別のより良い世界は可能だ

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6月12日午後2時
歴史教育者協議会の機関紙『歴史地理教育』編集委員会から頼まれた原稿が,その六月号の「窓」というコラム欄に発表された。以下,その文章を収録します。
なお,実際の紙面にはミケランヂェロの『ダヴィデ』の彫像写真がカットとして載せられている。

平和・多元共栄の 別の世界は 可能だ (『歴史地理教育』2002年6月号、「窓」所載)

 「ミケルアンヂェロは、いま、生きている。うたがうひとは、『ダヴィデ』を見よ。
ダヴィデは少年である。・・確信をもったかれは、一本の石投げに石をもっただけで
ゴリアにむかって行った。そして、少年ダヴィデはついに怪物ゴリアを倒した。」


 一九三九年に出た岩波新書、羽仁五郎著『ミケルアンヂェロ』冒頭の数行だ。
この新書は私たち(成城高校新聞部員)の青春の愛読書だった、
「大日本帝国」とその軍国主義・帝国主義のくびかせのもとで。


 テレビで パレスチナの映像作家メイ・マスリーさんの作品『愛と恐怖のはざまで』
を見た。地球環境映画祭で最優秀賞を受賞した映像で、子どもたちの目を通して 
占領下の難民キャンプの過酷な状況を 劇的にまた詩のように描いた素晴らしい小品である。

 その作品の中に少年少女たちが空き地で投石を競い合う。と次の場面で難民キャンプを
睥睨するような占領軍の見張り塔に向かって彼らは石を投げる。
いきりたつ軍隊は水平射撃で投石者たちを射撃する。石しか持たない幼く若い人々から
犠牲者が出る。 
二000年九月からアルアクサー・インティファーダが始まった。
ネットで見つけたのだが
INDY MEDIA  ISRAELというサイトで、包囲されたベイト・ジャラ
の若者が書いた「占領への抵抗はテロではない」という切々たる告白を読んだ。
日本でも米国の影響で反対者・抵抗者の暴力は全て「テロ」という見方や
単純な「ユダヤ人」観が根をおろしている。

私は「ユダヤ人」という枠組は、キリスト教西欧が生み出した社会的差別の枠組みであり、
人種とか民族を超えたユダヤ教徒は存在するが、「ユダヤ人」という人種や民族というものの
実在は よくよく吟味を要すると思っている。

近代ヨーロッパ史の中で生まれたシオニズムに基づく「ユダヤ民族」=「現代イスラエル民族」
というものは確かにつくられ、かためられた。
が、そのなかは欧米系
(白人)を上層とし非西欧・非欧米系(有色の)のユダヤ教徒をその下に
組み入れた 複雑に重層する現代イスラエル社会がある、と考える。

九・一一事件で亡くなった米欧日の人命の高さに比べて アフガン人の人命がどんなに
安く見積もられ、その格差が別に不思議がられない。
と同様にイスラエル側の自爆テロによる人命にくらべて、パレスチナ側の人命は殆ど無視されている。
こういう不条理が不条理として感じられなくなっているのは やはり長年の「安保ボケ」からきている。

 米国、その政権・支配層と同質のイスラエル・シャロン政権。
そのお膝元でしかし変化が起こっている。
占領地での軍務を拒否するイスラエル軍人の数が四四五人を超えた。
その背後では、エルサレムでの昨年十二月二八日 世界から百十四の平和組織、
イスラエル男女五千人行ったデモと集会、そして今年の二月九日テルアビブでの
一万人の老若男女・子ども、ヘブライ系・アラブ系が集まった
「占領は双方を皆殺しにする」という平和集会。

普通の報道には出てこない 裏返しを始めた世界史の変化 を象徴する動きだ。
三月上旬の八日間にシャロン政権の侵攻で一○一人以上のパレスチナ市民が殺されるという
絶望の底から、ついに湧き出た人間の叡知のあらわれといえようか。

集まる市民たちは「ユダヤ」・アラブの違いを超えて肩を並べ腕を組み
ヘブライ語・アラビア語・英語それぞれのヴァージョンでの
Imagineを歌った。
シオニストの愛唱歌が突然「ユダヤ」系・アラブ系両市民の共有歌に変貌した。
極東の島国に住む私たちの貧しい想像力をはるかに超える歴史的瞬間の想像力を
中東の心臓部の人々が示した。
「ユダヤ」系・アラブ系両市民の恩讐を超えた、ここに見られる連帯。 
長年の怒りと憎しみ、怨み つらみ をかみしめた 人間の愛と叡知。

世界の破滅を救える唯一の希望 をここに見出す。 

ここしばらく 米国・イスラエルの国民は九・一一や自爆テロの衝撃から
「戦争!報復!」という頑なな興奮状態を続けることだろう。
一旦戦争を始めた大人たちが、わきからのちっとやそっとの反対や批判で 
戦争をやめるはずがない。
だから、望みは 次代の市民の教育にかけられるのだ。

この二月初めポルトアレグレでの一三一カ国八万人の第二回「世界社会フォーラム」の成功、 
その「世界の社会運動の呼びかけ」にあるように、「も一つ別の 新しい世界が 可能である」という 
思想と運動の構築 が 地球大の規模で 始まっている。
( 「グローバリズムとは何か」も参照されたい。)
昨年四月、発信基地『ブナ林便り』というホームページを立ち上げた。
その時は自覚しなかったが、イスラエルとパレスチナで相呼応して始まっている連帯・平和への動き、
第二回を成功させた「世界社会フォーラム」、それにインターネットのお蔭で 開眼でき、
ホームページも
  Another World is Possible を掲げて 励みがついた。

 http://members.jcom.home.ne.jp/goloh/

比較史・比較歴史教育研究会                                   吉田悟郎



2月4日
 ポルト・アレグレで開かれている第二回「世界社会フォーラム」のニュース続報が入った。チョムスキーさんの発言要旨も含まれている。
(「レイバー ネット」のサイト、世界社会フォーラム『9.11テロ』余波分析から)

<フォーラム組織者の一人であるオデッド・グラジューは「世界は一方ではテ ロリズムに向けて、一方では戦争に向けて駆け上がっている」と指摘し、 「テロリズムはより深刻なテロリズムを産み、戦争はより多くの戦争を産む」 と憂慮を表した。

グラジューは「今日、われわれは既に石油を巡って戦った。明日は水を巡って戦い、それからは食糧を巡って戦うだろう」と主張した。

彼は、全世界で「防ぐことができる理由で」日に5歳以下の子供が3万人ずつ死んでいると語り、「これは一日に世界貿易センターの建物7つが崩れることに等しいのに、誰もこれを新聞の1面に載せない」と蔑んだ。

言語学者のノーム・チョムスキーは、ブッシュ大統領が『9.11テロ』で発生した全世界的な怒りを、世界化を一層拡大する自分たちの経済政策を押し進めることに利用していると非難した。

チョムスキーは基調演説で、全世界的へ手のつけようもないほど拡張される資本主義で、世界の富が次第に少数に集中していると主張し、豊かな国家の政府、産業化した北半球、特に米国が、いつかは「世界化の結果、増加している無産者を相手に、その場で大量殺傷武器を使用しかねない」と予想した。

チョムスキーは、ジョージ・ブッシュ米国大統領のミサイル防御計画で「宇宙を武装」しようとする米国の動きが最も心配だと明らかにして、「これは生存に対する深刻な威嚇」だと規定した。

ポルトアレグレのカトリック大学に集まった5千余名の観衆はチョムスキーの演説に一斉に歓呼した。

メキシコのコンチネンタル・ソシアル・アライアンスのヘクトル・デ・ラ・クエバも「9.11テロは新しい攻撃の言い訳に利用された」と語り、「この攻撃は、自由貿易に基盤をおく新しい国際秩序を強要する」と主張した。

フォーラムの参席者は、米国とヨーロッパの政府及び企業が世界貿易機構 (WTO)の力を強め、貧困国を犠牲にして先進国の利益を増加させる新しい貿易自由協定を締結しようとしていると非難した。

チョムスキーは「これは貧困国家には市場原理が次第に強まり、豊かな国には福祉状態になることを意味する」と指摘した。>


2月5日

WEFロゴ(左から、NY-IMC・国際自由労連・学生連合、が制作) WEFとは「世界経済フォーラム」〈ニューヨーク)


 ブラジル・ポルトアレグレで開かれている第二回「世界社会フォーラム」WSFで重要な宣言が出た。昨日 この「世界社会フォーラム」WSFを「反グローバリズムの側の」と呼んだのは 大変な誤りであった。このフォーラムは 「反グローバリズム」の立場ではない。「別のグローバリズム」を目指しているのだ。世界資本主義〔米国一極化の世界市場画一化)的なグローバリズム(ニューヨークでの「世界経済フォーラム」WEF)に抵抗して、その抑圧を受け多大の被害をうけつつある世界の諸国・諸民族・諸人民の側に立つ「別のもうひとつのグローバリズム」を造っていこうという国際運動である。
 今回米国のNYで開かれた「世界経済フォーラム」WEFも、それに対抗してブラジルのポルト・アレグレで開かれた「世界社会フォーラム」WSFも、 それぞれ違った意図と目標で これからの「世界像」 を構想し、そういう自らの「世界像」 を守り再生させようと考えている。 それぞれ対抗し違った意味での 「これからの世界史」を創ろうとしているのである。 そういう意味で、これは 私たちの過去・現在・未来を貫く 「世界史像」形成のための 重要な学習課題となる。

WSF2002:戦争と自由貿易協定への反対を宣言 〈レイバー ネット  から転載)


by Agence France Presse (AFP) 20020204


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 世界社会フォーラム(WSF)は、平和への訴えの中で、米国を厳しく批判した。WSFの平和会議では、米国への厳しい批判一色となり、紛争処理の民主的仲裁機構を作ることを提案して、2月4日終了した。平和会議は、WSF決議において以下のように宣言した。

 「9・11のテロ攻撃への対応として、各国が行うテロが始まっている」。平和会議の組織者であるブラジル労働組合(Brazil's Workers Union)・南米社会科学会議(Latin American Council of Social Sciences)・リオグランデドスル(ポルトアレグレ市のある州)政府が署名したその宣言は、「米国はその意志を力で押しつけはじめた。・・・世界に新たな冷戦気運を植えつけようとしている」と批判している。「国連の役割は決定的に地に墜ち、資本家の権力機構やほとんどの国家政府は、米国に国家テロの執行者としての恒久的役割を委ねた」。

 1992年にノーベル平和賞を受賞した Rigoberta Menchu(※グアテマラ出身・先住民族の生活自決権運動など)も、米国が「テロとの戦争」を展開する中で国連の地位が侵食されてきた、と主張する。彼女は、「紛争を仲介する国際社会の唯一の装置が弱体化している。・・・今日の勝利者は、軍事力であり、爆弾であり、対話の不在になっている」と述べる。彼女によると、米国の率いる「テロとの戦争」は、各国が本当は解決しなければならない「基本的な諸問題を、新たな沈黙のカーテンで覆っている」。彼女はさらに、「9・11事件が、必ずしも人々のためにならない、国際権力の再編成」をもたらしたことを懸念する。

 別のノーベル平和賞受賞者 Adolfo Perez Ezquivel(アルゼンチン)は、米国が「南米大陸の再軍事化」を意図していると非難した。「米軍はプラン・コロンビアの一環として南米軍とともにアルゼンチンに侵入した。・・・南米にもう一つのベトナムがもたらされるかもしれない。しかし彼らは直接われわれと闘う意志はない。つまりわれわれ同士の殺しあいを望んでいる」。

 アフガニスタンへの米国の軍事侵攻に対する批判は、木曜日の開会以来、WSFの中で一貫した空気となってる。他方、WSFが対抗する世界経済フォーラムは、不断はスイスのダボスで開催されているが、今年は3000人ほどの犠牲を出したテロ攻撃の後のニューヨークを支援するためにニューヨーク市で開催されている。

 世界社会フォーラムの周辺にあるもうひとつのサミット、世界議員フォーラム(World Parliamentary Forum)は、日曜日、エスカレートしていく可能性のある米国の「テロとの戦争」を含む、米国の諸政策に対する糾弾決議を採択した。40カ国から1155人の立法者が参加しているこのフォーラムは、「イラン、イラク、北朝鮮を米軍の次の攻撃目標とする」米国政府の要人の見解を「糾弾」する声明を決議した。これらの三国は、火曜日、米大統領ジョージ・W・ブッシュによって「悪の枢軸」であると宣告され、テロリズムとの結びつきを徹底的に監視すると警告された。

 世界議員フォーラムはまた、ワシントンが「米州自由貿易地帯(FTAA〜※自由貿易協定NAFTAの拡大版)」づくりを進めていること、「プラン・コロンビア(Plan Colombia)」を巨額の資金をつぎ込んで支えてきたこと、キューバへの経済封鎖、を非難した。ブラジルの労働党(PT)副議長 Aloisio Mercadante は、同フォーラムの最終会議で打ち出す決議文を公表する記者会見の場で、「国際紛争の処理やテロと戦う方法は、戦争であってはならない」と主張した。

 世界議員フォーラムの参加者たちはまた、2005年までに発足するとされるFTAAは、米州諸国の主権を「脅かす」と主張している。「FTAAは、地方政府の政治的決定の余地、そして地域の自立的発展の可能性を抑制し、米国の支配を拡大するプロジェクトである」。


★註:レイバー ネットからの転載

世界社会フォーラム(WSF)とは何か?

 新自由主義改革、企業に支配された世界、そしてあらゆる形の帝国主義に反対し、人権が中心となるような「今とは異なる世界」を求める世界中の人々・団体が、状況を深く考察し、活動経験や意見などを自由に交流し、諸提案・ビジョンを民主的に議論するための場である。2001年1月25日〜30日、ダボス(スイス)で行われていた世界経済フォーラムに対抗して、ポルトアレグレ(ブラジル)で最初の世界社会フォーラムが開催された(世界各地でより小規模な社会フォーラムが同時に開催された)。そのスローガンは、既存の政府・国際機関によって推進されてきた多国籍企業の利益を保証する新自由主義的グローバリゼーションに対し、「もうひとつの世界は可能だ(Another World Is Possible)」というものだ。WSFが提起するオルタナティヴは、すべての国の人々の普遍的権利・環境の保全が、社会的公正・平等・人権を保障するための国際的な民主機構・諸制度に裏打ちされて維持されるような、共同社会的世界化の実現(新しい時代)をめざすものである。<公式サイトより抜粋翻訳>

■世界社会フォーラムをどう見るか?
 ポルトアレグレで行われている世界社会フォーラム(WSF)2002には、新自由主義的グローバリゼーションに対するオルタナティヴを議論するために、労働組合、NGO、社会運動、左派系政治団体などの代表ら60000人が集まっている。ブラジルの、そして世界の反グローバリゼーション運動の中には、WSFの評価をめぐって違いがある。このフォーラムの中心的主体でもある「ATTAC」「ル・モンド」、個人ではノアム・チョムスキーは、WSFの重要性を訴える。よりラディカルな改革を求めるグループやアナキスト・グループは、WSFの改良主義的風潮に否定的評価を与えている(「ザ・オルガナイザー」紙はWSFが「人間の顔をして」グローバル化を容認していると主張)。以上、「ブラジルIMC」より
 WSFへの評価はさまざまだが、WSFを含む新しい反「新自由主義的グローバリゼーション」運動の特徴は、従来であれば体制内勢力と体制外異端派として、あるいは北と南として、明確に対立していた諸潮流が、相互批判が可能な距離に接近しうるようになっている点にある。世界経済フォーラムが代弁する多国籍企業と政治的支配層によるグローバル戦略が、雇用不安や不安定雇用化・不平等の拡大・環境的社会的公正の無視・戦争を現実に引き起こし、そして従来の改良主義戦略が機能しなくなり、北の巨大労組から南のラディカル・グループまでがそれに対するオルタナティヴを模索せざるを得なくなっている新しい時代、それを象徴するイベントがWSFではないだろうか。WSFの提出する具体的なオルタナティヴが、世界の労働者に希望を与えるものであるかどうかが注目される。



2月13日
 昨日夕方、「ブナ林グループ」としてアドレスをまとめている方々に転送した文書がある。「ブナ林グループ」というのは、比較史の会のメンバーでE-mailアドレスがわかっている方々とこの「ブナ林便り」の読者でメールを下さった方々である。ご希望の方あれば、転送先に追加します。
 昨日転送した情報は、「レイバーネット日本」に載っていた「世界社会フォーラム」が2月4日ブラジル・ポルトアレグレで閉幕した、おそらく最後に発表された<世界の社会運動への呼びかけ>である。副題は、「新自由主義・戦争と軍国主義に抗し 平和と社会正義を求めて」とある。
 上記の<・・・呼びかけ>の文字をクリックすれば、転送したその全文を読むことが出来るのだが、ここではその声明の冒頭部分のみを引用しておく。
 
 <(1) 人々の生活条件がますます悪化している中、われわれ世界中の社会運動は、数万人の仲間とともに、ブラジル・ポルトアレグレにおける第2回世界社会フォーラム(WSF)に結集した。われわれの連帯を突き崩そうとするいくつかの障壁を乗り越え、われわれは今ここにいる。
 われわれは、新自由主義と戦争に対する闘いを続け、昨年のWSFでの合意を確認し、そして今とは異なる世界が可能であることを示すため、再び集まった。
 (2) われわれは多様である。女性と男性、壮年と青年、原住民、地方と都市、労働者と失業者、ホームレス、高齢者、学生、移民、専門家、さまざまな信条・皮膚の色・性的志向の人々からなる。
 この多様性は、われわれの強さであり、同時にわれわれの統一の前提でもある。

 われわれは、富の集中と貧困・不平等の拡大、そして地球の破壊に対して闘う決意のもとに団結した、グローバルな連帯運動である。

 われわれは、オルタナティヴな体制を作り、それらを促進するための創造的な方法を実践している。

 われわれは、人々の要求と願いを犠牲に 資本と家父長的支配層の利益を 特権化している、暴力と人種・性差別が支配する体制に対する闘いの中から、巨大な同盟を築きつつある。>

 あとは、原訳文を読んでいただきたい。ここで、一二感想を述べれば、まず「生活条件が日々ますます悪化している」と感じていない人々にとっては無縁のことである。次に、20世紀以前の社会運動にはなかった特色がこの運動にははっきり現れていることだ。「女性と男性、壮年と青年、原住民〈先住民であろうか〉、地方と都市、労働者と失業者、ホームレス、高齢者、学生、移民、専門家、さまざまな信条・皮膚の色・性的志向のひとびと」という今日の人間の「多様性」を強さ・力と認識し、それを「統一の前提」として確認していることである。

 ここに19世紀、20世紀の世界の社会運動ではまだこれほど明確に自覚・自信をもっては語られなかった、<オルタナティヴな体制>、<もう一つ別の世界>の可能性が全面に押し出されてきていることに活目したい。オルタナティヴな<世界史>、<アナザ ワールド><もうひとつ別の世界史><裏返しされた世界史>への展望がここに一つ現れてきていると、私は考える。
 そして、そういう<別の世界史>の一角というかむしろ中核部分を 試築しつつある注目すべき運動が 今中東で実を結びつつある。
 いまや 半世紀以上の 血にまみれた「怒りと怨みと憎しみ」を乗り越えて 全く新しい「国家・民族を超えた」和平と連帯を 創りだそう・築き上げようとしているのが、いまイスラエル人ーパレスチナ人の良心の間で始まっている運動ではあるまいか。


2月15日
 毎日新聞が2月14日、「ふたつのグローバリゼーション」として世界経済フォーラムと世界社会フォーラムとを対照させて紹介し、どちらが「人間の顔をしたグローバリゼーション」になるのか?を論じた。
 盟友(と言わせていただくが、実は学問歴やパソコン歴では大先輩である)一橋大の加藤哲郎さんが その「グローバル・ネチズン・カレッジ」の2月15日更新のトップページで くわしく この同時期 北と南で行われた二つの世界フォーラムをとりあげた。<イマジネーション>の問題としてくくられたのは、さすがネチズンを目指す政治学者であると感心した。世界社会フォーラムのフォーラム宣言〈第二回WSF2002としての〉の意味について、論じている。非常に面白いし、これからの検討・論議に参考になると思うので、少し長くなり恐縮だが、これからの思考と論議のための大事な参考資料として、その部分 転載させていただく。
 転載の文章の最初の行にあるグロスの油絵のクリックをお忘れなく。今朝のニュースで、米国ニューハンプシャー州の州都コンコードの新聞コンコード・モニターが2月8日ブッシュさんが「予算案」なる飛行機で「社会」「福祉」と書いたツィンタワービルに突入する漫画が、報道官からの猛反発、メールで批判が殺到し、編集長が「私の判断ミス」と謝罪、漫画作者、マイク・マーランドさんも「死者の記憶を冒涜する意図はなかったが犠牲者やNY市民には申し訳ない」と14日付けの同紙で謝ったという。この漫画をコンコード・モニターのウェブサイトで探したが、うまく見つからなかった。


世界経済フォーラムか、世界社会フォーラムか 21世紀の情報戦を突き抜けるイマジネーションとは・・・?
 
 情報の海におぼれず、 情報の森から離れず、 批判的知性のネットワークを!

2002/2/15  芸術家の想像力(Imagination)とは、途方もないものです。右の油絵(クリックするとカラー)は、ドイツからナチスに追われてニューヨークに亡命した画家ゲオルギ・グロス(1893-1959)の1940年頃の作品「ゴールデンシティ」。この60年前の絵、実は、現在日本にあります。群馬県桐生市の大川美術館所蔵品です。大川美術館ニュース『ガス燈』第51号(2002年1月10日)に、大川栄二館長が、9.11の朝、ニューヨークの映像を観てすぐに想い出した、と書いています。それも「文明の偽善と大都市が生み出す資本主義の底を美しく暴いた」絵として。

 そのニューヨークで、多国籍企業のトップや世界のVIPたちが一同に会す世界経済フォーラム(ダボス会議)が開かれていた頃、ブラジル・ポルトアレグロには、ノム・チョムスキー、リゴベルタ・メンチューほか150か国8万人が参加して、第2回世界社会フォーラム(WSF2)が開かれていました。中心団体であるATTAC(アタック、Association for the Taxation of financial Transactions for the Aid of Citizens=市民を支援するために金融取引への課税を求めるアソシエーション)ホームページによると、「『もう一つの世界は可能だ(Another world is possible)』をメインスローガンに、第2回世界社会フォーラム(WSF2)が1月 31日から2月5日までの期間、ブラジル南部の都市ポルトアレグレ市で開催された。このフォーラムは、世界経済フォーラム(WEF、通称ダボス会議)に対抗して昨年より同じ時期に開催されてきた。WEFが世界の経済・政治エリートたちの、つまり経済のグローバリゼーションを推進する側のフォーラムであるなら、WSFは反グローバリゼーションを闘うNGO、労働組合、農民団体などのフォーラムである」とあります。フランスは両方のフォーラムに閣僚を送り、ドイツの与党SPDも、ニューヨークにもポルトアレグレにもでかけたようです。『毎日新聞』2月14日付け「世界フォーラム 人間の顔をするか地球化」もご一読を!

 前回更新で、1月末中国・北京大学での「冷戦後世界の社会主義運動」シンポジウム参加記を書きました。何人かの方から、もっと詳しくとメールをいただきました。実は私の報告「日本の社会主義運動の現在」も、詳細参加記「現代世界の社会主義と民主主義」も、活字雑誌への寄稿が決まっており、掲載まではHPに公開できません。どうしてもごらんになりたい方には、目的がはっきりしていれば、ワード・ファイルでお送りします。katote@ff.iij4u.or.jp までメールをどうぞ。でも世界社会フォーラムの声明「世界の社会運動の呼びかけ〜新自由主義・戦争と軍国主義に抗し平和と社会正義を求めて〜」を読んで、考えさせられました。これこそ21世紀の『共産党宣言』ではないか、と。こちらは「社会主義運動」ではなく社会運動」です。「万国の労働者、団結せよ!」の同質的結合ではなく、「我々は多様である。女性と男性、壮年と青年、原住民、地方と都市、労働者と失業者、ホームレス、高齢者、学生、移民、専門家、様々な信条・皮膚の色・性的志向の人々からなる」とうたいます。でも、「この多様性は、我々の強さであり、同時に我々の統一の前提でもある。我々は、富の集中と貧困・不平等の拡大、そして地球の破壊に対して闘う決意のもとに団結した、グローバルな連帯運動である」といいます。そして、『もう一つの世界は可能だ(Another world is possible)』と宣言します。「我々は、オルタナティヴな体制を作り、それらを促進するための創造的な方法を実践している。我々は、人々の要求と願いを犠牲に資本と家父長的支配層の利益を特権化している、暴力と人種・性差別が支配する体制に対する闘いの中から、巨大な同盟を築きつつある」と。正確を期して厳密にいうと、「反グローバリズム」ではありません。「もう一つのグローバリズム」であり、『共産党宣言』の「プロレタリア国際主義」を超えています。

 『共産党宣言』にも、「1、土地所有の収奪および地代の国家支出への使用、2、強度の累進税、3、相続権の廃止、4、すべての亡命者および反逆者の財産の没収、5、国家資本および排他的独占をもつ国家的銀行による、信用の国家への集中、6、すべての運輸制度の国家の手への集中、7、国有工場、生産用具の増加、共同の計画による耕地の開墾および改良、8、万人に対する同等の労働義務、とくに耕作のための産業軍の創設、9、農業および工場の経営の統合、都市と農村の対立の漸次的除去をめざすこと、10、すべての児童の公的かつ無償の教育、こんにちの形態での児童の工場労働の除去、教育と物質的生産との結合」という、19世紀半ばの「もっとも進んだ国々」で革命が達成されたさいの10項目の要求がありました。「世界の社会運動の呼びかけ」には、「我々は、社会的公正・権利と自由の擁護・生活の質の向上・平等・尊厳・そして平和に向けた大衆的な諸活動を通じて、我々全体の運動を強化する。我々は以下の要求のために闘う」として、「もう一つの世界」の8項目要求が掲げられています。曰く、

1、民主主義:人々は、政府の決定に関して知り、批判をする権利を持っている。とりわけ政府の国際機関での行動について、それが重要である。政府は、人々に説明する責任がある。我々は、選挙と参加民主主義の世界中での実現を擁護すると同時に、国家と社会の民主化、独裁政権との闘いの重要性を強調する。
2、債務の廃止
3、投機活動への規制:我々は、トービン税のような移動資本課税、租税回避地帯(タックスヘイブン)の廃止を求める。
4、情報への権利
5、女性の権利、暴力・貧困・搾取からの解放
6、反戦・反軍国主義、基地や内政干渉への闘い、暴力の構造的連鎖への闘い。我々は紛争に対し、非暴力の交渉による解決を求める。すべての人民は、市民社会の独立セクターが参加する国際的仲裁を求める権利を持っている。
7、青年の権利、無料の公共教育へのアクセス、社会的自律を実現する権利、徴兵制廃止
8、 すべての人民の自決権、とりわけ先住民の権利

 『朝日新聞』2月12日「地球儀」欄によると、現代中国共産党のキャッチフレーズは、昨年7月の江沢民主席党創立80周年記念演説で使われた「与時偵進(時と共に進む)」で、「マルクス主義も時と共に進む」から、私企業経営者を共産党に加え、アメリカと一緒に「国際テロリズムとの闘争」に加わって新彊ウイグル地区の民族運動を弾圧するのだそうです。こんな「改革開放社会主義」よりも、「もう一つの世界」の8項目要求の方が、よっぽど『共産党宣言』の精神とイマジネーションを受け継いでいるのではないでしょうか?・・・・    >


2月16日
 毎日新聞は2月14日「世界フォーラム 人間の顔をするか地球化」という社説でポルトアレグレの世界社会フォーラムのことをとりあげ、日本のマスコミにも良識のあることを示した。
 朝日新聞は2月6日の記事に「軍務拒否広がるイスラエル賛同の兵士ら170人に」をわりとくわしくとりあげ、HPを紹介し、その掲示板における賛否両論をひろっていた。(現在ー249名署名)。
 この二つの記事は、今日日本のマスコミに残る良識を わずかに示したヒット取材であると思う。

 インターネットの世界では、どうだろうか。
 ブラジル・ポルトアレグレで2002年1月31日「平和を目指す行進」に始まり、150カ国8万人を集めた「第二回世界社会フォーラム」については、ATTACJAPAN 〈新設された)のウェブサイト〈日本語〉が生まれた。ATTACについては、以前ここでも〈1月27日〉漫画入りで説明した。「市民を支援するために金融取引への課税を求めるアソシェーション」の英語の頭文字を拾うとATTAC]になるが、これでは何のことかわからない。 ATTACJAPAN〈首都圏〉設立趣意書というのがサイト目次にあるから読んで見られるとよい。「もう一つの世界の可能性を求めて」という文章で了解できる。 

 そのトップ記事は、「第二回世界社会フォーラム(WSF2)に150カ国8万人が結集!ー緑濃く百日紅の花咲くポルトアレグレ市に全世界から集うー」である。 (詳しくはここをクリック〉から入ると、フォーラムの報告がカラー写真集とともに見られる、今日現在まだ第一回報告だが。NYでの世界経済フォーラムへの抗議行動の方も写真で見ると、随分色とりどりで華やかだが、ここ南米の小都市での平和行進も同様だ。
 第二回世界社会フォーラムの中身の方は、日本語のレイバーネットのサイトで写真入の報告など、それに重要な「戦争と自由貿易協定への反対を宣言」という記事、必読の「世界の社会運動の呼びかけー新自由主義・戦争と軍国主義に抗し平和と社会正義を求めてー」などが読める。

 また、HOTWIRED JAPANというサイトで、WIRED NEWSを開けば、パオロ・リベーロの「もう一つのグローバリゼーションを求める世界社会フォーラム「世界社会フォーラム、富める国の良心に訴えて閉幕」という論評や、同じく「ブラジルの左翼第一人者、世界経済フォーラを批判」などが日本語で読める。
 aml26334に載った「世界社会フォーラム2002でのアジアからの市民運動グループ代表の声明も読んでおかれるとよい。

 もう一つサイトで見落とせないサイトがある。 ZNETのウェブサイトである。 その目次を見ると、実に豊富である。
 チョムスキーさんの重要な様様のインタビューなど、とくにポルトアレグレの世界社会フォーラムを前にしてのインタビューも収められている。
 Terror/War という項目で、読みたい文章がたくさん並んでいる。私は、まず Seumas Milneの"Can the US be defeated? America's global power has no historical precedent, but its room for manoeuvre is limited というガーディアン紙に2月15日に掲載の文章を読み、頷けた。9.11に世界貿易センターで兄弟をなくした家族の"War isNot Justice"という発言にも日米のマスコミに排除されている国家・国民・民族を超えた良心を発見でき、ほっとした。

 ZNETのサイトにはWorld Social Forum の項目がちゃんとある。いくつもの論稿が読めるのだがA people's globalization for a better world と A Wind of Hope in a World At War と A Different Balkan is Possible を選んでみた。



2月21日
 朝日新聞がやっとこさ、2月21日夕刊の論説委員室からという『窓』で「裏番組」という題でポルトアレグレの第二回世界社会フォーラムのことをとりあげた。
 NYでの「表番組」の世界経済フォーラムに対して<「社会」はといえば、非政府組織(NGO)や労働団体が支える。「別の世界は可能だ」という標語を掲げ、グローバル化に抗する心意気がありありだ。>ここまでの文章はまあまあなのだが、その先が悪い。<参加者も5万人とにぎやかなのだが、草の根市民は多くても、いかんせんパワーエリートの顔ぶれが寂しい。その中で異彩を放って映るのが、フランスという国である。「経済」に送った閣僚が3人、対して「社会」には6人の閣僚に加え、与党・社会党の幹部も顔を並べた。代表紙ルモンドが又、連日のようにトップ級ニュースの仕立てる力の入れようだ。>あとは例の国家政権の意図にこじつけた説明になり、「紅白」ではなくたまには「裏番組」のチャンネルもという具合に落ちをつける。「パワーエリート」という。その「パワー」とは何か。それは絶対か、安定しているのか。「エリート」とは何か、それにまかせられるのか。それが問われている「乱世」「末世」ではあるまいか。グローバル化に抗しているのではない。別の世界、別の地球が可能だというのである。もうひとつのグローバル化が「裏の世界」の草の根の人々、「パワーエリート」や「大国」ではない「表世界」の底辺で考えられ、構想され、試行錯誤され始めているのである。黙殺は避けて辛うじて夕刊『窓』欄でとりあげることで毎日社説のヒットに対して「かっこ」をつけたようだが、むしろその浅さを暴露しみつともないとりあげかたを示したとしかいいようがない。

 民主化と自由・人権防衛の行動でいろいろ学ぶべきところ多い韓国、その注目すべきサイトがひとつ、PICISであるが、そのPICISのサイトで三篇良い学習材料が載っている。英文で読めるが、<四年間のIMFの構造改革プログラムが韓国経済と韓国の人々にもたらしたものは何か><新自由主義グローバリゼーションに抗する闘争への前進ー2002年という年についての若干の考察ー><新自由主義グローバリゼーションに抗する女性の団結を固めるために>以上の三篇である。


3月1日午前8時
 畏友であり、ネチズンとしては大先輩に当たる加藤哲郎さんの「ネチズン・カレッジ」のトップページの総括的文章を前回紹介し, 「第二回世界社会フォーラム」とその「世界の社会運動への呼びかけ」の意味をどう考えるか の参考資料として 転載させていただいた。
 今朝、「ネチズン・カレッジ」を開くと、その続編が <世界経済フォーラムか、世界社会フォーラムか? (Part2)−「カジノ資本主義」と「マフィア国家」の危うさ>という見出しで発信されている。「大学入試の真っ最中で十分な手当てが出来ないので」最小限のヴァージョンアップに留めざるを得なかったという断り書きもついている。しかし、前回に続く文章であり、見出しのような課題を勉強していくためのよい参考資料なので ここに転載させていただく。

 <2002/3/1 英語版Global Netizen Collegeの目玉の一つSpecial Joke Lecture,"World Ideologies Explained by Cows"に、久しぶりで投稿がありました。アメリカの常連Lonoさんからの "ENRONOMICS"というもので、アメリカのエンロン社疑獄を皮肉ったものです。

"You have two imaginary cows. You bribe 300 congressmen to enact legislation declaring imaginary cows real. You make $5 billion selling imaginary milk futures. When the milk futures go sour, you award all the corporate executives with enormous bonuses and flee to Cayman Islands. Your employees, shareholders and creditors get trampled. By real cows".

 イマジンでもおなじみの田中宇さんの「国際ニュース解説」が「エンロンが仕掛けた『自由化』という名の金権政治」「エンロンが示したアメリカ型経済の欠陥」で鋭く分析しているように、政治資金を広くばらまき、「電力の自由化」でカルフォルニアの電力不足を仕掛けたエネルギー巨大企業エンロン社が、実は粉飾決算の無責任経営で、トップは自社株売却で倒産前に莫大な利益を持ち逃げし、一般社員たちは「401K」で自社株に頼っていたため退職後の年金も失ってしまったという、あくどい事件です。ブッシュ政権は、この事件から国民の眼をそらすためにも、2002年を「戦争の年」と宣言し、非論理でヨーロッパの同盟国からも批判されている「悪の枢軸」論でイラク・イラン・北朝鮮を「外敵」に仕立て上げ、アフガン、フィリピンに続いてグルジアコロンビアにも特殊部隊を展開しようとしているのです。

 サッチャーリズムから四半世紀、ソ連崩壊から十年たって、社会科学の世界にも、新自由主義とグローバリズムの時代を捉える新しい用語が定着してきました。エンロンが跋扈したグローバルな資本主義は「カジノ資本主義(Casino Capitalism)」であり、そこで多国籍企業や特定集団と癒着した政府は「マフィア国家(Mafioso State)」です。通俗的に響きますが、前者はスーザン・ストレンジの命名であり、後者も旧ソ連・東欧国家を中心にチャールズ・ティリーらにより使われています。2月28日『朝日新聞』夕刊のスクープは、「米、小泉改革に懸念示す 大統領が訪日前に極秘親書」というもの。ブッシュの親書は、1月17日付けで銀行の不良債権処理を迫った日本経済への処方箋でした。2月初めのニューヨーク世界経済フォーラムに竹中経済担当相らが出かけて何を学んできたか、ブッシュ訪日にあわせた「デフレ対策」がどんなシナリオのもとで作られたかが、透けてきました。もっとも日本の政局は、「マキコとムネオ」のハプニングもあり、アメリカ式グローバル・スタンダードにあわせる「構造改革」は進まぬまま、サラリーマンの医療費3割負担だけが先行決定、「アジアのアルゼンチン」と酷評されながらも、ひたすら親分アメリカを信じて、「カジノ資本主義」の渦中に飛び込もうとしています。お隣の韓国では、ソルトレイク・オリンピックがらみで対米感情が悪化し、米国の対テロ戦争についても7割の世論が「反対」を表明したというのに。

 しかし世界社会フォーラムのポルトアレグロ声明「世界の社会運動の呼びかけ」がいうように、「労働者を犠牲にした多国籍企業エンロンの崩壊は、カジノ経済の破産と政財界の腐敗を世に知らしめた。この多国籍企業は、途上国における欺瞞的なプロジェクトを推進し、人々をその土地から追い出し、水と電気の価格の急騰を作りだしてきた。米国政府は、大企業の利益を擁護するために、地球温暖化防止に関する協議、対弾道ミサイル協定、『生物多様性会議』、国連のレイシズムと不寛容に関する会議、武器供給削減の話合い、などから傲慢にも脱退した。米国中心主義(ユニラテラリズム)が、グローバルな諸問題の多国間での解決の試みを再び困難にしている」のであり、ブッシュにとっては小泉は、いわば頼りになる従順な小間使いです。「対テロ貢献:米国防総省が26カ国に謝意表明、日本の名前なし」は、ペンタゴン的常識の表出で、韓国やウズベキスタンは始めから入っていましたから、「除外は単純ミス」とリップサービス付きで訂正されても、アメリカにとって軍事的には、せいぜい27番目の国にすぎないのです。それでも「有事法制」を作って経済政策の破綻をつくろいボスのご機嫌をうかがう様子は、「純情」とでも評すべきでしょうか? もっとも日本外交を直接に担う外務省の全体が「伏魔殿」で、「ムネオハウス」風マフィア国家になりさがっていたようですから、日米非対称同盟の悲喜劇も笑えません。グローバルなカジノ資本主義は、もともと酪農家の協同組合から出発した雪印やスターゼンを今日の醜態に導いたように、エンロン風腐敗企業とアフィア国家をも、世界中につくりだすのです。『SAPIO』3月13日号の小林よしのり「さらば『新しい教科書をつくる会』」に注目しましょう。よしりんは、アメリカを批判できない西尾幹二らと、完全に決別したようです。「カジノ資本主義」下の「マフィア国家」の清算には、世界社会フォーラムのいう「もう一つのグローバリズム」の道のほかに、原理主義的ナショナリズムへとつきすすむ「いつかきた道」もありえますから、石原慎太郎の動きと共に、要注意です。>

 なお、転載部分に次ぐ文章に、9.11以後の日本のインターネット平和運動をまとめた加藤論文<ネットワーク時代に真のデモクラシーは完成するのか?−インターネット・デモクラシーのゆくえ>という報告のネチズン・カレッジ版が紹介されている。これは「ネチズン・カレッジ」のリンクから読んでいただきたいと思うがその報告の中で私と<ブナ林便り>のことが紹介されている。パソコンおよびホームページ一年生の拙い作品に 過分の評価をいただき 恐縮する。


3月3日午前10時20分
Another World is Possible !       より良き もう一つ 別の世界は 可能である !

 1月31日・2月1日ベルギーのブリュッセルの欧州議会で平和と人権のためのヨーロッパ・ネットワークを設立する会議が催された。
 この会議の予告が、バートランド・ラッセル平和財団のウェブサイトに載っている。  http://www.russfound.org/
 <9.11以降の難しい状況の中で平和と人権の運動の作業は、きわめて重要になっている。そこで(上記の場所と上記の日程で)ネットワークを創る会議を開く。 ワークショップ2のレポートースターウォーズの脅威とそれを止めさせる方法。 ワークショップ3ー平和、軍備撤廃、グローバルな民主主義のための運動をリンクさせること。・・・・>

 そして、<平和と人権のためのヨーロッパ・ネットワーク設立会議の声明ーヨーロッパ議会会議場、ブリュッセル。2002年1月31日・2月1日>が決まった。
原文のタイトルは "Final Communique"  日本語訳は河内謙策さん。 なおこの訳稿は加藤哲郎さんの「ネチズン・カレッジ」から転載させていただいた。


<我々は、様々な国から、様々な自治体から、様々な組織から集まってきている。我々は、不安と安全でない世界に生きている。我々は、何よりもまず、揺るぎのない平和を樹立し、人権を保証し、環境を守るための解決策を見いださなければならないという共通の意見を有している。

 より良き世界は可能である。我々は、安全、核非武装、戦争(warfare)でなくて福祉(welfare)、平和教育、改革され強化された国連を通じての紛争の平和的解決、についての新しい考え方が必要になっている。

 しかし、我々は、転換点に立っている。我々は、世界最強の軍事力と経済力が、自らが敵とみなすものに対して戦争を仕掛けるという状況の只中にいる。このことは、多くのヨーロッパ諸国政府の支持の下になされているのである。我々は、国家的テロを含むテロリズムの犠牲者に対して、心からの哀悼の意を表明する。しかし、戦争はテロ克服の道ではない。アメリカは、人間と人間の生計の手段を破壊する桁外れの兵器を使用する用意ができている。アメリカは、他のものに対してはアメリカの行動を支持するよう圧力をかけながら、いわゆるモ全領域の支配(full spectrum dominance)モを達成するために、その力を陸、海、空、宇宙、そして情報へと拡大している。

 我々は、アメリカのこのような動きに反対する。そして、我々のヨーロッパの友人達に対して、我々とともにアメリカを先頭とした一味に加わることを拒絶するよう訴える。

 我々は、ヨーロッパにおいて、平和、NATOの拡大よりも解散、EUの軍国化よりも平和的な発展のために活動しなければならないという特別の責任を有している。このことは、我々の豊かさのためだけではなく、ヨーロッパ内での戦争とヨーロッパ外への侵略の歴史が我々にそうさせるのである。

 我々は、ここに”平和と人権のためのヨーロッパ・ネットワーク(European Network for Peace and Human Rights)”を設立し、それを大きくしていきたいと考えている。我々は、全世界において抗議の運動が大きくなりつつあることを十分に知っている。そして、この会議には、そのような運動を代表する、平和活動家、反核・反軍国主義の活動家、環境問題に取り組んできた人、宗教者のグループ、婦人問題の活動家、労働運動の活動家、失業対策機関の人、公正な貿易のために活動している人、先住民のための諸組織、人権や政治的な諸問題に取り組んでいる人、その他、貿易・サービス・文化の企業グローバリゼーションと蘇えった産軍複合体に反対している人々が参加している。

 我々は、軍事的解決に反対し、平和と地球的正義を求めるよう呼びかける。平和、民主主義、安全な環境は、我々にとって必要不可欠なものであり、我々の子供たちに引き継ぐべきものである:戦争は浪費であり、浪費は環境に対する最大の犯罪である;民主主義は自由、徹底的な討論、婦人、男性、若者の全面的な参加に基づくべきものである;健康や教育のためより軍事のために資源を使うことは正義に反する。持続可能な平和と正義をめざす運動をつくりあげなければならないのは、これらの理由によってである。

 我々は、緊急に以下のことに努力する:

 アメリカにおいて平和のために活動している様々な運動と対話を行い、代表団をお互いに派遣するようにする;

 イスラエルのヨルダン川西岸、ガザ、東エルサレム、その他のアラブ諸地域に対する占領・入植を含む西アジアと北アフリカの地域における暴力と不正義に反対して、中東における平和と人権のために活動している諸運動と活発な対話を行うこと;自決と独立国家樹立のパレスチナ人民の不可譲の権利を支持するのと同様に、正義と永続的な平和のための基礎的な第一歩である第四回ジュネーブ会議の開催を支持すること;

 南アジアにおける平和をめざす運動を支持すること;

 政治犯に援助を与えること;良心的参戦拒否および良心的納税拒否の権利のための運動を支持すること;

 国連システムを改革し強化すること、これはヨーロッパにとって最良の回答であるとともに、反アメリカではないアメリカの覇権主義に反対する諸運動を一つにする共通の目標でもある。

 我々は、現在ブラジルのポルト・アレグレで開かれている会合はもちろんのこと、全地球的な軍国主義化に反対し、あるいは人権、持続可能な開発、民主主義のための世界の諸運動との連携を強化する。

 我々は、これらのことを促進するために、また、必要な財源を確保し、ヨーロッパ全体の行動を調整する詳細なプランを作成するために、連絡委員会を結成する。

 

2002年2月1日、ブリュッセルにて

                                  >


ATTACニュースレター日本語版2002年第11号/転載歓迎>

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ATTACニュースレター「サンド・イン・ザ・ホイール」(週刊)     2002年3月20日号(通巻第120号)         
 Sand in the wheel  Weekly newsletter - n°120 - Wednesday 20 March 2002.        THE LARGEST EVER(最大のデモ)

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《 も く じ 》 1−資本のグローバリゼーションに対して史上最大のデモ(The largest demonstration ever organized against corporate globalization)  デモ参加者数について、地元警察は25万人・主催者側は50万人・マスコミは30万人とそれぞれ公表した。どの数字が正しいとしても、EUのサミットに対するデモ参加者数は少なくとも2001年7月のジェノバ・サミット同様の規模であったことは間違いないだろう。その規模は当初の予想をくつがえしたと言う点で印象的であった : 主催者の予想は5万人程度だった。特に同サミット2日前の欧州労働組合連盟のデモに10万人が参加したことで、力が分散することが心配されていた(1471語)。

《 要 約 版 》 ●資本のグローバリゼーションに対する史上最大のデモ The largest demonstration ever organized against corporate globalization  by Christophe Aguiton  2002年3月16日―バルセロナ;この日、運動は大きな前進を遂げた! デモ参加者数について、地元警察は25万人・主催者側は50万人・マスコミは30万人とそれぞれ公表した。EUのサミットに対するデモ参加者数はいずれが正しいとしても、少なくとも2001年7月のジェノバ・サミット同様の規模であったことは間違いないだろう。その規模は当初の予想をくつがえしたと言う点で印象的であった; 主催者側の予測は約5万人だった。特に同サミット2日前の欧州労働組合連盟のデモに10万人が参加したことで、力が分散すると懸念されていた。
 ジェノバ同様に取締りは厳しく「反テロリスト」の口実の下、不当逮捕者を出しフランス・ベルギーからの参加者約2千人は国境で追い返された。
 デモのスローガンは、地元カタロニア語で書かれたものがほとんどで、新自由主義に反対するこれまでのどの集会にもまして、「現地化」が浸透していた。
 EUサミットで問題とされた議題は、エネルギー市場の自由化、鉄道輸送の競争拡大、労働市場の柔軟化など。これら公共サービス部門の解体を狙う動きや、国連開発支援金融会議(モントレー)に対するEUの態度などである。したがって、こうした問題が議論されるサミットに対して、公共サービスの切り捨てや労働条件の引き下げに反対し、社会的権利や環境を尊重し、南の諸国との関係を変えていくことを要求するためにデモをするのは十分な理由のあることだった。
 バルセロナの成功は、ケベック、ジェノバ、ポルトアグレに続く新自由主義に反対する世界の波動が全開していることを示すものだ。
 2000年のジェノバ、プラハの運動を契機に設立された「グローバル・レジスタンス運動」(スペイン語の頭文字を取って、MRGと呼ばれている)は、各国の集会に参加し、2001年6月には世銀総会の当地開催を見送りに追い込んだ。
 今回3月16日のMRGの動員は、(1)若者の参加(2)広範な層の社会運動(3)草の根からの参加――を軸に「ヨーロッパの資本に対するキャンペーン」として行われ、100以上の組織を結集している。バルセロナ社会フォーラムには、議会左派(社会労働党と統一左翼)と労働組合(労働者委員会、労働総同盟)が参加した。
 また各代表派遣団も参加者が多く、女性団体1千名以上、ATTAC 3千名、ほかにもパレスチナ人支援組織、フランス労働総同盟(CGT)、 CNTなどから数千名が加わった。 あらゆる組織が混合し、参加者多数が若者であり残りの年齢階層は多様であった。カタロニア、そしてスペイン全国(バスクを除く)の活動家は、多くの世代にわたって、ヨーロッパのどの地域よりも深刻な運動の崩壊を経験してきた。
1970年代に、フランコ体制の崩壊の中で、社会運動を基盤とする急進的左翼が台頭した。この当時、ポルトガル革命は、独裁政権の崩壊につづく反資本主義革命という希望を与えた。しかし、民主主義体制への移行とモンクロア協定はこの希望を封じ、長期にわたって活動家を意気消沈させた。しかし90年代後半以来の運動の昂揚は、新しい世代の活動家の新しい実験を生み、MRGの活動は 2000年4月、ワシントンの直接行動ネットワークを彷彿させるものがある。
 そして今あたらしい戦闘的スタイルは、例えば3月16日のデモで「有名人」をかつぐのは止め、隊列の先頭には無名の活動家を選んだことだ。しかし運動は、年齢、グループ、階層のわけ隔てなく統一して取り組まれたのだ。
 いくつか印象点を上げれば、第一に、このデモはグローバリゼーションを巡る論争と、論争の方法に影響を及ぼすだろう。たとえば、マドリードの有力紙「エル・パイス」は「カタロニアの州都はさまざまなタイプのグローバリゼーションを支持する最大のデモの場となった」という見出しを掲げた。もはやすべてを「反グローバリゼーション運動」とひとくくりにしなくなったのである。二つ目にバルセロナの暴力行為は、運動の付随的な内容にとどまった。確かにゴミバケツに火がつけられたり、投石などもあったものの、実質的な暴力はメディアの報道を含めてなく、運動が成熟化の兆候を示した。 しかしヨーロッパにおける市民運動のための域内渡航に対する規制は尋常あらざるものがあり、特にATTACの市民的自由を要求するキャンペーンはさらに拡大させる必要があるだろう。
 最後に活動家ネットワークへの影響を考えて見よう。スペインにおいては、続く6月、セビリアのヨーロッパ・サミットの動員に向けたテスト・ケースになった。しかしスペインの運動をヨーロッパそのほか海外パートナーと経験を共有するには構造的弱点もある。
 この課題は次の11月のヨーロッパ社会フォーラムに向けた大きな挑戦である。運動がポルトアグレの目標をいかに追い続け、世界的に広げ、地場に根づかせ、どのように効果的な行動戦略を設定すべきなのか?パリ3月17日 2002


3月1日午前8時
 畏友であり、ネチズンとしては大先輩に当たる加藤哲郎さんの「ネチズン・カレッジ」のトップページの総括的文章を前回紹介し, 「第二回世界社会フォーラム」とその「世界の社会運動への呼びかけ」の意味をどう考えるか の参考資料として 転載させていただいた。
 今朝、「ネチズン・カレッジ」を開くと、その続編が <世界経済フォーラムか、世界社会フォーラムか? (Part2)−「カジノ資本主義」と「マフィア国家」の危うさ>という見出しで発信されている。「大学入試の真っ最中で十分な手当てが出来ないので」最小限のヴァージョンアップに留めざるを得なかったという断り書きもついている。しかし、前回に続く文章であり、見出しのような課題を勉強していくためのよい参考資料なので ここに転載させていただく。

 <2002/3/1 英語版Global Netizen Collegeの目玉の一つSpecial Joke Lecture,"World Ideologies Explained by Cows"に、久しぶりで投稿がありました。アメリカの常連Lonoさんからの "ENRONOMICS"というもので、アメリカのエンロン社疑獄を皮肉ったものです。

"You have two imaginary cows. You bribe 300 congressmen to enact legislation declaring imaginary cows real. You make $5 billion selling imaginary milk futures. When the milk futures go sour, you award all the corporate executives with enormous bonuses and flee to Cayman Islands. Your employees, shareholders and creditors get trampled. By real cows".

 イマジンでもおなじみの田中宇さんの「国際ニュース解説」が「エンロンが仕掛けた『自由化』という名の金権政治」「エンロンが示したアメリカ型経済の欠陥」で鋭く分析しているように、政治資金を広くばらまき、「電力の自由化」でカルフォルニアの電力不足を仕掛けたエネルギー巨大企業エンロン社が、実は粉飾決算の無責任経営で、トップは自社株売却で倒産前に莫大な利益を持ち逃げし、一般社員たちは「401K」で自社株に頼っていたため退職後の年金も失ってしまったという、あくどい事件です。ブッシュ政権は、この事件から国民の眼をそらすためにも、2002年を「戦争の年」と宣言し、非論理でヨーロッパの同盟国からも批判されている「悪の枢軸」論でイラク・イラン・北朝鮮を「外敵」に仕立て上げ、アフガン、フィリピンに続いてグルジアコロンビアにも特殊部隊を展開しようとしているのです。

 サッチャーリズムから四半世紀、ソ連崩壊から十年たって、社会科学の世界にも、新自由主義とグローバリズムの時代を捉える新しい用語が定着してきました。エンロンが跋扈したグローバルな資本主義は「カジノ資本主義(Casino Capitalism)」であり、そこで多国籍企業や特定集団と癒着した政府は「マフィア国家(Mafioso State)」です。通俗的に響きますが、前者はスーザン・ストレンジの命名であり、後者も旧ソ連・東欧国家を中心にチャールズ・ティリーらにより使われています。2月28日『朝日新聞』夕刊のスクープは、「米、小泉改革に懸念示す 大統領が訪日前に極秘親書」というもの。ブッシュの親書は、1月17日付けで銀行の不良債権処理を迫った日本経済への処方箋でした。2月初めのニューヨーク世界経済フォーラムに竹中経済担当相らが出かけて何を学んできたか、ブッシュ訪日にあわせた「デフレ対策」がどんなシナリオのもとで作られたかが、透けてきました。もっとも日本の政局は、「マキコとムネオ」のハプニングもあり、アメリカ式グローバル・スタンダードにあわせる「構造改革」は進まぬまま、サラリーマンの医療費3割負担だけが先行決定、「アジアのアルゼンチン」と酷評されながらも、ひたすら親分アメリカを信じて、「カジノ資本主義」の渦中に飛び込もうとしています。お隣の韓国では、ソルトレイク・オリンピックがらみで対米感情が悪化し、米国の対テロ戦争についても7割の世論が「反対」を表明したというのに。

 しかし世界社会フォーラムのポルトアレグロ声明「世界の社会運動の呼びかけ」がいうように、「労働者を犠牲にした多国籍企業エンロンの崩壊は、カジノ経済の破産と政財界の腐敗を世に知らしめた。この多国籍企業は、途上国における欺瞞的なプロジェクトを推進し、人々をその土地から追い出し、水と電気の価格の急騰を作りだしてきた。米国政府は、大企業の利益を擁護するために、地球温暖化防止に関する協議、対弾道ミサイル協定、『生物多様性会議』、国連のレイシズムと不寛容に関する会議、武器供給削減の話合い、などから傲慢にも脱退した。米国中心主義(ユニラテラリズム)が、グローバルな諸問題の多国間での解決の試みを再び困難にしている」のであり、ブッシュにとっては小泉は、いわば頼りになる従順な小間使いです。「対テロ貢献:米国防総省が26カ国に謝意表明、日本の名前なし」は、ペンタゴン的常識の表出で、韓国やウズベキスタンは始めから入っていましたから、「除外は単純ミス」とリップサービス付きで訂正されても、アメリカにとって軍事的には、せいぜい27番目の国にすぎないのです。それでも「有事法制」を作って経済政策の破綻をつくろいボスのご機嫌をうかがう様子は、「純情」とでも評すべきでしょうか? もっとも日本外交を直接に担う外務省の全体が「伏魔殿」で、「ムネオハウス」風マフィア国家になりさがっていたようですから、日米非対称同盟の悲喜劇も笑えません。グローバルなカジノ資本主義は、もともと酪農家の協同組合から出発した雪印やスターゼンを今日の醜態に導いたように、エンロン風腐敗企業とアフィア国家をも、世界中につくりだすのです。『SAPIO』3月13日号の小林よしのり「さらば『新しい教科書をつくる会』」に注目しましょう。よしりんは、アメリカを批判できない西尾幹二らと、完全に決別したようです。「カジノ資本主義」下の「マフィア国家」の清算には、世界社会フォーラムのいう「もう一つのグローバリズム」の道のほかに、原理主義的ナショナリズムへとつきすすむ「いつかきた道」もありえますから、石原慎太郎の動きと共に、要注意です。>

 なお、転載部分に次ぐ文章に、9.11以後の日本のインターネット平和運動をまとめた加藤論文<ネットワーク時代に真のデモクラシーは完成するのか?−インターネット・デモクラシーのゆくえ>という報告のネチズン・カレッジ版が紹介されている。これは「ネチズン・カレッジ」のリンクから読んでいただきたいと思うがその報告の中で私と<ブナ林便り>のことが紹介されている。パソコンおよびホームページ一年生の拙い作品に 過分の評価をいただき 恐縮する。


3月3日午前10時20分
Another World is Possible !       より良き もう一つ 別の世界は 可能である !

 1月31日・2月1日ベルギーのブリュッセルの欧州議会で平和と人権のためのヨーロッパ・ネットワークを設立する会議が催された。
 この会議の予告が、バートランド・ラッセル平和財団のウェブサイトに載っている。  http://www.russfound.org/
 <9.11以降の難しい状況の中で平和と人権の運動の作業は、きわめて重要になっている。そこで(上記の場所と上記の日程で)ネットワークを創る会議を開く。 ワークショップ2のレポートースターウォーズの脅威とそれを止めさせる方法。 ワークショップ3ー平和、軍備撤廃、グローバルな民主主義のための運動をリンクさせること。・・・・>

 そして、<平和と人権のためのヨーロッパ・ネットワーク設立会議の声明ーヨーロッパ議会会議場、ブリュッセル。2002年1月31日・2月1日>が決まった。
原文のタイトルは "Final Communique"  日本語訳は河内謙策さん。 なおこの訳稿は加藤哲郎さんの「ネチズン・カレッジ」から転載させていただいた。


<我々は、様々な国から、様々な自治体から、様々な組織から集まってきている。我々は、不安と安全でない世界に生きている。我々は、何よりもまず、揺るぎのない平和を樹立し、人権を保証し、環境を守るための解決策を見いださなければならないという共通の意見を有している。

 より良き世界は可能である。我々は、安全、核非武装、戦争(warfare)でなくて福祉(welfare)、平和教育、改革され強化された国連を通じての紛争の平和的解決、についての新しい考え方が必要になっている。

 しかし、我々は、転換点に立っている。我々は、世界最強の軍事力と経済力が、自らが敵とみなすものに対して戦争を仕掛けるという状況の只中にいる。このことは、多くのヨーロッパ諸国政府の支持の下になされているのである。我々は、国家的テロを含むテロリズムの犠牲者に対して、心からの哀悼の意を表明する。しかし、戦争はテロ克服の道ではない。アメリカは、人間と人間の生計の手段を破壊する桁外れの兵器を使用する用意ができている。アメリカは、他のものに対してはアメリカの行動を支持するよう圧力をかけながら、いわゆるモ全領域の支配(full spectrum dominance)モを達成するために、その力を陸、海、空、宇宙、そして情報へと拡大している。

 我々は、アメリカのこのような動きに反対する。そして、我々のヨーロッパの友人達に対して、我々とともにアメリカを先頭とした一味に加わることを拒絶するよう訴える。

 我々は、ヨーロッパにおいて、平和、NATOの拡大よりも解散、EUの軍国化よりも平和的な発展のために活動しなければならないという特別の責任を有している。このことは、我々の豊かさのためだけではなく、ヨーロッパ内での戦争とヨーロッパ外への侵略の歴史が我々にそうさせるのである。

 我々は、ここに”平和と人権のためのヨーロッパ・ネットワーク(European Network for Peace and Human Rights)”を設立し、それを大きくしていきたいと考えている。我々は、全世界において抗議の運動が大きくなりつつあることを十分に知っている。そして、この会議には、そのような運動を代表する、平和活動家、反核・反軍国主義の活動家、環境問題に取り組んできた人、宗教者のグループ、婦人問題の活動家、労働運動の活動家、失業対策機関の人、公正な貿易のために活動している人、先住民のための諸組織、人権や政治的な諸問題に取り組んでいる人、その他、貿易・サービス・文化の企業グローバリゼーションと蘇えった産軍複合体に反対している人々が参加している。

 我々は、軍事的解決に反対し、平和と地球的正義を求めるよう呼びかける。平和、民主主義、安全な環境は、我々にとって必要不可欠なものであり、我々の子供たちに引き継ぐべきものである:戦争は浪費であり、浪費は環境に対する最大の犯罪である;民主主義は自由、徹底的な討論、婦人、男性、若者の全面的な参加に基づくべきものである;健康や教育のためより軍事のために資源を使うことは正義に反する。持続可能な平和と正義をめざす運動をつくりあげなければならないのは、これらの理由によってである。

 我々は、緊急に以下のことに努力する:

 アメリカにおいて平和のために活動している様々な運動と対話を行い、代表団をお互いに派遣するようにする;

 イスラエルのヨルダン川西岸、ガザ、東エルサレム、その他のアラブ諸地域に対する占領・入植を含む西アジアと北アフリカの地域における暴力と不正義に反対して、中東における平和と人権のために活動している諸運動と活発な対話を行うこと;自決と独立国家樹立のパレスチナ人民の不可譲の権利を支持するのと同様に、正義と永続的な平和のための基礎的な第一歩である第四回ジュネーブ会議の開催を支持すること;

 南アジアにおける平和をめざす運動を支持すること;

 政治犯に援助を与えること;良心的参戦拒否および良心的納税拒否の権利のための運動を支持すること;

 国連システムを改革し強化すること、これはヨーロッパにとって最良の回答であるとともに、反アメリカではないアメリカの覇権主義に反対する諸運動を一つにする共通の目標でもある。

 我々は、現在ブラジルのポルト・アレグレで開かれている会合はもちろんのこと、全地球的な軍国主義化に反対し、あるいは人権、持続可能な開発、民主主義のための世界の諸運動との連携を強化する。

 我々は、これらのことを促進するために、また、必要な財源を確保し、ヨーロッパ全体の行動を調整する詳細なプランを作成するために、連絡委員会を結成する。

 

2002年2月1日、ブリュッセルにて

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4月15日午前9時
ブナ林グループの方々に昨日朝、以上のニュースと一緒に下記のようなことをメールした。

<今晩(4月14日)午後9時から50分間 NHKテレビ第1でNHKスペシャル「変革の世紀(1)国家を超える市民パワー」未来 社会を探る新シリーズというのが予告されていて、アタック(フランスのNGO)や新 自由主義的グローバリズムに対する世界大の反対運動などを 映像で説明するようです。ぜひご覧になるとよいし、ビデオどりも適切かと思いま す。今晩のことなので取り急ぎおしらせまで。>

このNHKテレビの番組は第一回目だったが、シアトル1999年が中心に置かれ、映画のような緊迫感でうまく編集されていてその部分は大変見ごたえがあったと思う。ただ、ポルトアレグレの第二回世界社会フォーラムについては最後にちょっと触れるだけで大いに不満が残った。また、取り上げるのだろうか。
さて、この番組を見た二人の方からホットな感想が届いたのでご紹介したい。

<こんにちは
いつも送信頂いて感謝しております。全てをよみきれているわけではないところが申し訳なく思うほどです。
おはずかしながらインターネット上で情報発信されていることを実際自分で検索することがあまりないので・・・。
先生からの情報は、相当なリアリティをもっていて、その現実をどのように理解していったらいいのかということで、あまり返信をさせていただくことができず、すみません。

テレビみました。異なる立場の人々が、そのエネルギーとしては国境をこえて手をつないでいっていること、またそれによって、例えば、経済のグローバリズムによる問題点や弊害をつきあわせながら、連帯して行動していこうというありように、実は自分が考えているよりはるかにも、一人一人が活動していくということの意味というか、そのパワーのすごさを感じました。

少々話はそれますが、今年初めの雑誌『教育』や『現代思想』には、新自由教育や教育の現在を等という内容の論文が掲載されていましたが、ここでもやはり地域や人々がつながっていくことに活路を見出せるのではないかという方向で論じられていました。
結局、「行政、制度、組織の責任を極小化し、個人の自己責任や自己決定を極大化する・・・優生学的発想に基づく競争社会」がつくりだす人間関系の分断に対しては、さまざまな分野でありうるだろうつながりの網目をはるという活動に大きな意義がみえてきた。> 三王昌代さん

<今まで先生からメールを頂いて少し頭にありましたので理解できたように思います。これから、7回まで放映する予定とのことですのでみていきたいと思いま
す。ホームページをお気に入りに入れましたのでみのがしたときには後で見るつもりです。

私が大学時代に学生運動で「ゴー ホーム ヤンキー!!」と叫びながらアメリカ大使館の前にスクラム組んで すわりこんだのを今なつかしく思い出しています。一人では到底出来ないことですが仲間がいたからやれたのです。
アメリカのシアトルに集まった5万人のNGOの人々の力が世界中に広まり21世紀の社会を大きく変えていくことは出来ると確信しています。
自国の利益のみの追求ではなく世界の幸せを考えなければ私個人の幸せもないと思います。
今の時代に生きている限り真の幸せとはなにか?を考えながら行動していかなければーーーー
先生これからもメール楽しみにしています。 > 増田知子さん

★ NHKスペシャル「変革の世紀」という番組は特別の面白いウェブサイトを開いている、ぜひご覧になるとよい。      http://www.nhk.or.jp/henkaku/


7月11日
6) " Eli Pariser, 9-11Peace org " から重要な通信届く。 " THEY ARE EIGHT, WE ARE 6 BILLION: INSIDE G6B " (7月10日)
G8サミット(7月26−27日)の直前、同じカナダのカルガリー大学を会場として7月21−28日の間おこなわれた世界6億の民を代表する
 THE PEOPLES SUMMITの模様をSusan Thompson さんが報告している。
もちろん「反サミット」「反新自由主義グローバリズム」の「世界人民のサミット」である。たくさんのワークショップを開きG8サミットとは違い、はるかに多様な豊富な問題・課題を論じ合った。 


7月16日
9) W杯サッカーに次いで世界の衆目を集めたのがカナダの山荘で行われたG8サミットだった.日本では報道されていないが、警備厳重で立ち入り不可能なG8サミット会場から離れたカルガリーの大学で世界60億のpeople のサミットが明らかにG8サミットに対抗して行われていた。G8サミットとは違う選択肢を創造しようという世界人民のサミットであった。

これについては7月11日の6)の資料(ELI PARISER 9−11peaceのbulletin)にくわしいが、さしあたりその写真一二でもごらんになるとよい。「別の世界が可能だ」への行動の実例でもあり、G8サミットが目指す新自由主義的グローバリズムへの抗議でもある。