サンシャイン劇場

「ART」



観劇日時 2001年5月26日(土)17:00

 初演ではマーク=市村さん、セルジュ=益岡さん、イワン=平田さんというキャストだったのを、今回セルジュが升さんに変わって再演です。
「俺の友達セルジュが絵を買った。…白いラインの入った白い絵をね」
 市村さん演じるマークのこの一言で、客席は物語に引き込まれていきます。ほんとに嘘じゃなくねー、たったこれだけのセリフで「ART」の世界に連れてかれるんですよ。少なくとも私はそうだった。そりゃあ積極的に芝居を観に行くんだから、その世界に引き込まれたいとは思っているわけだけど、開幕の一言でそうなれるっていうのはすごいことだと思うんですよね。初演も観て、ストーリーは知っているんだけど、とても新鮮に楽しく観劇できた。それはやっぱり升さんが加わったからもあります。
 益岡さんがダメというのではないと……好みの問題かな?(^_^;) ただ、初演の時は、マークとセルジュが親友だという関係がしっくりこなくて。まあ、白い絵を見せたところから2人のいさかいが始まるわけだけど、会話を聞いていても、どうしてこの2人が親友なのかがわからなかった。だから最後に3人が元通りの関係に修復しようとしている姿を見ても、そんな必要ないんじゃないかと私は思ったんですよね。どうしても、このマークとセルジュがうまくいくようには思えなくて…いくらイワンが頑張っても(笑)
 今回は、マークとセルジュとイワンの友人関係というのが、すぐに自分の中でしっくりきたんです。それはちょっとしたセルジュの表情だったり、マークのしゃべり方だったりしたんですが。例えば、絵をマークに見せる時の、セルジュの嬉しそうな笑顔とか。2人がしゃべっている時の間とかね。この3人のキャスティングってば、ドンピシャ! これしかないって感じでした。
 イワンはこの3人の関係の中では重要。この人がいないと、この関係はおそらく長続きしませんね。で、また平田さんがうまいのよ〜(>_<) のんびりしてるように見えて、意外とイワンは歩き回り、動き回るんですが、それが全然うるさくない。そしてイワンの見せ場!(笑) 2人との約束の時間にすっかり遅刻してきて、その言い訳を怒濤のようにまくし立てるんですが、見事に言い切る! かまない! すばらし〜\(^○^)/ 前回では、その勢いというか雪崩のようなセリフに圧倒されちゃって、言っている内容はまるで頭に入ってこなかったんですが、今回はちゃんと内容が理解できました。情けない内容なんだけどね…(笑) 汗を拭いながらとうとうと語るイワンを、マークとセルジュが同じ格好でソファに並んで座ってじっと聞いているのが、またおかしい! イワンがしゃべり終わるまで、ほとんど身じろぎもしないし表情も動かさないんで、ほんとに聞いてんのか?と疑いたくなっちゃう(笑) イワンに対する意見だけは、マークとセルジュのそれが一致するというのも面白い。そこに3人の友情関係がうかがえるんだけど。
 升さんのセルジュは、すごくマークのことが好きなんだなあ、というのが感じられて良かったな。だから最後にマークとセルジュが歩み寄るのを自然に受け止められた気がします。でもそれは元通りの関係ってわけじゃないんですよね。今回のケンカ(って言っていいのかな)で、お互いに近くなった部分と遠くなった部分とがあると思う。それぞれに感じる部分は違っても、絶対あると思うんです。だけど多分、3人が共通して思ったのは、3人のこの関係が大事なんだってことじゃないでしょうか。いや〜ん、いつになく真面目だわ(笑)
 白で統一してあるセットも、すごく雰囲気が出ています。その白っぽい空間を、黒づくめの3人が動いていくんですけどね。モノクロの中の複雑な関係です。かっこい〜(笑)
 とにかく見ごたえのある、面白いお芝居でした。きっと何度見ても新鮮に味わえるんじゃないかな、という作品です。
 そういえば、今回は席が後ろなので、オペラグラスを持っていこうと思っていたのに、すっかり忘れてしまいました。でもかえって良かったかな。オペグラを覗く動作って、どうしても集中力を妨げますもんね。そんなに広い劇場でもないから、表情なんか見えないってほどでもなかったし。ただ途中から入ってくる人とか、荷物をガサガサする人とかいて、やっぱり後席はちと辛いものがありましたね。


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