米国における金魚飼育の事情Fishless Cyclingとは何か?"What is fishless cycling?"( wiseGEEK)の抄訳 解説入り 〜Home:かんたんな金魚の飼い方 |
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フィッシュレス・サイクリングとは、水槽の硝化サイクル完成までの過程
であり、魚のいない水槽において生物ろ過(1)を確立することをいう。 生物ろ過、あるいは硝化サイクルは、水槽を立ち上げてから4〜6週間後 に完成する。硝化サイクル(2)というのは、水槽の毒物質を消滅させ魚の健康を 維持するために必要なものであるが、フィルタがまだその機能を確立してい る途中においては、魚は危険レベルのアンモニアと亜硝酸にさらされる。最 終的に魚は亜硝酸にやられて病気になり、死に至ることになる。フィッシュ レス・サイクリングは、魚が水槽に投入される前にフィルタの生物ろ過機能 を確立することによって魚の身を守るものなのである。 |
(1)生物ろ過・・・
水槽中のゴミをとったり有害物質を活性炭(チャコール)などで吸着するためのろ過は“物理・化学ろ過”といいます。
生物ろ過というのは、主にアンモニアや亜硝酸といった金魚に有害な物質をバクテリアに食べさせて水槽から排除してしまうことを
いいます。ろ過というよりはやはり“除去”といったほうが実情に合っていますね。 (2)硝化サイクル・・・金魚に餌を与えますと糞を出します。糞はアンモニアを出します。尿も同じです。 そのアンモニアをニトロソモノス属のバクテリアが食べて亜硝酸を出します。 さらに、ニトロスピラ属というバクテリアがその亜硝酸を食べて硝酸塩を出します。 これらはすべて窒素を含んでいますので、この物質変化のことを窒素循環とか硝化サイクルとかいいます。 ちなみに、アンモニアと亜硝酸は金魚にとって猛毒です。硝酸塩の毒性は強くありませんが、それでも適度に水換えをして、 その濃度を下げてやる必要があります。これが水換えを行う第一の理由です。 |
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通常、魚を新しい水槽に投入する際、たとえ水がきれいであってもアンモ
ニアは迅速に蓄積し始める。これは魚が呼吸や排泄によってアンモニアを放
出するからである。食べ残しの餌や枯れかけた植物からもアンモニアが生成
される。しかしながら、アンモニア(3)は硝化サイクルを開始させるために必須
のものである。――生物ろ過を確立するための第一段階といえる。 1999年1月に有機化学のPhDを持つクリス・クロウ氏(4)がフィッシュレス・サ イクリングに関する投稿をした。彼は、硝化サイクルを継続 させるために、魚のいない水槽にアンモニアを添加するというシンプルなア イディアを得たのである。これは魚を助けるだけでなく、同様に飼育者をも ストレスから開放するものだ。 この際、生物ろ過フィルタはなんの心配もなく機能することがわかった。 アンモニア濃度は急激に上昇し、同様に毒物質である亜硝酸(5)の濃度もそれに 続くが、結局は、両者とも中和されてしまう。すなわち、硝化サイクルが完 成した水槽では、魚が作り出したすべてのアンモニアは、生物ろ過フィルタ の主役である有益なバクテリア・コロニーによって、即座に無害な硝酸塩に 変換されてしまうのである。 クリス・クロウ氏の実験は成功裡に終わり、以来、数知れないほどの飼育 者によって用いられてきた。 |
(3)アンモニア・・・金魚にとっては致命的といっていいほど危険な物質です。
(2)で紹介した3つの物質のうち危険の度合いで順番をつけると、アンモニア>亜硝酸>硝酸塩 となります。
アンモニアは食べ残しの餌や死んだ水草などから腐食菌の活動によっても生成されますが、
なんといっても金魚の排泄物から大量のアンモニアが浸出します。
その意味で、金魚は超効率的なアンモニア発生装置といって過言ではありません。
バクテリアが十分繁殖していない水槽では、このアンモニアはあっというまに危険濃度まで蓄積され、
金魚を死に至らしめることになります。 (4)クリス・クロウ氏・・・フィッシュレス・サイクリング手法を全米に定着させた立役者ともいえる方。 その前から金魚のいない水槽に餌を放り込むとバクテリアが発生するというのは一部の愛好家?の間では知られており、 実験的に色々と試している人はいたが(例えば私・・・笑)、 市販の純粋アンモニア溶液を使って硝化サイクルを完成させる具体的方法を提案したのは私の知る限りこの方が初めて。 ただ、惜しむらくは日本でこの種の(本当に純粋な)アンモニア溶液は少なくともスーパーには販売されていません。 (5)亜硝酸・・・金魚愛好家が聞くと背筋が凍りついてしまうほど恐ろしい物質。アンモニアほどの毒性はないにもかかわらず、 金魚の死因で最も多いのがこれによる中毒あるいは体調不良ではないかと思われます。これはなぜかというと、 亜硝酸を食べてくれるバクテリア(ニトロスピラ属)の繁殖スピードが比較的遅いことが原因です。 アンモニアを主食とするバクテリアに比べると約1/2の繁殖速度しかないのですね。 これにより一度水槽内で亜硝酸のスパイクが発生すると、水換えを行わない限り、その濃度がなかなか下がらず、 金魚が亜硝酸の毒性に負けてしまうというわけです。 |
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フィッシュレス・サイクリング手法を用いるには、単に、魚のいない水槽
に10ガロン(=38リットル)あたり4〜5滴の純アンモニアを添加するだけ
でよい。これを一日一回。そして亜硝酸が検出されるようになった時点で一
日に2〜3滴に量を減らす。さらに、亜硝酸とアンモニアがともにゼロにな
り硝酸塩(6)が検出されるようになったとき、水槽の硝化サイクルは完成したこ
とになる。さらに、25%以上の換水をすれば貴方の水槽は魚をたっぷり受け
入れる準備ができたといえる。 フィッシュレス・サイクリングを行う場合は、薬剤や着色料を含まない純 粋なアンモニア(7)を使う。界面活性剤を含んだアンモニアはその容器を振ると 泡が出るので判別できる。純粋なアンモニアは泡は出ない。 PrimeやAmQuelのような製品を使うとアンモニアが無害のアンモニアに変換 されてしまう。フィッシュレス・サイクリング中に用いるのは、塩素除去剤 程度に留めておくことをお勧めする。これは、無害化されたアンモニアがバ クテリアの繁殖を阻害し、繁殖を遅らせる可能性があるからである。もちろ ん、いったん生物ろ過フィルタが出来上がると、PrimeやAmQuelを添加するこ とは有益で、生物フィルタを妨げることはない。 |
(6)硝酸塩・・・英語ではナイトレートといいます。亜硝酸はナイトライトといって単語がよく似ていますが、
その毒性は両者で比較になりません。ナイトレート(硝酸塩)のほうがはるかに安全な物質です。
金魚のあるなしにかからわず水槽立上げの様子を概観すると、まずアンモニアがぐっと上がってゆき、すぐに下がります。
これはニトロソモノスが急速に繁殖するからですね。その次の段階では亜硝酸がぐんぐん上昇し、
ピークのところでしばらく高め安定の状態が続きます。亜硝酸を食べるニトロスピラが一生懸命その数を増やしているのですが、
なかなか追いつかないわけです。ちなみにこの時期が金魚にとって地獄の環境となります。このままの状態が続くのかと思いきや、
そうではありません。ある日を境に亜硝酸濃度が一気ゼロになるという信じられない体験をすることでしょう。まさに劇的です。
ニトロスピラの数がついに臨界値を超えたということに他なりません。
ただし、ニトロスピラの産出物である硝酸塩はその後も漸増を続けます。
この物質は他の二つと比べるとはるかに危険度の少ないものですが、それでも害がないわけではありません。
高濃度になると金魚は間違いなく病気になりますから、定期的な水換えによってこれを除去してやる必要があるわけです。 (7)純粋なアンモニア・・・日本でもアンモニア水は薬局で入手できますが、 それが本当の意味で純粋なアンモニアかというとちょっと自信が持てないというのが現実でしょう。 店員さんが見てる前で振ってみて泡が出るかどうかを確認するのも実際の話ムリですよね? しかし、だからといって諦めてしまうのは早計です。 このサイト(かんたんな金魚の飼い方)でご紹介しているのは私Hinconが開発?した、 お手軽フィッシュレス・サイクリングの方法です。ラクラク飼育を指向している方は是非参考になさって下さい。 |
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生物フィルタに繁殖するバクテリアは約27℃で良く育つ。フィッシュレス・
サイクリングの間、もし水槽ヒーターを用いれば、水槽の硝化サイクルは7
〜10日で完成しうる。ただし、硝化サイクルが完成したときはヒーター温度
を元に戻し、魚を投入する前に所要の水温になるまで下げるよう注意すること。 フィッシュレス・サイクリングの大きな利点(8)は、それが人間的であり、ス トレス・フリー(飼育が楽)なことである。もう一つの利点は、生物フィル タが完全に確立しているため、魚を一度に入れても大丈夫なことである。 その他の利点としては、魚が病気になった際に治療用の水槽の硝化サイク ルを緊急的に作り出すときで、これは、魚にいる水槽を模擬して、毎日一滴 づつアンモニアを添加するだけで大丈夫である。 魚のいる水槽で硝化サイクルを完成させることの困難を経験しているすべ ての飼育者にとって、このフィッシュレス・サイクリングの手法は評価され るであろう。 (了) |
(8)フィッシュレス・サイクリングの利点・・・ここに書かれているとおりで、付け加えることはあまりありません。
実際やってみるとアクビが出るほど簡単に水槽立上げができてしまいます。バクテリアが本当に繁殖するのかな、
と疑念が頭をよぎるときもありますが心配はまったく無用です。
バクテリアは日本全国あらゆる場所に必ず存在しています。「来るな!」といっても、
どこからかバクテリアはあなたの水槽に侵入し、いつのまにか立派なコロニーを作り上げてしまうのです。
しかしながらバクテリアを効率よく繁殖させるためには、それに見合った環境を人間側で用意してやる必要があります。
やり方は簡単です。
詳しくは私のコラムをご覧下さい。 最後になりましたが、従来のパイロットフィッシュ法について少しばかりお話します。 このサイトは従来手法のことにはあまり触れていませんが、 実をいうと効率という観点では、従来手法は非常に優れた水作りだといえます。 なにしろ金魚という超効率的で不純物の少ないアンモニア発生装置を使うわけですから悪かろうはずがありません。 いってみれば、クリス・クロウ氏が用いる純粋アンモニア溶液の代わりに金魚を入れるようなものです。したがって、 パイロットフィッシュ法は今後も日本で隆盛を続けるでしょうが、いかんせん水先案内人として犠牲にされる金魚たちのことを考えると、 心優しい私などは可哀想でとても続ける気にはなりません。また、パイロットフィッシュが途中で発病してしまうと 水作りはイチからやり直しです。なぜなら水槽に病原菌がはびこってしまうからですね。なかなか難しいです。 |