トキドキ日記特別篇−ニース−


毎日の分だけどトキドキ日記。なぜなら更新がトキドキだから(たぶん)。

バスに乗って

samedi 6 novembre 2004

早いもので、ニース滞在最終日。友人が一日つきあってくれることになった。元来出無精な私が、この滞在期間のうちにバスに乗って近郊の村へ行けるなんて、友人サマサマの感謝感激雨あられ。チェックアウトの後、荷物を預け、バスターミナルへ向かう。見えているのに工事中のためぐるっと回り込まなくてはならず、ちょっと早めに出てきて良かった。

時間も調べてくれてまたしてもオンブにだっこで、無事正しいバスに乗り込む。運転手は友人がフランス語を流暢に話すニース在住の日本人だと見て取ると、やたらと話し掛け、旅行者の私をどこに連れていったらいいかプレゼン(?)し、その合間に他の客の面倒もみるという根っからの世話好き。そしてなんというかすごい運転。。。センターラインははみ出しまくり、とばすとばす。お願い、しゃべるのはいいけど前も見てよぅ・・・と小心者の私は気持ビビる。目的地が近くなり、撮影スポットにさしかかると「スローリー、スローリー」とスピードをゆるめ(ているつもり?)、「ルック!サンポール!ルックルック!」と急に英語になってビデオを撮っているおじさんに指示するサービス精神旺盛な運転手。そうこうしているうちに、バスは私たちの降りる村に無事到着した。運転手がしきりにすすめるルノアールの家は結局却下し、当初の予定通りサンポールドヴァンスで降りる。

サンポールドヴァンスは山のてっぺんにできた鷲の巣のような小さな村。小さな村にふさわしい小さな門をくぐり中に入る。友人の説明によるとその昔、この門の上から攻めて来た敵に煮えたぎった油を浴びせかけたそうだ。。こんなにかわいらしい村なのに、恐るべし。

攻めてくる敵もいない今は、素敵な店やアトリエがいっぱいでまるで宝石箱のよう。入り組んだ小さな道はほとんどがゆるい坂道で、よくみると石畳にも可愛い模様があしらわれている。油を落とすなんていうワイルドさの反面、こんな細かいところにまで凝るなんて、この村をつくった人たちってなかなかに興味深い。水飲み場もかわいいさかなのマークがついていたりと楽しい発見もいっぱい。そこかしこにオリーブの木。地面から生えているオリーブの木って、そういえば初めてみたような気がする。柿やぶどう、あさがおもあちこちに見られる。空は澄み、建物はいい具合に古びていてどこもきれい。頂上だけに景色も最高。

おすすめのカフェでランチの後、再びバスに乗り、今度はヴァンスへ。この辺のバスは皆飛ばすのかと思ったら、いたって普通の運転だった。ここにあるマチスの礼拝堂は11月はしまっているという話だったが、友人が向こうからくる日本人にきいたところ、開いているとのこと。これ幸いと私たちも早速向かう。

正直なところ、マチスはパリのオランジュリーにお気に入りの一枚があるものの、それほど興味があるというわけでもなかったのだが、この礼拝堂を見て一転、とても好きになってしまった。が、ここで詳しく説明するのはやめておく。どんなところなのか予備知識のないまま行った方が断然素敵である場所のひとつだと思うからだ。もし日本語の説明を持っていたら、読まずに、できたら写真も見ずに出かけて、その場で初めてひらいて解説を読んだらいいと思う。

その後何げなく入った町中の教会では、思いがけずシャガールのモザイクに出会う。こんなふうにひっそりと生活に入り込んでいるなんて、そしてまた予期せずにそれに出会えるなんて、とても幸せなこと。旅の小さな幸運。

再びバスに乗り、ニースに戻る。荷物を引き取り、駅まで友人が送ってくれた。カフェで簡単に食事を取り、夜行でパリに戻る。行きよりもぐっすり寝ることができ、なぜかグランドピアノを力まかせに投げつける夢を見た。


シャガール美術館

vendredi 5 novembre 2004

今日はまるきり単独行動の日。まずはバスに乗ってシャガール美術館へ。若い運転手に着いたら教えてと頼むが「悪いけどいっぱい考えることがあるんだから、そんなことできないよ。バス停見てればわかるから」と断られた。こんなの初めて、もしかして成り立てか。それでも懲りず、時々立っては運転手にきき、無事正しいバス停でおりる。

美術館はあまり大きくはないが、一度にこんなにたくさんのシャガールを見るのは初めて。圧巻。独特の色づかいを見ていると幸せな気分になってきた。そういえば高校生の時のお気に入りの画家だったんだよなあ・・なんて懐かしいことも思い出す。とても静かな美術館ではあったけれど、他の国のグループはいないのになぜか日本人の団体客がたくさん。良く見たらひとつではなく複数のグループのようだが、みんな手に手にデジカメを持っている。ストロボをたいておじさんに日本語で注意されたりしているので、肩身を狭くしながらできるだけ離れて見て歩くが、いかんせん小さな美術館なので気づくと囲まれてしまったりする。

奥の方にステンドグラスを発見、とても素敵なのでしばらく留まってみていると、再び日本人登場。「まあ、ほらみて、キレイねえ」と話しているので“あ、ちゃんとみてるんだ”と思ったのもつかの間、デジカメでパチリ。「さ、これで全部撮ったわ」と言うとさっさと去ってしまった。その間十数秒。ベンチに座ってゆっくり目の前の絵のことを話している若いカップルもいて、なんだかホッとしたけれど、どうしてこんなところまで来て小さな液晶画面を通してみているのか理解不能。。。

午後はかの有名なイギリス人の散歩道へ。前日に引き続きまぶしい日射しが目を直撃。海岸には日光浴の人や泳いでいる人もいて、サングラスの購入をしばし本気で考える。これで11月だなんて、北半球とは思えない。その後再び店先であった前日の南仏グッズのお店のおばさんは、接客とは全く別に世間話に突入し「まったくこんなに暑くては冬のものが売れなくて困るのよ」と経営上のグチなどを私に話してくれるのだった。


LOST in NICE

jeudi 4 novembre 2004

午後、友人がおなじくニース在住のお友達との約束に混ぜてくれると言うのでお言葉に甘える。ところがレセプションのところで時間をくってしまい、大遅刻!せっかくのお誘いなのに、まったくもって面目なし。天気が良くて夏のよう、道には半袖、ノースリーブ、ロングコートの人が混在。私はというと長袖のTシャツのうえにダウンのベストといういでたち。この暑さなら、と3人で再びアイスの店へ。チャレンジャーの私はすみれ味を注文、それが意外にもおいしくてこれまた幸せ。

友人のお友達もこれまた素敵な人で、ふたりの話を聞いているとこちらまで楽しくなって来るのだった。旅の話をした時は、なぜか3人ともテントで(しかも大自然の中ではなくて大きな街なのに)寝た経験があって大笑い。あっという間に時間がたち、友人は子どものお迎えがあるといって大慌てで走っていった。彼女のお友達とはそのあと少しだけ話しながら途中でわかれる。

その後は旧市街でお店を見ながらふらふらふらふら歩く。南仏の生地でつくった小物を売っている店ではおばさんが話好きで、日本人客の評判や売れ筋商品などを延々教えてくれるのだった。その後再びふらふらしていると、店先にあったカゴバッグに目がとまる。暑いとは言えもう秋、売れ残りの安売りのよう。欲しくなって引っ張ってみるととれない。ぐいぐい引っ張ってみたり、奥のほうを探ってみたりしたけどお手上げなので店に入り、中にいた大きなおじさんにきいてみることにした。

「ボンジュール、ムッシュー」と声をかけるかかけないかのうちに「ディット モワ、ディット モワ(英語で言うとテルミーテルミーかなあ)」と変なフシをつけていうおじさん。「表のバッグが欲しいんですけど」というと大きなはさみを得意げに取り出して再び「ディット モワ、ディット モワ」と言いながら私の後をついてきて、ひもを切ってくれた。それから奥にいた女性に入り口からポーンとバッグを放り投げ、彼女はナイスキャッチ。なんだか微笑ましくて、なんとなく親子かなという気がした。お会計は彼女の役目。おじさんは接客係らしい。

そろそろ日が暮れてきたので、帰ろうかなあと思い歩き出す。ところが全く道がわからなくなってしまった。確かこっちのほうだったよな・・・と見当をつけるがまたぐるぐると同じところに出てしまったり、妙にさみしいところに向かってしまったり。あたりはだんだん暗くなり焦ってきた。地図を見てみるがよくわからない。何度も何度も同じ道を迷った挙げ句、またさっきのバッグを買った店に差しかかった。そこでおじさんに道を尋ねることにした。こういう狭い路地で道をきいてもまた良くわからなくなると思ったけれど、このままではラチがあかない。

店に入っていくとおじさんは私に気づいたのか気づかないのかわからないけど、再び「ディット モワ、ディット モワ」と迎えてくれた。「道に迷っちゃったんです、大通りに出たいんですけど」と言って地図を広げると「それはすごく簡単だよ」と今いる場所とどうやったら出られるかを教えてくれた。おじさんの説明はとっても簡潔でわかりやすくて、そしてここが肝心だけどちゃんとあっていた。ディットモワおじさんのおかげですっかり暗くなった道を、不安にならず自信を持って歩くことができ、無事にホテルまでたどりつくことができたのだった。 友人のお友達と別れる時「それじゃあ私はちょっとここらで迷子になります」と言っていたらその通りになってしまった。この日は友人情報によると11月としては60年ぶりの暑さで25.4度。私ときたらそんな日に冷や汗をかく羽目になってしまった。


初日

mercredi 3 novembre 2004

朝8時過ぎにニースに着く。ホテルに行ってみるとラッキーなことに、すぐに部屋に入れると言う。部屋のあれこれをチェックし、とにかくシャワー。それから大量の洗濯。友人に電話をかけようとするがつながらないので、支度をしてフロントへ。するとその友人から電話があったらしいのだが“私が寝ていたので”取りつがなかったとのこと。寝てないんだけど?と思いつつ、部屋から電話がかけられない旨伝えるとすぐにその場でかけさせてくれた。

待ち合わせの場所をきき、会う約束をする。ところがいつまでたっても目的地に着かず、どうも様子がおかしくなってきたのでちょうど出てきたカフェのおねえさんにきくことにした。すると彼女は歩いてきた方向をさし「ここをまっすぐ、とにかくまっすぐ、まっすぐまっすぐずーーっといって、左にあるわっ」とニコニコしながら親切に教えてくれた。私ときたら教えてもらった道をすっかり逆方向にすすんでしまっていたのだった。歩いてきた距離を考え愕然としたけれど、道を間違えたおかげで生鮮品を売る市場をひやかすこともでき、東京で鍛えた早足のおかげか、ほぼ時間ぴったりに約束の場所に到着。

友人と彼女の娘さんと無事合流し、初めての街を案内してもらう。彼女のお気に入りの店や眺めのいい高台の公園、それに名物のソッカのおいしい店!めくら滅法に歩き出すいつもの一日目とは大違い、おいしいアイスも食べて幸せ!すっかりお世話になって充実の一日を過ごすことができた。

ニースは寒かったパリとうって変わって、ひどく良いお天気。友人によると私が来る前日まで寒かったのだとか。ところが、寒いときいていたおかげで服を余分に持ってきたため、かえってインナーとして着るつもりだった長袖のTシャツやコートの下につけるベストでそのまま歩けたので大助かりなのだった。きいていなかったら、たぶん寒いといってもニースだから、とこのあたりの服はパリに置いてきたはずだから何が幸いするかわからない。







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