○月2日 治療開始
次の日の朝、当然のことながら餌は抜いた。健康な金魚には悪いがとりあえ
ずは仕方がない。病魚だけでも隔離したかったが、朝は時間がないので帰宅し
てからやるしかないだろう。エラの動きはやや変調だが、幸いにも内出血はな
いようなので、すぐに頓死するということはないはず。(希望的観測・・・)
帰宅後、病魚の無事を確認した。ほっとした後、仕事に疲れた体に鞭を打ち、
さっそく 1/3換水を行った。前日の水換えと合わせると全部で半分の水を入れ
換えたことになる。しばらく慣れさせる必要があるため、本格的な隔離作業ま
で数時間様子を見ることにする。
2時間後、まずは水槽の中ごろの水を5リットル抜いてバケツに入れた。こ
の時、利用したのは「おそうじやさん」(という名前だったか?)という乾電
池で動く水換え用のキット。水槽の中ごろの水は一番しぼりなので通常は水槽
中で一番きれいな水といわれている。バケツには高性能のブクブク(totto製バ
ブルストッパー;別コラムを参照)を入れ、酸素を静かに、かつ、たっぷりと
供給できるような環境整備を行った。
そのあと、バケツに予備のヒーターを取り付け、大元の水槽と常に同じ温度
になるよう設定調整した。病魚に水温差ストレスを与えて(ただでさえ悲惨な)
症状を悪化させては元も子もない。ちなみに大元の水槽もヒーターで水温一定
制御をしており、病気療養中も常に同じ温度を保つことになる。
ここまでやってからいよいよ病魚の隔離に移る。両手で病魚をサッとすくい、
すみやかにバケツに移した。もちろん両手は事前に冷水で念入りに洗い、水と
の温度差を極力小さくするようにした。
温度差、水質差のショックはなし。元々と同じ水なので当たり前だ。ただ、
水槽と隔離環境(バケツ)との違いに慣れるのに時間を与えてやる必要がある。
できるだけ水質を整える目的でゼオライト(麦飯石でもよい)を入れ、1時間そ
のまま放置した。
次は現状の古水5リットルを真水で薄めていく作業に入るが、その前に今後
の段取りを決めておかなくてはならない。たとえば、このまま真水を10リッ
トル加え、古水+真水の合計で15リットルにしてから、純ココアを混ぜ始め
る――というのが一番わかりやすいやり方だが、ちょっと芸がない。ココアを
規定量入れ終わるまで病魚に水質変化を延々と与え続けることになるからだ。
おまけにココアを入れ終わったあと今度は薬品【グリーンFゴールドリキッド
またはパラザン】を投入することになる。薬品は個体へ直接アタックする化学
物質でもあるしPHなどの水質を恐ろしく換える。良かれ悪しかれ水質を変え
続けるという行為――いわゆる“水いじり”は、金魚に絶えず“適応”のエネ
ルギーを使わせることになるので慎重の上にも慎重を期さないといけない。
結局、段取りとしては、薄める作業とココア投入を同時に行うことにした。
順番に行うのに比べて水質の変化幅は若干大きくなるが、長々と水をいじり続
けるよりは格段にいいだろうという考え方だ。具体的には次のとおり。
1.隔離バケツの最終的な姿は15リットルとし、純ココアの濃度は規定量の
半分程度(=15リットルで小さじ1/4程度)とする。
2.まず、事前に作っておいた真水に純ココアを混ぜ合わせ、このココア水を
30分〜1時間ごとに少しずつ隔離バケツに加えていく。(足し水の要領)
3.4回で10リットルのココア水を入れ終わるようにする。この際、足し水
量は、1回目は1リットル、2回目は1.5リットル、3回目は2.5リットル、
4回目は5リットルとする。これにより各回ごとのココア濃度は完全に比
例的に上昇していくため、金魚にかかるストレスが小さくなる。
このような調子でココア水を入れ始めた。事前に隔離バケツからゼオライト
を除去することを忘れてはならない。そのままにしておくと、せっかくのココ
アがゼオライトに吸収されてしまう。
1回目の投入には相当神経を使う。最初はほんのちょっと(250mlぐらい)入
れてみて5分ほど様子を見る。そしてまた250mlぐらい入れて5分様子を見る。
病魚の様子に問題がないようだったので残りの500mlを全部バケツにあけた。
1時間たった後、2回目も慎重に行う。病魚の様子は変わらない。3回目以
降はずいぶん慣れただろうから30分ごとに行った。4回目が終わった時点で
時計を見ると夜の11時を回っていた。今日やったことをおさらいする。
1.水槽水の1/2換水を終えた。
2.この水5リットルに金魚を入れ、真水10リットルを足した。これにより
古水割合はさらに1/3に薄まった。
3.ココア濃度は規定の半分となった。
ここまでで病魚は相当の水質変化を経験していることになる。さらなるココ
アや薬品の投入はまったくの時期尚早で、少なくとも今の水に1〜2日は慣れ
させないといけない。アエロモナスにやられた病気の金魚は適応力が極端に低
下しているからだ。
寝る前に本水槽の水が5リット減っているので足し水を行った。本当はこん
な夜にやりたくないし、金魚にもいい影響を与えないが仕方がない。今はとり
あえずは病気の金魚の具合がよくなってくれることを祈るのみ・・・
【つづく】
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