パイロットフィッシュを使わずに硝化サイクルを作るやり方はあまり紹介
さていないようです。何故だかよくわかりませんが、大きな理由の一つは、
水ができるまで結構時間がかかるので一般受けしないことでしょう。フィッ
シュレスでやる場合、はっきりいって魚を入れられるまで一か月くらいはか
かります。せっかく水槽買って底砂やインテリアをアレンジしても肝心の金
魚を一か月も入れてはいけないなんて普通は耐えられないですよネ。
でもよくよく考えてみてください。セットし立ての水槽に金魚を入れたと
しても硝化サイクルができあがるまでやっぱり一か月くらいはかかるのです。
同じことなら最初から金魚を入れたくなるは人情かもしれませんが、その場
合は、水換えと病気治療でてんやわんやの一か月になるのに対し、フィッシ
ュレスなら左ウチワの一か月です。何の苦労も要りません。まあ当たり前の
話ですね。目に見えないバクテリア以外に水槽に生き物がいないのですから。
フィッシュレスがいまいちメジャーになりきれない、もう一つの理由とし
て金魚の市場価格が極端に安いことがあげられます。
たとえば、金魚すくいとかでよく見かけるワキン――特に子赤といわれる
素赤の小さい和金は信じられないくらい安価です。地方や販売ショップによ
ってばらつきはあると思いますが、私の近所のホームセンターでは一匹25
円※です。にじゅうごえんですよ!? 金魚には悪いけどタダみたいなもん
です(笑)。ドンブリ一杯ぐらいまとめてお亡くなりになっても我が家の財政
は微動だにしません!(←イバルナヨナ )悲しいかな子赤の命はポケットティッ
シュよりも安いということですね。
※ 当然のことながら金魚がどれも「1匹25円」というわけではあ
りません。金魚の値段は種類、特徴、大きさ、その時期の流通
量などによってかなりの開きがあります。25円から3万円とい
った感じでしょうか。ちなみにこのホームページは私のような
お小遣い貧乏の人間向きに最高 600円程度の金魚を対象として
いますのでご安心ください。
消耗品として用いられる最も際立った例は「生き餌」としての販売でしょう。
金魚ショップに行くとたまに子赤やメダカをごっそりとまとめ買いしている
光景に出くわしますが、あれは別にワキンの群泳を楽しもうなどという風流
な理由からではありません。多くはアロワナなどの肉食魚の餌として購入な
さっているのです。私のような門外漢からするとちょっとうすら寒いものを
覚えます…。これと比べるとパイロットフィッシュとして利用する分にはま
だ生存の可能性があるわけですから多少は人道的といえるかもしれませんね。
だけど人によっては生き物を消耗品として扱うことに凄く抵抗を覚える方
がいらっしゃるのではないでしょうか。私Hinconなどはその典型例かもしれ
ません。
----パイロットフィッシュだから死んでも構わない。たったの二十五円で
入手できる良質なアンモニア源をみすみす利用しないなんて愚の骨頂では
なかろうか。----
といった合理主義的な割り切った物の考え方ができないのです。それどころ
かパイロットだろうが本命だろうが関係なく、いったん我が家の水槽に命あ
るものが入った以上はできる限り長生きして欲しい、と思ってしまう…悲し
いくらいの小市民です。金魚の値段なんて人間が勝手に作ったものですから、
それに左右されるのもどうかと思うわけです。25円の命だから25日間生きれ
ば十分というのでなく、25円であっても六百円であっても、その金魚が持っ
ている本来の寿命をまっとうさせてやりたいという当たり前といえば当たり
前の気持ちなのですね。(チト格好つけすぎました…)
とにかくそういう気持ちで今までやってきましたが、ただ多忙なサラリー
マンがその志を全うするにはパイロットフィッシュ法では随分無理があると
感じました。これから金魚を飼おうと思ってらっしゃる多忙なサラリーマン
やOLの方々がいたとしたら私としてはフィッシュレスでラクラク飼育をお
勧めしたいところです。
さて、話は少し脇道にそれましたが、要するに私がこれから紹介しようと
している水作りは非常にマイナーな分野だということはご理解いただけたと
思います。ですがやり方自体はぜんぜん難しいものではありません。今まで
何度もやってきたので断言できますが、信じられないくらい簡単です。
外国の文献で、市販のアンモニア水溶液を用いたフィッシュレスの硝化サ
イクルの確立について実験や調査されたものがあってその中では市販された
アンモニア溶液を使っていましたが実際のところ、そんな医薬品や工業製品
を使う必要ありません。
そうはいってもピンとこないでしょうから以下にフィッシュレスで水を作
る手順を具体的に紹介させていただきます。あくまで我流ですのでそのあた
りはご承知おき下さい。
★ ★ ★
《 準 備 編 》
1.水槽を用意して、底砂を敷く。
水槽は横幅四十センチ以上のものがお勧めです。あまりにも小さいと水
温が外気の温度変化に追従しやすくなりちょっとしたことで水質が不安定
となってしまいます。
底砂は黒磯でも三色でもなんでもいいのでできるだけ敷いた方がよいと
思います。たまたま底砂の在庫がなくてベアタンクでやったこともありま
したが、硝化サイクルの完成までに若干時間がかかりました。定着の具合
もやや不安定だったような記憶があります。なぜかはわかりません。バク
テリアにとって、底砂はろ過フィルタに次いでお気入りの棲家だというこ
となのでしょうか。
2.ろ過フィルタを設置する。
できるだけろ過面積の大きいもののを付けましょう。やはり上部フィル
タがいいと思います。ろ材としてはあとあとのことを考えるとリング状の
セラミックタイプがいいです。リングろ材は水通しが最高によいのでちょ
っとやそっと清掃しなくてもほとんど目詰まりしません。ラクラク飼育を
目指す方にはもってこいのろ材ですネ。あとはゴミ取り用に普通のウール
マットかゴミ取り網を一枚かぶせておくだけで結構です。
さらに私の場合上部フィルタとともに、必ずサイドフィルタを付けるこ
とにしています。ろ過面積を大きくとっておくことは水質の安定につなが
りますし、水槽で飼育する金魚数の上限をある程度広げることもできます。
サイドフィルターとして私が効果的だと思ったのは、スポンジフィルタ(
60センチ水槽だと二股ダブルで設置)あるいは底面式フィルタです。
ちなみに各社から、活性炭やゼオライトなどの吸着物質の入った投げ込
み式フィルタが多数発売されていますが、あれは硝化サイクルが未完成な
時期に投入したパイロットフィッシュをできるだけ死なせないように工夫
されたものです。ですから既に購入された方には酷な言い方なのですが、
原始的にフィッシュレスで水を作る場合は無用の長物です。むしろせっか
くの貴重なアンモニアがゼオライトなどに吸収されてしまうと、上部フィ
ルタを中心としたニトロソモノス属の繁殖が抑制され、硝化サイクルの完
成が遅れてしまうという欠点があります。
3.エアストーンを設置する。
上部式フィルタとサイドフィルタだけでも十分な量の酸素が供給される
と思われますが、あとあと水槽にたくさん金魚を入れたい場合とかはエア
ストーンを設置したほうがよいでしょう。特に夏場は水温が上がって溶存
酸素量が激減しますので、その意味でも付けておけば安心です。
また都合のよいことに、アンモニアを出す有機物分解菌と硝化バクテリ
アは好気性で、アンモニア以外の有害物を生産する雑菌は多くが嫌気性と
いわれています。硝化菌の繁殖を促進し嫌気性雑菌の増殖を抑制する観点
からエアストーンは一定の役割を果たしてくれるでしょう。
ちなみに、エアストーンは五十円のものからニ千円のものまで、たくさ
ん種類があります。私Hinconは五十円のものを愛用していますが(笑)、な
かにはエアカーテンのようなきれいな泡を出すタイプもあります。金銭に
余裕のある方は色んな種類のエアストーンをお試しになっては如何でしょ
うか。
4.水槽に水を張る。
まず、水道水をバケツに入れ規定量のハイポを入れます。あるいはハイ
ポに代わるものとしてテトラ社から発売されている「コントラコロライン」
というカルキ抜きがあります。どちらでもいいとは思いますが後者は液体
なので定量しやすいし、ハイポのように溶けるまでの時間待ちがありませ
んので時間に追われるサラリーマンには有難いです。ただハイポと比べる
とお値段が格段に高いので、暇のある方はハイポをあらかじめ溶かした溶
液を作っておくと使いやすいでしょう。
なお、塩素中和剤を使いたくないという方は、水道水のままでニ、三日
(夏なら一日)野外に放置しておけば塩素は自然と抜けます。また曝気(
ばっき)という方法もあります。これは水道の蛇口を思いきり開けてバケ
ツの底に水を叩きつけたり、ホースの先を抑えて噴霧状にしてバケツの側
壁とかに勢いよく当てながら注水したりするやり方です。ただ塩素が完全
に抜けきっているかどうか見た目でわかりませんのでビギナーにはちょっ
と心配ですネ。実をいうと私にも判別不可能であります(笑)。
最初の水張りでお勧めしたいことがあります。それは水槽に入れた水の
量を可能な限り正確に測ってメモに書いておくということです。というの
は水槽に入っている水量というのは「縦×横×深さ」で正確に計算できる
と思ったらさにあらず。底砂やインテリアの体積分は水面が高くなってい
る上、上部フィルタによる汲み上げの影響で水位がかなり上下しているの
です。一度水槽をセットしたあとは正確な水量がわからなくなってしまう
のですね。水量がいいかげんなまま飼育を始めると水換えや寄生虫駆除材
の投入といった際にとても困ることになりますので気をつけて下さい。
★準備は以上です。次はいよいよ水作りの開始です。★
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