとき、エリヤはひょんなことから、謎のゲリラチームと出会い、行動をともにすることになる。彼らは「原父」から追われているらしかった。彼らの追っ手からの逃亡劇は、酸鼻を極めるものとなるが…。
はっきり言って、これもかなり、悲惨な話です。「も」というのは、先日、読んだ遠藤淑子の『ヘヴン』と対比してのことですが。この2作、タイトルもそれぞれ「天国」と「楽園」でありながら、どちらも、描かれているのが、ごみためのような現実であるところなど、共通点が目に付きました。ただ、悲惨な描写は、『EDEN』の方が数段リアルで徹底しており、それこそ目を覆うばかりでした。
エリヤの目の前でこれでもかと繰り広げられる、暴力と死。容赦なく踏みにじられる弱者。目の前であっけなく死んでいく、大切な人々。救いようなのない現実。
しかしながら、ただ暗く悲惨なだけの話かというと、不思議とそうでもないようなのです。6巻までの現在、ずっとこんな調子で、特に話に救いがあった覚えもないのですが。ただ、ストーリーと関係ないところで、不思議と心惹かれるものがある。それは、キャラかもしれないし、SF的小道具かもしれない。また、「体に装備されたコードで、ネットにアクセスするサイボーグ美少女」のような、オタク萌えするアイテムかもしれない。
それかもしくは…。この作品で丹念に描かれる、破壊とカタストロフィそのものが、もはや快感なのかもしれない。冒頭で交わされる会話の中にある台詞。「人類のリセット・ボタンを押してみたくなった」という言葉に共感してしまった者は、同時に、この崩壊しゆく世界に、どうしようもなく惹かれてしまうのかもしれません。
人間が生きること。人間が死ぬこと。どちらも、天から人々の営みを見下ろす傲慢な神の視点から見ることによって、娯楽となりうる。この作品はその神の視点を、垣間見せるものであるのでしょうか…。
ところで、途中、伏線かと思ったのですが、もしかしてこの話、ラストで人類の一大救済劇になるのだろうか?まさか。もしそうなったらすごいかも。
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| 『バガボンド』1〜11巻 井上雄彦/吉川英治 モーニングKC |
井上さんは、かの名作『SLAM DUNK』で、多分に漏れずハマった作家さんです。それも、完結してからの至福の一気読みでした。
その後の新連載ということで、『バガボンド』も実は1年ほど前に、試しに4巻くらいまで読んでおりました。ただ、そのときはなぜか、あまりピンと来なかったので、続きはそのままにしていました。
それがここに来て、あちこちで感想が盛り上がっているのを目にし、気になりだしました。そこで、マンガ喫茶で、再チャレンジ。うん、たしかにこれはスゴイかも。評判はダテではないと納得いたしました。
さて、原作は今更言うまでもなく、吉川英治の『宮本武蔵』です。剣において天下無双を志す若者の、ストレートな成長物語。最初は、そこらにいる粗野な若者にすぎなかった武蔵。見ていておもしろくなってきたのは、彼が宝蔵院に行ったあたりからでしょうか。その頃から武蔵の目指すものは、単純な技と肉体の鍛錬の世界から、精神世界における高み、あくなき自己探求へと移行していったように思います。
そうした言葉にできない観念的世界を描くには、やはり、マンガというジャンルは強い。ましてや、井上さんほど絵の完成度の高い人であればこそ。ほとんど神懸かりに近い精神世界を、有無を言わせぬ説得力でもって描いてしまうのは、さすがでした。うーん、目が離せません。
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| 『KUNIE −パンゲアの娘−』1巻 ゆうきまさみ 少年サンデーコミックス |
ゆうきまさみの待望の新連載。北海道の牧場から、今度は一気に南の島に行きました。今度は、小学生の男の子が主人公です。さて。
主人公は、多分東京の小学生、日向陽(あきら)。彼のおじいちゃんは博物学者で、30年前に南太平洋で行方不明になっていたのが、突然消息が分かった。それだけならともかく、おじいちゃんの孫(つまり、陽の従姉)と名乗る少女クニエが、いきなりやってきて、陽の家に居候することになるが…。
そのクニエの出身地である島ですが、なにやら、大きな秘密があるらしい。クニエがつれてきた奇妙なペットが、なんともいえず可愛いです。もしかして、この先『ブルー・ホール』(星野之宣)するのかな?『パトレイバー』の「廃棄物13号」のあたりを思い出してしまった。
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風水師、黒田龍人の活躍する、「シム・フースイ」シリーズ第5段。今回も伊勢鳥羽を舞台に風水のウンチクが爆裂しておりました。
真珠の養殖で有名な鳥羽。そこは戦国時代には、九鬼氏が水軍を率いて支配した地であり、九鬼氏の財宝が沈んだ島の伝説があった。またそこは、古代の天皇家の聖地伊勢を擁しており、随所に霊的防御が施されていることが、次第に明らかになっていく。
その鳥羽の、通称真珠島で起こったとある事件。真珠博物館の貴重な展示品が紛失し、職員の一人が窃盗の容疑をかけられたのだった。また、その事件には、江戸川乱歩がこの地を訪れた際の、この地ゆかりの遺品が、かかわっているらしい。また、その頃、海女たちが海中に、妖怪「トモカズキ」の不吉な影を目撃する。果たして…?というもの。
めずらしくこういった俗な事件に首を突っ込んだ黒田。彼と、今回初登場の目崎博士なる人物が、鳥羽をフィールドワークしながら、かの地の風水について、しゃべるしゃべるしゃべる。この2人の、お互いだけに通じ合っているという会話は、どれがどちらの台詞なのか、なかなか分からなったです。
その九鬼の秘宝の件は、一応ミステリー仕立てにはなっているのですが、正直、そんなのありかあ?!な謎解きでした。やっぱり、物語は無視して、風水のウンチクだけを楽しむのが正しい読み方なのだろうか。はい、そのあたりは、いつのも荒俣節で、おもしろかったです。
怪人目崎博士って、どうも『京極堂』シリーズの堂島教授を思い出してしまう。
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『最終戦争』シリーズ第3作。この巻では、人間を破滅に誘う敵として、「デーヴァダッタ」と名付けられた存在が、暗躍します。人と「デーヴァダッタ」との攻防戦というか、各地での小競り合いが描かれている感じ。
ただ、私はここに収録された『雲中飛行』がずっと読みたかったので、それだけで満足でした。チベットの少女神「クマリ」の存在を知ったのも、この作品が最初だったし。最近では、須賀しのぶの『砂の覇王』にも、元クマリと思しきキャラが登場しておりました。そそられる存在だなあ>クマリ。
しかし、小角って、もっと主人公しているのかと思っていたけど、意外と出番が少ないような。
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遠藤淑子さんの、ハードでどシリアスな近未来SF。あのほのぼのとした絵柄で、描かれると、いっそう救いなく見えてしまうのは、なぜなのだろう。実は1巻のストーリーの細かいところはほとんど忘れていたので、また読み直しました。
さて、2巻は、1巻に登場した、ヒューマノイドロボット、ルークの製造秘話といったところ。ルークの存在はツボでした。巻末の4コマを見ると、遠藤さんのロボットのツボは、私のに近いかも。ロボットは人間臭すぎてはいかんよね。
ただ、これまで極力、悲惨さをほのぼのにくるんできた遠藤さんが、このところ、なにかが吹っ切れたかのように、悲惨さをストレートに出してきたのが、ちょっと不安です。テーマ自体は、悲惨な現実の中に、かすかにまたたく希望であり、「世界はすばらしい」という台詞の方なのでしょう。しかし、そこで描かれた世界は、「すばらしい?どこが」と突っ込みたくなるほどに、理不尽であり、救いなく思えました。
これを読んでいて、某『パーム』シリーズ(獣木野生)の「人々が愛しい」という台詞を思い出しました。このシーンはこの作者の信念に基づいているのがヒシヒシ感じられるのだけど。遠藤さんは、そこまで世界のすばらしさを信じているでしょうか。
そして、この先、これまで通りのほのぼのもしくはコメディを、描けるのだろうか>遠藤さん。
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| 『炎華の断章』〜封殺鬼23 霜島ケイ 小学館キャンパス文庫 |
『封殺鬼』シリーズ23巻目。これもまた、ずいぶんと長く続いております。そろそろ話を進めてもらいたいと思っていたら、ようやく、羅ごう星の災厄に突入してまいりました。その大変事の前に、聖達の陥っていたややこしい状況も、なし崩しになっていく予感。次巻、いよいよクライマックスか。
その災厄に際して、前巻であれだけのページを使って、御景の当主としての責任を自覚したはずの三吾は?今回、一人がんばっていた佐穂子は?ハブ&マングースコンビこと、たっちゃんと真巳兄は?なかなか楽しみです。
無言・無表情のまま、根暗く怒る弓ちゃんが素敵。
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minatoさんおすすめ。これはまた、何と説明したらいいのでしょう。いったいこれは、小説なのか、はたまた、(官能)文学論なのか。それとも、19世紀の英文学のパロディなのか。ともあれ、凝りに凝った趣向は、文句なくおもしろかったのです
主人公は「語り手」。それは、物語の「視点」となる者であるらしい。物語をあるべき方向に導いていくために、時空を駆けたり、登場人物を取捨選択したり、と、いろいろな力を発揮する存在。ただ、語り手はその「事情」たる、物語の法則性にだけは拘束されるものらしい。
その「語り手」が存在するのは、ビクトリア朝のイギリスのとある資産家の屋敷。その屋敷の主人は通人らしく、いろいろな「妄想」を抱えた人々を屋敷に呼んでは、その妄想をいっしょに楽しむという日々を、送っております。語り手は、毎回、それら人々の妄想に向かい合い、屋敷の主人と物語自体の望む方向へと、事態を導くために、腐心しております。穿った見方をするなら、この屋敷の主人は、読者なるものの具現化であるのかも。
たとえば、淫乱メイドにかわいがってもらうという妄想で破裂しそうな少年やら、性奴隷とSMに明け暮れる妄想が止まらない船乗りやら。それに対して「語り手」は、まずその妄想が発生するに至った背景について、ウンチクを披露します。このあたりは、なかなか真面目な文学論的。しかし、事態の収集は、いつもそうそう、うまくはいかず、濡れ場混じりの、意外な方向に転がっていくのが常でした。
そして、その濡れ場もまた、読んでいてとっても楽しそうだったりします。
酒見賢一さんは、『後宮小説』と『陋巷に在り』の途中までを読んだだけなのですが、2作品とも、女性キャラが皆、健康的な色気があるのが好きでした。おそらくその人だからこそ描けた、明るく乾いたポルノグラフィ。この奇妙な読後感は、なかなかおすすめでした。
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