金魚飼育を始める前に


 日本人のペットというとまず最初に何を思い浮かべますか? やはり犬
とか猫がトップに躍り出るでしょう。あとは小鳥とか最近ではハムスター
なんかも人気があるようです。
 では、金魚というとどうでしょうか。
 これは単なる想像ですが、ペットとして金魚を飼っている人は最近とて
も少なくなっていると思います。私が勤めている職場を見渡してみても金
魚を飼ってるのはごく一握りで、しかも、大半は長年飼育しているベテラ
ン愛好家ばかりで、さぁこれから金魚でも飼ってみようという人は皆無と
いっていいようです。金魚好きの私としては残念この上ないことですが、
これが現状ですから仕方ありません。ですが、そうかといって、日本人の
ほとんどが生まれてこのかた金魚に縁がなかったというと嘘になるでしょ
う。
 現在でも夏祭りに行くと必ずといっていいほど金魚すくいがあるように
はるか昔から歴史的に金魚は日本人にとって身近な存在でした。小さい頃
に祭りの金魚を家に持って帰り、たらいに入れて上から覗きこんだ経験を
持つ方は大勢いらっしゃいますね。私自身もそうでした。こういうのも飼
育経験として勘定に入れるとすると、金魚飼育をめぐる現状というのは、
おおむね次のようにいえると思います。

 日本で金魚を飼ったことのある人はたくさん居らっしゃるが、ほとんど
の人が途中で失敗して死なせてしまい、大人になった今でも飼い続けてい
る人はきわめて少ない。

 何を隠そう、私Hinconもそのうちの一人でした。
 あれは小学生の頃だったでしょうか。夏祭りで金魚すくいをやって子赤
を五、六匹、家に持ち帰ったことがありました。すると近所の人が次から
次ぎへとやってきて「Hinconチャンこれもあげるよ」といって、彼らがすく
った夜店の金魚をいっぱい持ってきたのです。四十ほど年前(^_^;)のこと
ですので正確な数はもはや記憶の外ですが、全部で三十匹ぐらいだったと
思います。(※ ワキンの子供のこと)

 さっそく私はでっかいタライに水道水を溜めて、金魚三十匹をぶち込み
ました。だけど結果はいわずもがな・・・。2、3日で一匹残らず全滅!

 今から考えると当然の結末でした。水道水の塩素抜きとかエアレーショ
ン(エアーストーンとポンプを使ってブクブクと泡を発生させること)とか
の知識が何もなかったのですから仕方がありません。それに個人の資質に
も若干問題ありでした。たしか、「金魚に餌をやらなくちゃ」と思って、い
きなり白米を茶碗一杯たらいに入れてしまったような記憶があります。
 金魚にメシ粒・・・・・アホですか、わしは。

 しかしさすがに三十匹が一度に全滅するとなると子供心に相当なショッ
クを受けるものです。結局その体験がトラウマとなり、それから四十数年
間というもの「魚」と名の付くものは一匹たりとも飼ったことがありません
でした。

 だけど最近(といっても'97年? 頃でしたか・・・)、親戚の子供が夏祭り
の金魚を大量に持って帰ってきたのです。そのときは気がつきませんでし
たが、後でよくよく考えると、その子に渡された五〜六匹の金魚を入れた
ビニール袋をまじまじと眺めた――その瞬間こそが、四十数年間の長い長
いトラウマからの出口となったようです。

 金魚を死なせてはいけないという獏とした思いに駆り立てられ、金魚を
バケツに入れた次の日曜日にはハイポ(塩素を抜くための粒のようなもの)
と水槽投げ込み式の簡易ろ過フィルターを買いに行き、さらに次の日曜日
には金魚の餌を買いに行きました。金魚の餌が後回しになってしまった理
由はいまもって不明です。やはり小さい頃からの個人の資質が関係してい
るのでしょう。

 このように、趣味としての金魚飼育を曲りなりにも始めたわけですが、
いかんせん仕事が忙しくてウイークデーはほとんど放置状態となってしま
います。会社は家から比較的近いのですが人件費削減の波をもろにかぶっ
て仕事が日に日に増えていく毎日で帰宅はいつも深夜近く。真っ暗闇のな
か玄関のドアーを開けたら一日の疲れがどっと出てきます。金魚の水換え
などやってる元気もなく、水が濁ってきたり金魚が病気になったりしても
「見なかったことにしよう…。わしゃ見なかった! なぁんにも見なかっ
たぞ…」とつぶやいて布団にもぐり込む始末です。飼育を始めた当初は毎
週一匹ずつ死んでしまうような悲惨な状況でした。

 これは私だけのことでなく仕事を持っている方なら多かれ少なかれ同じ
ような状況なのでしょう。上役からは「サラリーマンといえどもよく学び
よく遊べ」なんて声高々にお説教される割には、趣味やリフレッシュに割
ける時間はほとんどもらえない、そんなご無体な時代なのでしょうかね。
 おまけに金魚の飼育は巷間では手間がかかるといわれています。病気の
金魚が何匹も出た場合などは特に大変で、飼育本などに書かれた方法をま
っ正直に実行するには到底時間が足りません。余裕を持った飼育どころじ
ゃないわけですネ。趣味に忙殺されて苦しい…と感じること自体、本末転
倒のような気がします。

 私はこうした限られた時間のなかで、試行錯誤しながらもなんとか金魚
飼育を続けてきました。家族に協力してもらえばもっと楽にできたかもし
れませんが、女房、子供はハムスターのほうがいいらしく、金魚のほうは
鑑賞専門。水換えとか糞掃除などの体を使った飼育部門は全部私の担当と
なっとります。木枯らしは昔から吹いていたというわけですね。

 しかし、丸ごと押し付けられたおかげで、一人でもラクに金魚を飼える
方法がおのずとわかってきました。別に一生懸命勉強したわけではないの
ですが、必要に駆られて仕方なく…といった感じで、一つ一つ失敗を通し
て身につけていったものです。金魚飼育のプロやベテランの方々から見る
と邪道といっていい程の代物かもしれませんが、これから金魚を飼ってみ
ようかな?と思ってらっしゃる人たちには一つの入門例になるかと思い、
(いい年こいてお恥ずかしい限りですが)ホームページとしてまとめてみ
ようと思い立った次第です。親戚の子供に金魚の入ったビニール袋を手渡
されて以来、いつのまにか金魚ファンになってしまった私にとってWEB
の片隅にアップしたこのページがほんの少しで皆様の参考になれたら、こ
んな幸せなことはありません。