ベッチの英国留学
  クリトリス派?バギナ派?

                         第二十八回  

 いやー。寒いです。
日本も中々寒い気候になったそうですが、こっちの寒さとは比べ物にならないと思います。
何と言っても、昨日遂に雪が降ったというのが信じられません。
この11月に雪。そんな馬鹿な話があるものなんですね。
とは言っても積もる程ではありませんし、
そもそもロンドンの雪は水っぽいので積もる事がそうそう無 いらしいですが、雪は雪。寒いです。
しかし、最近おとなしかったピーターが、
この寒さのためにてっぺんにポンポンの付いた毛糸の帽子を家の中でもずっと被っている姿を見て、
やっぱりピーターはピーターであると確認出来たのは嬉しかったです。  


 今回は、久々に感じた気色の悪い日本人について。
私は暗い中学校時代の影響か、初対面の人には疑って掛かる習性が身に付いてしまいました。
「変に話し掛けて、もしつまらない人だったら今後も挨拶とかしなきゃいけないの嫌だなー。」
                                         と本能のように思ってしまうのです。
そんな失礼な野郎にも関わらず、人一倍気は使うので、
一度 仲良く話しておいて「こいつはつまらないから」とその後だんまりを決め込むのも輪を欠いて失礼だという事も知っているわけです。
ですから、自分はあまり会話をしない暗い人間なんだと思い込ますのが一番と、
あまり初対面の人とは会話を交わさないようにしているわけです。


 先週までクラスには私以外の日本人が一人いました。
九州は福岡から来ているという女性です。
この人は見た目が若く、ギャルのような格好をしていたので、
年下か何かで親の金で遊び半分に来ている奴だろうと思い込み、暗い人間を演じていたわけです。
ギャルは暗い人間なんて嫌いだろうと。
しかし私の予想ははずれ、彼女の方から私に話し掛けてきました。しかも敬語でした。
これに気を良くした私は、一気に明るい人間へと変身し、色々と話を聞くと、
現在26歳でロンドンに来る前は保母さんをしていたという事です。
なるほど。26歳という年齢も良いし、保母さんなんてある程度社会性が無いと出来ない職業なはずだと、
それ以降ちょくちょく話をするのですが、実にいい人です。


 彼女も僕も、英語を学びに来ているのを自覚している為、会話を交わす量は多くはありません。
日本人同士英語で話すと言うのは滑稽だというのも少しありますが、
何より文章にせずとも何となく相手の言っている事が分かってしまい、
あまり勉強にはならないので、会話は日本語です。

それでも、「最初敬語で話し掛けてくれたのが嬉しかった」
「相手が明らかにおっさんだったら気にしないが、やっぱり初対面では敬語を使うべき」
「福岡は修学旅行で長崎に行く際、大宰府のトイレを借りるのによっただけ」
「九州の女の人って、最中に凄い声とか出しそうですよね?」
「九州男児って長いですか?」
「クリトリス派ですか? バギナ派ですか?」等の会話を交わすまでになりました。


  しかし、今週よりクラス人数過多のため私を含めた何人かがクラス変更になったのですが、ここにいる日本人が最悪!
年齢は分かりませんが、私と大して変わらないような奴にも関わらず
「ロンドンは長いの?」「どっから来てんの?」と十年来の友人であるかのように、初っ端からタメ口で切り出してきました。
古い考えと言われそうですが、初対面でタメ口っていうのは、やっぱり気さくとは言えないと思うのですよ。
こんなウンコ男と楽しく会話が出来る程私はお人よしではないので、
「5年半くらいですね」「北海道の長万部から来ました」など、全て嘘を答えています。
こいつは、東京の日暮里から来ているというのですが、あんなに訛りを隠しながら喋る日暮里の人間を私は知りません。
きっと地方から来て、ちょっと住んでるだけのお上りさんなのでしょう。
「日暮里って乗り換えする以外用がないし、街にも駄菓子とか洋服の生地の問屋しかないですよね」
                                              ……等嫌味たらたらで返しておきました。
それから、「俺はロンドンに住んでいるんだ」という選民意識のようなものを持っているのも鼻に付きます。
お前なんかより、日本でしっかり働いているサラリーマンの方がよっぽど立派 じゃい! 
とっとと日本に帰っても、まともに働けんぜ! ぺっぺっ!