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『楽園の魔女たち 〜不思議の国の女王様』 樹川さとみ
コバルト文庫 533円 |
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ど田舎の通称「楽園」でのほほんと暮らす、魔術師エイザード。なにやら、ものすごい魔力と、謎多き過去と、どうにもへそ曲がりの性格を備えた彼は、魔術師協会からの再三の要請に応じて渋々ながら、弟子をとることを承知した。彼の元に来た弟子とは、生い立ちも性格も様々な、4人の少女達であった…。 という、お師匠様@永遠の21歳と、弟子達と、料理番のナハトール、使い魔のごくちゃん、それに、楽園の監視を任務としているバンカラ騎士のアシャ・ネビィ。この面々が毎度繰り広げる、ほのぼのコメディです。たまには、こーゆーのを読んで和むのもいいよなあ。ちなみにこの巻は、誘拐されたナハトールと、彼を救出に赴く弟子達というお話でした。この話で一番目立っていたのは、意外や、エイザード。いつも食えない超然とした顔をしているのですが、今回はずぼらさも、素直じゃないところも普段の倍増しになっていて、見ていてなかなか、飽きなかったです。 |
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『血』 吸血鬼アンソロジー
ハヤカワ文庫 580円 |
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3年前に早川書房から単行本が出ていた時に、読み逃したのですが、このたび文庫が出ていたので買いました。人気作家の吸血鬼短編を集めたアンソロジーです。ラインナップは次の通り。 「13」大原まり子 「かけがえのない存在」菊地秀行 「薔薇船」小池真理子 「エステルハージ・ケラー」佐藤亜紀 「アッシュ−Ashes」佐藤嗣麻子 「一番抵当権」篠田節子 「スティンガー」手塚眞 「血吸い女房」夢枕貘 「13」は「吸血鬼エフェメラ」という名作もある大原まり子の、どこが吸血鬼?という短編。いえ、いかにも彼女らしいんですけど…。「アッシュ」の佐藤嗣麻子さんは、萩尾望都作品集CD「SANCTUS」を監修されていた方なのですが、ロンドンで暮らす若い美形の吸血鬼という、いかにも「彼ら」を彷彿させる短編。「一番抵当権」は、確かにこの中で一番コワイお話。篠田節子さんはあまり読んだことがなかったのですが、読んでみたくなってきました。「血吸い女房」は「陰陽師」シリーズの一編。安倍晴明ブームの昨今、原作も読み返したいところなので得した気分です。 なかなか耽美でようございました。 |
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『セレーネ・セイレーン』 とみなが貴和
講談社X文庫 ホワイトハート 610円 |
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『EDGE』で気に入った、とみなが貴和さんのデビュー作です。ロボットものというか、人造人間をテーマにした、切ないラブストーリー。 「私」はかつて、ドクター・カリにより、作られたプログラムであった。それが、ロボット技師のJ・Jによりボディを与えられ、ヒューマノイドロボットとして生まれ変わった。「人間そっくり」を目指す2人の野望により、次第に私は単なるロボット以上のものを獲得していくのであったが…。 うーん。ロボットというか、人造人間には、私は偏屈なこだわりがありまして…。そのこだわりとはつまり、「似ている、but、全然違う」というものであります。人間に似せて創り出された部分と、人間に及ばない部分、そして人間の弱さやエゴを持たないという美徳。それらをすべて、バランスよく備えていること、とでも申しましょうか。 その基準で行くと、この主人公のドーンは、少々人間臭すぎるところがありまして、そこが物足りなかったです。やはり機械は、あまりに簡単に感情を獲得してはいけません。私の好みは、『イル&クラムジー』シリーズのクラムジーか、『ブレーメン5』のナダII。知能だけなら、『ワン・ゼロ』のマニアック。名前を呼ばれて「肯定」と答えるくらいの朴訥さがあった方が可愛いです。 |
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『EDGE』 とみなが貴和
講談社X文庫 ホワイトハート 『EDGE2 三月の誘拐者』 |
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凍月さん、にしむらあさみさん他、数カ所で絶賛されていたのを見まして、まず『EDGE』から読んでみました。確かにこれは、すごい。最近、何かと話題のプロファイリングによる犯罪捜査ですが、決して異常性格者による猟奇的犯罪を取り上げているわけではなかったので、安心しました。で、さっそく『EDGE2』も読んだところ、こちらも(;;)でありました。よかったよお 主人公は、美貌のプロファイラー、大滝錬摩。かつて、その天才的なプロファイリングによって警察に協力し、多くの事件を解決に導いてきた錬摩であるが、4年前のある事件を機に引退していた。しかし、都内に「黄昏の爆弾魔」と呼ばれる、連続爆破事件が起こったことで、錬摩は再び、事件の世界にもどってきた。 「彼」も「彼女」も使わずに文章書くのは難しい。実際、錬摩を「彼女」と書くと、違和感あるもので…。しかし、錬摩というキャラは、内面も一貫して中性的な描かれ方をされていながら、それがごく自然なのがうまいです。 このシリーズの魅力はなんといっても、犯罪者の心理が共感と痛みをもって描かれていることでしょうか。病んでいるのでなく、少しばかり現実に疲れてしまった人間達の哀しみ。特に、『EDGE2』では、幼い少女を殺害目的で連れ出す青年と、彼について行こうとする少女の、せつないという言葉で表現しきれない交流が、心に残りました。 そして、醒めたプロフェショナルでありながら、時に追っている犯人に同調してしまう危うさをもつ、錬摩のキャラがまた何とも魅力的でありました。また、「10歳」の宗一郎との掛け合いもよかったです。きっと本当の10歳くらいの男の子は、すごく大人びていたりするんだろうな。 |
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『コーリング』全3巻 岡野玲子/P・A・マキリップ
マガジンハウス 各1200円 |
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この原作ファンタジーの邦訳タイトルは『妖女サイベルの呼び声』。ハヤカワ文庫でも名作として評判で、大好きでした。それを岡野玲子さんの麗しい絵によってマンガ化したものが、以前、潮出版社からハードカバー全3冊で出ていました。当然ながら、1冊 1500円以上。ストーリーは知っているだけに、購入をためらっているうちに、見かけなくなってしまいました。そんないきさつもあって、古本屋で1,2巻を見つけたときは即購入。となるとやはり、3巻も読みたくなったので捜していました。それが、このたび、マガジンハウスから、3冊同時に復刊されたので、ようやく入手できました。 サイベルは、山の中の館に、たった一人暮らしていた。彼女は、さまざまな、いまや伝説の中にしかいない獣たちを「呼んで」、自分の元に留めておく魔法を使うことができた。伝説の獣たちとの暮らしは、それなりに平和で楽しいものであったのだが、そんなサイベルの元に、ある日若い騎士が現れ、赤ん坊を置いていく。どうやらその子は、この国の王に嫁いだサイベルの叔母の子であるらしい。その赤ん坊を育てる羽目になったことから、彼女は次第に人間世界の俗な争いに巻き込まれて行くが… もー、絵が本当に綺麗です。白い炎のような、サイベルの容貌。彼女が「呼んだ」伝説の獣達の美しさ。また、中世ヨーロッパ風の重厚な雰囲気。風俗や背景が、ため息のでるほど繊細に描き込まれていました。『陰陽師』もだけど、あの独特の雰囲気は捨てがたいです。そして、原作にある「予感」や「啓示」といった、目に見えない何かでさえ、確かにそこに感じさせてしまう力量に脱帽です。 |
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『月の裏側』 恩田陸
幻冬社 1800円 |
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図書館にて、ようやくのGET。あの恩田さんの何ともいえない作品の雰囲気というものを、満喫いたしました。太陽を永遠に拝めなくなりそうな気がして、じっとりと気の重くなる梅雨寒の日に読むにふさわしい一冊。 九州某県、箭納倉(やなくら)市。市内に旧城下町時代の掘割が縦横に走り、それがまだ生活に密着している水の街である。ある日、その箭納倉で、老女ばかりの奇妙な連続失踪事件が起こる。元大学教授の協一郎、彼の娘の藍子。協一郎の友人の多聞、新聞記者の高安の4人は、その謎を追ううちに、その背後にあった、とんでもない事件に巻き込まれていく… 恩田さんは、どの作品にも、いつかどこかで見たようなデジャヴを感じさせるシーンが出てきます。それはこの物語の中でもしばしばで、ああこんなのあった、というイメージが記憶のあちこちから掘り起こされてくる感じ。これは何だろうと、しばし考えてしまいました。(以下ネタバレなので、選択してご覧下さい) 前半は、それがどうも『星の時計のLiddle』(内田善美)のイメージでした。いささか浮き世離れした人々が、これまた浮き世離れした会話を続ける中で、話が進行していくところ。そして、その一見脈絡のない会話が不思議に魅力的であるところ。ところが、ストーリーが進むに従って、イメージは諸星大二郎の世界に移行してしまいました(^^;)。だって、ラストまで読んだところでは、それが一番しっくりくるんだよお。あのラストって、どうにも『生物都市』(諸星大二郎)なんだもーん。 雨の日のくすんだ街の色。湿気の重さ。丹念に克明に描き出された町並み。その町並みに潜む、正体不明の影。これが、前半は何とも怖かったです。しかも、その怖さは、どちらかというと、日常と隣り合わせのところに、「異界」が一瞬ぱっくりと口を開けるのを、視界の隅に捉えてしまったような怖さ。そしてその「異界」が怖いながら、同時に蠱惑的であり、取り込まれてみたくあるところも、非常にモロボシ的です。 そう思ってみると、箭納倉市の堀割のイメージには非常に、アジア的なものがあると思う。「盗まれる」ということ自体が、ユング的な集合無意識に自我が呑み込まれるというイメージであるし。それも『エヴァンゲリオン』のような、世紀末的な自我の病というよりは、非常に東洋的な、元始の混沌のイメージが描かれていたと思います。せこい自我を手放して、ひととき大いなるものにつながって行くという、癒しの物語でもあったのかもしれません。 ただ、物語としては、さすがに飛躍が過ぎるところもありました。やはりこれだけ話を大きくしていながら、メインキャラ以外、ほとんど人が登場しないというのは苦しいと思う。また、言ったようにメインキャラの浮き世離れぶりも、なかなか偏っている気がします。いくらなんでも「盗まれて」水に浸かっている人間の群を見て、リアクションがあれだけってことはないんでないか?あのあたり、もう少しドロドロと生々しく描いても良いような気がしました。 以上、読後感はなかなかよかったです。 |
『犬夜叉』16巻 高橋留美子 |
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『…すぎなレボリューション』3巻 小池田マヤ
講談社ワイドKC Kiss |
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すぎな29歳。目立たないお局OLであったが、いろいろあって、同じ部内の広川とつきあいだした。ところが、彼女が本当に好きなのは、部内一の遊び人の日置で…。というような、手垢の付いた少女マンガ的シチュエーションのラブストーリー。しかし、読ませるんですよね、これが。あげく、複数人と浮気して広川とも別れたすぎなは、一転して、会社でケバい化粧のタカビー女を装うようになる。その真意は?とか。とにかく、小池田さんの得意とする、細かい心理描写が抜群なのです。 そして、すぎなの思い人の日置がまた、典型的な、魅力的なクズ男です。つくづく、小池田さんこういうタイプが好きなんだなあ。普通はこんな奴にかかわったら泣きを見るだけですが、そこはお話ということで(笑)。 |
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『ベビーシッター・ギン』3巻 大和和紀
講談社KC Kiss |
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「すべての子供は天使です」というキャッチフレーズで現れる、スーパーベビーシッター・ギンさん(実はオトコ)。彼が世の天使ちゃんたちと繰り広げる、母性愛あふれる育児コメディ?であります。いやー、作者自身の育児の苦労が如実に伺えます。まあ、子供がいると、いろいろめんどくさいことばかりだし、そうそう幸せを感じる瞬間などないものですけど。 しかし、大和和紀さんの、定番のコメディは好きです。シリアスとギャグの安定したバランスに、あくまでも読者を楽しませるという、職人わざを感じます。 |
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『プレゼント』若竹七海
中公文庫 |
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若竹七海のご近所ミステリーいうことで、ボチボチ読んでおりました。主人公は、若き女性フリーター葉村晶と、某県警察の小林警部補。この2人がかかわった事件が交互に、全部で8つ収録されています。凍月さんによると、葉村晶の話は、続きもあるそうなので、読んでみたいです。 小林警部補の事件は、割とどんでん返しがメインな、正当ミステリーな雰囲気。一方、葉村晶の方は、彼女のシニカルな視点から語られる事件のありさまが、なかなか楽しいです。 しかし、葉村嬢、最初はただの不運な女性だったのに、だんだん文句なく不幸になっていき、しまいにはかなり、迫力のある境遇になってしまいました。それでも、超然として、パワフルに生きているところは、見ていて元気が出ました(^^;) |
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『福家堂本舗』1〜10巻 遊知やよみ
マーガレットコミックス |
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真名さん、柚木あやさんの紹介により、手にとってみました。京都の創業450年になる和菓子の老舗、「福家堂」ののれんを背負う3人娘、長女・雛、次女・あられ、三女・ハナ。性格も、育ち方もそれぞれ個性的な3人の、大まかに言うと青春物語です。店の跡継ぎとなるはずだった雛に、突然結婚話が持ち上がり、急遽、跡継ぎにあられが立つことになったが?。一方、雛の嫁ぎ先とも婚約者もまた、何かと問題を抱えていたが…。 なにしろ、京都の老舗という特殊な世界のお話なので、ところどころに、かの町の「いけず」な雰囲気が出ていて、笑えます。ああいうところに自分が住むとなったら、絶対イヤ!ですけど(^^;)。そうした境遇で、それぞれ自分なりに前向きにがんばっている3人が、見ていて気持ちが良かったです。雑誌では完結しているそうなので、ゆっくり続きを楽しみにしよう。 |
『ヒカルの碁』7巻 ほったゆみ/小畑 健 |