トキドキ日記特別篇−パリ−


毎日の分だけどトキドキ日記。なぜなら更新がトキドキだから(たぶん)。

サプライズ

lundi 17 novenbre 2003

午後には発つというのに、私が一番大好きな雨上がりの光景。離れるのが耐え難いほどに、なにもかもキラキラしている。朝のお散歩のあと、チェックアウトして仲良しのおにいさんに荷物を預け、再び街へ。タクシーは頼んであるので時間までふらふらする。特にあてもなく歩き、行き当たった自然史博物館に入り、子どもに混ざって見学したあと、そこのカフェで食事。ゆっくり過ごす。帰り道、朝のセーヌ沿いで写真を撮ってあげたカップルにまた会ったので「こんにちは」と挨拶する。

時間よりも少し早めにホテルに戻る。「まだ時間があるから大丈夫だよ」と言われるが、じゅうぶん楽しんできたし、ホテルの椅子でのんびりしたかったのでそのまま座っていると、おにいさんが突然奥に入ったと思ったら「おみやげだよ、飛行機の中で食べてね」と包みを差し出した。中をのぞくとマカロンが入っている。大感激!私も今回結局あえなかった友だちに持ってきたおみやげを取り出して、「これどうぞ、私からもおみやげ」というと、彼はひどくびっくりして「わあ、ありがとう。これは驚いた、発つ日におみやげをもらうなんて思いもよらなかった!」とものすごく喜んでくれた。二人とも大興奮。彼のために持ってきたおみやげじゃなかったけど、こんなに喜んでもらえてうれしかった。次はちゃんと用意してこよう。

タクシーはいつも通り時間よりちょっと早めに来た。おにいさんはドライバーと一緒に私の荷物を運んでくれ「また今度ね!」と言い残すとすばやくホテルの中に戻っていった。走り出した車の窓からのぞくと、ガラスの向こうから手を振っているのが見えた。私も同じように手を振り、それからドライバーにターミナル1であることを告げ、大好きなマレをあとにした。


dimanche 16 novenbre 2003

ジュードポームで中国人アーティストの作品展をみたあと、冷たい雨の中ふらふらと歩く。かなりしっかりと降っているので、持ってきた折り畳みの傘が役に立つ。リュックを背負い、傘をさして、こんな格好なのに困ったことに雨のパリはひときわ美しい。公園の中、カメラに雨がかからないようにひどく妙ちきりんな形でシャッターをきる。

夢中で撮っていたら体が心底冷え込んでしまい、これではまずいので移動することにした。オルセーに向かう。ところが行ってみるとものすごい長蛇の列。それはそれは長い列。こんな雨の中、みんな辛抱強く並んでいる。見るからに寒そうだ。ここでそんなに並ぶのもイヤなので私はすぐにパスすることに決めたが、そこで傘売りの男たちに遭遇した。フランス人とは思えない彼らは折り畳み傘をわきに何本か抱え、妙なフシをつけてアメ横のおじさんみたいな声で「アー、アンブレラアンブレラ、パラプリュ、パラプリュッ!」と列に向かって歌って(?)いる。売っている本人は傘なんかさしてはいない。(パラプリュイはフランス語で傘のこと。語呂が良いので最後のイは省略しているみたいだった)

が、誰1人買う者はいない。いったい彼らはどこからやってきたのだろうか、晴れてる日は何してるんだろうか。抱えた傘にはなぜだかエッフェル塔のワンポイントイラストがついていた。こんなことで商売になるんだろうか。外国に行くとナゾの仕事をしている人に遭遇する。


ロダン、ユゴー、ミュシャ、そしてタチ・・・?

samedi 15 novenbre 2003

朝一でロダン美術館へ。前回行った時はストで庭しか入れなかった。前日、よせば良いのに思いつきで歩いてたどりついた時には、もうすぐ閉館だから入れないと断られた。やっと入れた。勢いあまって電話器みたいなガイドも借りてみた。日本語のをごそごそ探して渡してもらい、首から下げる。結構重くて早くもやや後悔。

開館直後のせいかまだ人も少ない。窓から差し込む朝日の中、そう大きくはない建物の中を順番にゆっくり歩く。白状すると、ピカソと同様、前回庭を見る前まではロダンなんてあんまり興味がなかった。考える人、くらいしかイメージがないし、彼を扱った映画をちらっと観たくらい。ところが実際に庭に置かれた作品を目の前にしてみるとなんとも惹かれてしまった。建物の中を恨めしそうに覗き込み(他にもそんな人が何人もいた)次は必ず、とここだけは来ることに決めていたのだ。

こんなふうにヨーロッパで初めてロダンやピカソ、それから印象派の絵画などを好きになるのは、作品そのものの力はもちろん、環境のせいもあるだろう。雰囲気のある古い建物の中でゆったりとごく近くでみられる、気に入ったものがあればそればかりずっとみていてもかまわない。急がされることもない。それもこういった作品が常設で展示されているからだろうけれど、ごくごく身近に感じることができるのだ。日本の美術館で企画があってもひどく混んでいるため、せいぜい感心するくらいで好きになるほどじっくりみられない。たいていは人込みで疲れてしまう。そんなふうだから、そもそもなかなか行く気になれない。パリの美術館でうらやましいのは、子供や若者がフツーにたくさん来ていること。

電話型ガイドは順番にきいていくと言うよりも、作品についている番号を押すとそれについての解説をきけるというものだった。だから知りたいものだけききたいものだけ選べばいい。長過ぎて辟易したアビニョンの法王庁のものと違って、時々「そんなことは説明されなくても見ればわかるよ」ということや「待って待って、いったいどの作品のことを言ってるの?」というようなちょっと脱線したものがあったにせよ、まあ丁度良いと言えるものだったし、なるほどと思う興味深い話もきくことができた。特に「接吻」の、実物をみながらの解説はとても面白かった。

売店で“手”のミニチュアが欲しくてしばらく考える。しかし、どう考えても私には高いのであきらめ、かわりに「接吻」だけをとりあげた小さな写真集と数枚のポストカードを買う。庭に出てしばらく散歩。ひどく寒かったのであまりゆっくりはできなかったけど、満足して外に出た。

そのあとはマレに戻り、ホテルのおにいさんにピックアップしてもらった“本日無料”で入れるところめぐり。ヴィクトルユゴーの家(企画展以外)、カルナヴァレ館へ。ロダン作のユゴー像をたくさん見たあとなので感慨深い。様々な内装を再現しているカルナヴァレ館ではミュシャデザインのインテリアを発見!(前に何度も来たのにはじめてみた。前からあったっけ?)感激だった(絵より断然素敵)。だいぶ遅くなってしまったので、おにいさんに教えてもらったもうひとつの入場無料はあきらめ、バスティーユで開かれているアンティーク市へ。おにいさんがくれた招待券があるのでこれもタダ。なかはとっても広くて迷うくらい。聞き覚えのあるメロディが聞こえてきた。タチの「僕のおじさんの休暇」のテーマ。振り向くと大きなからだのおじさんが口笛をふいているのだった。有り金全部はたいてかたつむりの調味入れを買う。うっかりお金をあまり持たずに入ってしまったので、おいしそうな屋台もいっぱいあったのに何も食べられなかった。残念!


慣れ

vendredi 14 novenbre 2003

日本に宛てたハガキを出しに郵便局へ。レジにはユーロとフランの両方の表示。ユーロで言ってくれてたのにも関わらず、レジの表示をみてしまった私はフランの数字をみてユーロを出そうとしてしまい(すごい大金)窓口のおねえさんに笑われてしまった。ハッと気づいて「これじゃ高すぎるわね!」と私も照れ笑い。そういや、ロンドンの郵便局でも「君はまだお金に慣れていないんだね、いいんだよ、気にしないでね」とおにいさんに励まされたし、ちょっと情けない。

お昼近くにサクレクール寺院へ。スケッチブック片手の似顔絵描きは今年はテルトル広場の手前にたむろしていた。通ろうとすると何人かが声をかけてくる。半端に答えて最後に罵声を浴びせられたことがあるので、何を言われても無視して通り過ぎると、一番一生懸命だった男が最後に叫んだ。CAN I SPEAK “SOMETHING”!? ・・・ゴメン!でも振り返らなかった。


朝のお散歩

jeudi 13 novenbre 2003

なんの計画もなくパリに着くのはもちろんのこと、全く何の計画のないまま歩き出してしまうのもいつものこと。バスティーユの高架上を歩いてみようと向かったのは良いが、だいたいの位置関係をわかった気でいるのを良いことに、方向を確かめもせず思い込みで歩いてしまった。目的の場所につかない。で、はじめてポケットの地図を出す。すぐに取りだせるところに小ぶりの地図の本を入れてるのだから早く出せば良いのに、これが面倒くさい。確かめてみると、これがまた見事に違っていた。

もう一度バスティーユのモニュメントのところまで戻る。オペラからそのまま素直に歩けば良かったのに、変に裏にまわり込んでしまっていたのだ。鉄道の高架橋だったところに下にはお店が、上には散歩道ができていて、上を歩くのは今回がはじめて。階段はすぐに見つけることができた。始めのうちはちょっと怪し気なおじさんがいたりもしたが、そのうち品の良い老婦人や、赤ちゃん連れのお母さんや子守、若いカップル、ジョギングする人、自転車の人、いろんな人とすれ違った。木漏れ日もきれい。とても静かで下の様子とはちょっと別世界。あまり熱心でなさそうな掃除のおにいさんたちが、集まってなにやら相談している。

だいぶ歩いてこのまま行くと遥か遠くに行ってしまいそうだったので、いい加減にして階段を見つけて降りる。そのまま今度は下のお店をウィンドウショッピングしながらバスティーユまで戻った。


とりあえずピカソ

mercredi 12 novenbre 2003

まったくいつものことながら、なんの計画もなくパリに着いてしまった。そんなときはどこに行こうか考えるよりも、気に入った場所につい足が向いてしまう。で、とりあえず、元気をもらいにピカソ美術館に行く。なんのことはない、ホテルから近いからなのだけど、パリにいる時はいつも訪れる場所。実は以前はピカソなんて別に良いとも思わなかったのだけど(小学生の頃なんて、変な絵を描くおじさん、くらいの認識しかなかったし)ここに来てからは大好きになった。なにしろパワフルで、愉快。圧倒されたり、ちょっと吃驚したり、笑えてきたり。小難しいことは抜きにして、感情にダイレクトに訴えてくる感じ。ピカソを楽しむのに知識なんてあまり必要ないと思う。全部みると疲れてしまうのだけど、なんとも心地良い疲労感。

今回は特別展をやっていて、彼の死後整理された様々な書類や手紙、戦争中にデザインしたポスターなどを見ることができた。ピカソに宛てた手紙もなかなか面白い。友人からのものに加えて、ファンレターみたいなものもたくさんあった。わかるところだけ拾って断片的に読んでみてもとても興味深く、交流の様子や当時の雰囲気が手にとるようにわかる(気がする)。パスポートもあった。職業は「画家、芸術家」とある。なるほど、そのとおりだけど。

おなかいっぱいになって出てくると、チケット売場に日本人中年夫婦がいた。ここまで来ているのに“入場料が高いから入るのをやめた”模様。んー、まあそういう人たちは入ったとしてもきっとつまらないだろうから、正解かも知れん。







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