あえてパイロットフィッシュを使った水作りをする場合は、次のよう
な点に気をつければ金魚が生き残る可能性が高くなるでしょう。
・餌の与え方
硝化サイクルが完成するためには通常一か月はかかります。大まかにい
うと、ニトロソモナス系の定着に2週間、さらにニトロスピラ系の定着に
2週間という感じです。餌を多く与えても逆に少なめに与えてもなぜかこ
の期間はほとんど縮まりません。バクテリアの増殖プロセスは調べたこと
はありませんが、これらの硝化バクテリアが遺伝子として固有に持ってい
る増殖速度が「1か月」ということなのでしょうか?(←ウソカモ)
---どちらでもいいのなら多めに与えよう。そのほうが金魚が早く大きく
なるし---
と思った方がいるかもしれませんがちょっと違います。水槽内のニトロソ
モナスが必要とするアンモニア量は(特にバクテリアの増殖初期は)そう
多くないので、エサを多く与えすぎるとニトロソモナスが食べ残した?ア
ンモニアが水槽内で増加し金魚に致命的な影響を及ぼすことになるからで
す。
また、金魚というのは一般に消化する力が弱いので餌がちょっとでも多
すぎるとすぐに胃腸障害になって病気に罹ってしまいます。品評会とかを
ターゲットにしたプロの方々は病気になる一歩手前まで大量の餌を与え個
体を大きく立派にする術に長けていますが、私も含めて素人は真似しない
ほうが得策です。
エサはごくごく少なめに。これが金魚にとっても飼い主にとってもハッ
ピーな結果をもたらしてくれます。
・水換えの仕方
毎日仕事から帰宅して水換えしていると面倒くさくなってロクロク温度
合わせもせずに水をザバーと入れ替えがちですね。でも金魚は我々人間と
違って変温動物ですから、ほんの少しの水温差でも感知します。 0.1℃の
違いでもわかるそうです。そんな生き物が棲んでいる水槽に、いきなり2、
3℃以上も違う水をザバーといれたりするともう効果はてきめん。
途端に金魚の動きがぎこちなくなって、次の日には体調を崩し、多くの場
合、病気にかかってしまうでしょう。あるいは水温差があまりにも大きい
とその場でショック死する可能性もあります。
金魚飼育において「水換え」の方法はとりわけ重要です。なかでも温度
合わせをどれだけ慎重に行うかが金魚の死命を制しているといって過言で
はないでしょう。私の実例を申し上げますと、昔は面倒なので指を水槽に
入れた時の感覚で大体の温度を合わせていましたが、水換えの翌日に金魚
の体調が悪くなったり発病したりしがちだったので、数年前からデジタル
温度計を使って ±0.2℃くらいの精度で温度合わせをしています。金魚バ
カ?と笑われてしまいそうですが、それ以降、金魚の病気が極端に減った
ことは特筆すべき事実です。
なにはさておき水温だけはしっかりと合わせましょう。!
・亜硝酸の監視
水槽をセットして金魚を入れると、まず最初にアンモニア濃度がググッ
と上がってきます。この段階でタイミングよく水換えをしないと一匹目の
パイロットがお釈迦になってしまいます。アンモニア試薬は今まで使った
ことがないので何ともいえませんが、おそらく水槽設置後三日目〜一週間
目くらいには少なくとも一度部分的な水換えをしたほうがいいのではない
でしょうか。ニトロソモナス系のバクテリアが増殖してくるとアンモニア
濃度は自然と下がるのですが、それを待っていると金魚の命が危険にさら
されることになります。
さて、その後の話ですが、3日〜一週間目以降は亜硝酸がズンズン増加
してきます。亜硝酸はアンモニアに次ぐ毒物質です。この濃度が上がりす
ぎるとニ匹目の金魚が病気になり死んでしまいますので、危険レベルにな
る直前に頻繁に水換えをする必要があります。このレベルを判断するため
には亜硝酸を測定する試薬が必須です。テトラとかニッソーなどの会社か
ら販売されていますのでアクアショップやホームセンターでお求め下さい。
値段はちょっと高めで千円強だったかと思います。「自慢じゃないが金魚
ごときにそんな大金は使えん!」というお小遣い貧乏な方は一週間目以降
は隔日に1/3〜1/2ずつ水換えをするのがよいかと思います。普通はこんな
に頻繁に水換えすると、金魚にもかなりのストレスを与えますが、亜硝酸
中毒で死ぬよりはマシという考え方です。
・病気の治療
病気になった金魚を例えばバケツに入れた水に移すとき----この場合も
水換えの場合と同じ配慮が必要です。水温合わせはもちろん水質について
も急激な変化は禁物です。私自身よく失敗したのですが、昔、白点病にな
った当歳の金魚を薬浴用のバケツにボチャリと入れてしまったことがあり
ます。すると次の日に何故か白点が増えてしまい、エラ病など別の病気が
併発したりして、数日後にお釈迦になったことがありました。これは「治
療が間に合わなくて死んじゃった」などという次元の話ではなく、明らか
に“水合わせ”の失敗によるものです。病気で体力が落ちた人間を無理や
りセスナ機に乗せてアラスカの山小屋へ連れていき、強い薬を大量に注射
して放置する…人間でもこんなことをすると十中八九病気が悪化してしま
いますよネ。よかれと思ってやったことが逆に金魚の体調を悪化させてい
る場合が多いということに注意しましょう。
薬浴水槽へ移すときも、当然のことながら水温や水質の変化を極力抑え
るようにするという、基本的な条件をガッチリと守ってこそ、はじめて最
大の薬効を期待できるのだと思います。
以上のようなことに気をつけながら飼育すれば、パイロットフィッシュと
いえども滅多なことでは死なないと思います。だけど、やっぱり…面倒くさ
いですよね? 帰宅したら風呂入ってメシ食ってビールの一杯でも飲んでゆ
っくりしたいですよね? 実は私としても面倒なことはそれほど好きではあ
りませんし、そもそもウィークデーは悠長に水換えとか治療とか理科の実験
まがいのことをしてる暇なんてありません。
そこで私が忙しい皆さんにお勧めしたいのがフィッシュレス…つまり、パ
イロットフィッシュなしで水を作る方法です。これから金魚を飼ってみよう
かなとお考えの方は是非トライしてみて下さい。やり方はごく簡単です。
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