金魚の病気の名前は人間のと違ってその症状からつけられることが多いで
す。尾ぐされ病とか松かさ病などは典型例ですね。しかし原因が同じなのに
色んな呼び方をすると結構混乱してしまうものです。特にアエロモナス菌が
原因の病気はいろんな症状が出ますので治療の仕方をどうしたらいいのかビ
ギナーにとってはさっぱり判らなくなります。私Hinconの勝手な想像により
ますと、あまりにも病名(症状名?)が多いものですから病気になった金魚
をどうしていいか判らずに塩や薬や昇温治療とかこもごもやっているうちに
結局は死なせてしまい、金魚飼育の熱が冷めてしまう方も結構いらっしゃる
のではないでしょうか。
そこで、このHPでは金魚の様子がおかしくなった時に私たちとしてはど
ういう手順でそれに対応していくかということに主眼を置いてみたいと思い
ます。飼育の基本といってよいかもしれませんが意外とド忘れしてしまって
いる方々もいるのではないかと思いますので、しばらく辛抱してお付き合い
下さい。
(1)金魚の様子がおかしいことを発見した。(出発点)
このあと私たちは何を考えればいいでしょうか?
「まずどんな様子なのか判らないと駄目ですよね」という声が聞こえてき
ますが実はそうではありません。まずこれを考える方は頭が病気のことにと
らわれてしまっていて、その前に考えなければいけない基本中の基本を忘れ
てしまっているのではないかと思います。まず一番最初に考えなければいけ
ないことは次のことです。
(2)前日までに金魚にとって環境の変化を与える要因がなかったかどう
かをじっくりと思い起こす。
例えばニ、三日前に新しく購入した金魚を入れなかったかどうか?、昨夜
気温が急激に下がりはしなかったか?、前日に餌をやり過ぎなかったか?、
定期的な水換えをさぼっていなかったか?、ろ過装置がチューブの詰まりや
停電などで機能不全になっていないか?、前日近所の子供が遊びにきて水槽
をどんどん叩き続けていなかったか?等など……よくよく考えてみれば思い
あたることが結構あるはずです。
この環境の変化が何であったのかをきっちりと把握できればその後の飼育
管理にきっちりと反映することができますし、とりあえず目先の悪因を取り
除いてやることも可能です。つまりろ過装置が機能していなければそれを直
してやらなければなりませんし、水換えが適切でなければすぐに部分換水を
してやり、何はともあれ金魚をとりあえず安全な環境下に置いてやらなけれ
ばなりません。これらのことを(後追いではあっても)しっかりとバックア
ップしてやれば、発病初期であれば特に治療らしいことはせずとも金魚は自
分自身の力で病気を治してしまうことが多いと思います。
病気を治すのは結局のところ薬ではなく、人間が与えてやる環境と金魚自
身の体力(と精神力?)だということを私たち飼育者は肝に銘じておくべき
なのでしょう。
こうしてやるべきことをやった後、ようやく次の段階に移ります。
(3)病気の原因が何であるか・・・(2)の変化とか金魚の様子から推
測する。
この辺からが飼育者の腕の見せどころです。昨晩はすごく寒かった場合な
どはまず白点病を疑うといいでしょうし、新規に導入した金魚がいる場合や
過去2ヶ月以内にイカリ虫が湧いたことがある時は寄生虫による病気を疑う
といいでしょう。もちろん実際の病気は白点病を除いて色々と複合していて
治療といってもそれほど単純ではない場合がほとんどですが、その話はまた
あとでするとして、ここでは細菌による病気をとりあげます。細菌の病気は
大きく分けて次の二つに大別されると思います。
@カラムナリス菌による病気(尾ぐされ病、細菌性鰓病など)
Aアエロモナス菌による病気(赤斑病、松かさ病、穴あき病など)
本当のことをいうと、水槽に棲んでいる細菌がたったの2種類というわけ
がなく、金魚に襲いかかる病原菌はおそらくもっと何十倍も多いのだと思い
ます。ですがこの辺のことは水産学とかを専門に研究されている方々にお願
いするとして、現在のところ少なくとも一般には、上の2種類の細菌にが主
要な原因菌だと考えられているようです。
カラムナリス菌は前回お話しましたので、今回はアエロモナス菌の話をい
たします。この菌は大きく2種類あってそれぞれ症状が違ってきます。
治療が比較的わかりやすいのはアエロモナス・サルモニシダという菌で、
これは金魚の体にぽっかりと穴を空けてしまう病気です。これはすぐに判り
ます。知らないうちに体に1〜3個程度(筋肉が見えてしまうぐらいの)穴
が空いてしまっていたらこの病気です。
実際に観察すると思わず目をそむけたくなるくらいの状態なのですが金魚
は意外と元気なのですね。病状は徐々に進行する感じですから金魚のほうも
徐々に壊れた体に慣れていくのでしょうか? 日頃金魚の体表をいちおう観
察する習慣があれば通常はここまで悪くなることはありませんが、飼育数が
多い場合ですとその兆候を見逃しがちですので要注意です。
治療は割合単純です。サルモニシダは低温でしか生きられない細菌ですの
で水温を28℃以上に上げてやれば死滅します。薬は専用薬が市販されていま
すのでそれを使うのがベストだと思います。前回も紹介しましたがグリーン
FゴールドリキッドとかパラザンDがそれで、両者ともオキソリン酸という
名前の合成抗菌剤を主成分としています。ただこれでなければいけないとい
うわけではありません。私の大昔?の事例(病気の初期だったかと記憶して
います。)ではエルバージュの24時間浴でも完治しました。完治というとい
いすぎかもしれませんが、抗菌治療の後は塩水浴ぐらいしかしませんでした
のでそういってもいいかと思います。
アエロモナス属の菌のうちもう一つは、アエロモナス・ハイドロフィラと
いう名前の菌です。実をいうとこれが金魚の世界でいう“死神”といってい
いくらい忌み嫌われている細菌です。
この菌は実に色々の症状をもたらします。最初は体表に複数箇所赤斑がで
きるようです。菌が作り出す毒素による内出血の痕です。上のサルモニも初
期は同じような感じですが、こちらはごく少ない箇所がどかっとなりますの
で気をつけて見れば区別できるかもしれません。ただし素赤の金魚はちょっ
と見ただけでは発見できないでしょう。じーっと見て下さいね。
ハイドロの場合はその後が悲惨です。放っておくと鱗が松かさのように反
った状態になったり、菌が強い時にはそれが剥がれ落ちてぼろぼろになった
りします。でもそんなことで驚いてはいけませんよ(笑)。その後はもっとも
っと悲惨なことになります……。ポップアイと呼ばれていまして、なんと目
玉が飛び出てきます。これは決して突然変異ではありません。私も昔、ワキ
ンがいつの間にかデメキンになってしまったナァと一瞬思ってしまったこと
がありますが全然お門違いですね(笑)。あとは通常、内臓がやられて腹水病
に移行します。鱗の反りの前に内臓疾患が先にくる場合もあります。とにか
く最終的には体表がぶよぶよになり腹がぽってりと膨れて、逝ってしまいま
す。
恐るべき病気です。しかも通常の状態では薬が効かないというところが何
といっても死神といわれる所以ですね。しかし恐ろしいからといって諦めて
しまってはいけません。
|