■韓国の名宝展
場所 東京国立博物館
訪問日 2002.7.2
何よりの感想は、韓国の文化財、見ていたつもりで今までまるで知らなかったのだなあと気づかされたことでした。
焼き物や仏像は見ていましたが、韓国文化の一貫した紹介は記憶にありません。
そして、なんとなく中国に近いと思っていたのがまったく根拠のない思いこみで、実は大変日本に近い感性を持った宝物が多いのでびっくりしました。
それもそのはず、少なくとも日本古代の正史には、朝鮮半島との文化的・人的交流が随所に書き残されています。
日本古代の遺物にロマンなりなんなりを感じるとしたら、それは朝鮮半島の人たちと同じ感覚であるはずでした。
わかっていても忘れてしまうので、こうして物として示されると新鮮です。
けれど、北朝鮮と韓国との現状を推測してもわかるように、わずか半世紀の分断でも人々の感性は異なるものです。
交流の密だった古代から数えれば1000年以上たっているのですから、彼我の差に感じ入ることもまた感興催すものでした。
余談ですが先の日韓共催サッカーW杯での韓国の盛り上がりに、私は北朝鮮の人々の総書記への思い入れが重なって見えました。
それがふたつの分断された国に通底する感覚なのでしょうか。
そして戦前・戦中の日本での天皇万歳も、もしかしたらそれと通じるものだったのかもしれないと思いました。
日本はこの点では、万歳する対象を見失った半世紀のうちに、朝鮮半島の人々の感覚と離れたのかもしれない、と。
(資料的根拠のない私の考察です)
さて、お宝の感想ですが、都合でざっと見てきただけですので、感想もざっとになってしまいます。
三国時代の装飾品、ネッ友さんから綺麗だと聞いていた通り、金製品も玉飾りもとても細やかで行き届いた心遣いの感じられる丁寧な作りで、今現在の私の好みにあっています。
以前「コロンビア金博物館所蔵 黄金伝説 エル・ドラードの秘宝展」というのに、その名称の豪勢さにひかれて行ったことがありますが、金細工のあまりの素朴さといいますか大胆さといいますか・・・端的に言えば稚拙さに(笑)「細工ものは日本人にまかせとけよっ」とか思ったことがありました。
今回それを「細工ものは日本と朝鮮半島にまかせとけよ」と言い直します。
西欧の細工とは勿論、中国の作り方とも、なんとなく雰囲気が違う気がするのですよね・・・そんなにたくさん見たわけじゃないのですけれど。
どれも気に入った中で、特に金製冠帽(15・カタログ番号。以下同)が気になりました。
透かし彫りの金板でできた帽子で、よく見ればその通りなのですが、一瞬鎌倉時代の鎧の意匠の様な編み込みに見えて、はっとしたのです。
それから金色の透かし彫りの珠を連ねた金製頸飾(27)も非常に好ましい品でした。
欲しいと言えばこれが一番!(笑)。
仏教美術では、小さな金銅仏にも勿論興味をひかれましたが(当然のことながらなにしろ日本で伝世されているものとそっくり)、一メートルほどの高さの石造の菩薩が気になりました。
両脇侍立像 2躯(37)というなんとも素っ気ない名前(笑)。
弥勒三尊像の脇侍だけを持ってきたもので、4頭身の可愛らしいものです。
石造+可愛いということだけから、石位寺の三尊石仏を思い出しました。
どちらも彫りがとても柔らかく感じるのですよね・・・。
高麗青磁や李朝は国内の美術館でもよく見ます。
日本で評判のよいものと、こうして本国の宝物としてやってきたのとを比べると、そこに少しだけ感覚の違いを感じました。
不思議だったのは、象嵌のはいった青磁から幽閉された者の諦念みたいな感じをうけたこと。
理由はわかりません。
面白かったのは鉄砂縄文瓶(90)という、白磁の徳利型のツボ。
茶色の鉄砂顔料で縄のような模様が描かれていますが、まずくびの部分にひと巻き、そこから胴体のほうへたらんと垂れ下がって、最後がくるんとまるまっているのです、しかもなんだか申し訳なさそうに(笑)。
このような模様は他に現存する例がないそうです。
なんとなく、恋人の浮気防止のために手綱を引き締めようとしたけれど、つい気弱になってしまったような感じ(笑)。
美しいとも思えないし、素晴らしいとも見えないのですが、なんだか人間臭くて記憶に残ります。
絵画と書籍。
水墨画がとても私の好みだったのでびっくり。
葡萄図(97)などは本当に心ひかれました。
でかい画面にただ葡萄がずらずらと描かれているだけで、葡萄も葉っぱもおとなしいものなのですが(^^;、墨そのものが遊んでいるようで好きなのです。
書に関しては、ハングルの書がないので意外。
1400年代に制定されたそうですから、カナ書道のようなものがあってもいいのに。
今回運ばれなかっただけでしょうか。
宮廷美術と服飾に関しては、最も日本との感覚の差を感じました。
とはいえ、日本の皇室でどんなものを使っているのか知りませんから、存外似ているあるいは似ていたのかもしれません。
少なくとも日本の庶民の感覚とは違うんじゃないかな〜と。
以上、簡単でした。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
■ ■
■データ
東京国立博物館
東京都台東区上野公園13−9
п@03−3822−1111
NTTハローダイヤル 03−3272−8600
JR上野駅または鶯谷駅、京成電鉄上野駅下車、各徒歩10分
地下鉄上野駅下車、徒歩15分
(上野公園内)
「韓国の名宝展」会期
2002.6.11〜7.28
●このページのトップへ戻る |