金魚飼育のあれこれ(その3)

水槽に入れる金魚の数


 さて前回のクイズで色々とお話しましたが、少し付け足すことがあります。
一つは水槽に入れる金魚の数のことです。
 クイズでは52リットルの水槽に元々5匹のリュウキンを飼育したとありま
すね。ここにA君がワキンを3匹買ってきて合計8匹となりました。これは
どうでしょうか? 適切なやり方といえるでしょうか?
 普通はちょっと多すぎますよネ(笑)。一般に金魚1匹について水が10リッ
トル必要だといわれています。これは水1リットルが含むことのできる酸素
の量は5〜8ccといわれていますので金魚の活動によって消費する酸素を確
保するためには相当量の水量が必要となるからです。この法則からいいます
と水量52リットルの水槽で飼える金魚の数は最高で5匹という結論が出てき
ます。

 この辺を検証するために少し面倒な計算にお付き合い下さい。
 まず水槽(水温は15℃程度)に5〜10センチ程度のワキンが5匹棲息して
いるとしましょう。これらの魚が24時間生き続けるための水量を計算します。

 水温15℃ですと1時間あたり必要な酸素の量は5匹で6cc程度といわれて
いますから、24時間生きるためには

           6cc/時間×24時間=144cc

が必要です。これに対して15℃の水が1リットル当たり含むことのできる酸
素の量は大体7cc位ですので、

          144cc÷7cc/リットル≒20リットル

の水があれば理屈の上ではワキン5匹が24時間生存可能だということになり
ますね。

 ところが夏場に水温が上がった時はどうなるでしょうか?
 ご存知のとおり、水温が高くなればなるほど、水の溶存酸素量は減ってき
ます。15℃で7cc/リットルであったものが30℃では5.5cc/リットル まで下がってき
ます。さらに厄介なことは高温になればなるほど金魚が消費する酸素の量は
飛躍的に増えるということです。15℃で6cc/時間必要であったものが 30℃
では2倍以上、すなわち15cc/時間も必要になってきます。
 つまり30℃の水温でワキン5匹が24時間生きるためには、

           15cc/時間×24時間=360cc

もの酸素が必要で、これに対応する水量は、

          360cc÷5.5cc/リットル≒65リットル

ということになってしまいます。上の数値はあくまでも大型のワキン5匹当
たりのものですので、1匹あたり必要な水量は、20÷5 〜 65÷5というこ
とで、4〜13リットルとなります。この量は水温によって変化しますが、私
の試算では22〜23℃程度の温度で24時間生存に必要な水量は大体50リットル
となります。さきほど申し上げた「1匹あたり10リットル必要」という話と
おおむね符合していますね。

 上の計算では5匹のワキンは1時間あたり6〜15ccの速度で酸素を消費し
ますので、24時間たったら溶存酸素量がゼロになって死んでしまうことにな
ります。そうさせないためには同じ速度(1時間あたり6〜15cc)で外部か
ら酸素を供給してやる必要がありますが、これをやってくれるのがエアレー
ション装置です。つまりろ過フィルタやブクブクのことですね。これらは空
気中の酸素を徐々に水槽内に溶け込ませる役割を果たしています。市販のエ
アレーション装置がそれだけの供給速度を持っているかどうかは自分で確認
したわけではありませんが、金魚の数が少ない場合はブクブク1台でも十分
な力を発揮してくれます。

 以上をまとめますと、
1.1匹あたり10リットルの水を確保することが理想的。
2.水の確保とともにエアレーションで常に酸素を供給し続けることが必要。
 そうしないと金魚は(計算上)24時間で窒息してしまう。
ということですね。

 さて、ここまでお話したことはあくまでも理想です。というのは、実際の
話、夏祭りなどのシーズンになれば必ずといっていいほど子供が金魚すくい
をするし、その数は年々増える一方です。60センチ水槽では6匹が限度など
と主張してみても、入手してしまった(?)金魚はそこに放り込むしかないの
が現実でしょう。
 そういう場合にとるべき手段はいくつかあります。一つは単純で、エアレ
ーション装置を増やすことです。既に上部式ろ過フィルタをつけてらっしゃ
る方なら簡単なスポンジフィルタや投げ込み式フィルタなどを追設すること
を検討なさって下さい。もちろんブクブクでも構いません。

 二つめは、ヒーター飼育をなさっている場合の措置です。ヒーターで年中
定温にしていると確かに病気は激減するし、金魚もすぐに大きくなります。
ですが、ヒーターを使うとどうしても水温を高めに設定せざるを得ませんの
で、それに伴って金魚の消費酸素量も飛躍的に増えてしまうのです。私の場
合は魚が鼻上げするかどうかによって水温を調整しています。水温を少し下
げてやれば溶存酸素量が増えるとともに、金魚の呼吸消費量も減ります。

 三つめの手段としては水換えの回数を増やすことです。水換えは硝酸塩な
どの濃度を薄める目的で行うだけでなく、少なくなった溶存酸素量を補給し
てやる効果があります。実のところ、これが金魚の飼育数を増やした場合に
最も効果的なやり方です。月2回水換えをしていたのであれば週1回に増や
してやればいいでしょう。変な話ですが、毎日の水換えを決して怠らないな
らば信じられないくらい大量の金魚を生存させ続けることが可能です。事実、
東南アジアの金魚養殖者は日本で流行している“生物ろ過”など七面倒臭い
ことには見向きもせず、毎日全量換水して育てている業者があるそうです。
凄いです・・・。ただし、日本の会社員でここまで時間的余裕とやる気のあ
る方はまずいらっしゃいませんよね(笑)。

 金魚はすぐに大きくなります。途中の病死をうまく乗り越えられれば最終
的に15〜20センチにも成長します。大きくなれば必要な酸素量も当然増えて
きますので、いずれにしてもエアレーションやろ過能力の強化、水換え頻度
の見直しなどが必要となってきます。できうるなら、水槽に入れる金魚は最
初から少なめにしておいた方が後々困ることがありません。なお、そこまで
考えると60センチ水槽で飼える金魚の数はせいぜい3匹程度でしょうか・・・。
これもまた詮無い話です。定年退職者や特定自営業など時間が有り余ってい
る方でもない限り、金魚を1匹も死なさずに寿命がくるまで育てあげるのは
実際上ほとんど不可能ですから、我々サラリーマン飼育者としては一応「1
匹10リットル」あたりを目処に考えておけば上々でしょう。金魚の寿命は平
均7〜8年といわれていますが、3年生きればあとは自動的に寿命を全うす
るでしょう。