粉末や顆粒の薬を計量する
「薬をこれだけ入れましょう」とか言われても、なかなか思うように入れ
られない場合がありますね? 液体の薬であれば計量スプーンなどを使って
簡単に規定量の薬を添加できますが、カラムナリス症の治療に使うグリーン
Fゴールドやエルバージュ、寄生虫駆除剤であるリフィッシュなどは顆粒状
になっており、○○グラム入れるように!といわれても、はたと困ってしま
ったという経験をされた方はおそらくたくさんいると思います。
まず私が昔やっていた恐ろしく稚拙な計量の仕方をご紹介しましょう(笑)。
ここではカラムナリス菌などに薬効のあるエルバージュエースを例にとりま
す。
1.エルバージュの24時間浴をやりたい場合は、水 100リットル当たり1グ
ラム強(簡単のためここでは1グラムとします。)の薬を添加すればよい
と書かれていますので、薬浴バケツに例えば10リットルの水が入っている
とすると、薬を 0.1グラム入れればよいわけです。ここまでは私にでもわ
かる初級和算です。
2.ところが 0.1グラムって皆さん、今までの生活の中で計ったことありま
す? 学生さんなら化学の実験で経験があるかもしれませんが、おそらく
液体の場合がほとんどで、粉末あるいは顆粒のものを 0.1グラム計量する
なんてことはおいそれとできる経験ではないでしょう。
エルバージュに入っている薬は 0.5グラムづつアルミ袋に包装されてい
ますので、ちょっと困ってしまったわけです。
3.そこで私Hincon は考えました。「0.5グラム入っているのなら、これを
5等分すればよいはずである」と。そこで、まず袋に入っている黄色い薬
をアルミフォイルの上に全部出しました。さあ、ここからが難しい。これ
を定規などを使ってうまく5等分しなければなりません。
4.ところが、言うは易く行うは難し。手元がちょっとでもぶれたりすると、
せっかく仕分けした粉末の境界がぐちゃぐちゃになって、何度もやり直し。
息をするのもままなりません。ほとんどコカインかなにかを扱っているよ
うな気になってしまいました。
以上が昔の私の姿でした。皆さんは経験ありませんか?(ナイデショウネ・・・・・)
しかし、当時は金魚が頻繁に病気に罹っていた時代でしたので、上のような
まどろっこしいやり方をしていると時間がいくらあっても足りません。そこ
で私は思いきって次のような方法を編み出しました。
***
まず0.5グラム入った袋ごと、500mlの真水の入った計量カップに溶かす。
⇒よくかき混ぜる。⇒そしてなんと作った薬水のうち 400mlを思い切っ
て捨ててしまう。⇒計量カップの残り100mlには 0.1グラムの薬が残って
いる計算になる。⇒最後にその薬水を薬浴バケツに少しずつ注いでやる。
***
これは物凄く簡単です。時間にして1〜2分。たったこれだけの時間で正
確な量の薬を計量できたわけですから、全国魚病薬計量大会があったら間違
いなく優勝できるでしょう。
ですが、はっきりいって勿体無いです。エルバージュは私の近所の金魚シ
ョップですと 800円くらいする高価な薬です。全部で4袋入っており、1袋
のうちの 4/5を捨ててしまうわけですから、
800円÷4×4/5=160円
ものお金を捨てていることになります。これは私が許しても女房が許してく
れません。
そこで私はついに究極の計量方法を突き止めました。計量は薬だけでなく、
水換えの時にコントラコロライン(カルキ抜き用の溶液)などを入れる時に
も必要ですから、それぞれの場合についてご紹介しましょう。
[水換えの時]
まず、百円ショップでできるだけ小さな計量スプーンを購入します。色
んな種類があると思いますが、私の持っているのは1ml,2.5ml,5ml,15ml
の4種類のスプーンが束ねられたもので重宝しています。コントラコロラ
インを入れる時は1mlの小さなスプーンできっちりと計って水道水に規定
の量を入れるとよいです。
水換えはこれがあれば速攻でカルキ抜きなどの作業ができます。
[顆粒・粉末の薬を計る時]
これも百円ショップを活用します(笑)。今度は計量スプーンではなく、
“薬味スプーン”を購入します。本来の用途はもちろん七味や一味を入れ
る時のものですね。見たことがないという方はいらっしゃらないと思いま
すが、念のためにイメージをいっておくと、ちょっと大きめの耳掻きだと
いえば判ってもらえるでしょうか。ややマイナーな商品ですが探せば必ず
見つかるでしょう。
次にこの薬味スプーン一杯が実質的に何グラムに相当するのかを把握し
ます。具体的には先に買っておいた計量スプーン(例えば2cc用)に薬味
スプーンを使って“塩”を入れていきます。そして計量スプーンがなみな
み一杯になった時の回数を勘定しておくわけです。例えば、薬味スプーン
を10回移した時に2ccスプーンが一杯になったとすると、2÷10=0.2cc
が薬味スプーン一杯分の量になります。
ここで注意することは、薬味スプーンも計量スプーンもなみなみ一杯を
一杯分としてカウントすることです。山盛りではありませんので気をつけ
て下さいね。念のため2回くらいやってみることをお勧めします。
もうひとつ注意点。それは通常、粉末などの薬の規定量はグラム単位で
書かれているということです。例えば 0.2グラムを計量する場合、上の薬
味スプーン一杯分でよいでしょうか? 答えは正確にはノーです。薬味ス
プーン一杯分は 0.2ccですが薬の比重は通常1ではありませんので 0.2グ
ラムということにはならないからです。
ではどうすればよいか? ……。すみません、判りません(笑)。ただ、
家庭用のさらさらした食塩の比重は 1.3くらいと言われていますので、さ
らさらした粉末や顆粒の比重もその辺りになるのではないかと思っていま
す。さらさらの度合い(「ゆるみ」といいます。)が同じ程度なら物質の
正味密度が多少違っても“見かけ比重”が大きく変わるとは考えにくいか
らです。正解はもちろん天秤かなにかで精密計量するしかないと思います
が一つの目安になさって下さい。
以上、薬味スプーンを使えば、かなりの少量でも大体の計量ができるこ
とがわかって頂けたでしょうか。これより微量の計量をしたい時はどうす
ればいいか? これはもう応用に属する分野ですね。例えば上の薬味スプ
ーンで 0.2ccの薬を計量カップに溶かせば、半分の水を捨てれば残りの水
には0.1cc残っていることになりますし、4/5を捨てれば残りに0.04ccの薬
が残っていることになります。自由自在ですね。
金魚飼育をされている方は上のような面倒な計量はやっていないかと思い
ます。ほとんどの方は勘を頼りにやっているのでしょうね。それで治るとき
はきっちり治るとは思いますが、簡単な病気なのに結構死なせてしまってい
る例をよく聞きます。薬の量が適切でなかった可能性があるのではないかと
推測しています。私も昔は勘で薬を水槽にぱらぱらと入れていましたが、治
療がうまくいかないケースがあとを絶ちませんでした。
魚病薬というのは金魚にとってストレス以外なにものでもありませんので、
その添加量というのは金魚の死命を決すといっても過言ではありません。勘
でやりたくなる気持ちも判りますが、まずは金魚の気持ちになって、できる
だけ正確な量の薬を入れてあげて下さいネ。
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