またまたクイズでお話すべきだったことの付け足しです。それは異種金魚の
混合飼育のことです。
たしかA君はリュウキン5匹の水槽にワキンを3匹入れたのでしたね。これ
は果たして正しいやり方でしょうか?
理想的な回答としては「異種どうしの混合飼育は避けたほうがよい」という
ことになります。これはどんな本にも書かれていますし、事実、弱いほうの種
類(この場合はリュウキン)がストレスで死んでしまったりすることがありえ
ます。
しかし何事も原則通りにはいかないものです。A君の場合でも何の問題なく
飼育できる可能性は充分にあります。その理由をいくつか考えてみましょう。
1.リュウキンよりワキンの方が色んな意味で強い。これは一般的な事実です。
しかし、水槽で魚を飼う場合は我々の知らない“掟”が魚の間で存在してい
ます。それは先住者の方が圧倒的に強い立場にあるということです。A君
の水槽では先住者はリュウキン5匹です。それに対しワキン3匹は新参者に
なりますから、本来の力と社会的な力のバランスがうまくとれて2つの種族
が共存できるる可能性がきわめて高いと思います。
2.種類に関係なく体の大きい金魚が強い立場に立てる、という掟もあります。
たとえばワキンよりリュウキンの方が体が大きい場合は1.と同じような理
由で力のバランスがとれる可能性が高いです。
3.もうお気付きですよね? 残りの掟は数の力です。リュウキンは5匹、ワ
キンは3匹ですのでリュウキン一族の方が強い立場に立てます。
こうしたことからA君がワキンを3匹追加したのはあながち無謀なことでは
なく、おそらく何の問題もなく共存できると思います。実際、私も今まで色ん
な種類の魚を小さな水槽の中で育ててきましたが、上の3つのことにできるだ
け気を遣ってやれば何の問題もなく混合飼育ができることは確かです。異種ど
うしとはいっても所詮は同じ金魚属(←こんな単語ありませんが・・・)です
から気性や特性は似かよっているというのが根底にあるのでしょう。
ただワキンのような長物の金魚のなかには時々物凄く気の荒い個体にでくわ
すことがあります。これには充分気をつけなければなりません。
私の例では3年ほど前でしたか、シュブンキン(朱文金)を一匹購入して更
紗の小さなリュウキン5匹の水槽に入れたことがありました。これがまた超弩
級の暴れん坊でして、おとなしいリュウキンを押しのけて餌を食い荒らしたり、
腹が減ったら手当たり次第に周囲のリュウキンを追い回したり突付いたりする
わけです。追星(おいぼし)もありませんので別に発情しているわけではあり
ません。どう見ても異常な個体でした。
これではリュウキンが全滅してしまうと考えた私は、透明のアクリル板(い
ざとなるとなかなか手に入らないのです!)を使って水槽を二つに区切ってや
りました。当初、朱文金のほうはしきりとアクリル板を突付き回しリュウキン
の居る区画へ行きたがっていましたが1週間ほどで諦めたようです。もし乱暴
な金魚を購入してしまった方は是非お試し下さい。ただアクリル板をきちんと
加工してやらないと見栄えが非常に悪いです(笑)。
さて少し話は変わるかもしれませんが、水槽で色んな金魚を飼うにあたって
混合飼育よりももっと深刻な問題があります。それは“病気の金魚に対するい
じめ”です。人間界でも子供、大人関係なくどんな年齢層にも存在しますよね。
社会的あるいは肉体的弱者に対してよってたかって排斥し攻撃を加える習性と
いえばいいのでしょうか。金魚の世界の“いじめ”は人間とは違い、実は種の
保存という本能に関係しているそうです。
ある金魚が病気に罹ったとします。すると周りの金魚たちはどんな反応を示
すでしょうか。最初のうちは何も起こりません。病魚が群れから離れてブルー
になっているだけで他の魚たちは自分勝手に泳ぎ回っているでしょう。ですが、
時間が経過し病状がだんだんと悪くなってくると、仲間たちは徐々に病魚を突
付き回すようになります。病魚は最初それに抵抗しますがそのうちに抵抗力も
なくなって為すがままの状態になり、さらに放置すると病気が進行するより先
に“いじめ”によるストレスで死んでしまうでしょう。残酷極まりない話で恐
縮です。
ですが、これは別に金魚が特に残酷な生き物だからというわけではありませ
ん。金魚の病気は虫や微生物の寄生によるものが多く他の金魚に感染しやすい
という事実を金魚たちは遺伝子レベルで知っているからです。放置して病気が
群れ全体に感染してしまう前に、病気の出所となっている個体を群れから積極
的に排除してしまおうという、ある意味、理にかなった行動なのですね。
川などに棲む野生のフナには健康な個体が多いという話を聞いたことがあり
ます。なにしろ野生ですから体も丈夫だということでしょうか。ですが、これ
は全く逆らしいです。野生の環境には水槽と違って様々な病原菌がうようよし
ており病気になる確率も高いのですが、病気になった個体は仲間たちがよって
たかって“すみやかにいじめ殺してしまう”からなのだそうです。病気になっ
たら、即、殺されてしまうので「生きているフナには病気の個体がいない」と
いう、なんだかブラックジョークのような話ですね。
少々話が長くなりました。要するに病気になった金魚はすみやかに別の水槽
に移してやり、塩水浴をしたり適切な治療を施してあげましょうというのが私
の言いたかったことであります。
さて、本稿も最後になりましたが、上の話を聞いて「いっそのこと飼育数を
1匹だけにしちゃえば混合飼育の面倒臭さやいじめの問題もなくなるのでは?」
と思われた方がいらっしゃるのではないでしょうか。もちろんそれでも飼育は
可能です。というより病気になった時の感染の心配はないし、水換えの頻度も
少なくて済むなど《ラクラク飼育》という意味ではこれに勝るやり方(?)は
ないでしょう。
ですが実はそれでは金魚自身としては不本意な状態であります。金魚の祖先
であるフナの習性を見れば明らかなのですが、金魚は元来群れの中で行動する
ことを好む社会的な生き物ですから、一人ぼっちを極端に嫌う習性があります。
金魚自身に聞いてみることはできませんが、1匹だけだと寂しさのあまりひょ
っとしたらストレスすら感じてしまうかもしれません。狭い水槽であっても最
低でも2匹まとめて育ててあげるのが飼い主の優しさというものですネ。
注意:混合飼育は可能と書きましたが、アロワナなどの肉食の熱帯魚との共
存はできません。あっというまに食べられてしまいます(笑)。
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