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平成古寺巡礼展

  

場所 日本橋高島屋8階ホール
訪問日 1998.9.25

 

聖林寺、新薬師寺、当麻寺、唐招提寺、長谷寺、法華寺、南法華寺(壺阪寺)、室生寺、薬師寺!!
こう並べると壮観極まりない、奈良のお寺の有名どころです。ここから東京は日本橋の高島屋さんに、仏像がたくさん来ているよと、ある方に教わった時には腰をぬかしかけました(爆)、どーーして私、こんな重大事件を知らないの? ばかばか(;;)って感じ(笑)。も、早速都合つけて行ってまいりました。

で、勢い込んで会場に一歩入った途端、をを!こ、これはっ@@・・・ぎゃははははー(^▽^)と思わずセージ笑い(内輪受けすみません(^^;)が出ちゃいましたよ、要するに、上記超有名どころの超有名仏像の横とか裏とか倉庫の中とかで、十把一からげにころがされてるものを持ってきてるだけじゃーん(^▽^)、どーーりで新聞にも載らなかった(と思う)わけね! わはは(^▽^)さくっと見ちゃいましょう、るるるんるん♪

ところがどっこい、そんな不謹慎かつ失礼千万なこと考えた自分、一瞬のうちに恥ずかしくていたたまれなくなりました。いつもメイン仏に目が行って、ちっとも良く見ずにいた今回の展示仏たち、あまりにいろいろな表情で私を魅了してくれたのです・・・(=^^=)。浅はかなこと考えるものじゃないわ、まったく(=^^=)。

最も驚いたのは、第一室に集められた平安時代の破損仏たち。つまり壊れた木彫の仏像たちなんです。
手は失われ、足は欠け、顔面は判別不能なまでに摩耗し、体躯表面は木肌がザクザクに荒れ果て、無数に穴があき、中には一刀両断されたような縦割れが生じていたりするものも・・・いずれも1000年前は極彩色で加飾され、立派な厨子の中、新造の仏さまとして人々にぬかずかれていたと言うのに、今はただの廃材同然の姿でガラスケースの中、興味先行の人々の目にさらされています・・・(;;)。
特に新薬師寺の如来座像は、顔など、かすかに眉の形跡を残して、あとはすっかり風化してしまっています・・・つまりのっぺらぼう(;;)。でも、そのつぐんだ口が、何かとても大切な事を伝えている様なのです。

フッと気づきました。仏とは、まさにこれのことではないかしら

もともと、人にとって計り知れないものの存在を、目に見える様にと現したのが仏像(だと私は理解してます)。とりあえずキラキラに飾って崇めてみたけれど、その本質は、やっぱり風化する木でいいのかもしれない。
計り知れぬもの、すなわち、人の力に対して働く自然や時の力と言うものを、こんなにあからさまに見せつけられて、私は愕然としたのです

さて他には、木なのにまるで水に返る様な面貌の地蔵像(唐招提寺・平安時代)
今次大戦の・・・もっと言えば原爆で犠牲になった方のお顔では?と思わせるような、苦痛に敢然と耐える地蔵像(当麻寺奥の院・平安時代)
手のひらだけが二つ置かれて、それでも人々を救わんと指を差し伸べている、切ない仏手(唐招提寺・奈良時代)
当麻寺の練り供養の時に人々がかむる、鎌倉時代の菩薩のお面、などが気になりました。

あとですね、ここの「ゴマ知識」で、室町時代以降はロクな仏像はないと断言しましたが、意外に綺麗な顔立ちのものが4つも出ていました(^^;。一つはポスターやパンフレットに使われていましたから(長谷寺の如意輪観音座像・江戸時代)、一般的に見て良いお顔なのでしょう。で、これはゴマ知識書き換えか?と焦りましたが、二巡、三巡するうちに、あっと言う間に飽きてしまったんです(^^;。
結局、現代の我々の感覚にあった美麗な顔ではあっても、時を越えて人の心を打つ力まではそなえていないのではないかしら・・・。白粉はたいた顔に、紅も鮮やかな唇をきゅっと締めた悩ましげな顔立ちの江戸時代の如来荒神座像(聖林寺)なんか、一瞬ハッと思ったのですがねぇ、すぐ嫌になっちゃった(^^;。

(あ、私はたいてい仏像関係の展示なら行ったり来たりを三度くらいします。険しい顔して会場を、超早足で逆行する迷惑なおばさんがいたら、それは私です(爆))

彫刻以外にも、仏画がたくさん出ていましたが、私はパス(^^;、他には巨大らくがんみたいな奈良時代の古鬼瓦が美味しそうでした(爆)。
ええと、チェックすべきは奈良時代のお経です。三点出ていました。
この時代、紙も墨も筆もそうですが、文字そのものが貴重でした。だから決して達筆とは言えないのでしょうが、一字一字に込められた写経生の思いが、のしかかる様に伝わってくるのです

と、言うことで、最初にあげたお寺の名を有名にしている仏像は出ていませんでしたが、現地では絶対ちゃんとなんか対峙しなかった仏像たちと、思わぬ所でゆっくり逢えて、ちょっと得した展覧会でした(=^^=)。・・・とは言え・・・やっぱり薬師寺に行ったら鎌倉時代の弥勒菩薩座像なんか目に入れないで、薬師三尊像とか聖観音像とか見るよな〜、聖林寺に行けば十一面観音だしー。あははー、ごめんね〜、今日の展示仏たち(^^;。

<データ>

日本橋高島屋8階ホール
東京都中央区日本橋
рO3−3211−4111
営団地下鉄日本橋駅直通

平成古寺巡礼展会期
1998.9.17〜9.30

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涼へのいざない〜水・流れ・風の形象〜 


場所 大倉集古館
訪問日 1998.9.8

という訳で(日本の三彩と緑釉一番最後をご参照下さい(^^;)、いつかは行きたいと思っていた大倉集古館、思いがけず早く訪問の機会に恵まれました。ここは神谷町、テレビ東○などある都心の中の都心です。しかも大倉財閥による日本初の美術館だそうで、ホテルオークラの本館前に楚々とした姿で建っています・・・ん?楚々?おわわ!なーにこれ!まるで上等の中華料理店じゃない!@@ そうです、その名前から勝手に楚々とした渋い佇まいを想像していた私、中国趣味のこってりした建物に、まずは肝を抜かれてしまいました。・・・フフ、実はこの建物こそ、築地本願寺などを設計した伊東忠太氏の著名な作品の一つだと知ったのは、展示品を全部見終わってからのことでした。

さて、明代中国の妖しい仏像李朝朝鮮のどー見ても猫女な石人像の置かれたお庭を通り、正面で睨みをきかせているちょっと間抜け面の仁王像に挨拶してからおそるおそる入った展示室内は・・・外装のイメージとはがらっと変わって、ほの暗く静謐な大変好ましい鑑賞空間でした! ほっ(=^^=)。

本展は、主に江戸時代以降の、鵜飼や納涼図など夏の風物詩を描いた絵画作品と、特に「水」を取り入れた絵画、工芸作品を集めた展示です。海の波、川の流れ、滝、それから水流そのもの、日本人の美意識は、蒸し暑い夏に涼を求めてか、そうしたなんでもないものにも敏感でした。

というわけで展示品の感想をと思うのですが、実はここでの一番のお気に入りは、常設の国宝普賢菩薩騎象像! そうなんです、めっちゃくちゃイイ仏像があったのですよう!(=^^=) 話には聞いていましたが、こんなにステキとは! ですっかり私の関心は仏像に・・・(爆)。すみません、企画展の感想は手短に行きますね!

まず気に入ったのは川合玉堂「高嶺の雲」。6曲1双のでっかい屏風に、墨だけで雲間に見え隠れする切り立った山が描かれています。これがいわゆる図象化された水墨画の様に見えて写実的でもあり、本物の山の様に見えて、やっぱり典型的水墨画の様でもあり、と、なーんか不思議。でも、そこには確かに雪を頂いて冷涼な厳かさで佇む峻峰があるのです。

それから伊藤若ちゅう(ちゅうは、沖という字の偏がにすい)「乗興舟」。大阪の船遊びの情景を描いた木版画なのですが、これが黒地に白なんですわ、綺麗! 黒い紙に白で印刷したのか、白い紙が黒地に見えるまでぺったり刷ったのかわからなかったのが残念。でも、黒地に優しく入った白い彫り線、とても柔らかでよかったです。

あとは鶴岡蘆水「両岸一覧」と、う、名前がわからなくなっちゃった、もう一つ、共に巻物で、隅田川の両岸の情景をずらずらと巧みに描き並べたもの。両国橋とか永代橋とか、おなじみの橋も下から見上げるように描かれてます。人々も忙しそうに何かしてます。思わず「いやん、可愛い(=^^=)」の世界(笑)。この手の巻物は、いくら見ても見飽きることがありませんね!

ということで、さあさあ、いよいよ普賢菩薩騎象像さんです!(ひどいなあ(^^;)。
めちゃくちゃ胴長の象さんに乗ってます。というか、象の背中に蓮台のっけて、その上に坐してる普賢菩薩さんなのです。これが端正な顔立ちといい、正面で合掌するたなごころの優雅なことといい、実に美しい姿をしています。

そのほんわかと合わせた両手の指はわずかずつ反って愛らしく、きゅっと腕釧(わんせん・腕輪のこと)で締めた手首のラインは幼女のあどけなさ。ついでに横から見ると、坐ったお腹がポコンと出ていて妙な親近感(笑)。
それと、後ろ姿が素敵です。なーんかひらひらの衣装が雅やかで、なで肩の背中には暖かいものを感じます。象さんのお尻もらぶりーです(=^^=)。

平安時代の木造の作品なのですけれどね、元はどこにあったのでしょう、買った目録には出ていなくて、聞いてくればよかったと後で思ったことでした。
そして滅多にやらないことですが、懐中電灯をお借りして衣を良く見ると・・・をを!彩色もまだ鮮やかに残ってますし、細やかな切金細工(きりかねざいく・薄い線状に切った金箔を張り付けて模様をつける装飾法)もキラキラと美しいではありませんか! 仏像鑑賞に懐中電灯の使用は、本音では好ましくないと思っているのですが、こんな出逢いもあるので一概に否定はできませんね(^^)。

残念だったのは、象さんと仏像本体の間にある蓮台。これが一見して大変貧相なんです(;;)。解説板にありましたがこの部分は後補。もとはきっと、もっとふくよかな台に乗って安心した顔をしていたことでしょう。

で、ここからがおすすめの(?)鑑賞法です。
この像は一体でガラスケースの中に納められています。そして、彩色などの保護のため常に暗くされており、人が近づくとケース上部の灯りがつく仕掛けになっています。しばらく動かないでいると勝手に消えます。

まずは正面から暗いこの像に近づくこと。ガラスケース直前でハタと灯りがともり、普賢菩薩がその身を晒す。
何を祈るか、何を諦めるか、少し不機嫌気味の伏せられた切れ長の目が、こちらの焦りを促してやまぬ。
しばらく、そう、ほんの一、二分、その緊張と対峙していれば、あさはかな灯りはすうっと消え始める。
ゆっくり、しっとりとしたその闇への時間、菩薩は最も多くのことを語りかけてくるだろう。
そして灯りの消え果てたその一瞬、人の目は真の暗黒を見る。闇の中で菩薩がほうと息づくのを、確かにその耳にする。彼もまた白光の中、それほどの緊張を強いられていたのか。
しかしそれも瞬時のこと、すぐに闇に慣れた目には、ぼんやりと菩薩の輪郭が浮かぶだろう、その時知る。
菩薩は、この瞬間、闇の中で人となって息づくのだ。

ああ、すみませーん、また勝手なこと言っちゃいました(^^;。
こうやって見ると楽しいんですよう、灯りがつく時から消えたあとまでじっと見てると、その時々で像の表情が違って! 欠点は、そんなことしてると係りのお姉さんが駆けつけてきて、「お客さん、ここに立てばセンサー反応で灯りがつくんですよ!」って、ご親切にも灯りまたつけちゃうことでしょうか(爆)。まさか闇の中での鑑賞を楽しむ物好きがいるとは思わないのでしょうね(あたりまえだよ!)。

さてさて、最後になりましたが、ここの建物の内装について一言。
最初に書きましたがここは伊藤忠太氏の著名な建築、この方はあちこちに架空の動物を配するのがお好きだったようで、こちらにも不思議な動物が彫刻されていました。
まずは一階から二階への階段の手すりにご注目! なんって可愛らしい、ミニサイズのお獅子が4匹、ちょこなんと坐ってます! ちびのくせに胸はって精一杯威張ってる姿がなんとも愛らしいです(=^^=)。しっぽぴんと立てたお尻、おかっぱみたいな頭、いらした時には是非是非なでてあげましょう(笑)。

それから二階の天井に、珠くわえた龍の顔のようなものがいくつか並んで浮き彫りにされています。同じ顔ですがよく見ると一つ一つ向きが違います、何か意味でもあるのでしょうか。そして顔の両横に細長い浮き彫りがセットでついているのですが、これが何なのか、館の方もご存知ないようでした。
ちなみにこの顔はマカランというインドの想像上の動物なのだそうです・・・て、二階には本展の目玉出品、重文の狩野探幽「鵜飼図」があったのですが、そんなものはちらっと見ただけで天井眺めて、挙げ句の果てに「あれ、何ですか?」と聞いた私、館の方もびっくりなさったことでしょう、ごめんなさい(^^;。

かくて予想以上の出逢いを充分堪能し、広くはない庭を一周して帰った私でした。

<データ>

大倉集古館(財団法人 大倉文化財団)
東京都港区虎ノ門2−10−3
п@03−3583−0781
NTTハローダイヤル 03−3272−8600
地下鉄日比谷線神谷町駅下車徒歩8分
地下鉄銀座線虎ノ門駅下車徒歩10分

涼へのいざない〜水・流れ・風の形象〜展会期
1998.7.31〜9.27

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日本の三彩と緑釉〜天平に咲いた華〜 


場所 五島美術館
訪問日 1998.9.8

もっと若い頃、焼き物と言えば古備前、唐津、志野など渋めの土ものが好きだったのですが、ここ数年、古九谷の青手みたいなこってりした作や、繊細なバランス感覚を大胆な構図に託した鍋島など、色、柄の綺麗なものにも心惹かれるようになりました。

と言うわけで、三彩や緑釉はとりたてて好きというほどのものではありません。が、しかし、でも!「天平に咲いた華」なんてあおられると、ついふらふらふら〜と見に行きたくなるじゃございませんか!(=^^=)。家から二時間、ああ、本当に山手線の向こうは遠い。初めての五島美術館は、細い路地を幾度か曲がった静かな佇まいの住宅地の中にありました。

入口を入って展示室へ行く途中、まず鎌倉時代の愛染明王像が出迎えてくれます。愛欲を菩提心に高めてくれるというこの明王・・・あ、もしかして、漫画のキャラにきゃいきゃい言ってる私に、美術鑑賞コーナーを更新しろって諭してくれてるのね!(チガウ)。

展示室はどちらかと言えば狭い、薄暗い空間です。私はこういう雰囲気が好き(=^^=)。鑑賞にはもってこいですもの、平日の昼間なので人もまばらですし。しかし!カタログがまだ出来ていなくて、いつ出来るかもわからないだなんて・・・そんな呑気なことってある?(笑)。会期は8/28〜9/27、今日はもう9/8なのだけれど・・・(^^;。
そんなわけで、記憶と本当に感想のみになります、お許しを!

本展は、日本各地から出土した奈良〜平安時代の国産の三彩、緑釉陶器(の破片)の大集合です(国内出土の中国、朝鮮陶器破片もちょっと出てたです)。

三彩とは、唐三彩の真似っこで、白色地に褐色・緑(時にはプラス藍色)の釉薬を大胆に混ぜがけしたもの。緑釉は漢代の技術が朝鮮半島を経由して日本に入ったもので、全体に文字通り緑一色の釉薬がかかっています(とか言いながら、どう見ても茶色や黒、肌色や極めつけは玻璃色にきらめいてるのもあったよ!??@@;)これらを一堂に会することで、古代陶器の発展や交流、地域差などを見なさいってー展示だったのでありますが・・・(笑)。

はいごめんなさい、これらはぜーーんぶ出土品、つまりいったん土中に埋まっていたもの、しかも破片や一部欠損品が主です。釉薬の艶も色も、そして形も、千有余年伝世されて来た正倉院のそれに、美しさの点で勝るわけがございません。第一、三彩ならやっぱ唐三彩のが断然美麗だ!・・・なんてことを会場で考えたわけではないのですが、最も心惹かれたのは、どーしてか皿やお椀の釉薬の下に彫られた素朴な線刻だったのです(=^^=)。

どの器の線刻も非常に伸びやかで豊かな表情をしていましたが、特に238番の緑釉花文椀には、なんとも柔らかくて心の明るくなる様な線で模様が施されていました! 内側の四方(焼き物用語では見込み側面と言うのかな?)に、渦巻き状の根っこつきの双葉の間にぶどうの粒みたいなお花(?)がついた絵、底には蕪が四つ頭突きしてるよーなお花の模様があります。その線がねぇ・・・はあ、どーしてこうも優しいのかねぇ・・・惚れ惚れ(=^^=)。これを刻んだ見ず知らずの人の心が、すぐ側に寄り添ってくれるのを感じました

描かれた一本の線の豊かさがわかる様になると、何を見ても面白いと思います、私はまだちょっとしかわかりませんけれど・・・。

展示品には、釉薬かける前の素地の破片もありまして、その線刻の繊細かつ大胆でふくよかな魅力が一層楽しめます。・・・へたくそなのもあるけど(爆)。あと、78番、緑釉梵字花文皿! これ、縁が欠けてるのですが、完形だったらさぞ美しい彫りを堪能できたことでしょう・・・。

さて、三彩で綺麗だなと思ったのは、93番、三彩小壺。褐色が強くて艶もあります。全体に小壺って、愛おしくて好きです。小さくて綺麗なのは一個手元に置いておきたくなりますよね! でも、蓋が欠けたり散逸したものが多いのは残念ですね〜。

変なの、と思ったのは、181番、緑釉円塔。どう見ても焼き損ないのたこやきが八つころがってるだけなんですけど・・・何?これ(^^;。

今回初めて見た形が「耳皿」という器形。直径10〜15pと小ぶりのものですが、低い高台つきの丸皿の両端を指でくいっと内側へ折り曲げた形をしています。まさに包みかけのギョーザの皮! なんかお腹すいてきました(^^;。

すごく面白いと思ったのは、285番、二彩椀(大和文華館蔵)と286番、二彩椀破片(北村美術館蔵)!! どちらも正倉院伝来となっていますが・・・。
焼き物って、縁が少し欠けたりすると、金繕いなどと言って、欠けた所を漆で埋めてからそこに金粉まいて補修することがあります。ちょっと見は金で埋めたみたいになるわけ。で、285番は、なんと全体の三分の一が金繕いなの! おまけに金色部分には流麗な正倉院模様が!@@ しかも、その見返り鹿や飛雲などの浮き彫りがまたとっても良いのですよう(=^^=)。
いやあ、正倉院伝来品ともなると、壊れた茶碗もこんなに大切にされるかと、つくづく感じたわけですが、もっとすごいのが286番!
内側のど真ん中に「大」字の書かれた、茶鼠色の直径15pくらいのお椀なんですがね、ヘリの一カ所に、2pくらいのちびっこ三彩のかけらがちょこんとはまっているのです! そして、勿論、このちょこん!が本作品のメイン!@@ いやあ、こいつはいくらなんでもサギなんでは?(笑)。

サギと言えば、本展には国宝の沖ノ島出土「三彩長頸瓶」なるものが出ていたのですが、こなっごなの破片なの、これが。資料的に価値があったり、破片でも美しいものだからなのかも知れませんが、これが国宝とはちと解せない。良く見ると同じ沖ノ島出土の三彩、二彩の小壺が八つ、一括して重要文化財になってるのも展示されていました。こっちも素人目にはとりたてて優れたものには見えない。・・・うううむむむ。文化庁ったら、沖ノ島(宗像大社)に弱いのかしら・・・(笑)。

というわけで一通り見てから、ここ(五島美術館)は都内なのに自然の地形を利用した庭園が素晴らしいと言うので、とことこお散歩に出かけました。ううん、なるほど、恋人同士なんかで来たら、しっとり叙情的な時間が楽しめるわね! が、しかし、でも、一人でそぞろ歩きを気取るつもりだった私、ただただ藪蚊に追われて大外一周するだけという、実に色気のない結果となりました(^^;。

さてさて、この日この足で根津美術館へ行き、「呉須赤絵とコーチ三彩」を見る予定だった私、極度の方向音痴のため、地下鉄千代田線に乗ってるはずが、何故か日比谷線に・・・根津美術館は遠のくばかり(爆)。で、急遽目的を神谷町の大倉集古館へと変更いたしたのでありました!(^▽^; (つづく)

<データ>

五島美術館
東京都世田谷区上野毛3−9−25
п@03−3703−0661
東急大井町線 上野毛駅下車徒歩5分

「日本の三彩と緑釉」展会期
1998.8.28〜9.27
 

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なら平城京展’98


場所 三越美術館
訪問日 1998.8.14

美しいものが見たい人、
良いものに触れて感動したい人、
には全然不向きです!(爆)

これは、奈良は平城京跡から出土した様々な遺物にレプリカ(複製品)などを取り混ぜて、奈良時代の宮廷とそこでの人々の暮らしを再現するのが目的の展覧会です。見て「わあっ!(^▽^)」と感動するようなものは出品されていません、解っていました。解っていても、「なら」「平城京」とあれば見に行ってしまうのが、哀しいかな、私のサガ(^^;。でも、感動こそしようがないですが、この手の企画は大変勉強になって興味深いです。その中から一つ二つ感想を・・・。

大●からわざわざ上京し、1200円の入場料を払ってレプリカかい(−−;、と多少不機嫌になった私の心を和ませてくれた展示は、ずばり、
「古代のトイレ!」 (^▽^)
わりと浅い穴に板切れを二本掛けて、その上にしゃがんで用を足す構造で、(樋で下に水を流した水洗式もあったようですが)、これはくみ取り式でしょう。その出土状況と小さな模型が展示されていました。おしりを拭くのに使った物差しみたいな木切れ(痛そうだ!(;;))も一緒に・・・。
ここがトイレとわかったのは、下の土から寄生虫の卵などがたくさん見つかるからだそうで、その拡大写真などもありました。・・・あまり見たくないですが、古代人のお腹の中から出てきたものか、と思うと・・・やっぱりあまり嬉しくないですね(爆)。
おかしかったのは、展示の横の壁の陰に、その板きれトイレの実物大模型が備え付けられていたこと!案内板には、
「しゃがんで雰囲気を確かめて下さい」
とあったのですが、一体誰がそんなところできばる真似などするでしょう!@@; まあ、ミニチュアの展示品の上では、唐服まとった男の人が、ズボンも下げずにしゃがんでいましたけれど(笑)。

そのトイレ展示の真横にあったのが、私の愛しい「阿修羅像」のレプリカです!
どーしてトイレの横に阿修羅??トイレの神様でしたっけ??@@;
ま、まあ、それはいいとして(^^;、この朱色ど派手のレプリカ阿修羅、制作にたいへんな苦労があったことを知っていますから何も言いませんが(言ってるよ)、せっかく華やかな色まで復元するなら、指先も元に戻してあげて欲しかった・・・崩れた乾漆から錆びた鉄線がむき出しになっているのは、何がどうでも切なくていけないです・・・。

古代の政治や経済、そして遺された芸術品は知りえても、トイレがどうなっていたかとか、どんなものを食べていたのかとか、そういう日常のことは意外と知る機会に恵まれません、学校教育で重視されませんからね。でも、フツーの人に興味深いのはむしろそういうことで、今回は貴族と庶民の食事の再現も出品されていました。
貴族の食事は高級旅館並み、漆や金属の食器に山海の珍味を少しずつ、何品もずらっと並べて美味しそうです、サザエの壺焼きみたいなのもありました(^0^)。
庶民の食事はお決まりの、素焼きの食器に混ざり物いっぱいのご飯と青菜が浮いた汁だけ。あとは山盛りの塩!@@
いつの世も金持ちに生まれたいものです・・・。←投げやりな感想ですね(^^;。

他には某ひよこさんがお好きそうな、心臓に木釘が刺さった呪い用の人形(ひとがた)、墨絵の顔付きの土器椀、それから当時の人の落書きの数々など、もしかしたら自分の血縁のご先祖かもしれない人々が、あれこれ考えながら生きた証の品が、私の興味をひきました。
そういうものを眺めていると、そこに古代人の背中が見えてきて、ちまちま落書きしている姿に声の一つもかけたくなります。
古代は、決して遠くないのです。

 

<データ>

三越美術館
東京都新宿区新宿3−33−1
п@03−3354−1111
JR、小田急線、京王線、地下鉄都営12号線、新宿駅下車、
地下鉄都営新宿線、営団地下鉄丸の内線、新宿三丁目駅下車、
いずれも徒歩2,3分。
(新宿三越南館7階)

「なら平城京展’98」会期
1998.7.18〜8.23

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漆で描かれた神秘の世界〜中国古代漆器展〜


場所 東京国立博物館
訪問日 1998.8.6

「人間の想像力の究極の結晶!」
これが、今回に限らず古代中国の遺品を目にした時の変わらぬ私の感想です。
自然界では絶対にあり得ない、かつ自然界のどんなものからも想像出来ないと思われる、妖しげで濃密な模様たち。指紋のような変幻自在な渦巻きと明快な直線を連続的に組み合わせてしかも立体的に仕上げたものなどは、まさに人が頭の中で作り出し得る究極の想像上の形なのではないでしょうか。
そして、一つとして同じパターンの型押し的繰り返しは無いにも関わらず、全体がしっくりと統一されて破綻ない、不思議なバランス感覚。
これらはどうしても文章に表現しきれない「力」を持っています、好き嫌いや美的感覚の相違はありましょうが、見に行って絶対に損はないです。


特に紀元前千数百年にさかのぼる殷、周時代から前2,300年の春秋戦国時代にかけて、器の全面に奇怪なうじゃうじゃ模様を施した青銅器の存在は有名ですね!(とうてつ紋とかばんち紋とか言います・・・字、出ないですね(^^;)。

今回の展示は、まさにその春秋戦国時代から秦・漢の時代にかけての、湖北省から出土したさまざまな漆塗り製品の展示でした。

室内に入ると、まずデ〜ンとでかい棺が置かれています。長さ二メートル半、高さも一メートル半弱ありますから、かなり大きいです。そのくすんだオレンジ色に見える棺の全面に、「?」マーク型に身をくねらせ、しっぽをブタのしっぽ状にくるんと巻いた小さな龍が、黒の縁取りで、もー、これでもかっ!と言わんばかりに繰り返し描かれています。その中の窓状に区切られた部分(両側面)に描かれた合計24人の人物(?)像がまた妖しい!
「立ち上がったごきぶりに鉄腕アトムの角とねじ巻きみたいな耳つけて、先が「F」字形の槍を持たせた姿」
とか、
「角張った爬虫類のような顔して首から鹿の角を横向きにはやし、ヒルみたいな手足で股間に砂袋をぶらさげた人の絵」
な〜んて形容だけでも、どれほど変てこりんか、おわかりになりましょうか?これ、死者のあの世での住処の番人らしいですが、こんなのに守られるくらいなら普通の人間の泥棒とかのほうがマシだと思うのですが・・・(^^;。
とにかくそんな妙な模様で埋まっているというのに、まったく無理がなく、自然で美しくさえ見えるのが不思議です。特に、展示後方に設けられた階段に上ってみて驚愕しました。近くで見るとむしろ可愛くおちゃらけて見える蓋の部分の龍の模様が、さざ波の様に美しく押し寄せて、ちょっと「ウソッ!」と叫びたくなるような感動を覚えます。模様が天を目指して沸き立っているようでした。
(念のため、この階段は目立たないよう隠れていますから、見落とさないで下さいね。でも、一人で上るとロミオとジュリエットのバルコニー状態になってちょっと恥ずかしいかも、です(笑))
(展示品名/曽侯乙墓内棺・そこういつぼないかん=曽という侯国の主、乙さんのお墓の内棺。紀元前434年ころ、45歳くらいで亡くなった人の物のようです。木製漆塗り)

 

その奥には二回りくらい小さい棺。豹かクジャクの羽根模様の黄色い龍が四頭と、風見鶏みたいにぎこちないけれど長い尾をもつ褐色の鳥が二羽、だまし絵では?と思うくらい複雑に絡み合った模様を一単位として、それが全面に繰り返されます。古代中国の棺中、最も美しいものの一つだそうです。なにしろ出土したばかりの時は、鳥は金色、龍は銀色だったようですよ!@@ 見てみたかったです(^^)。
(展示品名/包山二号墓内棺・ほうざんにごうぼないかん=包山という丘の上で見つかったお墓の一つ。紀元前316年に埋葬された40歳くらいの男性のお墓らしいです。木製漆塗り)

 

以上二点の棺をメインに、琴や笛といった楽器、弁当箱セット(!)を初めとする食器、箱類、室内装飾品(以上たいてい木製品)、甲冑(皮革製品)、鏡(銅製品)、通好みのものでは竹簡など、様々な漆製品が展示されていました。惜しむらくは伝世品ではなく出土品だということ。保存技術の進歩で(トヨタ財団が援助しているそうです)かなり状態は良いとはいえ、漆の持つきめ細かな光沢は失われています。模様や造形のすばらしさから推測される当時の高度な塗りを堪能できないのは残念です。仕方ないですが。
でも、耳杯(じはい)と呼ばれる、耳のついた楕円のお皿のようなものの中には、シンプルで沈み込んだ美しい漆肌を見せてくれるものがありました。作られて2000年もたつ物とはとても思えません、どれほど多くの人が、これらの埋まった土の上で生死を繰り返したことでしょう・・・。

さて、この展示に付随するイベントとして、「編鐘演奏会」というものが行われています。
「編鐘」とは、お寺の鐘を潰して平たくしたようなものを、鉄棒状の支えにぶら下げた中国古代の打楽器、といったものです。
展示品メインの木棺が出土した曽侯乙墓から、長辺七メートル半、短辺三メートル半という「L」字形三段の木と青銅で出来た支柱に、大小65個の鐘を並べた巨大な編鐘が丸まる出土しています。これの複製品を使った演奏が聴けるのです。奏者は周時代の装束を身にまとった湖北省博物館の方々。他に編けい、建鼓、古箏を交えて一日5回、何曲か演奏してくれます。私が聴いたのは中国の曲二曲と「荒城の月」。
感想は一言、「すげえ不協和音っ!!」(爆)。
や、もともとそういう曲なのか、編鐘では音程がとりにくいのか、はたまた古代らしく、というアレンジか、それは解りませんが。でも、不協和音のはずなのにちっとも不快でなく、一つ一つの音色はまろやかです。演奏者は細い木槌の様な物で鐘に軽く触れているだけなのに、意外なほど素直によく響きます。むしろうっとりする様な、なんだか不思議な音の饗宴でした。

この演奏会、来年度開館を目指して建設中の「平成館」のラウンジで行われます。ここ、一見の価値あり。完成の暁にはさぞ立派な施設になるでしょう、先にのぞけてちょっと得した気分でした(^^)。

 

 

<データ>


東京国立博物館
東京都台東区上野公園13−9
п@03−3822−1111
NTTハローダイヤル 03−3272−8600
JR上野駅または鶯谷駅、京成電鉄上野駅下車、各徒歩10分
地下鉄上野駅下車、徒歩15分
(上野公園内)
「漆で描かれた神秘の世界〜中国古代漆器展」会期
1998.7.22〜9.6

「編鐘演奏会」
時間 毎日11:00 13:00 14:00 15:00 16:00 各約15分
曲目「陽関三畳」「屈原問渡」「平湖秋月」「金殿」「荒城の月」より何曲かずつ

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静嘉堂・国宝展(後期)

場所 静嘉堂文庫美術館
訪問日 1998.7.3

国宝のお茶碗!
ふふ、それを見に行ってまいりました!(^▽^)
有名な
曜変天目ですね!見るのは二度目です。
これはもう、両手に包める小さなお茶碗の中に、
ワンワンと音をたてて降り注ぐようなめくるめく虹の光に幻惑されます!
小さなシャボンのような銀のまあるい粒つぶが、黒い艶のある茶碗の内側を、
三つ、四つ、あるいはもっと、身を寄せ合いながらなだれ落ちてゆきます。
そしてその周囲が微かに、けれど底知れぬ力強さで七色に染まっているのです。
そこにだけ、
遙かなる宇宙が広がっているのです。
ぎゅっと凝縮された充実したその空間に、吸い込まれれば本望と思えてきます。
本来ならば、手にとって光の下をくるくると回して眺めていたい代物ですが、
ガラスケース越しにそれは詮無いこと、人間様の方がぐるぐる周囲を歩き、
腰をかがめたり伸び上がったりと、なんとかこの美しさを堪能すべく努力しています。
ちょっと滑稽です(^^)。

隣には、同じ窯変(焼成中に窯の中で釉薬や胎土が部分的に変化するもの)でも、
曜変
(金銀の斑紋の周囲に七色の縁取りが現れたもの)ではなく、
油滴(金銀の斑紋のみ)と称される重要文化財の天目があります。
国宝と重文の違い・・・それはやはり、充実度の違いでしょうか・・・こちらも美しいものですが、
比べてしまうと、哀れにも格下感が如実です。おおざっぱ、という感じです。

さて知らずに行ったのですが、国宝の刀も出ていました。
手掻包永太刀 銘 包永」という逸物。
実は・・・刀の善し悪しがわからない不勉強な私(^^;、
お茶碗は上記のように素人目でもなんとか違いが感じ取れるようになったのですが、
刀はダメ。隣の重文の刀との違いはおろか、きっと今出来のお土産用の刀剣とも、
区別がつかないかもしれません(^^;
東博などへ行くたびに、良いものをたんと見ているはずなのですが・・・。
どなたか詳しい方、お教え頂ければ幸いです(^^)。

 

 

<データ>

静嘉堂文庫美術館
東京都世田谷区岡本2−23−1
п@03−3700−0007
新玉川線・大井町線・田園都市線二子玉川園駅前からシャトルバスで「静嘉堂文庫」下車、看板に沿って徒歩3分
「国宝展」会期
前期 1998.6.13〜6.28
後期 1998.6.30〜7.26

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安宅コレクションの至宝展

場所 栃木県立美術館
訪問日 1998.7.12


曜変の国宝ときたら、やっぱり油滴も国宝でしょ!
・・・ということで、折良く大阪の東洋陶磁美術館から出張中の
国宝の
油滴天目見たさに宇都宮まで出かけました(^^)
実は去年大阪で見ているのですが、静嘉堂の曜変天目を見たら
是非こちらももう一度見たくなりました。
記憶、すぐに曖昧になりますから、確認したかったのです。
う〜ん、これはまた渋いっ!!
渋い渋い渋いぞ
カタログには「金・銀・紺に輝く斑紋が、内外にびっしり」とありますが、
ケース越しには黒地に細かい銀斑しか見えない!
静嘉堂の曜変天目が華のある蠱惑的な女性だとしたら、
こちらは人生経験豊富な落ち着いた初老の男性、
という感じでしょうか。あ・・・あまり妙なたとえはいけませんね(^^;。
とにかく静の美しさがありました。うむむ・・・でも私は華やかなほうが好きかも・・・(^^;

隣には国宝の飛青磁(とびせいじ)が来ていました。
青磁の艶やかな肌に、鉄錆色の斑紋が控えめに飛んでいます。
これはとても可愛いと思うのですが、私だけでしょうか?
羽化する前のさなぎのように、
人目に触れさせてはいけないっ!と思ってしまうのです。
理由はわかりません。
形も均整の取れた素晴らしい物です(^^)

 

 

<データ>

栃木県立美術館
栃木県宇都宮市桜4−2−7
п@0286−21−3566
JR宇都宮駅からバスで「桜通り十文字」下車、すぐ道の向かい。
「安宅コレクションの至宝」会期
1998.6.28〜7.26

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