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ウィーン版ミュージカルエリザベート
 観劇記−2日目 

初々しさのない新人公演のような…

  

2004/4/12(月) 19:30 アンデアウィーン劇場 平土間1列目

最初に申し込んだエリザベートツアーに参加していれば、今日が唯一の観劇日だったはずだ。
2回目で劇場の様子もわかっているし、今日はお着物!初日と違って夫も隣で、ちょっと安心。
それに、何といっても平土間の最前列ほぼ中央の席なのだ!
劇場によっては、あまり前過ぎると見難く最前列が良い席ではないこともあるそうなので来てみるまでは心配だった。
一番高いので大丈夫だろうとは思っていたが、ネットで予約する際”そこだけ”残っていたのも不安を誘った。

実際は、視界を遮るような機材も無く、本当に舞台直近という感じ。
指揮者の方のつむじにさわれそうな近さだ
夫が言うには「とちりの席(7・8・9列目)」が通だそうだが、3月帝劇で4列目だったにもかかわらず前に巨大な男性2人に座られ、舞台左側が良く見えなかった経験をしたので、とにかく視界を遮るものが何もないという事が私にとっては最重要だ。
気分爽快、視界良好、私の観劇を邪魔するものは何も無いわ!

席に着いてみると、右も左も後ろも日本人。前回は日本人あまり見かけなかったのに。阪急交通社のバッチを着けた女性が、私達を囲む一段に向けて「地下にも〜」と説明を始めた。
これは、キャンセルしたツアーの人々か!
劇場のどこかにいらっしゃるはずではあったが、まさか囲まれるとは。何故この席空いてたの?不思議〜
阪急のツアーに参加していても、こんなに良い席に座れたのね。さすがエリザベートツアーだ。
前回買えなかったプログラムを、夫が買ってくれた。そうよ、自分で買うことないのよ、お着物だし。


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一体どういうこと・・・

あー、今日はキッチュもミルクも目の前で見られるのね―とワクワクしながら開演を迎える。
ところが
あれ、ルキーニが違う!
まだプログラムを見ていないので今日の人が本役かも?でも、ミョーに線が細くて頼りない感じだ。
亡霊達の登場はルキーニの「エリーザベート」がキッカケなのに、今日のルキーニ君は遅れてしまって、伴奏は始まっているのに亡霊の皆さん歌い出すことができず、全体少し遅れてしまった。
ああ、やっぱり前回が本役だ、絶対。
ぐゎっくり…初日のミルクやキッチュが目の前を行過ぎる…
亡霊の踊りを見ながら夫が、「あの、椅子に座ってるの誰?この前はいなかったよな」すっごい真剣に見ている。
誰でもいいわよ、ルキーニが違うのよ、と立ち直れない私。
椅子に座っていたのは皇太后ゾフィーで、ゾフィーも前回と違っていた。よくあの段階で分ったね、夫。
今日のゾフィーはウィーンの初風さんだ。前回のゾフィーが若すぎたので、ゾフィー今日の方がぴったり。
しょうがない、今日は「私だけに」と「最後の審判」を楽しみに見よう。

エリザーベートのシルエットから少女シシーが登場。
あれ、本当に若い!金髪が明るい!瞳の色が明るい
マヤさんじゃないよ―
少女時代だけ別の人がやるの?なんてしょうも無いことを考えるほど、その状況を受け容れ難かった。
キャストが日によって異なるので、外れないように複数回観劇する事にしたのに、
そんなこと最初からわかってる筈なのに、よりによってお着物で最前列の日に当たるなんて!なんて運が悪いの・・・・
ツアーに参加してたら、この日しか見られなかったということ?!
自分の旅行計画が正しかったのは実感できたけど、何も今日じゃなくても…複雑な気分。
トートが”あれ”だから、ルキーニとエリザベート楽しみにきている私にはショック大。
いや、このシシーだって凄いかもしれない。

若い二人のラブソングが終わると、そのまま結婚式のシーンに続く。
黒天使が2人に白いレースのガウンを着せることで結婚式の衣装に代わるが、ガウンは舞台上部のヤスリから投げ落とされるのでくしゃくしゃになっている。
フランツ君にガウンを着せる黒天使が、なかなか着せることができない。
シシーのほうはもうヘッドドレスまでつけ終わったというのに、まだ袖が通らない。がんばってー
・・・今日はどういう日なの?いったい

そして、「私だけに」のシーン
V字の谷で、シシーはすっかり自分の世界に入り込んでいる。
?なんか、指揮者の方の動きがおかしい。
一生懸命シシーに何か伝えようとしているみたいに見える。
目の前なので大変目障り、イヤよく見える。その努力は続く。結構激しい動きだ。
この曲の最初の方はまだ静かな曲調だから、オーケストラの人に指示を与えているわけではないはずだ。
入り込んでしまっているシシーは全く気づかない。そのうち指揮者の方はあきらめたようだった。
出だしのルキーニ君のように何かしてしまったのだろうか?あとで2人呼び出しか。

夫は今日も元気に大きな拍手。手が大きいので音も大きい。
「なんだ、この辺みんな拍手小さいな」
チロルの団体じゃないから、日本人だから。


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ウィーンはやはりフランツヨーゼフだ

フランツヨーゼフ皇帝を演じていらっしゃるのは、Andre Bauerさん
さすが、勤勉な皇帝を演じられるだけあって、私達の3回観劇全部に出ていた主要キャストはこの方だけです。
この方の凄いところは、フランツヨーゼフそっくりに見えること。
何がそっくりかって、(下図ご参照)

別にふざけているわけではありません。
お顔や姿勢、所作、話し方など全部でフランツヨーゼフらしさを出していらっしゃるとは思いますが、
特に耳の上、両サイドの髪の感じが”肖像画”でみる皇帝にそっくりだったのです。
こういう些細なところが”らしい”から”そっくり”に変わるポイントなのではと思うのです。
少し膨らんで、顔にかけてカールしている感じ、『ここを残して将来イっちゃいそうな感じ』というか。
地毛なのか鬘なのか分かりませんが、本当にいい感じ。鬘なら、ぜひ帝劇でも取り入れて欲しいものです。

この方が肖像画そっくり(に見えた)ということは、今回の旅行に予想もしなかった楽しみを与えてくれました。
ウィーンの観光地も街中もフランツヨーゼフとシシーの肖像であふれています。
日中の観光で見かけた、宮殿の肖像画・博物館の写真・ショーウィンドーのお菓子の箱・絵葉書にいた人が、夜劇場で実際に動いているのが見られるのです。 感動ー
こういう感じは今までに味わったことがありませんでした。前回の観劇で、肖像画シーンで泣いていたチロルのおじさんがこういう感動をしていたのだとしたら、泣く気持ちも分からなくありません。
ミュージカルエリザベートはウィーンの観光振興策で作られたわけでは無いでしょうが、その役目も十分果たしているようです。
1日中ミュージカルの内容が楽しめるのが、本拠地で上演する強みですね。
海外キャストが日本公演をしてくれれば海外まで行かなくてすむのにと思っていましたが、エリザベートについては”ウィーンで”見ることは別の大きな楽しみがあるのだということを実感させてくれました。

高嶺ふぶきさんからのフランツファンだったので、感激もひとしおです。
日中肖像画三昧、夜実物、ホテルの部屋に帰ってからもフランツが手に沈んでいった黄金の紋章が部屋から見えるーと、フランツ君三昧のウィーン旅行でした。
ありがとうフランツ!
死してなお異郷の日本人を感動させるとは、武田信玄もまっつぁおです。

休憩時間にプログラムでキャストを確認。
今日のシシーはいつもはヴィンディッシュ嬢の人だった。
前回ヴィンディッシュ嬢を見た時、綺麗で歌もうまいなぁと感じたことを思い出した。瞳が大変綺麗で印象的なのだ。
星組のベルバラで少女オスカルの映美くららさんが印象に残ったのと同じような感じだ。
周りの人より光っていたというか。でも、エリザベートはまだちょっと・・・

夫「フサみたいだな。」
若くて一生懸命やっているということが言いたいらしい。それにしてもいきなり”フサ”とは、どこで覚えてきたのかしら。会社の宝塚ファンの方々かしら?
夫「あの二の腕はいかん。」
エリザベートは肝心なシーンで二の腕を出していることが多い。痩せている設定なのに、生命力あふれる二の腕なのだ。宝塚の娘役さん(”フサ”をはじめ)〜一路さんといつも大変細い二の腕(肩と肘よりも真ん中が細い)を見慣れているので、エリザベートじゃないような気がしてくる。最後の死ぬシーンも二の腕を出しているが、元気いっぱいでとても死にそうに見えない。
髪の色もマヤさんより明るくしているので、違和感があった。3回目に別のトート閣下が黒髪だったが、本役さんと分けるようにしているのだろうか?

ルキーニは、いつもはなんとか男爵の人だった。プログラムのこの方の上のところに美青年の写真が。役はUngarisher Adliger…何だか分かりません。セカンドでルドルフって書いてある。このルドルフが見たい、でもあんなに振り回されるのはかわいそう、ああジレンマ。

今日のゾフィーだったら、フランツ君とちゃんと親子に見える。Else Ludwigさんだ。プログラムでは前回の田島令子さんと並んで載っているが、舞台写真は全部この方のものなので、やはりこちらこそが本役みたいだ。


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問題のシーンで大笑い、最前列で

2幕目、キッチュが始まった。
今日は遮る人も無く、客席のあちこちにチョコレートを投げている。
キッチュを最初に聞いたのは轟さんで、その後のルキーニや宝塚の催しなどで何度も聞いているが、轟さん以外はとても「つらそう」に感じる。
そもそも同じ単語を連呼するのは大変なのに加え、「キッチュ」という言葉に日本人はなじみが無いのだ。観客がよくわからない言葉を調子を変えて何度も叫ばなくてはならないのは、それはつらいだろう、轟さんが特別なんだと思っていた。CDで聞く海外のルキーニやKayaさんが辛そうじゃないのは、言葉がわかっているメリットがあるのだろうと。
ところが、辛そうだったのです…今回のルキーニ君も
本人・観客が言葉を分かっているかどうかは、あまり関係ないみたい。ルキーニ側の問題なのね。
目が泳いでました。緊張したのかな、見せ場ですものね。彼は終始あわてている様子で、突然の代役だったのでしょうか?
ルキーニの目が泳いでいるのを間近で見るために最前列取ったのではないのですが…

しかしその後、この席で良かったとしみじみ思う場面が。
そう、あの「闇が広がる」の名場面です。
ぶん回し操り人形コンビが、凄い勢いで私達に向かってくるのです。
大変な迫力でした。
夫は隣で大爆笑
です。
私も、前回のショックから立ち直り、思いっきり笑ってしまいました。
お着物でしたから、一応扇子で口元を隠して。ぶん回している間中、ずっと笑い通しでしたが、あんなに近くて、向こうからも見えていたのでしょうか?大笑いしているのが。期待と違う反応でごめんなさいね。
終わってから、夫が
「日本だったら、『いよっ!たっぷりっ』って声かけたかったなぁ」
落語なのか歌舞伎なのか新劇なのか、どこでそんな掛け声かけるのか分からないですが、雰囲気は分かります。本当に、たっぷり振り回してくださいました。

1幕の「ミルク」の時も凄い迫力でした。(ルキーニはおいといて)
歌の最後のところ、舞台中央に市民がかたまり、舞台から落ちそうなくらい乗り出して憎しみに満ちた目で歌い終わるのですが、近いので思わずのけぞってしまいました。
ミルク以外にも「いったい何重奏なのか?」分からない複雑な合唱シーンがありますが、1つ1つのパートがとてもよく聞き取れて、こんなにも色々な音があったんだと驚きました
席のおかげか、皆さんの調子がよかったのか分かりませんが。エリザベートはもう何度も見ているというのに、こんな発見があってうれしいです。

エリザベートとトートとルキーニに気が行かないので、他のことに目が行きます。
渡辺えり子さんタイプの方が2人いるのです。
帝劇のマダムヴォルフの館にはスタイルの良い娼婦しかいませんが、ウィーンの館には色々なタイプの娼婦がいます。
渡辺えり子さんAはボクシングのグローブをつけてお客を誘いますが、一向に相手にされません。
娼婦の皆さんは、親戚・舞踏会の客・ゾフィーの侍女・エリザベートの侍女・ウィーンの民衆・ハンガリーの民衆とフル回転で出てきます。スタイル・身長も様々、お顔も特徴のある人が多いので、一旦目に留まると「あ、また出てる」とすぐわかります。渡辺えり子さんBはTina Scholtzkeさんという方で、とても愛嬌のある顔立ちでこの人を探すのが1つの楽しみになりました。
ミルクで怒ってたと思うとすぐシシーの侍女でミルクを運んでくる。いつ着替えたんだろう、舞台裏は大変なんでしょうねー
渡辺えり子さんAは、プログラムでは分かりませんでした。痩せている時の写真を載せたのかな?

エリザベートはルキーニ君と違って堂々と演じているし、歌もうまいですが、絶叫になって歌でなくなってしまうところがあったり、夜のボートもしっくりこないというか。
夫が言うには、「(相手役の選択から何から)全てがマヤさんに合わせて調整されているのだろうから、そこへ違う人が入ったら”合わない”と思われてもしかたがない。条件が違うのだから比べたら可哀相」だと。

それにしても、宝くじ買ってるわけじゃないんだから、同じ値段でこれはどうしたものか。
ツアー参加で翌日オペラ座のアイーダだったら、この回しか見られなかったということよ。
せっかくウィーンまで来ておきながら、チロルの皆さんのような”泣くほどの感動”を味わえずに帰ってしまったということよ。
あなたは、大爆笑シーンとヒゲがお気に入りだからよいのでしょうけど。
侍女達に向けての、顎を”くいっ”とするところも、くいっが足りないわ。もっと大きくやらなくては。
マヤさんのは「早く、いらっしゃい!」なのに「こっちよ」程度だ。

最後のほうのエリザベートは出ずっぱりです。
夜のボートを舞台左奥で歌い、舞台が暗くなりルキーニが話している間に、日傘を放り投げて右前方に走り稼動床の端にしがみつきます。(まる見え
V字アトラクションを降りたらルキーニに刺され、左端のスピーカーの前で倒れます。皇后自らで喪服を脱いで白い下着姿になり、フィナーレ。
そう、喪服で登場→白い下着姿でフィナーレ、靴は黒いままなのです。死んで黒天使に運ばれて行く時に膝を曲げるので、黒のブーツが結構たくさん見えてしまうのです。
2回目だからか、マヤさんじゃないからなのか、こんなところまで目について悲しい。
一路さんがこのシーンでどんなお履物だったかなんて記憶に無いもの。お二人の顔のほうに目が行っていて。

最後、エリザベートとトートが歌い終わると同時に噛付くようにキスをするのだが、ヒゲが痛いだろうな。
私には関係ございませんけれど。

エリザベートがあまりに堂々としていたので、初々しさのない新人公演を定価で見てしまったような気分だった。

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